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神様のおねがい  作者: もやしいため
第六章:魔石収集
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汚れ集団

『汚い集団』と『汚れ集団』で何となく意味が違いますよね。

どっちにしようかなと思ったんですが、こっちにしました。


PVが10万、ユニークが1.2万を超えました。

いつもお読み下さりありがとうございます。

岩の山肌に腹這いになって向こう側を窺う。

少し下った位置に複数の人間が居た。

魔物の領域である岩山に適応するためなのか、軽装ながらも皮製の胸当てなどを身に着けている。

しかしどう見ても騎士などの正規兵とは違う。

纏う装備が各自違う上に、正直汚いのだ。


討伐者ならありえる格好とはいえ、あの不潔さはない。

街に行けばそれなりの格好を要求されるし、不潔さが極まれば店にすら入れてくれない。

ドレスコードなどという前に一般人と生活するためには最低限のエチケットが必要なのだ。

それをぶっちぎりで無視している時点で、街に入れない、もしくは入らない人なのだろうと推測できる。


消去法で行くと山賊などの盗賊団なのだが、それもそれでおかしな話。

盗賊というのは『襲う相手』が居て初めて成り立つのだ。

こんなところに人は居ないし、何より今は鉱山が一時的にしろ閉鎖されている。

隠れ家にするにしても、少し人里と遠すぎる気がする。

フィリカの手によって30分でこの場に到着したわけだが、他は違う。

1日以上…5人とはいえ、集団なので1~2日ほど掛かるのではないだろうか。

しかもこの位置からだと襲えるのは『鉱山とアルスの街道のみ』だ。

重点的に襲っても生計が成り立たないし、そんなことすれば即座に討伐対象だ。

実入りが少なく、リスクが高いから意味が分からない。

ということをフィリカに話すと「分析能力が上がってないか?」と少し頬が引きつっていた。

理熾からすると思ったことを列挙して少し整理しただけなのだが、割と凄いことらしい。

フィリカ以外の討伐者を知らないため、比較対象が無いのだ。


「まぁ、何にしても5人とはいえ養うのは厳しいだろう。

 ここは山だけだ。

 ゴーレムは食べれないし、山猫も不味い。

 食料筆頭のオークもそれなりに出るが、森の方が多い。

 いまやリザードまで出ることを思えば収支が全く合わない」


とフィリカも「あいつら何なんだ?」と疑問符を浮かべる。

とりあえずあんな不穏な集団に相対するのは面倒だと二人で結論付けて迂回する事にする。

その所為で崖を上る羽目になったのだが、理熾が「空間魔法で足場作るよ」とあっさり解決策を提案する。

空間に壁を作ることが出来るので、それを足場にすればいいという話らしい。

確かにその通りなのだが、フィリカとしては納得行かない。

何故そんなぽんぽんと使い方が出てくるのかと。


盲点というわけでもないのだろうが、本当に発想の隙間を突いてくるのだ。

障壁は障壁としてしか使わなかった今までの術者達が本当に形無しである。

という風に、一時的に足場を適所に配置して空中に階段を形成する。

空間魔法の利用価値がぐんぐん上がっている。

ちなみに結界の場合は術者と共に壁が移動してしまうのでこういう方法は取れない。


「いくら使い手が少ないといっても、今までどれだけの術者が居たことか…」


とはフィリカの言葉。

全くその通りなのだが、理熾が見つけることはそれほど難しいことではないのがポイントだ。

単に皆が見落としているというだけなのが、物凄く大きい。

だから理熾と行動するとあちこちで自身の考え方が固いことを気付かされる。

それが楽しくて仕方がない。


そんな話をしている間に目的地…リザードの目撃場所に着いた。

しかし変わったことはない。

先程までと同じく岩肌があるだけ。

周囲の気配を探っても、特に目立つものもない。

魔物も動物も居ないかのような静かな場所だ。

リザードを見たことがないので何とも言えないが、それでもこんなにも空っぽの空間に居るのか、という疑問が浮かぶ。


「フィリカさん。

 リザードって食欲旺盛って言ってなかったっけ?」


いくら食欲旺盛でも、狩る時間も食べる時間も寝る時間も必要だ。

一応生物として定着しているのでその辺は確実に必要とする。

だからこの周辺を狩りつくしたとすればこの速度はおかしい。

もしかすると別に何か問題が発生している可能性は高い。


「あぁ。

 この辺りは食べつくされたのか?

 だとすると既に繁殖している可能性があるな…」


雌雄同体であるリザードの繁殖は分裂に等しい。

竜種らしく卵から生まれるのだが、単独でポコポコ産んでいくのだ。

そして卵も2週間ほどで孵り、すぐに捕食を始めて2週間ほどで成体となる。

合計で1ヶ月で成体のリザードが増えていくのだ。

このため緊急性が高く、卵もろとも殲滅対象になるのだが、この卵は格別に美味らしい。

何より竜種のエネルギーを体内に取り込むことで身体が強化されることも嬉しい話である。


「んー…とりあえず。

 セリナさんの料理でお昼にしようか」


と理熾が提案する。

ここまで戦闘しっ放し、歩きっ放しである。

フィリカは戦っていないのでともかく、理熾でなかったらとっくにへばっている。

それでなくてもダメージを受けてない癖にHPが2割ほど減っているのだから。


「そうしようか。

 …そういえば私は荷物をほとんど持ってこなかったな。

 日帰りのつもりだったし、遭難するはずも無いからと手を抜きすぎた」

「良いですよ。

 初心者セットに敷布(シート)あるし、食事も水も持ってきてる」


そう言ってぽんぽん必要なものを並べる。

料理が全て暖かいままで、手軽に食べられるようにつまめるようなものが多い。

本日のお昼ご飯はバーガーにフライドポテト。

油は高級品なはずなのだが、あけみやでは平気で出す。

加えてドでかい寸胴をそのまま持ってきたらしく理熾がよそって『温かいスープ』まで付いてくる。

死と隣り合わせの魔物の山なのに、途端にピクニック気分だ。


「本当に空間魔法便利だな…。

 私も修得を目指してみようか…?」


フィリカは唸るしか出来ない。

何より街の外に出て保存食ではない、美味しい食事(しかも暖かいもの)が食べられるなんてありえない。

理由は簡単で、調理器具を持ち歩くのが大変だからだ。

だから持っていても小さな鍋程度で、あとは煮る焼くくらいしか調理法が無い。

ついでに調味料もそれほど持てないので肉体労働に必須な塩くらい。

故に街を離れると途端に食事が残念になるのが普通である。

それが目の前の光景である。

良い意味ではあるものの、このまま理熾と狩りを続けたらダメになると感じる。

というか街に戻ってもあけみやに入り浸りそうである。


「ふふ…センガさんのお陰だよねぇ」


とニマニマする。

そして何より多くの魔法士が扱う属性魔法等と全く違う系統を紹介してくれたことに感謝である。

多くの者が持っているということはそれだけ『手の内がばれる』ということだ。

少数派であるからこそ、理熾は裏を突けるし、カードも切れる。

それに新たな使用方法が見つけられるのもそのためだ。

全くもってありがたい。

と感謝しながらも食事を取る。

ついでに今までしていなかった討伐対象の話を振る。


「そういえばリザードってさ。

 体長5m程のトカゲって資料にあったけどホント?」

「あぁ、大きいものは7mにもなる。

 心臓が魔石なので、そこは極力壊さないように」


「心臓ってことは核ってこと?」

「どう伝えれば良いか…。

 竜種は特別種だというのは分かっていると思う。

 これは心臓が特別性だからだ。

 逆に言えば心臓が特別性なら竜種に数えられると言える」


「んー?

 単に心臓が出せるエネルギーが高い?」

「そういうことだ。

 そもそも魔核というモノは、魔物の核(心臓)の純度が上がった結晶なんだ。

 それが竜種の場合は最初から『魔核』を持って生まれる。

 つまりその魔核を育てる余裕(・・・・・)がある種族なんだ」


「ぁー…なるほど。

 普通だと核持ちになるまでが大変。

 そっから先はもっと大変。

 けど竜種はショートカット出来るから、結果すんごい強い?」

「正解だ。

 というか話を噛み砕くのが上手いな。

 これではどちらが説明しているのか分からんな」


「えーフィリカさんのお陰でしょ?

 まぁ、そのリザードって進化とかするの?

 リ○ードンとかに」

「何だそれは?」


「いや、気にしないで」

「まぁ、元がトカゲだから普通は無い。

 が、極まるとバジリスクにまでなる場合があるらしい。

 そこまで放置する馬鹿は居ないが、Aランク相当になるから手に負えないな」


「ちなみにバジリスクってどんなの?」

「そうだなぁ。

 とりあえず体長は5mくらい。

 強靭な鱗、鋭利な牙・爪を持っていて、尾の攻撃が危険だ。

 というより全身凶器と言えるな。

 状態異常のブレスを多用し、相手を弱らせてから止めを刺す。

 そして何より魔眼持ちであることが多く、ほとんどが状態異常系だ。

 特に多い状態異常が強度な石化。

 まぁ、本当に石になる訳じゃなくて精神汚染系の魔眼で、意識を強制的に閉ざさせる。

 視線を介して魔力を叩きつけられて汚染されるから相手の視線と重ならないように戦う必要がある。

 戦う場合は付与効果や目隠し(ブラインド)を身に付けた上で囲んで袋叩きが常套手段。

 簡単には刃が通らないから、突き回して疲労させてから仕留める訳だが、物凄く骨が折れる。

 竜種は核持ちだから体力(タフネス)がそもそも多い上に、回復力まで高いから本当に、休ませることなく戦わせる」


「うわぁ…当りたくない…」


と心からの言葉を告げる。

竜種の強さのランクがさっぱりだが、固くて早くて疲れないとか真面目に戦うだけ無駄である。

攻撃が攻撃の意味を成さないのなら逃げる方が余程いい。

が、そうもいかないから倒し方が考案されているのだろう。

一体何人掛かりで倒せるのだろうか…交代要員も居るだろうし、下手をすると100人単位かもしれない。

一瞬「もしかすると投剣でなら竜鱗と呼ばれる表皮を貫通出来るかも?」とも思うが、出来なければ死ぬだけなのでやっぱり会いたくはない。

実験は安全に出来て初めて実験なのだ。


「まぁ、バジリスクなんて化け物にはそう簡単に遭遇しないさ。

 リザードですら見つけられないんだからな」

「ですよね。

 それじゃそろそろ探索再開しましょうか」


そうしてピクニックの時間を終了するのだった。

お読み下さりありがとうございます。

説明回が続き申し訳ありません。

バジリスクってコカトリスって同列の扱いされることが多いそうですね。

初めて知る事実です。

トカゲとニワトリなのに…。

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