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神様のおねがい  作者: もやしいため
第六章:魔石収集
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魔法の詠唱

何だか戦闘回と準備回の差が激しいです。

準備には結構時間が掛かるのに、理熾の戦闘スタイルで戦闘を書くと一瞬で終わるのでとても残念です。

まぁ、フィリカ使っても圧倒的過ぎるので意味が無いのですが…。

フィリカの急な誘いに戸惑うが、その魔石は自分の装備になる訳だ。

ならば別に悪い話ではないし、むしろ手に入れられるなら幸運だ。

買うと高いという話だったし。

魔石は魔核よりも比較的簡単に手に入れられるらしく、フィリカはむしろ取りに行くことしか考えていなかったらしい。


「で、どうやって魔石を手に入れるの?」

「とても簡単だ。

 ある魔物を狩る、以上」


「いや、説明は確かに簡単だけど…。

 その『ある魔物』って何を狩るの?

 それによって難易度が全く違う気がするんだけど…」

「大丈夫簡単だ。

 竜種を1体狩ってくればそれで良い」


「え!?」


言うに事欠いて竜種とは。

魔物図鑑を紐解けば一番最初に現れるような有名(メジャー)な魔物である。

理由は簡単だ。

「出会ったらとにかく逃げろ」という教訓を植えつけるためである。

他の魔物とは違い、明らかに一線を画する。

どの能力を挙げても他の生物(・・・・)よりも上位に位置するのだ。

人間如きが単独で打ち倒せるはずが無い。

それこそ何人がかりででも倒せるだけで英雄と同じなのだから。

なのに


「リオ君なら一人でも狩れるから」


とか言う。

ありえない。

確かに来た当初より強くなった(しかもかなり)自負はある。

けれどそれだけだ。

最高位の魔物を倒せるほど自惚れていない。

けれどフィリカは気にせずに


「竜種って言ってもリザードだから問題無い。

 魔石は鉱物でも産出されるが、竜種の方が質が良い。

 運が良ければ魔眼系統の素材が手に入るかもしれないし、どうだ?」


リザード。

確か竜種の中でも最も数が多くて弱い。

それでも竜種と呼ばれるだけある魔物である。

そんなものの相手をして来いというわけである。


「……魔物のランクは?」

「確かCランク。

 群れるとBだったか。

 ちなみにあのハイオークならBにちょっと届かないCランクくらいだな」


「なるほど…」


フィリカが言いたいのは「あのハイオークを倒したんだから大丈夫」ということらしい。

今あのハイオークと戦えば、前回より遥かに上手く戦える自信がある。

武技を覚えたことで効率の良い攻撃が行えるし、訓練を行ったことで回避と防御が上手くなったのだ。

ハイオークの行動を思い返すに、再度戦うなら前回と同じ物量戦を演じるが次は被弾せずに倒せる。

技量はともかく『威力』を手にしたので今なら負ける気がしない。

とはいえ、初撃がそもそもだまし討ちな上に、相手の思考を削りつくした上での勝利だったので、全力を見ていない。

勝てるとは思っているが…それでもまだ互角なのかもしれない。

と、そう結論付ける。

何はともあれ、ハイオーク戦は運が良かったと思うべきである。


で、そんなCランクの魔物を狩って来いという。

依頼でも何でもなく、単なるおつかい(・・・・)で。

フィリカの人使いの粗さを感じるが、自分の装備でもあるから何ともいえないがなかなか無謀な話である。

理熾のギルドランクはEなのに。


「それにずっと走れるリオ君なら日帰りできる距離だよ」


とまで言う。

距離的にはそれほど遠いわけでは無いらしい。

理熾としては「命削れば走れますけどねー」と思うしかない。


「んー…なら今日一日準備して、明日出発で良いですか?」

「十分だ。

 むしろ早いくらいだからありがたい。

 あぁ、そうそう。

 試作品だがこれも持っていてくれ」


そう言って渡されたのは紅蓮鉄鋼製の投剣。

概要を聞くと、フィリカが一番最初に考えた機構らしい。

つまり内蔵式と呼ばれる形で作ったそうだ。

内蔵されてるのは蓄魔石(ちくませき)と呼ばれる、魔力を保存(ストック)する特性を持つ石らしい。

純粋な魔石よりは安価で、作りやすいが使うほどに劣化して容量が減っていくという。

全く持って充電池と同じである。


この使い勝手がよければ血魔石(ブラッディコア)での本番というわけだ。

ちなみにこの蓄魔石の、充電(?)は所有者の魔力らしい。

他の術者の魔力でも問題なく発揮するが、補充できないと意味が無いため所有者が補給するものらしい。

「そういうことなら別にこれでも良いな」と思う理熾だが、今回の構想はそこで止まらない。

実際はそこから更に発展させる予定なのでこのままでは心もとないのだ。


「うん、使ってみる」


と受け取る。

試作品は3本。

重量は1本約8kgで、形状は理熾の注文通りの杭型。

結界の式を入れたためか、以前の投剣より一回りほど大きくなっている。

柄の底部分が角ばった透明な宝石のような石が嵌っている。

恐らくこれが蓄魔石と呼ばれるものの核なのだろう。

早速亜空間に放り込んで準備を始める。


「フィリカさん、危ないから少し下がって」

「危ない?」


「うん、実験するからさ」


そう言ってフィリカを下がらせる。

ここからは時間との勝負。

時間を掛ければ掛けるほど魔力と体力が削られていくので集中は切らせられない。

まず目線の高さに直径1m程の厚みの無い円を水平に幻視する。

瞬時に魔力を通してそのまま上下に引き伸ばす。

目線より少し上、地面から約2mの位置から膝丈くらいの地面から50cmくらいの場所までの見た目丸い柱。

しかし中は空洞になっていて、時間と共に魔力が拡散していく。

後は簡単、上下の円を開けてトンネル化する。

本来なら単に円筒状になるだけだが上下の空間が繋がった今、円柱だった見た目は上下の輪っかのみになっている。

表面と内側が繋がる(・・・)ことによって空間転移の劣化魔法である、転移門が出来上がる。


空間を強制的に繋ぎ合わせる為、作る時に極度の集中と魔力を消費する。

が、作ってしまえば『新たな道』として安定するので維持するのはそれほど難しいことではない。

初めて理熾が作ったように2つの円を魔力の糸で繋ぐ方法より、遥かに簡単で低コストだと発見したのだ。

フィリカが言うように、結果の為に過程を考えたらこういうことが出来るようになったのだ。

低コストの方法を見つけてからはこちらでしか作っていない。


今のところ転移門の設置は1セットが限界。

それに転移門は最長でも5mくらいしか作れない。

ただし出口は任意で移動させられるし、大きさも多少の変更はできる。

それ以上の距離で作れないのは技量もあるが、恐らくやり方が間違っているのだろうと理熾は思っている。

何にせよ、今出来るのはここまでなのでさっさと実験を始める。


とりあえず繋がっているかの確認として、足元の転移門に足を突っ込む。

すると上の転移門から理熾の足が出てくるので、きちんと機能していると確認する。

すぐにその上下の転移門に挟まれる位置に投剣を亜空間から吐き出す。

後は見ていれば勝手に加速する。

上下の転移門は繋がっているため、下側から上側に移動する。

これを延々と続けることで投剣は落ち続ける(・・・・・)のだ。

最後に加速(アクセル)の特性が開放され、すぐさま亜空間に仕舞う。

初めての試みではあるものの、成功した。

暴発しないかとひやひやしたが、何とも無くてよかったと思う。


「リオ君…君には本当に驚かされるな」


と今まで黙っていてくれたフィリカが口を開く。

その顔は本当に驚きに染まっていて、それでいて笑っていた。


「えっと、何がかな?」

「転移門だよ。

 まさか無詠唱(・・・)とはな」


「無詠唱?」

「魔法というのは普通詠唱を必要とすることは知っているだろ?」


「いえ、全く知りません」と言いそうになるのを頑張ってこらえる。

むしろそういう事実があるなんてことは読んだ資料に載っていなかった。

ということは、余りにも初歩過ぎて載せる必要すら無かったのだろう。

『初めての魔法』とかの入門編などでも載っていなかったのだから誰もが知る常識だったのだろう。


「普通は詠唱によって魔法を構築する。

 詠唱は設計図であり、魔力を通す導火線だ。

 だから扱いが上手い者ほど詠唱を端折れる訳だがそれを無詠唱とは恐れ入る。

 しかも魔法が起動するまでが3秒程か?

 実戦にも耐えられるレベルでの速度だ。

 たった一週間でここまで使いこなすとは本当に驚きだよ」


と大絶賛である。

実を言うと理熾は他人が魔法を使う様を見たことが無い。

オークの討伐の際に魔法士が居たのだが、それどころではなかったし、そもそも遠かった。

最前線で戦っているので詠唱が聞こえる訳も無い。

何より亜空間も詠唱なんかしていなかったことを思えばとても今更である。

初級魔法だから誰も詠唱を必要としないのかもしれないが。


「んーでも亜空間も詠唱して無かったよ?」

「あぁ、だからとても驚いたよ。

 初めて見た時に『ボックスの類か?』と聞いたじゃないか」


とても今更だが、確かにそういうやり取りもあったので「なるほど」と納得する。

余程簡単なモノで無い限りは魔法は全て詠唱をするものなのだろう。

それを思うと詠唱をしたことが無い(・・・・・・・)理熾は異端中の異端なのだろう。

フィリカも恐らく「訓練の結果無詠唱に漕ぎ着けた」と思っているはずだ。

わざわざ藪を突く事も無い。

余り大っぴらに言うべきことではないと判断する。


「しかも亜空間を開け閉めする手間をこういう風に解決するとは思わなかったぞ」

「面倒なんだよね、あれ。

 それに転移門って一度設置すれば制御とか維持が凄く楽なんだよ。

 そこに亜空間から落とすだけで準備出来るから、魔力は使っても早いし楽なんだよね」


そんなことを言いながら新たな投剣を投下する。

古い投剣2本の準備を終えた辺りでふと思いつく。


 ん…?

 そういえば結界って不定形の力場だったよね?

 ということは…いや…でもそんなに簡単には無理かなぁ。


と気になったことが出来た。

それに実験する意味は大いにある。


「フィリカさん、新作って結界張れるよね?」

「あぁ、問題ないぞ。

 魔力の備蓄も十分なはずだしな」


「結界って物理的な防御力持つよね?

 水でも風でも石でも止められるよね?」

「あぁ、問題ない。

 高度な者になると魔力(結果)に干渉する結界を張れるそうだが…普通は物理的に止める」


なるほど、ならば実験だ!

お読み下さりありがとうございます。

スフィアという世界での魔法詠唱は絶対です。

というより「無くても出来るけど威力、属性、効果、標準その他はどうすんの?」ということです。

魔力が余りに万能なため細かく設定しないと設定していないところの数値が適当になって暴発する訳です。

逆に言えば魔力の認識がある上で詠唱すればとりあえずは発動するということです。

詠唱は設定やイメージを担うので個人で誤差があり、資料には載せていない訳です。

まぁ…先生が居れば目の前で実践してくれる筈なので、質はともかく同じ詠唱で同じ事を出来るんですけれども。

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