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神様のおねがい  作者: もやしいため
第五章:休息の時間
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穏やかな休息

寝て食べて寝るというのはとても良い生活です。

皆が皆、そういう生活を送れるなら喜ぶ…いや、そうでもないかもしれませんね。

ともかく。

今回はそんな感じのお話です。

ふと目を覚ますと、目の前にセリナが居た。

どれだけ時間が経っているか分からないが、外は既に暗くなっているので夜なのだということだけは良く分かる。

もしかすると…いや、もしかしなくても起きるまで待っていてくれていたらしい。


 僕にばっかり構ってていいのかな?

 他にもする事あると思うのになぁ。


そう思うと何とも申し訳ない。

とはいえ、既に行動しているのだから、気にしても仕方ない。

ありがとうと伝えて感謝しようと決める。


「おはようございます。

 もしかして起きるの待っててくれました?」

「んー今来たところよ。

 ご飯持って来ようか?

 あ、それともお風呂にする?」


とそんな事を聞いてくる。

確かに昨日あのまま…走りまくったままの状態で寝ているのだから、汗が気持ち悪い。

とはいえ、フィリカ印の服は優秀で未だに快適性を保っているのだが。


「じゃぁお風呂に。

 ご飯は食堂で食べますよ」


そうすれば食事を持って上がる手間も無くなる。

そう思っての発言だったのに、セリナは少し不服そうだった。

何だろうとも思うが、余り突っ込んでも仕方なのない話題である。


「そう、ならご飯用意しておくわ。

 病人って訳じゃないけれど、一日以上何も食べて無いんだから軽めのものにするね」


そういえば確かに食事を取ったのは昨日の夕方くらいだった。

作戦前の行軍で干し肉とかの保存食をかじり食べたことを思い出す。


 たまにはああ(・・)いうのもいいけど、美味しくは無かったなぁ。


キャンプだと思えば楽しい一時なのだが、やってることは殺し合いである。

まったくもって殺伐とした遠出だった訳だ。


「はい、お任せします。

 ではお風呂行ってきます」


とベットから起き上がる。

全身に「ピキリ」と痛みが走る。

やはりひびが入っているのは本当らしい。

とはいえ、ひびの場合は何も出来ない。

筋肉の炎症を抑える軟膏や湿布くらいしか対処法が無いのだ。


 うーん…回復魔法とかで治らないのかなぁ?

 というか治るだろ…何で誰も掛けてくれないんだ。


と割と真面目に疑問に思う。

回復魔法も回復薬も基本的には生命力を上げる(・・・・・・・)ものであると説明を受けた。

だから腕が無くなったりするとどうしようもない。

再生、復元はせず、傷が塞がるだけだという。

なので腕が先程の例で言えば、腕があれば繋がる可能性はある。


その辺りを聞くと、この世界も魔法があるが「現代日本とさほど変わらないなぁ」と思う。

ただしこの世界には優秀な回復職や医者は居るが、専門医が存在しない(居ても極少数)。

ほとんどが魔法の治療でまかなうのだ。

その他は薬士といって、薬学を用いた処方で対処する。

外科的な方法はほとんど取られない。


だからそれで回復できなければ手遅れだし、処置無しということになる。

便利である故に、何とも見放した価値観を持っているようだ。

今回の理熾の怪我であれば生命力を上げるだけで十分に回復しきる怪我である。

ひびの治療はかなり時間が掛かるが、逆に時間を掛ければ治療できるのだから。

ちなみに理熾が回復されないのは単純に他で手一杯(・・・・・)なだけである。

重傷者も多く、程度の軽い理熾は「自分で治せ」ということになっているのだ。


「ふぅ…」


風呂に入って息を吐く。

これだけで身体に溜まった疲れが流れ出る感じがする。

今更だが、あれだけ動いたのに筋肉痛が無い事に気付く。

体術をフル稼働していたはずなので、森に入った時と同じようなことになるはずなのだが、今回は大丈夫そうだ。

多少身体がギシギシする感じはあるのだが。


 うーん…寝てる間に終わった(・・・・)のか、それとも頑丈になったのか。

 はたまたHP回復速度上昇とかが関連してクリアできたのかは分からないけれどラッキーだねぇ。


何だかこのまままた寝てしまいそうだった。

お湯の温度は怪我人仕様にしてくれていたのか、若干温目でとてもいい気持ちだ。

時間が遅いから単に焚きなおしをしていないだけなのかもしれないけれど。

何となく「セリナさんなら水を足して適温にしてそうだからそうとも言えないな」とも思う。


十分に身体を温めて上がる。

これからご飯だと思うととてもお腹が空いてきた。

お風呂へ入る前にも言われたが、改めて一日ぶりのご飯だと思い、空腹感が増す。


「セリナさん、お待たせしました」


そういって受付に顔を出す。

食堂へ直通しても良いだろうが、起きるまで待っていてくれたらしいセリナを放っておくのは悪い気がしたのだ。


「うん。

 それじゃ適当に座ってて。

 暖めてから持っていくから。

 それとお腹が大丈夫そうなら追加で他にも用意するからね」

「はい、ありがとうございます」


そう言って笑う。

余りの気遣いにありがとうという言葉しか出ない。

自分の語彙の無さに少し凹む理熾。


それはともかく。

待ちに待ったご飯である。

お腹が空いてきたのはついさっきではあるが。


「おまたせ~。

 まぁ、病人食だから期待されても困るけどね」


そう言って置かれたお皿を理熾は見る。

またも初めて見る料理である。

日本人ならおかゆなのだが、病人食といわれてもピンとこない。


 どう見てもお鍋です。


見たままの感想を思う。

日本で言うところの土鍋に白い液体(・・・・)が満たされている。

熱々らしく、くつくつ(・・・・)ととても良い感じに音を立てている。

スープが透明では無いので、具が何かがわからない。


 白色って辛い(・・)味では…?


と少し冷や汗が出る。

これだけ熱々の鍋が激辛だとしたら子供舌の理熾では恐らく耐えられない。

水も用意して貰って準備完了。

渡されたスプーンで掬って食べてみる。


「あっまーーーー!?」

「えぇ!?」


辛味を覚悟していたのにまさかの甘さ(・・)で衝撃の余り叫んでしまった。

横でニコニコと理熾が食べるのを眺めていたセリナも驚いて声を上げる。


「え…?

 えぇ…リオ君のお家のシェフルは甘くないの?」

「う…シェフル…?

 そういう名前なんですか?」


「うん、これこの国(ガーランド)では一般的な食べ物だと思ってたけれど違うのかしら」


と首を傾げてしまう。

料理の概要はこうだ。

鶏や豚といった動物のがら(・・)で出汁をとり、動物のミルクを混ぜて暖める。

蜂蜜のような虫が集めた蜜を少し入れて少し甘味を出す。

具は芋などの根系の野菜と、余り物の端肉(食べやすいから)が基本。

それにプラスは家庭の味(・・・・)らしい。

今回のお肉は塩と香辛料の効いた香ばしい燻製肉で、薫りと少しの苦味がとても良い。

そして鍋とは別にパンを用意して、『(シチュー)+パン』で食べるらしい。

勿論、鍋だけでも十分に美味い。


辛いと思って食べてみての甘さは余りの衝撃だったが、実際はそこまで甘くは無い。

どちらかというと旨味(・・)と言うべきで、出汁と蜜が旨味を。

肉からは香りと塩味、香辛料がピリリと効いた上に肉自体の味も相まってとても美味しい。

パンはパンで浸すことを前提に固め(・・)なのが腕を感じさせる。

これが病人食で良いのかと疑問に思いつつ、感動までさせてくれるのは流石あけみやである。

アルスに居る限り、ここ以外での食事など考えられないレベルである。

もっとも外で食べたのは研修所と干し肉だけなのだが。


「セリナさん。

 超、美味しい」


『超』にアクセントを入れて伝える。

これしか無かった。

もう、本当に、これしか感想が出なかった。

思わずおかわりした時に更に衝撃を受けたのが、「同じ味じゃ飽きちゃうよね」と渡された黒いソース。

黒いソースは以前ハンバーグでお世話になった物らしく、酸味を感じる。

流石にこのシチューに入れるとどうかとも思ったが、使い方が違うらしい。

まずソースをパンに掛ける。

これだけ。

後は先程までと同じようにシチューを付けて食べるだけ。


更に衝撃を受けた。

パンがチーズを掛けた(・・・・・・・)かのように変化しているのだ。

思い浮かべて欲しい。

ホワイトシチューにチーズを乗せて焼き、それをパンにつけて食べる。

さっぱりとした酸味があるためチーズほどもしつこくなく、いくらでも食べられる。

改めてこれが病人食かと疑問に思う。


気が付けば満腹で、一心不乱に食べてしまっていた。

対面に座るセリナが凄く良い笑顔でこちらを見ている。

言うべきことは決まっている。


「ごちそうさまです。

 大変美味しかったです」


これ以外に何か言うべきことがあるだろうか?

こうしてセリナが言う、大満足の病人食(・・・)を食べさせて貰い、部屋に戻る。

後はもう、寝るだけだ。

お読み下さりありがとうございます。


少しずつ増えるPVとお気に入りに歓喜してます(‘‘

ご意見、ご感想も身になる上に読まれてると実感するので嬉しい限りです。

今後ともよろしくお願いいたします。

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