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神様のおねがい  作者: もやしいため
第四章:【緊急依頼】魔物討伐
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【幕間:神域】神様の驚愕

今回は神様回です。

はじめに出てきてから、ずーっと空気ですが居ますので、神様をお忘れなきようお願いします。

私は神だ。

正しくは『管理者』なのだが、管理される側からすれば概念的な存在なので『神』と呼称される。

分かり易い言葉なので名乗るときは『神』を名乗っている。


さて、先日スフィアへの最後の一手として『ミカナギ リオ』を派遣した。

低次元の生物にあれほど分かり易く説明し、とても好意的に言うことを聞かせるなど私以外に出来ないだろう。

彼もなかなかのやり手だったので随分と楽しめたものだ。


これが他の管理者だとそうはいかないだろう。

そもそも交渉テーブルなどというものなど存在しない。

一方的な通達の後、強制送還することが多いのだ。

そこに彼等の意思は存在しない。

ただただ(雇用主)に従えば良いのだ。

まぁ、私は単に同意が得られないと意味が無いような状況だったのだが。

自殺でもされては困るからな。


スフィアではそろそろ一週間程度経つのだろうか。

管理者権限で彼の行動のダイジェスト版を編集させた。

それをこれからゆるりと眺める予定だ。

これこそ『神の視点』というやつだな。


彼には明確に伝えてはいなかったが、実は彼がスフィアに降り立った時点の能力は低い。

だからとても残念に思った。

あれだけ利発で私とも対等に話せるのに、あの能力値では確実に生きてはいれないことを。

何せLv1なのだ。

1歳児と同じなのだぞ?

生き残れるはずがない。


あの世界ではLvで強さが決まると言える。

当然相性などもあるが、それでも分かり易い絶対の強さの指針はLvである。

彼の能力値をそのままスフィアに引き継ごうとしたが失敗した。

本来なら、少なくともLv13で送り出せたはずだったのだ。

それが容量不足で…弾かれた。

あの世界には既に余剰容量というものは存在しないのだ。

パンク寸前と言って良い。

ことここに来てやはりもう手を打つスペースが残っていないのだと知らされた。


例えるなら将棋の盤面だろう。

9×9の盤面、81マスが存在する。

そして私の権限で持つ容量と、世界が許容できる容量が存在する。

当然駒にはそれぞれ容量が割り振られている。


私はあらゆる手を打ってきた。

そして多くの失敗してしまった。

そのため既に80ものマスが埋まってしまい、本当に最後の一手だったのだ。

戦略でも手番でもなく、最後に空いたマス。

ただ単に偶然に空白地帯だったところに彼を配置したに過ぎない。

敵陣真っ只中…というほどではないものの、猶予は無さそうである。


それに盤面(世界)が支えられる容量も、少ししか残っていなかったらしい。

これでは私がどれだけの容量を持とうと意味が無い。

彼には「世界への影響を少なくするため」と説明したが、実情は「世界の容量が無い」が正解だった。

新たな要素を追加する余白が存在しないのだから。


だから彼にはとても悪いことをした。

低次元の生物にこんなにも感情移入をすることなど無いのだが、流石に余りにあんまりで申し訳ない。

あれほど頑なに断っていたのを興味を引いて押し付けたのにこれではな。

スフィアに送られるなり死の危険…というか死亡確定なのだから。

騙したとまでは思わないが、それでも期待させて送り出した。

最後の最後で口早に事実の一端を告げたのは罪悪感だったかもしれんな。


しかし一週間以上経っても帰ってこない事を思うと上手くやっているのだろうか。

いや…あの世界でのLvは絶対指標だから、『モルモット扱い』されているかもしれない。

そう思うとダイジェスト版とはいえ、見るのが億劫になってくるな。

だがこれも送り込んだ側の義務である。

負債(問題)を押し付けたのだから、せめて看取るくらいはせねばなるまい。



…そう思ってた頃が私にもありました。

何でしょうか、あの彼のたくましさは。

いくら異世界への適正が高いと思って連れてきたとは言え、初日であの平原を看破した上で越えるなどありえません。

余りのことに思わず正座して敬語ですよ?


あぁ、彼を誘ったのは私だ。

当然そこには判断基準がある。


1:今の世界に飽きている

 (気分良く出発してもらうため…ひいてはスフィアで頑張れる人)

2:異世界への適正が高い

 (今の世界の知識が多くあり、なおかつスフィアで頑張れる人)

3:反骨精神or好意的(ポジティブ)思考

 (最悪の状況から這い上がれるため、スフィアで頑張れる)

4:成長余地が多分にある

 (若ければ若い方がいい…スフィアで能力を伸ばして頑張るため)


これがスフィア派遣の4項目である。

管理下にある世界で引っ掛かった人数は2万弱。

その中でも最も若く、なおかつ理解力が低くないという理由で彼を推した。

ちなみに彼の誕生日は3月31日で、13歳になったばかり。

しかも派遣した日は4月9日…つまり始業式から2日しか経っていなかった。


非日常に放り込まれて、光りの玉だった私と対等に話をすること自体が『異世界への耐性の高さ』を窺わせる。

何よりそんな状況下にも関わらず『今のところ皆勤賞だから早く帰せ』とか臆面も無く言ったのだ。

普通の生活を送ってる人にとってたった2日で遅刻、欠席をする方が難しいが、交渉カードとしてさらりとねじ込んだ。

認識力、理解力の高さと、状況判断の能力がずば抜けていると歓喜した。

うむ、あれはやりこまれていた訳ではないのだ。

単に関心と興味、そして至らなs…違う違う、彼を選んだ私の見識と幸運を噛み締めていただけだ。


ともかく。

それを【神託】を『答え合わせ』に使って地図を把握し、日の傾きで方角を予測して決断。

10kmもの距離を移動しきったのだ。

そもそも彼はLv1なのだ。

「1歳児が10kmも歩けるか?」という問いなのだ。

答えは当然不可能で決まっている。

能力値(スペック)的に出来るはずが無い。

そもそもあの平原での敵は距離ではなく、迷うことにある。

平原は強い獣も現れないので、異世界初心者には良いのだが彼はLv1だ。

本当に何度も言うがLv1とはそれほど過酷な数値なのだ。


などと平原を越えたことに驚愕していると、いきなりアルスの領主と面談開始だ。

会話もままならない…と思った瞬間話し出す。

あぁ、そうか。

確かに彼は【スキル取得】というユニークを持たせた。

が、それほど有用なスキルではない。

誰でも出来ることを人より短縮できるだけのスキルなのだから当然だ。


いや、それに持たせたというのは間違いか。

あの世界での行動は全てスキルや能力、Lvとして昇華する。

彼には13年分の積み重ねがゼロな分、取得時間の軽減と選択の権利を渡したに過ぎない。

しかもSPという本来見えないステータスが見えるだけ。

なので習得数は追随を許さないかもしれないが、結局育てるのは本人なのだ。

はっきり言えば最弱スキルに属するものだから。

そもそも世界の容量が低すぎて渡せるスキルがそれくらいしか無かったのだ。

やはり申し訳ないことをした…。


あぁ、ちなみに会話能力が無かったのは翻訳能力が無いというのも確かにあるが、「Lv1」だからだ。

あの世界の経験値とは、全ての行動から取得するもので、日常会話程度ですら上がる。

でなければ年齢と共に増えることなどありえないからな。

つまり通じ合わなくても何とか会話を試みていればいつしか理解する。

Lv1とは赤ん坊なのだから当然の話なのだが。


それにしても。

会話が出来るようになって落ち着いた途端に領主を丸め込んでいるではないか。

どんな手腕だ。

気が付けば宿屋へ、ギルドへ、図書館へと駆け回った挙句に森に突入だ。

いや、だから彼はLv1なんだよ?

あぁ…初めてギルドへ行ったときに2に上がったのか。

だが、Lv2(2歳児)が、森で一体何が出来るというのだ。

ほら案の定何も出来ないではないか。

ただ泥だらけになり、翌日なんて筋肉痛で動けない始末ではないか。

もう少しゆっくりすべきだ…って、そうか。

急かしたのは私なのだな。


そうしてる間に筋肉痛を押してギルドへ行くではないか。

いやいや、待て待て。

初心者とついているとはいえ、それは軍隊並みの脳筋プランだぞ。

いくらしぶとくても流石に無理では…。


…はぁ?!

武神クラスを手に入れられるだと?!

ふざけるな。

アレは隠しクラスと言えるレベルで秘匿されているクラスだ!

そんなものを赤ん坊(Lv2)が手に入れられるわけが無いだr…ってまてまてまて!!

物理系最高峰に加えて魔法も最高クラスが揃ってるってどんな適正だよ!?

魔文字使い(ルーンマスター)とか漢字が使える(複数の意味に取れる)日本人にとって、下手すると魔法の最強クラスだぞ!!

他にも付与士(エンチャンター)召喚師(サモナー)幻術使い(イリュージョナー)…。

隠れていて分かりにくいが精霊使い(エレメンタルマスター)魔法士(ウィザード)まであるじゃないか!

上から順番にどれを選んでもいきなり最強の魔法使い認定されるぞ!?

彼は地球の日本(魔法の無い世界)から連れてきたから魔力は無いはずだ!


何で魔力に数値があるんだ!

ステータスが0の能力値はLvが上がっても上がらないのに!(ステータス閲覧中)

あぁ…そうか、【神託】報酬か…なるほど、だから魔力が使えるんだな。

って、納得いくか!!

数値的にきっちりLv2じゃないか!

確かに若干高いが…これは熟練度の誤差レベル。

なのに何故…?

彼は理解しているのか…この異常性を。


(理熾の思考読み取り)


ぉぃぉぃぉぃおいおいおい!!

「低レベルだからこその可能性による選択肢」って何だ!

確かに可能性で選択肢が増えることもあるが、今までこんなこと…?

って、幼児(低レベル)がクラス選択をしないからか。

本当になんだこの子は。

まだスフィアに来て3日くらいの時の話だぞこれ。

何でこんな世界の深遠を覗く様な状況になっているのだ。


え?

は?

なんだと!?


クラスの同時選択!?

そんなことは仕様に無いぞ!

ステータス欄への表示は…。


職業:武神・空間使い(ディメンショナー)

称号:両立者(ダブルスタンダード)/開拓者(エクスプローラ)


「・」で区切られている…。

本来であれば「/」区切りのはずだ…称号のように。

ということはアレはアレで新たなクラスと言えるのか?

いや、名前自体は変わっていないし、単に並んでいるだけだ。

もしかして本来ありえない状況だから、とりあえずこの方式で表示されているのか…?


というか、何故空間使いなんだ。

確かに利便性が高くて使い勝手という意味では群を抜いている。

が、それだけだ。

戦力としては心もとない。

少し思考を読んだ限りでは戦力に重きを置いていたように思うのだが…?


あぁ…しかも(カルマ)まで背負ってるじゃないか。

Lv13とは、かなりのマイナス補正だな。

せっかく能力値が跳ね上がったのに、マイナス補正で約7割減だぞ。

というかそれでもLv2の能力値じゃない。


確かにクラス補正は高い。

だからってLv2で数値が100を超えるのはまずいだろう。

100と言えば同年代よりも数値が少し下くらい。

確かこの世界の成長率ってLvが上がるごとに減っていくはず…。

つまり、初期値が高ければ高いほど有利…いやいや、だからってLv2で100は無いぞ。


ん?

いやほら。

百歩譲って確かに能力値は分かる。

補正で跳ね上がるのは仕様だから。

だが、何だそのスキル群は。

さっきまで無かったじゃないか。

何故そんなことになっている?!


(理熾の思考読み取り)


なるほど、結果が現れたから前提条件を合わせる必要があったわけか。

辻褄を合わせたわけだな。

って、納得できるかッ!!

何だその「結果のために過程を作りました☆」って理由は!

せめて順序は守れ順序は!


…何だと?

「カルマを受けてよかった」と言ったぞ、彼。

どうする気…って、は?

いや、まて。

え?

嘘だろ?

そんな方法でカルマを抑えるなど聞いたことが無いぞ!

「状態異常として考える」って何だ!

カルマは特殊状態…って、そうか、「通常ではない」という風になるんだな。

しかも能力低下(バッドステータス)だから、状態異常耐性が発揮する要素はある。

むしろしっかり、十全に発揮してる。

それによって耐性熟練度の強化と、カルマの能力低下を抑える一石二鳥…。

何と言うか賢すぎるだろ、彼…。


…あぁ、やはり初心者研修では転がされるな。

順当だが…って、クリアしてしまった?

センガという講師に気に入られたから…?

確かに一戦目の動きは目を見張るものがあったからな。

まぁ、能力値的には問題ないだろうが、戦力的には全然だろうに…大丈夫か?

せっかく武神クラスまで持っているのに、死んでしまっては意味が無いぞ。


ふむ…戦闘風景は普通、でもないな。

いくらミニゴブリンでも躊躇無く殺りすぎだろう。

彼は日本(平和な国)から来たはずなのに、躊躇う素振りが…いや、そうでもないか。

初めてが軽すぎただけか。

十分に決断した結果なのだな。

殺し合いの世界に放り込んで本当に申し訳ない…って、え?


ちょっと待て。

何だその躊躇の無い作戦は。

ミニゴブリンの死体を撒餌扱いって。

スフィアの戦闘民族でもそうそう行う手ではないぞ。

討伐者ならやりかねんが。

それに何だ石で迎撃って。

何処の原始人だよ…って、すさまじく効果的だな。

ゴブリン達がゴミのようだよ。

手順の構築と、効果の高さに脱帽だよ全く。


そこから暫くは同じ光景だ。

ダビングしたかのように同じ状況を3日間分も繰り返し見る。

いや、まて。

違う場所、違う環境なのに『同じ戦況を作る』って物凄く難しくないか?

配置や動き、数が違うのにほとんど同じで見飽きるレベルってどういうことだ。

戦況を制御してるのか…?

そんなことは無いよな、流石に。


3日経ったステータスは…やはりLv6の能力値ではなかったし、スキルが充実しすぎだ。

何より3日でLvを4つも上げるってどういうことだ。

どんなLv6だよ…まったく。

お読み下さりありがとうございます。

相変わらずの残念振りです。

自分が管理している世界のルールを初心者(理熾)の心を読んで知るとか最低ですよね。

取説読めって感じです(‘‘

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