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神様のおねがい  作者: もやしいため
第三章:始まりの街
9/537

異世界の常識

8/13訂正

実際のところ守衛からの質問は単なる疑問だった。

見た目子供にしか見えない(種族によっては高齢の場合がある)理熾には悪意らしきものが無い。

確かに言葉に詰まってはいるが、別に見た目通りの子供ならそれくらいは当然だ。

むしろそこら辺の子供より言葉遣いはしっかりしているし、ちゃんと考えを言える(・・・・・・)のには驚いたくらいである。

言えないことや分からないこと、説明できないことなんてのは子供に限らずいくらでもある。

全ての疑問の答えが分かるなら、研究者など要らないのだから。


それにしても違和感が多い。

というより服装は縫製技術の粋を集めたようなモノで手触りが良すぎたし、どう見ても旅支度などしてない格好だ。

なのに『平原を渡って来た』とか、『寝ぼけて母国語で話した』とか。

子供の身分で二ヶ国語以上を話せる者がどれだけ居るかは分からないが、かなり希少ではないだろうか。

それらの疑問が「一体この子は何者なのだ?」というのが守衛の言い分だった。


「ぇーっと…」


と言いよどむ理熾。

明確な情報が無いため、ここで適当なことを言ってしまうと不信感が溢れ出す。

そうならないためにも今は情報が圧倒的に足りない。

理熾側から出すには早すぎるのだ。


「まぁ、落ち着きなさい。

 詰所に行けばある程度分かってくるだろう。

 簡易では在るが、詰所にはステータスを見れるものがあるからね」


答えられない理熾を見て守衛さんは優しく対応する。

まだスフィアに到着して1日と経っていないが、これだけ右往左往した後である。

理熾にとってはこのおじさんは心のオアシスだった。

おじさんがオアシスって何か嫌だが。


とりあえず現状整理ということで理熾が手に入れたスフィアの常識に目を向ける。


 スキル欄には存在しない…。

 まぁ、常識だしどう考えても『スキル』では無いからね。


今分かっているのはお金のことと、ギルドのこととギルドに関わる程度のちょっとだけ国のこと。

『カラド』と呼ばれる通貨は、この今居るガーランド(小国)の通貨らしい。

アルスという街を筆頭に5つの街を持ち、それに付随する土地を管理している。

要はカラドは国際通貨ではない、ということだ。


ちなみにこのカラド、世界的な価値は高く無いらしい。

とはいえ、住人にとっては『通貨交換』を行わないなら全く関係が無い。

国外との輸出入では色々在るだろうが。


 とりあえず、物価的に500カラドあれば10日はご飯つきで宿屋に泊まれるらしい?

 うーん…そうなると日本円にして5~7万円くらいになるのかな?

 そう思うと【神託】も捨てたもんじゃないね!

 いや、でも宿屋が安いだけなのかもしれないし一概には言えないなぁ…。

 とまぁ、お金の話はそんな感じ。


と結論を入れる。

分からないことばかりの中でも情報があるのはありがたい。


次に国のこと。

ギルドに関係してくるところだけ、国の一部を常識として知っている。

スフィアの国家は、それぞれ『戸籍』などの情報を碌に持っていない。

基本的に領地に関わる事は領主に一任。

領主達は税の取立てがあるため領民の数をある程度把握しているという形。

それらを総括しているだけなので国家は正確な国民の人口を知らない。


けれど当然『国家に所属する人数』…例えば軍属だったり、貴族だったりというのはある程度把握している。

それすら分からなかったら害獣からの防衛も、他国との戦争も出来ないのだから当然だが。

といった感じで国には『国民の身分保証ができない機構』になっている。

地球と比べて人数は圧倒的に少ないから把握は出来そうなものだが、恐らく発想が無いのだろうと理熾は納得しておいた。


対して『ギルド』。

ギルドとは、ほぼ全世界で通用する仕事斡旋組織で個人の管理も行っている。

このギルドは登録者の、番号管理を行っていて、『登録者である証明』を行う。

要は国とは違って『身分証明』が行えるという事だ。


そのために、登録の際は手数料が必要になり、初期登録時に必ずステータスの開示が必要となる。

ついでに言えば更新料…年間いくら、という感じで支払いを義務付けられている。

当然だが支払わなければ身分保障は行われない。

日本で言う運転免許証に当たるものだろうと理熾は解釈している。


また、登録のメリットは『身分証明書の発行』、『身分保障』、『ギルドからの依頼斡旋』の3点になる。

身分証明書と身分保障が被りそうなのだが、少し違う。

身分証明は『私は誰か』を証明するためのもである。

戸籍を『自分から登録しに行く』ような感じ。


身分保障は『何かあればギルドが責任を持つ』という旨の意思表示だ。

それは良い意味でも悪い意味でも。

例えば『着の身着のまま、見知らぬ土地で商売を始められるか?』と聞かれれば誰もが首を振るだろう。

当然確実に無理なのだが、ギルドに登録していれば出来てしまう。

ギルドが『登録者を保障』するからだ。

これでもし、詐欺などを行うとギルドから被害者には保障を、詐欺師(登録者)には制裁を行う。

これは『登録者を管理するための保障』なのだ。


そんなギルドの本業は『仲介業』である。

仕事の依頼を受け、有能なギルド員に斡旋し、その際に『仲介料』を受け取る。

依頼者は『確実な結果』を、ギルド員は『確実な報酬』をそれぞれ保障される。

労働派遣を全世界規模で運営しているのだ。

その他、ギルドは素材・資材関連の買取を行っているので、それらの販売でも利益を得てるらしい。

といった感じで『スフィアの常識』を理解する。


 この常識って多分断片的なんだろうなぁ…きっと。

 今は『お金の知識』と『ギルドの知識』の二つしか持ってないし。

 くそぉ…ギルドの話なんてギルドへ行けば聞けるのに…。

 何で今居るガーランド国の知識がほぼゼロなんだよ!!


そんな感じで心の中で悪態をつく中、一つ疑問が浮かび上がる。

ある意味致命的な話でもあるのだが。


 あれ、そういえばステータス見られるんだよな…大丈夫かな?

 そもそもステータスって他人から見れるものなのか…?

 だとするとプライバシーもあったもんじゃないなぁ。


と思いながら、改めて自分のステータスを開いてみる。


---+---+---+---+---+---+---+---+---

名前:ミカナギ リオ

年齢:13

職業:なし

Lv :1

HP :80

MP :25

SP :10

筋力:14

敏捷:15

体力:21

知力:29

魔力:1

幸運:5

所持金:500カラド


スキル

パッシブ

言語知識


アクティブ

なし


ユニーク

スキル取得

---+---+---+---+---+---+---+---+---


 あれ?

 何か最初より色々増えてる気が…?

 何で…?


 ま、まぁ、増えたことは良い事だ!

 けどこの辺早めに知っておかないと多分ヤバイ気がするッ!


ステータスを確認した辺りで外壁以外の建物らしき物が見えてきた。

そのすぐ向こう側には街への入り口…大きな門がある。

この間、起きてから体感1時間くらい。


 …て事は壁際に着いただけで、街から凄く遠かったんだな…。

 下手をすれば…いや、下手をしなくても獣の餌だったはず。


何だか改めて自分の運の良さに気付いた理熾だった。

幸運は5しか無いのだが。

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