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ファミリートリップ  作者: きたくま
始まりの平原から
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005 対策と襲撃

「ちょっとこれを見てくれ」

「ん?どうしたん?」

 いやそうじゃないだろとかぶつぶつくそ親父が言っているが、そこは相手にしないで指差した先を見ると、ガソリンメーターを見てほしいようだ。

 猫族のウゲ集落を出てから、家に向けて車を走らせている途中のことだったが、こんな橋の上で片手運転はやめてほしい。だが、メーターがフルになっている以外なにも異常はなさそうだが。なんか親父を見るとにやにやしているから意味があるんだろう。


「実はな、給料日前でガソリンいれてなかったんだよね。もうからっぽ直前だった。」

 ん?どこかで入れてたんじゃないの?的な視線を向けていたら、親父が口から泡を吹きそうな勢いで吠えてきた。

「あのな、ガソリンが空だったんだよ?それがフルになってるんだよ?わからん?」

 ああ、わかった。てか、なにそれ?え?だれに入れてもらったんだ?じゃなくてなんでフルになってるんだ?

「どういうことかはわからんが、ノアのガソリンが減るどころか増えてるんだよ。この世界に送ったのがどこの誰かはわからんけど、どうやら気が利いているらしいぞ。」

 後ろで、ママと美月が旅行いけるね~とか言ってるが頭になんか湧いてるんじゃないか?いや、いいのか・・・こんな不思議な現象を流していいのかはわからないけどね。


 家につくと、さっそく美月がルナとゼウスに話しかけていたけど、なんか猫たちは逃げまわってる。あの能力は猫族には効いたが、猫には効かなかったらしい。今日も美月は猫に嫌われているようでなによりだ。


 早速家の中を探索して、人族の町へ行くために必要そうなものをリストアップしていく。物々交換によさげなものを探すのだ。

「やっぱりライターは高く売れるんじゃないか?猫族のみんなは飛び上がって喜んでいたし、長耳族以外は魔法が得意じゃなさそうだしな。」

「それもいいけど、この皿とかどう?ピザ屋さんのグラタン皿だけど、真っ白で貴重かも!それからいっぱいあるジプロックとか、ナイロン袋とかご贈答にいっぱいもらった石鹸もあるわよ。」

「ぬいぐるみとか小さくなった服とかいっぱいあるよ。あとりかちゃん人形もね。」

「俺のはあまりないなあ。せいぜい教科書とかノートとかかなあ。あと筆記用具。」

 ちっ、なんで俺だけ殴るんだ親父。もういらないじゃん!

「そこのあほ高校生。おまえの発言は却下だ。とりあえず、ママと美月のものを持って町を目指すことにしよう。」


 電気がないのでろうそくに火をつけ、リビングで話し合う。だけど夜8時くらいでもうやることがなくなってしまった。テレビや携帯がないと、こんなに時間があまるなんて、考えもしなかったな。

「親父、武器とかどうする?猫族の人は弓を持っていたようだけど、俺たちは準備しなくていいのかな?」

「それも考えたんだけどなあ。猫族の話じゃ人の町もそんな危険じゃなさそうだし、普通にいけそうだけどな。人の町に店とかあったら、そこで手にいれてみようかと考えているよ。てか、武器が必要な世界なんかなあ。ちょっと待てよ・・・あー、なんか近づいてきてるわ。1kmくらい向こうだけど、大きい何かが動いてやがる。ちなみに雰囲気は真っ赤だな。」


 親父の発言にみんな動きが止まる。てか何言ってんだ?大きい何か?真っ赤?なにそれ?


「ちょっとベランダから見てみよう。美月の部屋からなら見られそうだ。こっちに歩いているけど、ゆっくりと移動しているな。」

 大きい何かも気になるが、親父どうしたんだ?なんでそんなレーダーが備わった?

 美月の部屋にみんなで詰め掛け、ベランダをあけて南を眺めてみる。

 うちから南のほうにはちょっとした上りになっているのでそんなには見通せないが、それでも600mくらいは見えるはずだ。そんな坂道の上に、なにかが姿を現した。


 大きいといってもこれくらい離れていると、そんな脅威でもなさそうだ。双眼鏡をのぞいてみると、四足歩行している熊のようなシルエットが見えた。

「なあ親父、あれ熊じゃね?てかよく見るとでけえな。なんか肩のところからなんか生えてるぞ?」

 生えてるのは鋭角なものじゃなくなんだろ・・・?トリケラトプス・・・?恐竜?

「うわ、あれ恐竜じゃないか?熊じゃないぞ?首の周りに襟巻きみたいな鎧みたいなのがついてるわ。てか、こっちにきてるぞあれ!うわ、頭から角生えてるぞ!」

 俺が叫ぶとなんか親父が駆け下りて行ったが、なにすんだろ?まさかねえ?


 足音は聞こえないが、体が動かされるような振動がくる。トラックが近くを通るときのような地面が浮き沈みしているような感じがする。


 そのときベランダの下にある玄関から、親父が出てきた。

「ちょ!なにしてんだ親父!あぶねえって!出るんじゃねえよ!」

 てか、なにか持ってる。あれは・・・灯油タンク?バケツに灯油移してんのか?あ、なにしようとしているかわかちゃった。片手にはタオルを巻いた急造の松明みたいなものを持っている。どうやってあの化け物に灯油かける気なんだろう?てか火事になるだろうが!


 親父はバケツにロープをかけると、振り回し始めた。


「ねえ大知、なんであのバケツから水がこぼれないの?」

 いやあれ水じゃないよ美月ちゃん。灯油だよ?しかも結構いい勢いでまわしてるけど目がまわらんのかね?

 恐竜が親父に気づいたのか、明らかに速度をあげてこっちに向かってきている。てか、そこは塀があるからぶつかんないほうがいいと思うがまあいいか。うちの塀は結構厚みあるけど耐えられるかな。


 30mくらいまで恐竜がきたときに、親父がバケツを放り投げた。てかなんだあの速度、プロのピッチャーくらいの速度は出てるぞ?

 バケツは狙い通りなのか、恐竜の頭に一直線だ。近くに来てから気づいたが、恐竜みたいだけど、長くごわごわした毛に覆われているようだ。やっぱ熊なのかな。


 バケツは狙い通り奴の角にぶちあたった。その瞬間バケツはこなごなに砕け散り、中の灯油が肩までを覆った。すかさず親父は松明に火をつけ奴に向けてオーバースローで投げつけた。その瞬間、腹の底をひっくり返されそうな叫び声を上げた奴は、そこで暴れまわり始めた。体の火は燃え広がらずに消えてきていたが、灯油をもろに浴びた頭部は激しく燃え上がっている。


 窒息死・・・・火のせいで呼吸ができないらしく、激しく前足で土を掘り返していた奴は、痙攣しはじめて2分後くらいにはまったく動かなくなってしまった。いまはまだ頭が燃えているようだが、もう動くことはないだろう。

 親父は実にいい笑顔でこちらにVサインを出していた。



頑張って投稿します。よろしくお願いします。

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