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神様のおねがい  作者: もやしいため
第三章:始まりの街
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対第一街人

とにかく今は何よりも守衛の信頼を勝ち取るのが先決である。

だがジェスチャーしながらも手持ちの【神託】を全て消化していく。


 後で『あの時開いておけば!』なんて後悔があるかもしれないし。

 あれ、いつから僕はこんな器用に違うことを同時に出来るようになったんだろう?

 ………環境の変化って凄まじいな。


---+---+---+---+---+---

【神託】

読み書きは必須!

達成内容:文字の習得


スフィアでは当然『日本語』は使えない

文字も言葉も違うけれど、努力次第で覚えられる!


報酬:スフィアの常識

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 必須なのは知ってるよ!

 今まさに必要に迫られてるからね!


切羽詰りすぎて感情のままに叫びそうになる。

が、今は一人じゃない…守衛が何だか可哀想な目で理熾を見ているのだから。

哀れみの目だけでも痛いのに、ここでいきなり叫び出したら下手をすれば敵対行為とみなされる。

叫ぶに叫べない、泣くに泣けない。

そんな崖っぷちの状況なのだ。


 死んでも死に切れないってこういうことを言うんだね!

 また一つ賢くなっちゃったッ☆(テヘ


とか何とかして怒りを静めていく。

理熾の心の防波堤が崩れるのはまさに時間の問題だ。


 この憤怒の感情ってどこかに取り置けないかな…?

 多分この怒りを心に灯して戦えば攻撃力1.2倍とか平気で行きそうなんだけど!


などと頭の片隅で思う理熾は意外と余裕かもしれない。


---+---+---+---+---+---

【神託】

会話を楽しもう♪

達成内容:言語の習得


相手の言葉を聞き、自分の言葉とすり合わせをしていこう

いつかは饒舌に話せるようになるさ☆


報酬:スフィアの常識

---+---+---+---+---+---


 あぁぁぁぁぁぁあ!?

 全く楽しめないよ!!

 それに『いつか』じゃダメなんだよ!!

 遅すぎるんだよ!

 ホントぶっころだよ!


守衛さんが優しい目をしながら促してきてくれた。

必死さが認められたらしい。

少なくとも捕縛を目的にはしてないように見える。


ようやく状況が落ち着いてきたために余裕が出てきた。

そんな中、最後の【神託】を開く。


---+---+---+---+---+---

【神託】

必須技能の無い君へ

目的:言語知識の取得


スフィアで困っている君に朗報だ!

【言語知識】(バイリンガル)というスキルをお教えしよう!

これで今日から君もスフィア人!


報酬:SP5

---+---+---+---+---+---


「だからなんでこのタイミングなんだよ!!」


心での無音の絶叫のつもりが、思わず叫んでしまった。

今の理熾には心の余裕はやはり皆無である。


 あぁ、守衛さんが『ビクッ!』ってなってる!

 ごめん、警戒しないで!

 すぐ話せるようになりますから!!


色々と混乱する中、急いでユニークスキルの【スキル取得】を選択する。


---+---+---+---+---+---

スキル取得

 【言語知識(SP10)】

---+---+---+---+---+---


 よかった!

 消費SP10以下だった!

 ヤツ(神様)のことだから、無駄に消費SP高かったらどうしようかと思ったよ!

 何とか取得できる!

 というか【スキル取得】で初めて取るのが『会話能力』とかどうなってるの!?

 これって生存上必須の技能じゃないの!?


本当はそんな突込みしてる時間は無い。

まさに思わずという感じだが、時間が空けば空くほど不利になる。

時は金なり、すぐさま取り終える。

ピコンと【神託】クリア音を聞くが、それどころではない。

今は目の前の守衛に弁明をするターンだ。


「あ、あーテステス。

 ただいま言葉のチェック中!」

「あ…あぁぁ…?

 あれ、話せたのか?」


返答が帰ってきた。

ちゃんと【言語知識】で良かったらしい。


 よかった!

 ようやく通じた!!

 幸運5だけどやれば出来るらしい!!


思わず感動してしまう理熾。

だがこれで終わりではなく、しっかりと『不審者じゃないよアピール』をしなくてはならない。

既に手遅れ感はあるが、構ってなどいられないのだ。


「すみません、動揺してしまって…思わず母国語で喋ってました」

「そ、そうか、なら良いんだが…。

 にしてもいきなり叫びだしてどうしたんだ?

 そもそもここで何をしてるんだ?」


もっともな疑問過ぎる。

切り抜けるべく頭を働かせねばならない。


 やばい…ちゃんとした言い訳を考えないと…。

 頭を働かせろ自分!

 次の一瞬で今後の全てが決まるッ!!

 まだ起きて(起こされて)から10分くらいしか経ってないけど!!


気合を入れ直しながら頭をフル回転させる。

とりあえず言える事実だけを詰め込んで説明を試みる。


「あ、その辺もすみません…寝惚けてたみたいで…。

 母国語喋って通じなくて、『ここはどこだ!?』って混乱してました。

 それと平原通って来たんですが、気付いたら夜になってまして…。

 夜は危険ですし、命からがらこの街へ何とか到着したんです。

 その時に気が抜けてしまって、結局中に入る前に崩れ落ちてしまって…」

「なるほどなぁ…苦労したねぇ」


何とか納得してもらえたらしいと理熾はホッと一息入れてしまう。

実際何一つ嘘を吐いてないから、言いやすいし矛盾も無いはずである。

余りの混乱振りに薬草を渡したとというのも効いたらしい。

ちなみに薬草は守衛さんにお渡しすることにした。


 取り返そうなんてしたら余計な波風が立ちそうだしね。


そして何より守衛さんは少し嬉しそうだったのだ。

今更取り返すなんて非道は出来ない。


「それにしても、夜にここまで来たとはねぇ。

 夜行性の獣に遭わなかったのは幸いだった。

 最近この辺かなり物騒になってきていてね…討伐依頼がギルドにいくつも出てる状態だし」


あのまま夜を平原で過ごしたらやっぱり獣の餌だったらしい。

行動したことが正解だとは、何とも嬉しい結果だ。


 いやまぁ、少なくとも街の外で気絶してたのだからあんまり変わらないような気もするけど。

 やっぱり見張りは居るし、警戒もしてるからここまで近いと安全なのかもしれないけれど。


そんなことを思いつつ口では「えぇ、ホント運が良かったです」と理熾は答えた。

幸運の能力値は低いが、リアルラックはまだあるのだろうと希望を持ちたい。


 幸運5だからね!

 うん、涙なんて出てないよ!

 まだね!

 心では泣いてるけどね☆


1人でテンションを上げる(しかも心の中で)のもつらくなってきた。

そろそろ脳のギアを落としてもいいかもしれない。

寝起きでなければもっとマシな対応も出来るのだろうが。


「で、君は誰かな?

 身分証とかあるのかな?」

「すみません…それが手持ちに何も無くて…すみません」


「うーむ…そうなると一度詰所に来てもらうことになってるんだが良いかね?」

「はい、ご迷惑お掛けします」


しおれた感じで受け答えをする。

いや、実際かなり疲れきってるから嘘でもない。

とりあえず詰め所へ向う最中にクリアした【神託】を確認しておく。

ステータス系は受諾の許可無く勝手に取得されるらしい。


 SP5×2、体力5、スフィアの常識×2…。

 たまたま物が報酬じゃなくて良かった…。

 って、常識2つもいらないよね?

 僕が常識無いから2つ…って、うるさいわ!


相変わらず変なテンションである。


「というか…あの平原の先って森じゃなかったか?」


世間話のようにぼんやりとそんな質問が飛んできた。

今まで余裕が無くて考えてなかったが、確かに昨日は地図上での現在地は平原のほぼど真ん中だった。

そしてその周りは森の表記があった。

更に言えば街の周囲は森で、理熾が降り立った場所だけが平原なのだ。

アルスという街の南にぽっかりと円形に平原が位置していたのだ。

街道などは存在するが、街の周囲が森なのが基本だから疑問に思うのも当然だろう。


 だからとりあえず平原と森との境目まで行ってから森伝いに回ればいつかは辿り着くんだよね。

 けど森に沿って回るのは体力的にも時間的にもありえない。

 縮尺が無いからどれくらいの距離になるかも分からない。

 というか遠目にしか森の影が見えないんだから多分移動できる距離じゃない。


当然の話ではある。

そうなるとどの方向に向かうかが問題になるんだが、この世界も球形らしいのだ。

それは『日が傾いた』というように、太陽がちゃんと仕事していたからだ。

元の世界の地球と同じ常識だということに気付いて、それに乗っかった訳だ。

ということは極点があり、いくら杜撰な観測技術でも方角は存在するはずだ。

地図上には目印などは無かったが、方角はあった。

つまりとりあえずその方角に向かえば街には『近付ける』というわけだ。


最悪現在地探さずにそのまま突っ切っても良かったが、流石にそれでは不安しかない。

予想が外れるのは仕方ないとしても、多少の理論武装はしておかないと死ぬに死ねない。

というか初日にデッドエンドってどんな転移だよ、ということもあり、本当に頭を使ったのだ。

結果、現在地を何とか割り出して、太陽とかの位置を必死に思い出して方角を決めて(・・・)、地図を睨んで平原を渡った。


ちなみに現在地を特定した方法は簡単だ。

街を中心とする地図にある平原を、手当たり次第にマーキングしただけ。

そう、本来あの【神託】は『現在地を指し示せ』だった。

しかし失敗条件も制限時間も無かったから、いくらでもミスれる。

それを使って『正解の現在地を【神託】に答えさせた』ことで現在地を特定した。


 出来るかどうかは賭けだったけど上手くいったようでよかった。

 だからこそ、今ピンチなんだけど!

 うわぁ…けどこの返答どうするかなぁ?


冷や汗を流しながら理熾はとりあえず『聞こえなかったフリ』を決め込んだ。

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