第一話 ‐異なる世界との出会い‐
急に寒くなって肌乾燥がヤバいですね。
さて、なんとかもう一話、書いてみます。がんばるぞー☆
―――三時間前―――
「お兄さんの傷、だいぶ小さくなってきましたね。」
「・・ホントだ。」
「丁度、新品のヒールリングがあって良かったです。」
「・・良かった。」
白く、美しい肌をした女性が少女を安心させようと優しく微笑む。
木製の椅子に腰かけた二人の目の前に、若い男がベッドで気持ちよさそうに眠っている。
家屋全体が木で造られており、木漏れ日を受け自然と調和している。
「・・あの。」
「ん?」
「・・助けて頂いて、ありがとうございます。本当に。
それに、この、ひーるりんぐ。
おにーちゃんのために。すみません。」
オドオドした様子で、無表情ながら何度も謝罪と感謝の言葉を口にする少女。
頭を下げる度に美しく、さらさらの銀髪が前後に揺れる。
「そんなに気にしないで大丈夫ですよ。
昨日も申し上げたように、あまり高価な物ではないですから。
・・それにしても二日前、血だらけのあなたのお兄さんを最初見つけた時は本当にビックリしました。
ここは小さな村ですから、治癒魔法を使える者もおりませんし。」
白い肌の女性の声色は常に優しく、室内がぽかぽか暖かくなっていくようだった。
続けて少女に話しかける。
「でも見た目より傷が深くなくて幸いでした。
でも、まさか落雷に直撃されるなんて、旅の途中、酷い災難でしたね。」
――コクリ。
少女が頷く。と、その時。
「―――ん、んぅんん。」
「・・―――ッ!?」
「―――ん――こ、ここは、いったい、僕は何を。」
マコトが目を覚ました。
寝ぼけ眼で、辺りをキョロキョロと見回す。
最初に優しい瞳をした、白い肌の女性と目が合った。
すると女性は隣の少女に良かったですね、と言い、薬草入りの温かい飲み物を淹れてきます、と部屋を出て行った。
後姿のスラッと伸びた脚に一時目線を奪われていたマコトは、女性が居なくなったことで、左手前に焦点を合わせる。
「―――サラ!?」
マコトは銀髪の少女の名前を呼んだ。
「サラ! 無事だったか!
ここは一体!? 他の皆はどこにいるんだっ!?
今いた女性は!?」
興奮気味に質問を連発するマコト。
シッ!と人差し指を唇の前に突き立てるサラ。
「・・落ち着いてマコト。
さっきの人は私たちを助けてくれたの。」
「助けてくれた!? 」
「・・マコトは丸二日間眠っていたの。」
それから小声で、マコトが落雷を受けて大ケガをし、気を失ったこと。
先ほどの女性が介抱し、ヒールリングで大きな傷を癒してくれたこと。
マコトとサラが兄と妹であることを説明した。
「えーっと、
さっきのキレイな女性が助けてくれたって所はホントだよね、きっと。
でも、それ以外は嘘・・だよね?」
「・・ヒールリングの話もホントだよ。
確かに落雷と兄妹は嘘だけど。
説明するの大変そうだから省いた。」
落ち着いた声で淡々と語るサラ。
マコトは溜息をつきながら、小さな子供を諭すように返答する。
「それは省いた、じゃなくて創作した、って言うんだよ。はぁ。
でもヒールリングの話は本当なの?
即効性は無いけど七十二時間、
装着者のあらゆる傷を治癒し続けるっていうのは?」
「・・うん。本当。
実際にありえないスピードでマコトのケガ、治ってるよ。」
小さな青い宝石が施された指輪が、右手に嵌められている。
その指輪が白く、淡く光り続けており体中、特に負傷している個所がじんわりと暖かい。
どの程度のケガをしていたのかを知らないマコトは今一つ実感出来ない。
が、無表情、いや、真剣な顔をしてサラが言うのだから本当なのだろう、と考える。
「ってことはサラ。
ここは二十年前の過去ではないってことだよね。」
「・・うん。明らかに違う。
異なる世界、だと思う。」
「何てことだ!信じられない!!
・・他の皆は行方不明か。」
「・・うん。」
――――カチャッ
ドアが開き、
白くキレイな肌をした女性が戻ってきた。
「すみません。遅くなってしまって。
そして初めまして、マコトさん。これをどうぞ。」
そう言いながら木製のトレーに載った、三つの容器のうち一つを手渡す。
続いてサラ、女性の順で取った。
緑色の液体でグリーンティーを連想させる。
「私たちの村の薬草は特別なんですよ。
通常の薬草の二倍の効果があると言われています。
五臓六腑に染み渡りますよ。」
明るく微笑しながら二人に少し得意げに話す女性。
それから三人は暫し談笑しながら、薬草入りの液体を飲み干した。
「昼食の準備をしてきますね。
後三〇分もすれば父も一度帰ってくる頃だと思います。」
厨房に行く女性。
再び二人きりになった。
「そういえばサラ。」
「・・何?」
「どうして僕だけ負傷したんだろう?」
「・・それはあなたがBランクだから。」
なるほど、と言いつつ大きくうな垂れるマコト。
「とにかく、元の世界に戻らなきゃ。
これからどうする? サラ?」
「・・今は、マコトのケガを完治させることが第一。
ここには後、数日居て良いことになってる。」
「そうか、分かった。」
二人が今後の具体的な方針について話し合おうとした。
その時。
――――バタンッ―――ドサッ――――
大きな音がした。
最初の音はおそらく玄関のドアが開いた音。
もう一つの音は、何か大きなものが落ちたように聞こえた。
何事だろうとベッドを降り、音のした方向へ二人は歩き出した。
ドアを開けて居間、厨房、そして玄関に向かおうとした。
次の瞬間、女性の悲鳴が家屋全体に響いた。
急いで叫び声がした玄関に行くと、
頭から血を流した筋肉隆々の男性が仰向けに倒れていた。
肩には一本の矢が刺さっており、息が荒く、今にも気を失いそうな様子だ。
「はぁ、はぁ。おや、マコトさん、でしたね。
はぁ、はぁ。気が付いたんですね。良かった。はぁはぁ。」
「お父さんっ! 大丈夫!?
何があったの!!?」
「三人とも、今すぐこの村を離れなさい。
はぁはぁ。奴らが来た。はぁはぁ。」
そう告げると、男性は気を失ってしまった。
奴らと聞いて、ニーナの顔が恐怖で引きつる。
玄関扉の外に見える光景には、いつもの平和な村の姿はなく、
中央の広場が騒然となっていた。
あー、やっぱり書くのってむずかしーですね。
でも楽しいです☆定期的に投稿したいですね♪