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神様のおねがい  作者: もやしいため
第四章:【緊急依頼】魔物討伐
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【緊急依頼】魔物討伐6

ようやくラスボスが登場します。

えらく遠回りさせられた挙句の登場ですが、その能力はピカイチです。


※紅蓮鉄鋼製の槍や剣など持っていませんでした。

 正しくは「黒鎖鋼製」です

 その他ちょこっと修正しました

フィリカの声を聞いて「次は何だ?」と身構えていると黒いオークが現れた。

身の丈3m以上で、理熾の3倍近くの身長がある。

しかも右手に斬馬刀と呼ばれる長大な片刃の刀を持っている。


直感で「あいつが主犯だ」と悟る。

ウッドウルフ約70、オーク約80、計150体もの魔物を率いて来たのはこいつだと。

だからこれだけオークが数を減らされても攻撃してくるのだ。

オークの残りは20体くらいなのだから、とっくの昔に壊滅状態だ。

知能があろうが無かろうが、これだけ濃厚な死のニオイが分からなければ生きていけない。

けれど、それを圧してでも逃げない理由が、あれだったのだ。

オークやウッドウルフにしてみれば、最初は行けば天国(獲物が手に入るから)、逃げれば地獄だった。

今はもう行くも逃げるも地獄しか残っていない。

そう思えばオーク達も可哀相に思えるから不思議だ。

同情はしないが。


---+---+---+---+---+---+---+---+---

種族:ハイオーク(亜種)

Lv :42


スキル

パッシブ

刀術Lv5

剛力Lv6

肉体強化Lv3


アクティブ

刀技Lv4

魔闘技(まとうぎ)Lv4


ユニーク

統率者Lv3

---+---+---+---+---+---+---+---+---


ユニークスキルまで持っているらしい。

それにしても統率者とは。

何ともお似合いのスキルを持っている。

これだけの手下を引き連れてきたことを思えばそれくらいあるだろう。

それにしたって多すぎだろう。

すぐにフィリカに聞く。


「剛力、魔闘技ってスキルに聞き覚えは?!」

「うん?

 あぁ…あのハイオークか。

 剛力は腕力強化のようなもので、筋力を強化する。

 魔闘技は…って、そういえばリオ君は使って無いな?」


「魔闘技なんて知らないよ!」

「そ、そうか。

 魔闘技は魔力を使った肉体強化技術だ。

 付与のように体の表面に魔力を纏わせる者も居るが、基本的には魔力を体内で循環させて内側から強化する」


「てことは…あのオークって超固いんじゃ…?」


と絶句する。

スキルのほとんどが物理的な攻撃力・防御力の底上げをするものだからだ。


「リオ君。

 ヤツのスキルを教えてくれるか?」

「…パッシブ:刀術Lv5、剛力Lv6、肉体強化Lv3。

 アクティブ:刀技Lv4、魔闘技Lv4。

 ユニーク:統率者Lv3

 これがあいつの持つスキル一覧…ちなみにLvは42」


せっかくここまでやってきたのに、こんなものが戦場に現れたら蹂躙される。

理熾以外の討伐者が弱いのではない。

このハイオークが強すぎるのだ。

他のオークを放置してでも、こいつを倒さないといけない。


「リオ君、私がやるぞ。

 流石に手に余るだろう?」


とてもありがたい申し出だ。

この場に居ないが、あいつをフィリカに頼めばすぐに終わる。

戦況が優位に動いている今なら、他をものの30分程で鎮圧できる。


「………フィリカさん。

 ハイオークの特徴をお願いします」


少しの黙考の後、理熾は戦う決心をする。

出来なければ仕方ない。

だがまだ戦ってすらいないのだ。

せめて一矢報いるくらいの頑張りはしたい。


「頑固だな?」

「そうでもないですよ」


フィリカには見えていないだろうが、にへらと笑う。

別に命を賭けるつもりはない。

だが、何もしないまま終わるのは嫌なだけだ。

人に任せる、人を使うというのは今回十分やった。

理熾自身も十二分に働いたつもりだ。

だからこの場をフィリカに預けてもきっと誰も文句は言わない。

けれど理熾は納得できないのだ。


「ハイオークは単にオークの強化版だ。

 しかし聞く限りではかなり上位の魔物になっている。

 そもそも剛力Lv6の魔物なんてオーガ以上だ。

 恐らく速度もかなり速いだろうから気をつけろ」


それを聞いて走り出す。

今の最高火力は紅蓮鉄鋼製の投剣。

発射準備が整っているのは残り8本。

それか壊滅(デストロイ)が付与された斧。

どうなるかは分からないが、戦うしかない。


「おぉぉぉぉ!!!」


声を張って横合いから切り込む。

初撃は剣で思い切り、振り切る。

するとハイオークはあの馬鹿でかい斬馬刀を軽快に振り、綺麗にいなす。

やはり刀術Lv5は伊達ではないらしい。


理熾の体勢は簡単に崩され、しかも自身の勢いを殺せぬまま吹き飛ぶ。

幸運だったのは単に力の方向を変えられただけなので、勢い良く宙は舞うがダメージは無い。

そしてその余りの軽さにハイオークも加減が分からなかったらしく、追撃を戸惑う。

理熾が自分で飛んだのか、理熾を飛ばしたのかの判断がつかなかったらしい。

そのお陰で追撃は無かったものの、力量差に理熾は動揺しかない。


 うぅ…まさかあんなに綺麗に力の向きを変えられるなんて!

 いや、違う…僕が下手なんだ。

 分かってはいたけど、ここまで差があると笑えてくる!


吹き飛ばされつつも空中で体勢を整える。

こんなアクロバティックな動きが出来るのも全て体術のお陰だ。

着地の際に靴に魔力を通して重量を増して即座に踏みとどまる。

今出来ること、出来そうなこと、そして倒す算段を考える。

考えが浮かばないならフィリカに頼むしかないのだ。


 本気で普通に打ち合えば確実に負ける!


どの程度かは分からないが、今までの戦いでレベルが上がったらしく体が軽い。

いくつか分からないのは悠長にステータスなど開いていられないからだ。


 レベルが上がっているのは確定。

 けれどそれでも届かない。


 強化系を取るか?

 いやそんな時間は…いや違う、今しか取れない。

 まだ僕を見極めている段階だからゆっくりなんだ。


剛力(SP50)、肉体強化(SP25)、魔闘技(SP15)と脳裏でスキル取得を起動する。

体感でもレベルが上がっているだろうから、確認もせずに全て取る。

これで多少マシに戦えると考える。

睨み合いは続く。

これが最初で最後の作戦会議かもしれない。


 僕にはフェイントとかを入れるような技術は無い。

 僕が出来るのは奇襲、不意打ち、意表を突く。

 戦い方も我流だし、不意打ちくらいしか多分まともに戦えない。

 不意打ちを打てる方法を考えるんだ!

 全部僕の手数の多さがあるから出来ること。

 発想を飛躍させろ…手数が多いなら、組み合わせも多いはずだ!


今亜空間を同時に開ける数は3つまで。

残念ながら敵の内部に亜空間を開くことは出来なかった。

ついでに敵の至近距離にも開けない。

どちらかが出来れば一撃必殺を手に入れられたのだが。

矢の残弾は132本、突きの槍、振りの斧、そしてオークから奪った盾が3枚、武器が18振り。

武器の内訳は剣7本、槍3本、斧5本、メイス3本だ。


作戦会議は唐突に終了した。

ハイオークが攻撃に転じたのだ。


ハイオークの攻撃を第三者が見ていると遅いと感じる。

もっと早い獣も居るし、魔物も居る。

何よりもっと早く動ける人が居る。

だが、ハイオークは大きいのだ。


想像すれば簡単だ。

身長が3mと1mの歩幅、どちらが広いか?

当然3mなのだが、動きはどちらも同じなのだ。

縮尺が違うだけなので、早く感じないだけ。

しかし近くでその動きを体感する者は思う。

早くて大きい、と。


まさにハイオークはそういうタイプだ。

縮尺さえ同じなら対処は出来る。

だが、違うくせに同じように見える速度で動くのだ。

余りにも早くて、規模が違う。


巨大な斬馬刀が振り回されて間合いを潰せない。

そもそも射程距離が違いすぎるのだ。

一方的に攻撃できる間合いで刀を振られ、理熾は逃げ1択である。


「ぐっ!」


直撃も被弾もしていないが、精神力がガリガリ削られる。

体術も武神もフル稼働で理熾を支えているが、分が悪い。


 これは、無茶苦茶だ!

 割り込めるわけがッ!!


そうは思うも、これに切り込まなければただただ刻まれるだけである。

ジリジリと包囲網と呼べるレベルの攻撃が近付いてくる。

そして理熾はスフィアに来て初めて盾を使う決意をする。

といっても、使い捨てだ。

亜空間から盾を取り出し、一瞬だけ身に付ける。

「ギィン!」という音と共に盾が刃を受け止め、盾と斬馬刀が弾かれる。

盾はそのまま吹き飛んでいくが、ハイオークは存在しなかった盾を驚きと共に眺めながら冷静に刀を引き戻す。

いきなり現れて刃を止めたのに、刀はおろか、手首など何処も傷めていないらしい。


 何て頑丈な!


そう思いながらも踏み込む。

ここからは相手の射程内である。

一撃でも防御に転じることがあれば、押し切られるだろう。

常に自分のターンを維持する必要がある。


まず取り出したのはメイス。

体を振りながら攻撃し、途中で手放す。

迎撃するつもりだったハイオークは予想外の行動に戸惑いを見せるが、メイスを斬馬刀で逸らして弾く。

斜め上とほぼ背後からという違う位置から矢を2本展開しつつ、新たに出したオークから奪った剣を振る。

全てが本気の攻撃であり、フェイントだ。

ハイオークも全てを全力で打ち落とす…いや、少なくとも強制的に防御させる。


理熾が選択した戦術は簡単だ。

『物量で押し切る』というもの。

個人では集団に勝つのは難しい。

どれだけの達人でも、2人掛りならばそれぞれに意識を割かねばならない。

3人係りならば3割程しか注意できず、4人掛りなら一人頭25%以下にまで落ち込む。

しかも方法もタイミングも特徴もばらばらなのだから、さらに難しい。


それを理熾は一人で行うのだ。

一人で全てをまかなう以上、連携なんて呼べるレベルではない。

全ての攻撃が連携目的で、必殺だ。

手数は最低でも3倍…あわよくば4倍。

通常攻撃で1人分、引き戻しが不要で2人分、後衛の援護(亜空間発射)で3人分、武器の切り替え・使い捨てで4人分。

圧倒的な手数と在庫で押し切る。

しかも切札(ジョーカー)として紅蓮鉄鋼製の投剣8本。

流石にこの武器でダメージが通らないなら倒せない。


この手数、在庫による引き出しの多さがハイオークに対する答えである。

しかも先程までと違い剛力、肉体強化、魔闘技を手にしているのでハイオークも攻撃を無視できない。

全ての攻撃はきっちり防がなければ理熾に手傷を負わされるのだ。

そして少しでも被弾すればそこを起点に押し込まれてしまう。


大きな図体で綺麗に矢を躱し、理熾の剣戟を切り上げる。

理熾は矢を外した時には剣を手放している。

当たらない時点で剣を弾かれると判断したのだ。

すぐに突き状態の黒鎖鋼製の槍を抜き放ち、追加で改めて角度を変えて2本の矢を放つ。

ハイオークは先に槍を刀で逸らしてやり過ごし、矢を危ういながらも防具で弾く。

そうして少しずつだが攻撃を躱しきれないようになっていく。

余りの波状攻撃に対処が追いつかなくなっていく。


 しぶといッ!

 せめて負傷を!

 今は僕が仕掛ける側だからまだ良いけど逆転したら死ねる!


極限の集中力の中、理熾は危機感を持つ。

これだけやっても1撃も皮膚を削れない。

全て鎧や手甲などの防具、そして刀によって阻まれる。

まだたった10分ほどの戦闘なのに、矢を80本以上も費やして一度も被弾しないなんて異常すぎる。

「的はあんなにでかいのに」と攻め立てる中で歯噛みする。

それでも少しずつだが体勢は崩れてきている。

後もう一押し…だが、それまで在庫が持つかは分からない。


そんな綱渡りな戦闘を追加で5分も続け、ようやく手に入れた勝機。

オーク製の鉄武器、矢、そして黒鎖鋼製の槍と剣を代わる代わる使い回して体制を崩しきった瞬間。

理熾はここぞとばかりに回転数を上げる。


「いっけぇぇえッ!」


虎の子の紅蓮鉄鋼製の投剣を、1本放つ。

同時に3つまで亜空間を開けるから、一緒に矢を1本と目隠し用の盾をハイオークの眼前に1枚。

しかも一瞬の時間差で投剣の2本目、さらに矢を1本、そして黒鎖鋼製の槍で突き込む。

さらに投剣をもう2本、矢を1本追加してほぼ同時の3連撃の3セットを叩き込んだ。


が、ハイオークは生きていた。

放った矢は刺さる事無く悉く足元に落ちていた。

投剣も同じく地面にめり込んでいた。

けれど槍を逸らせたせいで斬馬刀は欠けた。

投剣を躱しきれず、鎧で受け流したのだろう…大きく亀裂が入っていて鎧と呼べない状態だ。

左腕には投剣の被害である、大きな貫通痕があるものの、立って、そして生きていた。

その姿に理熾は息を呑み、「何故アレで生きていられるんだ」と思う。

その瞬間が隙だった。

ハイオークは見逃さず、穴の開いた左腕で攻撃の為に宙に浮いていた理熾を殴り飛ばす。


理熾は反応すら出来ず、「ゴンッ!」という音と共に20m程宙を舞い、地面に叩きつけられ転がる。

ハイオークの攻撃は余りにも重く、そして理熾は軽かった。

奇しくもこの一撃がスフィアに来てから魔物から受けた初めてのダメージである。

そして重過ぎるダメージだった。


気が付けば地面に倒れていた。

視界がぐらぐらと揺れる。

殴られて痛いはずのお腹が穴が開いたように無感覚だ。

「これは立てない」理熾はそう実感する。

身体中の感覚がとても遠い。

回らない頭が回復が必要なことを訴える。

しかし亜空間に回復薬の在庫は存在しない。

オーク達を足止めしていた最前線で味方に使い切ったのだ。


 あぁ、やっぱり一撃でひっくり返されたなぁ。


ぼんやりと思うことはそんなこと。

この結果は叩き込んだ決め手が至らなかったことに対する思考の空白のせいだ。

ハイオークからすればただの隙かもしれないが、理熾にとっては全く違う。

全力で身体と思考を酷使し続け、ようやく入れられた息継ぎだったのだ。

あれだけ過酷に動き回り、たった一人で物量戦を仕掛けた代償(リスク)

それがあの一瞬だった。

気を抜いたわけではないが、気が抜けた。

あれは(理熾)にとって仕方の無い間だったのだ。


 でも…それでも気を抜いちゃいけなかった。

 あそこでさらに追い討ちを入れられるくらいでないといけなかった。


そう反省する。

瞼を閉じればきっとすぐに眠れる。

それくらい疲れ切っているし、身体が重い。

だが寝ている場合ではない。


身体はまだ動く。

動かしづらいだけで、動くのだ。

ならば寝ている場合ではない…満身創痍はお互い様なのだ。

力の入らない身体を無理やりに立たせる。

ハイオークはこちらへ歩き出していた。

早く体勢を整えなければならない。

近寄られる前に頭を回せる程度にならないといけない。

勝てるとすれば、奇襲。

それはさっきも今も変わらないのだ。


 さぁ来い!

 最後の一撃が、どっちが放てるか勝負だ!


力の入らない身体と、ちゃんと回らない頭。

亜空間を開く余力はあるが、自分の至近距離でなければ多分ダメ。

空間を把握する力など最早存在しない。

そんなナイナイづくしの最後の戦闘に備えて、回らない頭をフル回転させる。

お読み下さりありがとうございます。

今回、理熾が初めて魔物相手からダメージを負う被弾を受けました。

一応初めて攻撃を受けたのはウッドウルフだったりします。

まぁ、防具のお陰で被ダメゼロでしたけども。

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