049 エルフの役割
13話目でとんでもない間違いを見つけていただきましたので、すぐさま修正させていただきました。
やはり思いつきで書いてはいけませんね。
反省です。
朝から12分の1ガンダムを量産するぞ!とか張り切る親父を置いて、俺達はカールクラムさんにギフトの話をしてもらっている。
「この世界に存在する人間やエルフ、ドワーフや獣人や小人は、生まれ出た瞬間になんらかの能力を授かっています。獣人族に多いのは身体強化、ドワーフに多いのは鍛冶短縮、エルフは精霊魔法と精神会話、人間は色々な能力をもらいますが劣化していますね。こちらの小人さんたちは魅了ですね。」
「ちょっと待ってください、今精神会話って言いました?どんなものですかそれは?」
「簡単に言うと、離れた場所でも連絡を取り合うことが可能です。私達エルフのうち、この森を離れている何人かは精神通話を使い連絡を取り合うことができるのです。」
おお!電話だな!
「ここを離れたエルフは多いのですか?」
「結構いますよ。あなた方のことは、ロッカでもデンジーレでも、ドワーフの郷でも騒ぎになっているようです。昨夜何人かのエルフが教えてくれました。」
「ということは、魔族やこれから向かおうとしているコウリナの町の情報もありますか?」
「ええ、今の話題は魔族のことが中心ですね。コウリナの町は残念ながら今はもうありません。」
え?
ない?
「コウリナの町は魔界への扉があるというダンジョンがありました。そのダンジョンがつい2週間ほど前に黒い瘴気を吐き出し始め、そこから5人の魔族が飛び出してきたそうです。」
ああ、エザキエルを思い出したぞ。
たしか・・・
「私達はその魔族に何度か遭遇し撃退しています。」
あ、カールクラムさんの顔が引き攣った。
「しかも、俺と親父はその5人の頭領と話もしてるんですよ。5人しか出てこなかったのは、魔界とこちらの他に、俺達の世界とつながったかららしいんです。」
「あなたたちは別の世界からきたということですね?勇者様もそういう境遇だったはずですよ。」
おお!それだ!
「その話を聞きたかったんです。私達はできることなら元の世界へと帰りたいと考えています。」
「勇者さまは魔神の侵攻を防いだ後に、忽然と姿を消しました。私達はそれが元の世界へ帰ったという事ではないかと考えていました。しかし、それがどのようにして帰ったのかということは残念ながらわかりません。」
ああ、手掛かりはないのだろうか。
「あちらの木に、勇者様が使っていた飛行機と、勇者様が書いたという本があります。」
本!?本だと!?
帰るヒントは載っていないのだろうか。是非拝見させて欲しいとお願いすると、すぐに了承をもらうことができた。
「どれどれ・・・あら読めないわこれ。」
「やはり読めませんか。この世界の言語ではないので、どうやればいいか検討もつかなかったのですが、残念です。」
「いや、そういうんじゃないんだ。ママなら読めるでしょ。よろしく!」
「読むのめんどくさいし・・・てこれ、スペイン語じゃない!?」
そうなのだ。日本語かと思ったらスペイン語の日記という救いのあるものだったのだ。
「あら、この人メキシコ人だわ。ホアン・オスカル・ドミンゲス・モラーレスって人よ。」
長い名前だなおい。
「今日から日記をつける。私はホアン、メキシコ人だ。・・・」
「日記14日目。森で出会った少女が神の神託を受け、光の魔法を覚えた。元から弓が上手だったが、あれは規模が違う。もう、木の枝を削る作業から解放されるんだ。なんてすばらしい!・・・」
「日記20日目。ドワーフ王からバンバンドという大剣をいただく。だれも扱えないから持って行ってくれと言われた。どうせくれるならいらないことは言わないでくれ。」
「日記30日目。ドリエス国の王から、魔界決死隊参加の命令を受ける。メキシコに帰る手掛かりはあるのだろうか。この小人達が素晴らしい力を与えてくれるのだ。決して失敗などしないだろう。」
「日記50日目。魔界の核を破壊した。魔神は力を失い、地上への侵攻は断念せざるを得ないだろう。俺とドワーフのガルンゾ、エルフのライクシール、巫女のメイレン、王国魔法使いのカリオロスの5人に、小人達が生き残った。一緒に来た兵士達は残念だが、よくやってくれた。さて、魔力が回復したら地上へ帰ろう。」
「日記52日目。生還を果たした。エルフの精神通話により、各地の魔族を討伐成功していると連絡あり。冒険者ギルドを提案したかいがあったというものだ。しかし、魔力の集中している場所があるとの話がある。調べておかないと。」
「日記55日目。魔力溜まりの場所を特定した。いや、戻ったということか。私の転移してきた場所だったのだ。なにかあるのかもしれない。とりあえず準備をしてからあの魔力へと飛び込んでみよう。」
そこでこの日記は終わっていたそうだ。
魔力溜まり・・・その言葉が全員の心に染み渡った。
「エルフのライフシールさんは、今は?」
「さすがに今は転生しているはずです。エルフは木か精霊へと生まれ変わりますから、昔の記憶はかなり薄れてしまうので、助けにはならないでしょう。」
ん~。残念。
「ところでエルフのみなさんが中心になって、魔神対策などできないのでしょうか?」
「今そのことについて、エルフ族は話し合いをしています。本当に魔神は復活するのか。そしてあの塔にはなんの役割があるのか。各国には一昨日警戒をお願いしたところです。」
すでに対策は取り始めているのだ。
よし、とりあえず家族会議をすることにしたほうがよさそうだ。
「おーい!みんなきてくれ!」
親父が非常にいい笑顔で俺達を呼ぶ。
親父が作業していた場所に行ってみると・・・
そこにはホワイトベー○が鎮座していた。
「ちゃんと格納庫が開いて、中からガン○ムとキャノン、タンクが・・・」
女連中は回れ右してしまった。
親父。実用的な使い方をしなさいよ。
まあ、俺も付き合ってホワイ○ベースを浮かしてやったら、親父は涙を流して敬礼していたよ。
「こいつらは、ここの郷の観光ポイントとして飾っておいてやろう。」
いや、いらないと思うぞ。
「魔力が切れてもこいつらは崩れ落ちないのかい?」
「こいつらはセラミックに変えといた。風化もしないと思うぞ。」
「セラミック!?そんなこともできるようになったのかよ!」
いいから親指立てるな。
「今夜はちょっといいものを作るぞ。ママとルミナにも手伝ってもらおう。」
親父はブーモを呼んで、なにかぶつぶつ言い聞かせている。
ブモオオオオ!
ブーモが気合を入れて、長方形の・・・プール?みたいなものを作り始めた。
もしかしてこれ!
風呂か!?
ブーモが作り出したのはどう見ても浴槽のような2m×4mほどの土の壁だった。
「大知、下に排水孔を作ってくれ。」
「こんな感じ?」
「おお、それでいいぞ。排水孔に合う栓もそこらの木で作ってみてくれ。」
親父が浴槽の中を綺麗にし、硬化の魔法をかけると立派な浴槽ができあがった。
「よし、ブーモ、周囲に壁を作ってくれ。こんな感じだぞ。」
2mほどの壁をぐるっとまわりに立ち上げ、入り口はドアをつくるのがめんどくさいので、衝立を追加し、中が見えないようにする。
「ママー、ルミナ、ちょっときてくれるか?」
「わ、なにを作ったの?」
「中を見てくれ!結構いいものだぞ!」
中を見たママが歓声を上げた。
「キャーお風呂!さすがパパだわ!」
だから息子の前でハグしてチューすんのはやめてくれ。
ルミナもうらやましそうにしない!
いや、したいけどさ、俺も・・・
「ダイチ、あれうらやましいです。」
「ちょっとだけだよ?」
5分後、親父とママが再起動したところで、お湯張りに挑戦することにした。
「ルミナ、はじめるからちょっとそいつから離れて手伝ってくれ。」
邪魔すんな。今俺は幸せ中なんだから。
ママが水を浴槽に満たすと、ルミナは火の矢を浴槽の水の中にどんどん作り出す。
「あ~、火を入れすぎだね。ママもうちょい水の温度をさげてくれ。」
凍った。
「しょうがないじゃない!初めてなんだから!」
いや、切れなくていいから、ルミナがもう一回やるからさ。
「お!今度はなかなかうまくいったんじゃないのか?」
手を入れてみると、ちょっと熱いが気持ちのいいお湯だ。
「これなら準備しているとちょうどいいな。よし、女子から入浴タイムだ!」
美月も呼んで、3人にお風呂を試してもらう。
「パパー、シャワーは?」
「あるかそんなもん。そうだ、桶を作ってないな。」
親父は即席の取っ手つきの桶と洗面器を作り出す。
「きゃ、美月ちゃんだめよ!」
「だって、ルミちゃんのすごいよ。大きいのにツンって!」
「ママだって若い頃は負けていなかったのよ。」
あ、静かになった。
「親父どこへ行く。」
親父の襟首を掴んで、風呂へ行こうとしていた覗き犯を逮捕する。
「なにかまた作られたんですか?」
「あ、リアコールさんいいところへ。これをその中に持って入ってくれませんか?お風呂というものを親父が作ってくれたんです。よろしければ後で入ってみてください。」
「お風呂ですか?じゃあ、ちょっと見てきますね。」
この世界にはシャワーはあったが、お風呂はなかったのだ。
どんな反応を示すか楽しみだね。
「あ、リアコールさんもはいって~!」
「わあ、気持ちよさそうですね!ちょっと準備してきますね。」
ママの声が聞こえるが、防音に問題があるなあ。そういえば、屋根がついていないんだっけ。
「親父、屋根どうする?」
「セラミックでつくってかぶせるよ。しかし、一緒に入りたいなあ。」
まあ、確かに汗まみれになって、ガ○ダム作ってたもんな。
「ママといつから風呂に入ってないんだろ・・・」
あ、そっちね。
「日本に帰ったらいくらでも入りやがれ。」
「帰ることができたらな。そういえばルミナは学校に行けるのかな。」
「わかんないね。日本にも冒険者ギルドがあればいいのに。」
「日本は便利だけど、パパはこの世界のほうが好きかもしれん。」
「あー・・・。まあね。でも俺はまだ日本が恋しいよ。」
「そうだな。ばあちゃんにも元気な顔を見せないとな!」
「そうだよ!てか親父行くな。」
こそこそ風呂に近づこうとする親父を止め、風呂の入り口にヒポポを扉代わりに置いておく。
「ママ!なんか必要なものは?」
「大丈夫!ダイチも入る?」
「ちょっとお母さん!?あ、でも・・・」
「でも?まあ、冗談よ~。」
キャッキャウフフと騒々しいが、楽しそうでなにより。
でもいつかはルミナと一緒に入れればいいな・・・。
「大知、鼻血・・・」
「・・・!」
ノアにティッシュを取りに行くと、ブーモが鼻で笑いやがった。
確かに溜まってんだよ!こっちは高校生なんだよ!
早く日本に帰らないと大変なことになりそうだ・・・
エルフだけでも、お風呂の用意はできそうですね。
よろしければ評価をお願い致します。




