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神様のおねがい  作者: もやしいため
第六章:魔石収集
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理熾の戦い

前回の説明のようなものです。

世界にも色々と乗り越えられないルールがあるので困ったものです。

岩石兵(ロックゴーレム)の洗礼を受けてから30分ほどでまばらに1体ずつ。

計3体が顔を出したが、理熾が初戦で弓だけで勝てることに気付き、見るなり瞬殺している。

【士魂の強弓】から放たれる矢の速度に岩石兵が全く追いつけないのだ。

なので理熾にしてみればただの的。

縁日の射的よりも確実に仕留められるようになったのだ。

最後の岩石兵は「核を取りに行くのがめんどい」という理由だけで近接戦闘を始め、馬鹿げたことに手甲と靴だけで倒してしまった。

動きはともかく岩石兵は硬いことで有名なのに、《蹴撃》で倒すのだからフィリカの笑みが止まらない。

本当に上手く装備を使い回すと感心しているのだ。


「にしても。

 ランク3の《十字砲火(クロスファイア)》を使えるとはやるな」

「え?

 何それ?」


「は?

 あの4連射は別の武技なのか?」


フィリカがとても意外そうにする。

「確かに発射のタイミングが気になったが…」とも付け加える。

《十字砲火》は4点斉射の武技らしい。

距離によって着弾のタイミングが違うが、発射タイミングを揃えるのでかなり難しいとの事。

そんな武技は誰も使っていなかったので理熾は知らない。

だから気にせず《二の矢》の1射目と2射目の間と2射目の後に《影矢》を放ったと告げた。


「いや、《二の矢》、《影矢》で4連射するのを初めて見たぞ?」


理熾に会ってから、フィリカは「初見が多すぎる」と感じている。

投剣に関しては「あんな馬鹿な武器を作ったから」という自覚もあったが、それ以外は違う。

片っ端から見たこともない方法を取っていくので全く飽きない。

今回も新型投剣の試射だったはずなのに全く違う様相を呈してきた。

そもそも岩石兵を弓だけとか白兵戦で倒すとかおかしいのだ。

だからこそ投剣の試し撃ちだったのにと思う。


対する理熾は確かに武技の運用を誰かに教わった覚えは無い。

そもそも勝手に見て覚えて使ってるので、基礎すら知らない。

そのくせ練度は他者の追随を許さないほどの完成度である。

方式はともかく、使い方はオリジナルである。

それにしたって装備は全てフィリカ製なのだから、弓とか白兵戦で戦えるのはフィリカのお陰だと思っている。


お互いに原因は相手にあると思っているのだ。

二人ともがそれぞれおかしいはずなのに。


「武技は確かに連鎖的に扱うことも可能だ。

 けれど《二の矢》はそもそも連射系武技だ。

 2射目の間(・・・・・)に《影矢》を挟んで更に連射性を上げるとか聞いたことが無い。

 それならそもそも十字砲火の方が余程簡単じゃないのか…?」


という風にフィリカが告げる。

そもそも連撃系というのは、その武技単体で攻撃を繋げるものなので、普通は連撃の間に行動や武技は入れられない。

武技の動きとは『世界に定められた動き』と言える。

それを外れる行動を行えば当然武技が発動しない。

たまに『オリジナル』の武技を作る者も居るがそれはまた別の話。


そういった事を身をもって体験して諦めるのだが、理熾は気にせずに方法を模索したらしい。

というより嬉々として攻略したといって良い。

まず《二の矢》は普通に使える。

普通の武技だし、理熾も投影(トレース)訓練によって修得している。

武技によって体の動きや発射タイミングが決まっているようなので、それに合わせる形で武技を起動すれば良いという結論に至った。

単純な話だが、《二の矢》の2射目までに体勢や準備が間に合えば放てる。


ということで『手数を増やせば《影矢》が放てる』と勝手に解釈して(・・・・・・・)『装填速度』を上げた。

普通は手に矢を2本持ち、1射目後すぐに番えて2射目を放つという工程を取る。

武技として完成されているためこの工程は必ず通らねばならない。

なので番える方法を変えてみた。

亜空間から直接、弓に番えるのだ。

このことによって1アクション分短縮出来たため、その分で《影矢》を放ったのだ。

《影矢》はそもそも普通に放った矢を追走する形で放つので、タメ等の余分な動きが存在しない。

武技の中でもお手軽で、とても出が早いからこそ繋がったのだ。

そしてこのことにより、1アクションの弓の武技なら理熾は《二の矢》の間に何でも繋げられるということになった。

1アクションの弓の武技は今のところ《影矢》しかないのだが。


加えて行動を行ったら必ず行動遅延(ディレイ)が発生する。

これは武技に限ったことではない。

何かの動作を行えば、()の動作を行うまでの『繋ぎの時間』が発生する。

それは『タメ』であったり『姿勢制御』であったり『反動』であったりもするが、必ず出来る。

人によってそのディレイ時間やタイミングは異なるが、ゼロということはまず無い。

ハイオークに殴られたあの瞬間もディレイ(技後硬直)なのだから、本来であればどうしようもない。

しかし理熾は解決策を模索している最中だったりする。


武技などのような動作失敗時にはそれを取り返すために大幅なディレイが発生する。

それに成功しても大技であるほど、次の行動の為に動きを殺さねばならない。

元々理熾はこのディレイを毛嫌いしていて、それを潰すために亜空間を経由した武器の持ち替えなどでディレイを最小に抑えている。

フィリカも「大振りな攻撃の癖に連携の時間が短すぎる」と評価していたことを思うと、ほぼ最初の構想から成功していると言える。


今回も《二の矢》の間に《影矢》を挟むことで、1射目の《影矢》のディレイを《二の矢》の2射目への連携で潰している。

そして《二の矢》の2射目の後の《影矢》で、《二の矢》のディレイを潰している。

『上書きしている』という表現の方が正しいだろうか。

流石に最後の《影矢》分のディレイは削れなかったが、そもそも《影矢》のディレイはとても小さいので問題というほどでもない。


と、色々と利点が多い技術である。

だがそれでもスフィア人には他の武技を連携に挟む発想が無いらしい。

理由は簡単で、そんな精密動作が出来ないからだ。

機械的な正確性が求められる技術なので、ちょっとした練習でどうにかなるレベルではないのだ。

天性のカンや、天才の技術をあっさりと凡人代表の理熾が行うのは【体術】の恩恵としか言えない。

一歩間違えば一つ目の武技の発動を邪魔して大幅なディレイが発生する。

そんなリスクよりも確実に武技を終える方が余程メリットがあると無意識に結論付けるのだ。


「何とも馬鹿げた話だな…。

 基礎武技(ランク1)でランク3の武技に迫るというのだからな。

 それに空間魔法でゴーレム割っただろ。

 一応言っておくが障壁で攻撃する(・・・・)という発想も誰もしないからな?」


とフィリカは呆れる一方である。

凄まじい強度の極薄力場をゴーレムの前に構築して、後はその上に突っ込んできたから自重で割けただけだ。

簡単に言えばギロチンだろうか。

本来は超重量の刃が首に落ちてくる訳だが、今回は逆。

要は刃物と相対速度さえあれば『ギロチンが落ちる』という役目を果たすのだ。

理熾が強度重視の極薄の障壁(ギロチンの刃)を用意し、そこに岩石兵が突っ込んで(落ちて)きた。

結果は真っ二つ。

きっちりと空間に固定された障壁はギロチン刃の役目を果たしてくれたという訳である。

相手の重量や柔らかさが攻撃力になるので、そう簡単に一撃必殺できるものではないが、かなり利用価値が高い。

この辺りは『貫通性』の話をしていたことからの発想である。


「えー?

 そうかなぁ…って、空間魔法使う人が少ないからじゃないの?」


と、空間魔法の希少性から誰も発想しないと説明する。

空間魔法の障壁は自分を基点に発動出来ても、空間に固定されるので単なる壁にしかならない。

単純に障壁を作ると動かせないという性質なのだ。

変な話、その障壁に術者がぶつかってもきちんと痛い。

今回の極薄障壁で言えば岩石兵と同じ結末を辿る事請け合いである。


今回のような結果を残すつもりなら、相手が避ける余裕がない状態で、なおかつ相手の強度を超える障壁でなければ意味がない。

しかも相手の移動先に仕掛けるので罠と変わらない上に、発動タイミングもシビア。

使いどころがとても難しい使い方なのだ。

岩石兵でなければ実験すら危うかっただろう。

改良の余地アリである。


「まぁ、確かに結界で同じことは出来ないからな」


とフィリカも同意する。

結界を表すなら車に人が乗っている感じ。

(結界)ごと移動も出来るし、防御も出来る。

シートベルト、エアクッションで衝撃も殺せる優れもの。

結界内の環境整備もある程度可能なのでエアコンまで完備しているようなものだ。

ただしその分『(結界)ごと吹き飛ぶ』こともある。

というような違いがある。

ある意味空間魔法が別種の扱いなのでフィリカも何とも言えない。


こういった話の間にも2度山猫の襲撃を受けたが、そちらは早いだけだった。

ウッドウルフよりも早かったが、今の理熾なら付いていけるスピード。

しかも攻撃力は戦闘衣の防御を超えられないため、攻撃を受けてもダメージがない。

相変わらずの性能である。

まぁ、一撃も貰わなかったわけだが。

ちなみにEランクである。


そして岩石兵が持っていた頑堅(SP30)をこっそり取得した。

これで防御力が上がるだろう。

石頭と呼ばれる日も近い。

流石に硬質化を取ると人間をやめてしまいそうなので自重した。

土魔法も取ろうかと考えたが、属性魔法を単体で取るのは勿体無く感じた。

そもそも今なら他の魔法を自力で取得できそうだから余計に。


ちなみに山猫は直感(シックスセンス)(SP30)というパッシブを持っていた。

これは本能に直結する感覚で、危機回避や発想力といった第六感やインスピレーションの増幅効果を持つ。

当然取得済みである。


---+---+---+---+---+---

種族:山猫

Lv :29


スキル

パッシブ

直感Lv4

狩猟本能Lv3

敏捷強化Lv3


アクティブ

部位強化Lv3

忍び足Lv2

---+---+---+---+---+---

ちなみにステータスはこんな感じ。

狩猟本能は内容が分からないので取得できず。

部位強化は武器持ってる時点で不要…一応身体のブーストに取っても良いかな、という感じ。

忍び足は恐らく隠密系統になるので、手持ちで足りる。

なかなか欲しいスキルというものは存在しないものだと、魔物(参考資料)を盗み見ながら嘆息する。

SPを考えながら修得していかなければならないのだから。


「人が居る…?」


と岩山を歩く中でフィリカが呟く。

あっさりと理熾の索敵を凌駕して。

今はリザードが居るし、鉱山側(人里)とは違う方向に歩いているのだ。

こんなところに人が居るはずがない。


「え、あの気配って人なの?

 こんなところに…?」


と理熾もようやく察知する。

けれど理由が分からない。

リザードの討伐依頼はフィリカが請け負っている。

しかもガゼル(ギルドマスター)を通して、発布前に。

ブッキングするはずがないのだ。

となると別の案件となるが、それが予想が付かない。

とりあえず隠密を使ってこっそりと様子を窺うことで決着した。

お読み下さりありがとうございます。

ディレイの種類は色々とありますが、まとめて言えば隙となります。

この隙をあるものとして受け入れるのがスフィア人、邪魔なものとして限りなく減らそうとするのが理熾というわけです。

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