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第二話 ‐この世界の暗い現実‐

一日で初の連続投稿ー☆っと思ったら日が変わってますね。。。


第二話です。楽しんで頂けたらうれしいです(^^)/

「お父さんッ! お父さん!ッ」

「・・大丈夫。

 気を失っているだけ。」


つい二時間前とは役割が逆転した。

ニーナを安心させる為、その震える白い肌の肩に手を置き、努めて落ち着いた声で話すサラ。


すぐさまマコトは右手の指輪を外し、ニーナの父の小指に嵌める。

指輪が白く淡く光りだし、治癒を開始したことを示す。

途端にマコトの体が重くなり、体の複数個所が軽く痛みだす。


「マコトさんっ!?」

「僕は大丈夫です。普通に動けます。

 まだちょっと痛いですけどね。」


マコトは笑顔をニーナに向ける。

そして、下手に矢を抜くと出血が酷くなるから、このままヒールリングである程度回復してから処置しようと話した。


「それより“奴ら”って一体? 

 あの広場の騒ぎはどういうことですか?」


質問しながらマコトは、遠くの光景に目を凝らす。

馬に乗った西洋の甲冑姿の兵士らしき多数の人影が、村人たちを広場の中央に集めているようだ。

遠目からでも村人たちが酷く怯えているのが分かる。


「遠国からの旅人のマコトさん達はご存じないのですね。

 おそらく父が言っていた“奴ら”というのは、 『調査兵団』のことだと思います。

 でもまさか、こんな辺境の小さな村にまで来るなんて。」

「・・調査兵団?」


続きを話すよう促すサラ。


「はい。

ここ数年、この王国の強硬な政策に不満を持つ街、村が増えているのです。

 絶対的階級制度による貧富の差、

 高い税金、

 未開の地開拓の過酷な強制労働、

 毎年一定数の若い男の徴兵、

 全ての揉め事を武力で解決する姿勢。」

「なんか、大変な世界だな。」


マコトは真剣に聞きながらも他人事のように呟いてしまった。

そうですね、と、ニーナが返答しつつ、彼女の話は続く。


「そんな王国のやり方に我慢が出来なくなった人たちが軍と武力衝突したのです。

 一度や二度ではありません。

 年々規模が拡大し双方の被害も大きくなっていったのです。

 事態を重く見た王国軍は国に敵対する反乱分子を探し出し、捕らえる為に調査兵団を多数結成し、各地の町、村に派遣していると父から聞いたことがあります。」


扉の隙間から広場の様子を伺いながら少しずつ落ち着きを取り戻すニーナ。

二人も隙間から広場を覗く。

男、女、そして子供も皆集められているようだ。


「本物の革命軍の一員が捉えられてしまうことは勿論あります。

 ただ、その他に、反乱分子を探し出すという大義名分の元、家々を回り貴重な品物を調査と称して取り上げたり、無関係な市民に疑いをかけ見せしめとして殺したりと、やりたい放題だそうです。

 父が憤りながら先日話していました。」

「・・お父さん、いろいろ詳しいのね。」


頭と肩からの出血が完全に止まったニーナの父を見ながらサラが呟く。


「ええ。

 父はその反乱分子。革命軍の一員ですから。

 私も微力ながら時々そのお手伝いをしています。」

「「――――っ!!?」」


二人は驚愕した。

こんなに優しい彼女でさえ反乱、いや、革命軍に参加しているなんて、と。


「すみません。

 あなた方二人には関係のない国の話でしたね。

 さぁ、兵士たちが来る前に、逃げて下さい。

 今なら裏口から気づかれずに東の森へ行けるはずです。さぁ! 早く!!」


ニーナが奥の部屋にある裏口へ行くよう語気を強める。


「・・ちょっと行ってくる。」


そう言うとサラは裏ではなく表の玄関から外に出た。


「サラさんっ!? 何をしているのです!? 

 危険です。見つかったら何をされるか分かりません!!」


サラは変わらず無表情で、しかし氷のような凍てつく瞳で遠くの兵士たちを睨み付けた。

二時間程前の、オドオドしていた面影はなく、何かスイッチが切り替わったかのような、そんな雰囲気を醸し出している。

サラは遠い正面の広場を見据えながら答える。


「・・ちゃんと感謝と謝罪が出来ない人はキライ。

 言葉だけじゃ足りない、サラは行動で示す。」


そう言うとサラはスタスタと歩き始めてしまった。

マコトが後ろから焦って叫ぶ。


「ま、待ってくれ! サラッ! 僕も行くッ!!」

「・・マコトはニーナさんと一緒に居てあげて。

 それに、ハッキリ言うけど、“武器”を持っていないBランクのあなたじゃ、足手まといなだけ。」


クソッ! っと俯きながら悔しそうに言葉を吐き捨てる。

しかし納得するマコトだった。

あっという間にサラは中央の広場のほうへ向かい、どんどん小さくなってしまう。

ただじっとしていることが、耐えられないマコトはニーナに問いかける。


「ニーナさん! 何か武器はありませんか?」

「ぶ、武器ですか!?」

「革命軍の一員ってことは、この家のどこかに、護身用携帯超電磁砲・・じゃなくて! 剣とか槍とか、とにかく武器と呼べるものがあるでしょう?」


ニーナに顔を近づけ必死に訴えるマコト。


「いえ、すみません。

 革命軍であることを悟られないように武器は置いていないのです。

 誰がいつ敵になるのか分からないので用心しているのです。

 密告者にはそれなりの報酬も出ますし。

 武器は遠くの秘密の会合所まで行けばありますが、ここから馬でも三時間はかかります。」


クソッ! と再度汚い言葉を吐くマコト。

すると、「あっ」と思い出した表情をしたニーナがマコトにグッと顔を近づける。


「マコトさんっ! あの、武器と呼べるか分かりませんが、剣がこの村にありました! 一つだけ。」


お互いの顔の距離が十センチ程になった為、慌てて顔を離すマコト。


「つ、剣なら完全に武器じゃないですか! よし! これで戦えるぞ。

 それで、その剣はどこにあるんですか。」


しかし、少し曇った顔をしながらニーナが話を続ける。


「この家から三つ隣の、村一大きな村長の家に飾られています。

 ですが、その剣は、何と言うか、お祭りのときに使用する為の物なのです。

 百数十年前は実際に剣として使われていたそうですが、それ以降は、悪を倒した象徴としての演武に利用されるぐらいで、戦うための手入れもされていない、古い物なのです。」

「百年以上前の剣ッ!!?」


マコトは顔を輝かせた。

それを見てニーナは訳が分からず驚いた表情を浮かべる。


「そんなに古いなんて、ますます好条件です! 

 見ていて下さい! その調査兵団とやらをぶっ飛ばしてきますからッ!!」


マコトはそう叫ぶと村長の家に全速力で駆け出してしまった。

呆然とその後姿をニーナは見送った。

そして中央の広場に視線を戻すと、何やら一層ざわついている人々の姿が見えた。


円形に集められた八十人程の村人の集団を背に、五十人近い兵士たちが二列に整列していた。

そして、その眼前には、銀髪の少女が立っていた。

お読み頂きありがとうございます。

誤字脱字が怖いですね。辞書ひきまくりです。


では、コタツでホットミルクを飲みながら、精神を安定させて眠るとします☆

おやすみなさいー。

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