第五話 ‐颶風の剣‐
最近、柿ピーを好んで食べるようになりました。
大人になったのかな( ̄ー ̄)
さて、第五話です☆
マコトは焦っていた。
無事村長の家を見つけたまでは良かった。
が、肝心の武器の置き場所をニーナに聞き忘れていたのだ。
正面扉は施錠してあったため、申し訳ないとは思ったが、窓を壊し中へ侵入した。
一階、二階、最後に地下室を探し、ようやく武器を発見した。
祭壇というのだろうか、厳かにその剣は飾ってあった。
マコトは剣というのを初めて目にしたが、一目でその古さ、損傷具合が分かるほどであった。
「これだっ! 結構大きいんだな剣って。」
独り言を言いつつ剣に触れる。
剣身がひんやりと冷たい。
地上の方では連続した地響き、悲鳴、金属音が微かに聞こえる。
「クソッ。上は一体どうなっているんだ。急ごう。」
元の世界ではサラは、最強クラスの操作系『動静物支配』の超能力者だ。
操作系超能力は大きく二種類に分かれる。
一番良く知られているのが、『動静物支配』の方だ。
超能力者の大多数がこれに該当する。
スプーンやコップ等の静止した物、
運動中のハムスターや投げたボール等の常時あるいは一時動きがある物、
これらの浮遊、移動が主な能力だ。
サラの場合、その対象への作用が半端ではない。
その力は強大すぎて、能力計測装置を破壊したという伝説があるくらいだ。
彼女が負ける姿など想像もつかないが、ここは異世界。
魔法も存在するようだし、万一ということもある。
「僕も一応超能力者だ。
操作系では少数派の部類だし、強くはないけど、やってやる!」
そう言うとマコトは剣に触れている手に力を込める。
マコト、そして剣が徐々に青白く光始める。
「よし! 上手くいきそうだ。―――ッ!?」
呟いた直後、ビクッとする。
祭壇には他にもいくつかの道具らしき物が置いてあった。
そのうちの一つのお面が光った気がしたのだ。
「気のせい・・だよな。」
そのお面も相当古いのだろう、色あせ、所々が欠けてしまっている。
鬼か悪魔か獣か、見るものを恐怖させるその彫刻は、なんだか不気味で禍々しいものを感じる。
「っふぅ。」
気持ちを改め、剣に意識を集中させる。
段々と光が強くなってきたと思った瞬間。
剣が眩い光に包まれ部屋全体が強光で照らされる。
「ぅおッ!?」
思わず目を閉じ上半身をよじる。
数秒後、マコトは恐る恐る瞼を開けた。
「やった! 成功だッ!!」
目の前には、光り輝くロングソードがあった。
切先鋭く、見た目からして強そうだ。
柄や鍔に細かく施された彫り物や、装飾に使用されている小さな宝石を見ると、芸術品としても価値がありそうだ。
「こんな時、アリスがいればな。」
ロングソードを手に取り何度か振りながら呟く。
先ほどまであった傷や、出土品のような古めかしい様は最早なかった。
「でもなんとなく使い方は分かる。行くぞ!」
マコトは村長の家を飛び出し、村の中央広場へ急行した。
サラの安否が気がかりだった。
広場へ近づくにつれ、マコトはホッとしたような、残念と思うような複雑な気持ちになる。
まずサラは無事のようだ。
まだ表情まで読み取れる距離ではないが、全く負傷しているようには見えない。
対して兵士側は、血と肉片の海。
そして怯え切った五人の兵士を残すのみ。
「サラがピンチになるわけがなかったか。
それにしても皆殺しなんて・・。
あいかわらず悪者には容赦無いな、サラ。」
走るのをやめ、マコトは村人の方を見たり、他に兵士が隠れていないか周りを気にしながら進んだ。
「ぅう、うぉおおぉおおおおおぉおおぉおぉおおおおおッ!!!!!!!!!!」
突如、男の苦しそうな叫び声が聞こえてきた。
声の方を確認すると、兵士の一人が漆黒の恐ろしい獣、魔獣に変化しつつあった。
「な、何なんだアレは!!?」
驚愕しながらも再び走りだすマコト。
あっという間に変化を終えた兵士は魔獣として咆哮した。
同時に力いっぱい広げた両腕の動作により突風、いや、暴風が起きる。
左右にそれぞれ発生した暴風は家屋を破壊しながら進む。
内一つは村人たちの方へ向かっていた。
「まずいっ!!」
身を八つ裂きにしそうな風と、巻き込まれた家屋の残骸が村人たちを襲う。
マコトはその間に割って入り、立塞がるようにする。
そして、
「うぉおおっっらぁああああぁああああああああああ!!!!!!」
右下から左上へロングソードを振り上げる。
同時に突如突風が起き、暴風と衝突。
二つの激しい風は相殺され、消えた。
兵士たちは前方のサラに気を取られ、こちらの出来事には全く気付いていないようだった。
そして次の瞬間、魔獣が不自然に倒れ、程なくして大地にめり込んだ。
ものすごい量の土埃が舞い上がり、前がよく見えなくなった。
「サラ! サラぁあーーーっ!!」
返事はなく、なにやら話し声が聞こえる。
「たの・・・のむ! い・・・だけは・。いのち・・は!!」
土埃が消え全体が見渡せるようになると、銀髪の少女が五つの死体の前に立っていた。
マコトを見つけるとゆっくり歩いて来る。
「・・おわったよ。」
「あぁ、そうみたいだな。無事でよかった。」
一応安堵した表情でサラに近づく。
「・・サラが負けるわけないよ。・・それ何?」
「あぁこれか? 村長の家から借りてきた剣だ。」
「・・名前は?」
「アリスは今、行方不明だからな。」
「・・そうだった。じゃあ分からないね。」
「颶風の剣じゃよ。」
「「ッえ?」」
突如、第三者の声の出現に二人が驚く。
一人の老人が優しい目でこちらを見ていた。
左頬の内出血の痕が痛そうだ。
「ぐふうの剣?」
「そうじゃ。
・・お主らに折り入って頼みがある。
その強大な力を使い、一緒にこの国を正してはくれないじゃろうか?」
驚きながら二人は老人と目を合わせる。
「国だなんてそんな急には・・それはつまり、具体的に何をするんですか?」
マコトが問いかける。
老人は目を見開き、堂々と宣誓するように声を大きくする。
「我が軍の一員となり、この国を救ってほしい!
我ら最後の希望、革命軍として!!」
0時過ぎに食すカップ麺は格別ですな☆
目がしょぼしょぼする。
おやすみなさいー☆