025 初めてのボス戦
投稿してから高機能執筆フォームを使って修正しているので、更新後3分待ってから見たほうが実は見やすいのです。
敵意のない魔物というよりは、ただの骨が転がっているだけだったのだが、5mくらいまで近づいた途端に散乱していた骨が逆再生を見るような形でスケルトンへと変化する。
そして親父が上からぶっ叩くと、そのままただの骨になって転がってしまった。
「おとなしく寝てればいいのに…」
まあ、水色をした魔玉が転がっているので、さくっと回収してみた。
「ルミナ、この魔玉ってなんの効果があるかわかる?」
「たしかある程度の量の水が出るはずですよ。こちらにはお母様がいらっしゃるので、売り物にしたほうがよいかもしれません。」
明りの次は水か。なんか魔玉って生活に便利な機能があるよね。
はぐれることはないだろうが、とりあえずみんな明りの魔玉と水の魔玉は持っておくことにした。
しばらくスケルトンを掃除しながら5階、6階も攻略していくと、7階への階段があった。
「なんかくさい…」
7階からはなんとなく腐った匂いがあがってきており、吐き気がしてくる。
「大知、これパパは無理だわ。どうにかルミナとお前の火炎放射機で進めないかな。」
親父はかなり匂いに敏感で、会社やバスなんかでも苦労して我慢していたからなあ。
「わかった。ルミナ、ちょいと火の矢を作ってみてくれる?そのあと俺のトルネードで前方に広げてみるよ。」
「わかりました。でも長い時間は無理ですよ?」
あ、そういえば精霊の強さによって、持続時間とかかわるのかな?
まあ、親父がかわいそうなので、とりあえず階下に向けて風を流すようにしているけど、いつまででもできそうだ。
ママに階下を照らしてもらって、ルミナと俺が並んで降りていく。
階段下に降りる前に、明りの魔玉を20mくらいのところまで投げて、安全を確認すると、腐った死体が4体まとめてこちらに向けて歩いてくる。うん、ゾンビだな。
「きゃーきゃーきゃー」
とか悲鳴を上げて俺にルミナが抱きついてくるが、悲鳴が棒読みなのが悲しい。
まあ俺の右腕にぽわんぽわんとしたものが当たるのがもうどうしようもなく嬉しいのだが、さくっと片付けた方が良さそうだ。
ダンジョンの中なので、今はポニーテールにしたルミナがまじめな顔でゾンビに向かい右手を上げる。
「ファイアーアロー!」
手のひらに現れた火の矢に、風を纏わせる。
前回はトルネードでやったが、それだと威力がありすぎたので、今回はつむじ風をイメージしてみる。
どう考えても、飛んで火にいるなんとかみたいな感じだが、ゾンビは火の中にそのまま突っ込んできた。
全部火の中で悶えているが即死までの効果はないようだ。
「トルネード!」
火は洞窟の壁を灰に変えそうな勢いで燃え上がり、青い魔玉が手に入った。
それからは、スケルトンとゾンビの混成部隊が絶え間なく現れるようになったが、俺が風を送り匂いがこないようにして、ママが凍らせ、親父が壊すといった連携でどんどん進めるようになった。
なんか美月はブーモの上で寝てるぞ…。
しかし、俺が起こした風に乗った臭い匂いはどこへ向かうんだろう?
順調に10階に到着したが、ここへはボスが出るはずだ。
大体ボスを倒すことでなにかレアっぽいものを手に入れられるようだが、なんかいいものでもあるのかな。
10階からはゾンビマジシャンとでも言えばいいのか、杖をついたよぼよぼのじいさんみたいなゾンビが出てきて、こちらに向けて水の塊を飛ばしてくる。
ゾンビでも精霊から力を借りられるのだろうか?
まあ、ママが水を氷に変えて打ち返していたけど。
10階層の真ん中あたりに、かなり大きな部屋を発見した。
マグライトの光も部屋の端へはあまり届かないのだが、親父がみんなに声をかける。
「右前方に真っ赤な怪物発見。みんな攻撃準備。現れたら一気に行こう。」
まずは明りの魔玉を相手がいる方向に5個ほど投げる。
なんかゾンビマジシャンがぞろぞろいるんだけど、中央に鎧と大剣を引きずる将軍ゾンビって風貌の怪物が表れた。
その姿が見えた瞬間にママとルミナと俺の魔法が発動する。
「ちょっと待てえええ!みんなすぐにブーモの後ろへ!ブーモは土壁作れ!」
あら、親父に掴まれて、ブーモの後ろにルミナと一緒に飛ばされる。ママもすぐに飛んできたが…
ブーモがおとなしく土壁を盛り上がらせた瞬間に、どっかあああああん!という音と振動に体が上下に揺さぶられた。
なんだ?爆弾でも相手は持っていたのか?
てか親父はどうした?土壁のこちらにいない?
「ミ・アモール!」
ママがすぐに土壁の向こうへと飛び出していく。
俺も続いてそっちへと行くと、左腕と左足が吹っ飛ばされた親父が転がっていた。
ママは崩れ落ちそうな顔をしながら親父の頭を抱える。
親父の顔の埃を払いながら、起きて、起きてとずっと呼びかけている。
「お兄ちゃん!パパは!?」
「こっちくんな!いいからそこに隠れてろ!」
美月には見せられないだろ、てか親父、起きやがれ。
「うっわ、いてえってこれ!」
あ、起きた。
「アモール!大丈夫?なにすればいい?どうするの?」
ママはどうにかしてパパを助けたいようだが…
その必要もなさそうだ。
だって、肉が盛り上がって、手と足が生えてきたんだもん。
「お、新しい体ゲット!」
ママが親父に抱きついてわんわん泣いている。
「ルミナ、美月、もう大丈夫だよ~。出ておいで。」
親父が言うには、高温の炎と氷の矢が大量に敵に向かったため、すぐに水蒸気爆発するだろうって気付いたそうだ。
もうお終いかな~って思ったそうだが、この通り、超復活しやがった。
まさか、親父の能力は身体再生かなんかだったのかな。
あれだ、ウルヴァリンだね!治癒加速ってやつだ。
しっかりダンジョンの魔玉から力を得ていたらしい。
親父に魔法の使い方に気をつけろと注意されながらも、ジェネラルのいた場所に行くと、結構綺麗なルビーのような魔玉と、大剣が落ちていた。また、マジシャンが落としたっぽい、杖もあった。
「お、やっと殴れる武器が手に入ったな。刃こぼれもあまりないし、これで敵を倒しやすくなったわ。杖はルミナが持っておきなさい。」
ルミナは杖を持つと、魔力を流してみたようだ。
「わ、すごい!精霊達が喜んでいますよ。今までより身近に感じられます。」
おお、それはいいね。嬉しそうに話す笑顔に引きこまれそうだよ。
「赤い魔玉は火の力があるはずです。どうやって使うかまではわかりませんが。」
火か。結構使えそうだな。
「さて10階攻略終了か。ここらで昼飯食って、そのまま下へ行こうか。」
親父の合図でみんなその場へとへたりこんでしまった。
だってここまで3時間程しかかかっていなかったが、その間歩きっぱなしなのだ。
大量に持ってきていたビーフジャーキーと燻製した魚、固く焼いてもらったパンを取り出し、アルミホイルに包む。携帯コンロに火をつけて、鉄板の上に転がしておけば、ほかほかの料理が出来上がるのだ。
鍋に水の魔玉から水を汲んでみようということになり、ナイロン袋を広げた上で鍋を置いて、その上で魔玉を握り、魔力を込めてみる。
最初は少しずつ魔力を込めたのだが、いきなりザバっと水が湧き出てしまった。
下の袋でも受け止めきれなかったようで、結構な量の水が出現したようだ。
もう少し少ないかと思っていたけど、結構使えるな、青の魔玉。
鍋に汲んだ水はコーヒーと紅茶用に沸かし、袋の水は手洗いや顔洗いに使った。
親父とブーモはまたも燻製の奪い合いをしていたが、仲良く半分にして食べたらしい。ルミナと美月が、残した分をブーモだけにあげていたが、親父がショックを受けた顔をしていたよ。
さて、あと半分行ってみますか!
病気も大丈夫!
腰痛や肩こりなんのその!
本当に治癒能力ください・・・




