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三章 三話  嵐の前の休息

やーやー皆さん。やってきましたよ週末デートの日。ははは!すごくいい朝だね。午後から雨が降るなんて信じられないくらいだよ!


「あああああ!寝過ごしたぁぁ!」


・・はい。遅刻ギリギリに起きました。


今日の予定を立てるために寝たのが遅かったせいだ。


「花さん!なんで起こして・・あ」


そうだった。休日は花さん起きるの遅いんだった・・。


「くそ!こうしちゃいられない!」


布団から飛び起き、急いで支度を始める。


幸い、服は昨日のうちに用意しておいたし花さんもおにぎりを作り置きしてくれている。

ものの五分ほどで準備を終わらせ家を飛び出す。


「あと・・十分!」


おにぎりを咀嚼しながら時間を確認する。よし、これならギリギリ間に合うだろう。

携帯電話をしまい、先を急ごうとした時だった。


「へっ⁉」


何かを踏みつけ足を滑らせてしまう。


・・やばい!倒れる!


俺は固い地面とのキスする覚悟した・・


「・・先輩はいつも急いでますね」


けれど、その前に銀髪の少年によって阻止された。


「ありがとう、助かったよ・・って木葉?」


「はい。おはようございます」


・・なんでここにいるんだ?


「すみませんが僕も用事があるので失礼します・・また後で!」


俺に怪我がないことを確認するとすぐに行ってしまった。


「・・また後でってどういうことだろう?」


・・ま、学校でってことだろう。頭の中をツバキとのデートに切り替え、再び走り始める。


さて。ツバキとの集合場所だが、この町で唯一存在する商店街の入口で待ち合わせしている。けれど・・


「・・相変わらずの人混みだこと」


待ち合わせ場所に到着し商店街の周りを見ると人でごった返している。

・・そりゃ休日なんだからみんな同じこと考えるよね・・集合場所を商店街にしたのは失敗だったかな?


それともう一つ問題が。


「・・ツバキはどんな服を着てくるんだ?」


よく一緒にいるけど、俺はツバキの好きなものや趣味を知らない。だから普段の服装や生活が全く読めない・・今日は少しでもツバキのことを知れればいいな。


ともかく合流しようと、ツバキを探し始める。すぐには見つからないだろうなぁ。


「やあ、おはようツバキ」


「おはようございます。咲夜さん」


ところがどっこい。簡単に見つけることが出来た。


・・ツバキを簡単に見つけられた理由は二つ。


一つはすれ違う人全員が振り向いてしまうほど綺麗な髪。


でも、髪を染めている人もいるからそれだけでは決め手に欠ける。そこでもう一つの理由。


それは・・


「・・今日も制服なんだね」

・・制服を着ていることだ。休日なのも相まって特に目立つ。


「はい。服は持ってきていないので」


・・そういえばホテルに泊まってるんだっけ。それじゃあ、私物は少ないか。


「ですが、制服姿も一定の人気があると本に書いてありましたし・・それとも制服より体操着の方が良かったでしょうか?」


「・・後で服も買いに行こう」


ツバキだけで買い物させたらマニアックな服になること必至だ。


「そこまでお手伝いしてもらうのは申し訳ないです。服の調達ならば後日、自分でします」


「調達って・・気にしないでいいよ。この際、必要なものは全部買っちゃおう」


「ですが」


「それとも俺と買い物するのは嫌かな?」


言葉に詰まるツバキ。ちょっと卑怯だけどしょうがない。


「・・分かりました。本日はよろしくお願いします」


「うん。こちらこそよろしくね」


屈託のない笑顔をしながら・・俺は心の中でほくそ笑む。


ふはは!これを機にツバキを俺好みにカスタマイズにしてやる・・!


ピロリン♪

・・ケータイを開く。


「マニアックなのはやめておけよ」


・・忘れてたよ。俺たちをストーキングする変態の存在を。

あいつ、まだ盗聴器を仕掛けているのか?


ピロリン♪・・・・ピッ

「盗聴器は付けてないから安心しろ(=^・^=)b」


あいつ・・絶対に盗聴器仕掛けてやがる!


服をまさぐり盗聴器を探す。クソ、どこだ?


「咲夜さん?どうしたんですか?」


不思議そうに俺を見るツバキ。傍から見れば自分の服をまさぐる変人に見えるだろう。


「な、何でもないよツバキ」


・・まあ、いいか。どうせ盗聴だけじゃなくて尾行もしてるだろうからこっちの行動は筒抜けなんだし。


それに、ツバキと二人きりでデートができるのもあいつのおかげだしね。だから・・


「えーと「お宅の息子さんがストーキングに勤しんでいますよ」・・と。送信」

・・家族に報告するだけで許してやろう。


さて!あいつなんか気にせずツバキとの時間を楽しむぞ!


「さ、行こうかツバキ。最初は・・携帯ショップでいいかな?」


「はい。お任せします」


人でごった返している商店街へと入り、当初の目的である携帯ショップへと向かう。


「いらっしゃいませー」


そして、笑顔で接客する店員さんを一瞥し、俺たちは携帯を物色し始める。


「ツバキはどんなタイプが欲しい?」


「・・どれがいいのか全く分かりません。全部同じに見えます」


まあ、それもそうか。始めてだしな・・。


「すいませんお客様。本日はどの機種をお探しですか?」


うんうんと唸っている俺たちのもとに店員さんがやってくる。


「あ、この子の携帯を探してるんですがどれにするか決めかねていて」


「それならこの機種などいかがですか?最新機種でとても人気なんですよ」


・・フレームがピンクで可愛らしい。これならツバキも気に入るんじゃないかな。


「・・咲夜さんもこの機種ですか?」


「え?いや俺のやつはこれよりも古い機種だよ。ほら、あのタイプ」


俺は自分の使っている機種を指さす。


「そうですか・・ならあの機種がいいです」


「・・え、なんで?」


まさか、遠回しに同じものがいいという好意の表れ・・⁉


「使い方が分からないので教えていただければと」


納得。効率的な考え方だ。


「分かった。じゃあ、俺と同じ機種にしようか」


「はい。ご指導よろしくお願いします」


最終的に俺とは色違いのスマートフォンを購入したツバキ。


ツバキに操作方法を教えつつ次の買い物のために洋服店へと向かう。


「咲夜さん。これはどうでしょうか?」


目の前には紺色のワンピースを着たツバキ・・・・すごく綺麗だ。


洋服店に入るなり始まったツバキのファッションショー。淡々と買い物をして終わりかなと思ったけど携帯ショップの時とは打って変わり、いろいろな洋服を物色し始めたツバキ。まさか、ここまで洋服に興味を示すとは思わなかった。


まあ、ツバキも女の子だしね。洋服に興味を持つのは当たり前か。


「うん。綺麗だよ」


にやけないように平然を装って答える。


・・・・まあ、欲を言えばバニーガールを・・げふんげふん!


ファンクラブの奴らに優越感を感じながら改めてツバキの姿を見る。


モデル顔負けのルックスにすらっとしたスタイル。赤茶色の髪も相まってどこか気品すら感じる。

素晴らしい・・俺の貧相な語彙力関係なく、ただその一言に尽きる。


「・・本当にそう思っていますか?」


俺の回答に不満があったのかこちらに疑いの目を向けるツバキ。どうやら適当に相槌をしているように受け取られてしまったらしい。


「ほ、本当だよ。あまりに綺麗過ぎて放心しちゃって」


また誤解させないように俺は本心をそのまま伝える。


「・・そうですか」


顔を赤くしながらそっぽを向くツバキ・・カワイイなぁ!


それからもツバキのファッションショーは続く・・トレーナーやパーカー、ジャケットなどいろいろ試着していった。


そして・・


「お待たせしました」


結果、ツバキは最初に着たワンピースを購入した。


どれも似合っていたのになぜワンピースなのか本人に尋ねると・・


「あまり買い過ぎてもかさばってしまいますし、この服は咲夜さんが綺麗と褒めてくれたものなので・・」


と、恥ずかしがりながらも答えてくれた。

・・もう一度言おう。ツバキはカワイイなぁ!


ともかく。一通りの買い物は終わったので俺たちは商店街の散策を始める。


「・・・・可愛いです」

「ツバキ、顔近い、顔近いから」

ショーケースのぬいぐるみをキラッキラした目で見たり・・


「この施設は兵士の育成をしているのですね」

「いや、そんな物騒なお店じゃないから」

ゲームセンターのシューティングゲームを見て頓珍漢な発言をしたり・・


「こと座なんですが元々はヘルメスの・・」

かと思えば星座についてめちゃくちゃ詳しかったり。


「・・さ、咲夜さん?」

「大丈夫大丈夫大丈夫。俺は正常。とっても元気」

路地裏にあったバニーガールに接待してもらえるお店への興奮を必死に自生したり。


・・え?最後は俺だって?はは、ワロス。


ともかく、子供っぽくて常識足らずかと思えば変に詳しいこともあったり・・今日一日で前から感じてい

た、ツバキの知識の偏りを再確認できた。


「咲夜さん!次はあそこに行きましょう!」


・・ま、ツバキが楽しそうならいいか。


それからの俺たちはヘロヘロになるまで商店街を散策するのだった。


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