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神様のおねがい  作者: もやしいため
第四章:【緊急依頼】魔物討伐
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【緊急依頼】魔物討伐7

さすが指揮官です。

指揮官はこうでなくては。

でもかなりの勢いで見捨ててる感があるからどうかなぁ…(。。;


※ハイオークの回想導入部分が何かおかしいので修正しました。

 これで少しは意味が通じるかと思います。

ハイオークは不思議で仕方なかった。

戦場を見渡せば、手下共の数は減りに減っていた。


思い返せば最初はとても順調な行軍だった。

こちらの方面に来て、初めて(食料)を発見した時は歓喜したものだ。

新たな食料が見つかった、と。


まずは釣りをするため、平原に出て我等の集団を見せ付けたのだ。

有象無象でも数が増えれば強大にもなる。

我等の存在を撒餌として見せて、まずは強者を誘き寄せて狩るのだ。

残りの者など余りでしかないのだから、強者を叩いて心を折れば軽く蹂躙できよう。

そんなことも無ければわざわざ我等が平原に集う理由など無いのだから。


そもそも平原を突っ切るのは馬鹿のすることだ。

遮蔽物もなく丸見えなのだから。

意味も無く平原に現れるはずなど無いだろうに。

まぁ、短時間で駆けなければならないなら選択肢の一つではあるが、今回はそういうわけではない。

単にゆっくりと、そして確実に人を狩るつもりだったのだ。

だから森をゆっくりと捜索しながら移動した。

一匹たりとも逃がすつもりは無かったのだ。


それに策は上々だ。

見せた数はそれほど多くはないし、ペット(ウッドウルフ)は森で待機させていたからな。

気付かれたとしても我の配下とは思わんだろう。

わざわざ戦力を見せるのだから、強者側にも油断を誘う罠を張るのは当然のことだ。


すると何だか良く分からないが、あいつらはわざわざ平原に罠を張っていたのだ。

あんなに見晴らしが良いところで罠を仕掛けるとは…それが罠ではないかと疑ったぐらいだ。

だが単にあの罠に自分達を引き込めると疑っていなかっただけらしい。

何とも馬鹿にした話だ。

あんなにも見え透いた誘いに誰が乗るというのだ。


だから逆に利用してやろうと考えた。

せっかく仕掛けた罠だ。

使わないなんて勿体無いではないか。

やつらがちゃんと使えないのなら、自分達が使えばいいのだ。

そう思い、罠を張り、陣を敷く馬鹿共を罠と、下僕(オーク)ペット(ウッドウルフ)が3方向から挟撃するために森を行軍した。


最初にケチがつき始めたのはペットが言うことを聞かずに森を抜け出てきた辺りだろうか。

ペットの数が少し減ってるように思ったが、命令通りに動いているのも居るだけだと判断した。

何故だか知らないが、たった二匹を追い掛け回している。

しかもその二匹は逃げるのに必死だし、何を血迷ったか罠に向かいだす始末だ。

気が狂ったらしいと見るのをやめた。

やつらを血祭りに上げるのも時間の問題。

そしてそれが終わればいくら頭が弱くて命令を聞けないペット共も思い出すだろう。

何をしなければならないかを。


だがこのままでは挟撃が失敗すると判断して、下僕共を進ませた。

その際に人の斥候らしきヤツが踵を返して帰っていっていた。

やつらに気付かれる前に近付くつもりが何とタイミングの悪い。

そうこうしている内にヤツらもこちらへ進撃してきた。

背後の罠に押し込まれると思ったのだろう。

なかなか察しの良いヤツも居るらしい。


下僕の数は82体もいたのに、押し切れなかった。

そもそも数が違うのだ。

我が出て行く程ではないと高みの見物といった感じで見ていたが、なかなか粘る。

数が3倍以上も居たのに不思議と拮抗し、そしてジリジリとこちらが減りだした。

よくよく見てみると人の前衛が減っていない事に気が付いた。


人は脆い。

だから我等は一撃さえ与えれば良いというのに、その一撃を与えても立ち上がるのだ。

何か理由があると目を凝らす。

すると小賢しい事に何かの道具を使って傷を癒しているではないか。

しかも手際が無駄に良い。


前に立ち、我等を抑える者は休憩も回復も行わずに抑え続ける。

その後ろをチョロチョロとネズミのように走り回り、致死の一撃をピンポイントで迎撃したり、道具を使う者が居る。

しかもこっそりと我等の前衛に手傷を負わせていたりする。

あれ程に短い剣で何故我らが傷つくのか不思議だ。

さらに後方では魔法士と呼ばれる、我等には無い技を持つ者達と的確に矢を放ち、牽制と負傷を積み上げる部隊。

その横合いには恐らく指示を出しているのであろう者が居る。

その指示は余程的確なのだろう…ヤツらの道具が尽きることも、だぶつくことも無いようだ。

特に矢などはしっかり補給できなければあれほどの密度では放てない。


何とも美しい動きをするのだ。

食料と侮って居たが、やつらは全体で一人なのだ。

我等は巨大な何かと戦っているのだと、観察を続けてようやく気付いた。

だがそれも長くは続くまい。

やつらの均整の取れた動きは時間が経つ毎に崩壊する。


何故ならやつらはミスが許されないからだ。

我等のように単独で動くのではなく、役割分担を行い、支援を交えて戦っている。

つまりどこかが破綻さえすれば我等の勝ちなのだ。

いや、正確に言うなら機能しなくなると言ったところか。


それがどんな理由でも構わない。

疲労、負傷、死亡、道具切れ、行動ミスなど、何でも良いのだ。

何処かで失敗し、それの支援をする。

その支援分が負担になり、次のミスを誘う。

さらに次の、そのまた次の、と積み重なり最後には一気にけりがつく。

一体何処まで粘れるか見物である。


そうしていると先程まで逃げ惑っていた二匹が罠を突っ切って現れたではないか。

ヤツらはペットが仕留めているはずだった。

というより、ペット達が居ない…なるほど、罠に捕まったのか。

ならあの二匹は運良くあの場を逃げ切ったわけだ。

だが今更たった二匹が増えたくらいで変わるはずも無い。

むしろせっかく逃げ切ったのに戦場に戻るとは何とも運の無い…いや、ただの馬鹿か。

どうせ崩れかけの前線にでも参加して、勝手に押し潰されるだけだろう。


そう思っていると、脇目も振らずに我等の後衛に突っ込むではないか。

前線を維持するのではなく、あくまでチビは殲滅を選んだということらしい。

馬鹿にするにもほどがある。

単機であの遮蔽物の無い平原を弓兵相手に走りきるなど自殺行為だ。

近接するまでにハリネズミにされて今度こそ終わりだろう。

だが接近するまで何故か誰も気付かない。

弓兵は近接が弱いというのに、何故注意を怠るのだと憤慨していると、弓兵が直前で気付いたらしく反撃に移ろうとしていた。


その瞬間、弓兵の頭に矢が生えていた。

目を疑った。

走りこんできたチビの手には弓など無い。

何より走りながら撃つなんてことは出来ないだろうし、動作すらなかった。

なのに弓兵の頭に矢が刺さっている。


「どういうことだ?」という疑問を持っている間にもチビは後衛に近接する。

何も持たずにどうやって攻撃するのだ、と思った瞬間に下僕が6体まとめて崩れ落ちた。

全員腹に穴が開いている。

そうこうしている間にもさらに走りより、残りの弓兵に近接したかと思うと矢の弾幕が降り注ぐ。

たまたま難を逃れた1体は蹴り飛ばされ宙を舞う。

あの小さな身体でどうすればあんな威力になるのだろうか。


我等の後方戦力をものの数分で全滅させたかと思えば休む事無く前線に参加する。

先の数分で我等の前衛が押し込み始めた。

だから今更遅すぎるだろうと眺めていると、そんなことは無い。

縦横無尽とはこのことだろうか。

必殺の一撃を入れようとする下僕を背後から切り捨てる。

しかもついでとばかりに満身創痍だったやつらを回復までしていく。

多分あの小さな入れ物に入った液体の効果なのだろう。


あのチビが戦線に入るなり急に数を減らしていく下僕共。

チビは危険な戦線を…綻びを察知して的確に処理している。

この戦況を高みの見物している我と同じ視点を持っているのかと一瞬疑う。

いや、それどころではない。

このままでは全滅してしまう。


まだ20匹ほども残ってるやつら相手に、我だけで戦うのは流石に厳しい。

この辺りで颯爽と登場して全てを押し流してやろう。


しかしまたチビが我の前に立ちはだかる。

先程見た不可思議な攻撃。

気が付けば矢を射られ、腹に穴を空けられ、剣を持っている。

全くもっておかしなやつだ。


そいつが我に切り込んでくる。

初撃は小手調べというヤツなのだろうが、余りにも軽すぎた。

余りの軽さに誘いを疑い追撃しなかった。

あの軽さは一体何なのだ。

アレだけの軽さで我等を一刀の下に断ち切るなど可能なのかと思う。

そうしてお互いが少しの様子見と、しばしの静観の後、我から攻撃を仕掛けた。

色々考えた結果、あの程度でしかないと判断したのだ。

我の攻撃を止められるはずなどないのだから。


だが我が振るう斬馬刀を悉く躱す。

ヤツは何者だ?

射程に入っているのに、微かに届かない。

見切られているというのか?


そうこうしている内に攻撃を止められる。

またあの急に出てくるやつだ。

しかも今回は盾を持ち出していた。

捕まえたと思って放った、断つための攻撃は流石に止められずに振り切ってしまう。

当然刀は盾に弾かれた。

が、ヤツが持つ盾も弾いてやった。

これで戦況は五分…いや、我の方が武器を持つ分有利だ。


が…何故だ?

我は何と戦っている?

我の腰にも満たないチビを相手に、何故我が苦戦する?

いや…苦戦どころではない。

一方的に押し込まれているではないか。


盾の策で戦況を見誤り、それからはずるずると防戦一方だ。

一度でも割り込めれば我の攻撃力なら逆転できるが、その隙が無い。

隙どころではない。

何処にも攻撃の切れ目が無いのだ。

これでは割り込むことなど不可能だ。

どんどん姿勢を、余裕を切り崩されていく。


勝機を悟ったのか、一気に攻撃の密度が増す。

アレだ、下僕に穴を開けたあの攻撃だ。

アレが来るッ!

何とか致命傷は避けた。

一度でも見ていたから助かった。

もし初見なら確実に死んでいた。

今回も、本当に命を拾ったに過ぎない。


しかしその代償は大きい。

腕には穴が開き、鎧は鎧の体をなしていない。

自慢の刀も刃毀れさせられ、息も整えられていない。

反射的に宙に浮いたチビを穴の開いた左腕で殴り飛ばせたのは僥倖だった。

15分にも及ぶ全力行動を強いられた身体は悲鳴を上げる。


足が重く、腕が上がらぬ。

だが、ここで殺さねば。

せっかく…いや、ようやく攻撃が出来て、当たったのだ。

いくら穴が開いて力の入らない左腕だといっても、チビとは威力が違う。

生きているかもしれないが、立ち上がれるはずなど無いのだ。


いや…生きているか、死んでいるかなど既に関係ない。

とても些細な問題だ。

どちらにせよ完全に息の根を止めねば危険だ。

これはそういう油断を排除する戦いだ。


止めを刺すべく、深い沼にでも足を突っ込んだかのような重みのある足を踏み出す。

ゆっくりと近付くと身体が動く。

やはりヤツはまだ生きているらしい。

早く、早く殺さねば。



理熾は目の前のハイオークを睨む。

身長差は約3倍弱。

体重や筋力はどれくらい違うのか分からない。

だが、これを倒さねばならない。


亜空間は至近距離しか開けない。

しかも虎の子の投剣は威力が高すぎ、またハイオークが固すぎて貫通してしまう。

それはオークアーチャーでも同じだったのだから、当然の結果だ。

むしろ貫通できる武器(投剣)が凄いのだ。


だが貫通するということは、命中箇所によって火力が変わるということだ。

射線さえ見極めれば重傷も即死も免れる。

アレだけ準備して避けられたのだ。

投剣をただ飛ばしても当たらないし、当てたところで致命傷には程遠い。

ならばどうするか…理熾は決断する。


ハイオークとの距離が縮まる。

理熾から動くことは出来ない。

身体に力がまだ戻らないのだ。

そう思った瞬間に少し身体が軽くなった…気がする。

徐々にではあるが回復をしているようだ。

これで少しは動ける。


距離は5mを切り、1歩でハイオークの距離になる。

射程に入ればお互い一瞬だ。

相手は動かない理熾を不審に思っているかもしれないが、知ったことではない。

少しでも身体を回復させねばならないのだ。


3m…ハイオークは斬馬刀で攻撃してくる。

最初の精彩は無い。

それでも理熾には荷が重い攻撃だ。

ハイオークは既に勝利を確信しているようだが、そんなことは無い。


その初動を見て理熾は動く。

まずは初速の付いた紅蓮鉄鋼の斧を取り出し、身体を回転させながら振る。

保存された勢いは一撃目に限り、攻撃速度は元気な状態だ。


ハイオークは目を剥きながらも斧を切り落とす反応をする。

理熾はぼんやり「流石だな」と思いながら、次の手を打つ。

紅蓮鉄鋼製の斧の背に直撃する位置。

そこに総紅蓮鉄鋼で最大速度の投剣を放つ。

体術、武神の補正と、理熾の身体能力がどれほど高くとも、投剣よりも早く動けない。

だから、斧の背を投剣で攻撃して加速させる。

「ドゴン!」という壮絶な激突音と共に加速した。


「ぐぅッ!!」


肩が外れそうだ。

腕が千切れそうだ。

手首が抜けそうだ。

いや、身体が一緒に飛んでいく。


ハイオークも切り落とすつもりだったので、斬馬刀は斧の軌跡上にあるし、身体も同じくだ。

投剣を受け、超加速と壮絶な破壊力を宿した斧は壊滅(デストロイ)という特性の名にふさわしい破壊を齎す。

紅蓮鉄鋼製の斧は斬馬刀諸共ハイオークを轢く。

そう、まさに轢くという言葉が正しいだろう。

斬馬刀は千切れ折れ、ハイオークも胴部分が吹き飛んで無い。


理熾は斧と共にハイオークに突き刺さり、5m程も飛び地面に転がる。

力は流石にもう入らない。

意識を手放す直前に理熾が思ったことは「これで休める」だった。

お読み下さりありがとうございます。

ようやくボスが倒されました。

理熾も良く頑張りました…2時間以上走りっぱなしです。

戦闘までこなすなんてマラソンランナー真っ青ですね。

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