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神様のおねがい  作者: もやしいため
第五章:休息の時間
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オーク討伐祝賀会

タイトル名をつけるのは難しいですね。

意味の無い…というか、日常パートの場合の名付けなどは特にそう思います。

今後かぶることがあるかもしれませんが…気にしませんよね?

理熾は特に誰からも注目を集めていないと思っていた。

奇襲を狙っていることを思えば、注目を集めると逆に問題なのだ。

敵味方問わず、誰から見ても空気であれば奇襲は成功するのだから。

だが。


「いやぁ、リオ君。

 君の戦法は本当に素晴らしいよ!

 今まで『非力な前衛』とか言われてた我々の希望だよ!!」


とか。


「準備の兵科と言われた俺達もアレだけやれるんだな!

 まさか集団戦の指揮を執るとは思わなかったがなかなか楽しいもんだ!」


とか。


「これからは罠士を無碍に出来んな。

 罠士とか便利屋かと思っていたが、そりゃそうだ。

 あれだけできる(・・・・・・・)んだから、そりゃ『便利』に決まってるよな!」


とか。


回復職(ヒーラー)って数が少ないんだよ。

 それを斥候で補うとか頭良すぎだろ!

 つーか、斥候ってあんなに何でも出来るとか反則だろ!」


とか。

斥候と罠士からは自身の『使いどころ』の発見の喜びを。

斥候に助けられた前衛からは斥候の賞賛が。

罠士に補助された後衛からは罠士の見直しが。

それぞれ話しに上がる。


兵科の運用を考えたのが理熾だと何故か全員が知っている。

何故かと言うと、ジンが伝えたらしい。

どう考えてもあの場面で「新人の案だ」と告げるのは問題だと思うのだが、それが功を奏したらしい。

ジンはどうあがいても『考える指揮官』ではない。

臨機応変に対応するタイプの『行動先行型』なのだ。

なのにそんなジンがいきなり兵科の使い方を提案すればどうなるか。

馬鹿馬鹿しいまでに誰も聞かない。

特にあんな状況では絶対に。


だからジンは包み隠さずに語ったのだ。

これは「リオという討伐者の案だ」と。

全ての説明を終えた時にさらにこう言った。


「眼前にオーク、背面に罠地帯、側面にウッドウルフだ。

 このままでは確実に全滅(・・・・・)だ。

 俺の指揮のせいで申し訳ない。

 だが、リオの作戦なら全滅は免れるかもしれない。

 少なくとも俺にはその価値はあると判断した。

 頭の弱い俺よりも、諸君らの方が余程この提案が『優れている』と感じるだろう。

 だから俺は『指揮官』ではなく、『一兵』として前衛に参加する。

 命令はしない…だから死にたくないやつだけ(・・・・・・・・・・)付いて来い!!」


何というかむちゃくちゃである。

指揮官が指揮権を放棄してるのだ。

そりゃ降格もされるに決まっている。

だが、それでこそ指揮官だったともいえる。

結果的に死者を出したとは言え、勝利したのだから。

弁が立つのはカンペではなく、ジン本来の能力だったらしい。

本当に士気を上げるのが上手い人だと理熾は思う。


だから、こういう事態になっているわけだが。

前衛も後衛も理熾の戦いぶりを見る余裕は無かった。

が、斥候と罠士がしっかり見てたのだ。

戦況の把握能力が高いことでそれぞれ理熾が配置したのだから当然といえば当然なのだが。

罠士の言い分はこうだ。


「はっきり言ってオークの前衛は怖くない。

 戦線を支えるだけならば、巨体が邪魔し合う(・・・・・)

 問題なのは間隙を抜けてくる後衛の矢だ。

 強い弓を使っている分、矢の命中率も威力も高く、そのくせ速度も早い。

 後衛を気にすると前衛に殴られ、前衛を気にすると後衛に射られる。

 何とも前衛には可哀想な状況だろう?


 けれど後衛を潰すだけの余裕は無い。

 俺等の前衛・後衛・罠士が向えば足が遅くてすぐに見つかりハリネズミ。

 斥候が向えば近付けるかもしれんが決定力不足で同じ結果。

 どうしても前衛を落としてからでしか一番邪魔な後衛を潰せなかった。

 それが気が付けば瞬殺してるのだから驚きだよ。

 どうやって気付かれずに近付いたんだ?

 というか弓兵の君がどうやって倒したんだ?

 半分くらいは腹に穴が開いてたらしいんだが」


まくし立てるように理熾の行動を賞賛すると共に質問攻めだ。

理熾は余り手の内を晒したくは無いが言わないわけにも行かない。

見られてるのだし。


「斥候さんと同じですよ。

 隠密使いながら突っ切って矢を撃っただけ。

 空いた穴は奥の手なので、あんまり知られたくないんですよ」


とさらりと答える。

嘘は言ってない。


 だって腹に穴を開けた以外は矢で倒したし。

 あ、1体だけは蹴り倒したっけ?


とか思っていた。

オークアーチャーは全て理熾の取り分なのでそれ程検分されてないのかもしれない。

入れ替わりで次は斥候だ。


「後衛の全滅も凄いが、それよりも凄いのがオークへの奇襲だよ。

 後衛(弓兵)なのに一番前まで出てきたと思えば、オークをぽこぽこ倒していく。

 いくら俺らにやり方を教えた本人だからって隠密の使い方が鮮やか過ぎるだろう。

 むしろ参考にさせてもらったくらいだ。

 それにぽんぽんと回復薬がばら撒かれてたがアレはどう言うことだ?

 というか、弓兵なのに何であんなに上手く剣とか槍とか使えるんだ?

 まぁ、矢も放っていたみたいだし、弓兵に変わりないと思うんだが…弓とか持ってたか?」


いくら戦況把握能力が高くても、これほど観察できるとは思わなかった。

理熾は基本的にオークの背後を取っていた。

つまり人側の前衛からはほぼ見えない位置なのだ。

それがやってることをほぼ正確に言われてしまう。


「弓兵だからって弓矢しか使えないのは危ないですよね。

 オークアーチャーだって短剣使えたみたいですし。

 ちょっと僕は他の(弓兵)より武器の扱いが上手いだけですよ。


 回復薬はやっぱり前衛に居ないと使えないですね…。

 後衛からあの位置に回復薬を降らせるって難しすぎるし」


「前衛よりの弓兵だよ」と答えになったのかなっていないのか微妙なラインで説明していく。

だがそれで納得したのか引き下がってくれた。

酔っ払いなので適当にあしらっても問題なさそうだ。

一通りの事情聴取的な挨拶を終えて一息を吐くとフィリカがそっと近付いてきた。


「どうだった、リオ君。

 英雄と言うのも大変だな?」

「しんどいですね。

 というか最後の最後で良いとこ取りしたフィリカさんが言いますか」


「まぁ、呆然としている間に引き上げたからな。

 ジン以外はまともに印象に残って無い…訳ないか」

「うん、今回唯一の女性討伐者だからね。

 まぁ参加して無くても目立つよね…最後持って行ったし。

 そういえばフィリカさんが倒したオークはどうなるの?」


完全な横槍を入れた形のフィリカだが、報酬が出るのかという疑問だ。

依頼を受けていない以上は出なくても仕方が無いが、それでも功労者だ。

何かしら理由をつけて報酬を貰うことは可能だろう。


「あぁ、指揮官自ら私を現地調達(・・・・)したからな。

 貰う権利は確実にあるだろう。

 一応話の上では討伐数14体分の報酬の半分を貰うことになっている。

 解体分までは流石に悪いから辞退したがな」


とあっさり言う。

つまり報酬は7体分…1.05万カラド。

戦闘時間1分の報酬ではない。

理熾は改めて「鬼だなぁ」と思った。


それからはもう酔っ払いばかりである。

そこかしこでぎゃーぎゃー言っている。

日常生活では力が有り余っているから、討伐者なんかをやっているのだ。

そんな奴等が集まったら五月蝿いに決まっている。

喧嘩が始まり、仲直りし、怒鳴りあい、笑いあいといった風に喧しい。


気が付けば理熾も良く分からない内に腕相撲をさせられていた。

だが剛力、身体能力強化、肉体強化、魔闘技、体術に武神まで携えた理熾が負けるはずも無かった。

一戦目をあっさり勝利してしまった為に、「次は俺だ!」と挑戦者が並ぶ。

そのままの勢いで全員ノした時の言い訳は


「ほら、弓って力が要るんだよ」


だった。

参加していた弓兵は総じて「そこまでねえよ!」と突っ込みを入れたのだが、その場では誰も聞いてない。

そのまま夜更けまで続いた宴はそれぞれが潰れることで終わりを告げた。

お読み下さりありがとうございます。

緊急依頼への参加者からは理熾は認められました。

能力的なことをきっちり知る者はフィリカしか居ませんが、少しは回りに実力が知られるようになりました。

……余計にトラブルが増えそうですよね?(。。;

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