【緊急依頼】魔物討伐2
ついに戦闘勃発です。
苦手な方は読み飛ばしてください。
現在の位置から、3km程ある森に走る。
地球ならこれだけ走れば疲労困憊なのだが、今は体が軽い。
これなら走り続けられる!
今日身に付けた装備の効果だろうか。
MPを使う装備を身につけているので微減してはMP回復速度上昇の効果ですぐに上限に達する。
理熾とはばっちりの相性らしい。
MPが減るのは分かるのだが、HPも同じように微減している辺りが不安に駆られる。
まぁ、そちらも回復速度上昇の効果ですぐに上限に戻るから気にする必要は無いのだが。
森が見えてきた。
すぐさまアクティブスキルの隠密と索敵を併用しながらさらに走る。
森の端へ到達するも、勢いを止めずに進む。
走れば理熾よりも遥かに早いであろうウッドウルフの足止めと囮をしなければならないのだ。
歩いている時間など無い。
そうして森を音を立てず走っているとすぐに敵影が見えてきた。
少し速度を落とし、周りを観察する。
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種族:ウッドウルフ
Lv :14
スキル
パッシブ
身体強化Lv2
闘争本能
アクティブ
部位強化Lv3
連携Lv2
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ウッドウルフの個体差はあるだろうが、とりあえず標準として考える。
体高は1mくらい。
大型犬クラスで牙も大きくかなり怖い。
毛は茶色と緑を合わせたような不思議な色をしていて光の当たり加減で色が変わるため発見しづらい。
恐らく森の色と同化するように色合いが変化しているのだろう。
斥候の話ではこいつらが30体。
でかくて、早い狼なのだから、真正面からやり合うなら袋叩きだろう。
下手すると小型犬ですら手首を食い千切るのだから。
囲まれたらフルボッコだろうなぁ…群行動用だと思える連携ってのがあるし。
けど端から倒して回るってのも無理…。
うん、しょうがない。
使い捨てになるけど1本撃っとこう。
敵に僕の危険性を植え込んだ上で突っ込もう。
目の前のウッドウルフではなく、少し奥を移動する方に照準を合わせる。
人間であれば、音の無い狙撃はとても効果的だろうが、獣に対してはどうなるか分からない。
なので「おぉぉぉぉぉ!!!」と理熾は叫ぶという行動を取って注目を集める。
せっかく隠密で接敵したのを台無しにしたかもしれないが、魔物達は急に現れた人間に驚き身を固める。
それが隙になった。
叫び、注目を集めながらも走りこみ、狙撃する。
「ヒュッ」という軽い音と共に水平に発射された紅蓮鉄鋼製の投剣は、あっさりとウッドウルフを爆散させて突き進む。
射線上に居た3体を「バツン!」という壮絶な音と共に骸に変え、その爆散させた肉片が周囲のウッドウルフを吹き飛ばす。
至近距離で散弾銃を放ったかのようなまさかの火力で、計10体が重軽傷を負って転がる。
斥候が伝えた戦力の3割を一撃で負傷させた計算だ。
えぇぇぇぇ!!!
何ぞこれ!?
たまたま射線上に居たウッドウルフを巻き込み、しかも爆散したため被害が拡大したとはいえ。
余りの火力に内心驚く理熾。
だが驚いている時間は無いとばかりに、勢いのまま駆ける。
今のウッドウルフは混乱中で動きが固くて的だが、時間が経って立ち直られる前に出来る限りの損害を与えねばならない。
一番使い慣れている剣を亜空間から抜き放ち、駆け抜けざまにウッドウルフを切り捨てる。
余りに手応え無く剣が振り切れたので避けられたと思った程だったことにまたも驚く。
フィリカの腕を信じていない訳ではないが、凄まじい攻撃力の増加だ。
これは鉄剣には戻れないね!
そう思いながらも振った剣を亜空間に仕舞いつつ、新たに別で亜空間を開いて矢を1本放つ。
少し遠くに居た、爆散被害を受けて動けないウッドウルフの眉間に刺さり、即座に沈黙する。
一応頭を狙っては居たが、眉間に刺さったのは偶然だ。
この世界でも脳が壊れたら即死らしいと運よく学ぶ。
その間も止まることなく駆け回る。
立ち止まれば囲まれて袋叩きは目に見えているから止まれない。
数を減らすべく、まずは初撃で地面を転がり、未だ立ち上がれて居ないヤツを優先的に狙う。
距離があるウッドウルフを矢で容赦無く屠って行き、手近のウッドウルフは思い切り蹴り飛ばす。
蹴り上げる瞬間に魔力を込めれば硬度と重量が一気に増して、ほぼ衝撃無しにウッドウルフが吹き飛ぶ。
この際も一応密集しているところを目掛けて蹴り込んでいたのだが、それに巻き込まれて更に2体が転がる。
蹴り飛ばされたウッドウルフは二度と動かず、巻き込まれた2体もすぐには動けない。
即座に矢を亜空間から2本発射して頭に撃ち込む。
そのまま一直線に駆け、走り抜けざまに視界に入る敵目掛けて矢を放っていく。
死亡4、命中6、回避4とまずまずの命中率を誇り、突っ切る。
進行方向に2体が並んでいたので勢いのまま、今度は槍を亜空間から引き抜きつつ突き込む。
狙われた2体は抵抗も無く胴を貫通して串刺しになって重傷だが、まだ生きている。
普通なら引き抜くのだが、そのまま槍を突き上げながら亜空間に放り込み、ウッドウルフ達は胴に穴が開いた状態で一瞬宙に浮く。
突き込んだ反対の左腕で2体とも思い切り殴り飛ばし、新たにウッドウルフを何体か巻き込み動きを止める。
巻き込まれたウッドウルフが立ち上がる前に矢を飛ばして沈黙させる。
瞬間、背後から攻撃を受ける。
背中に乗られて肩口をガシガシ噛まれるのだが、『馬に蹴られても無傷』な服には全く歯が立たない。
「凄いな!」と驚きを受けるも、動きを止めれば囲まれる。
というより既に体勢を整えて囲まれ、4体が飛び掛ってきている。
すぐに行動の判断を下し、背中に1体を乗せたまま思い切り体を回転させ、勢いを保管されている剣を抜き放つ。
振るための力が不要なため、一切の力みも無く、まさに身体に沿って回る様に剣が振るわれる。
同時に近接した4体のウッドウルフが抵抗無く上下真っ二つに裂け、背中にくっついていたウッドウルフも引き剥がされて宙を舞う。
引き剥がされ、距離が出来た瞬間に亜空間から矢を放って黙らせる。
これで動きが完全に止まってしまった。
乱戦が初めてという緊張と、激しい運動の為に荒い呼吸をしながらも周りを睨む。
理熾を中心に20m程の距離を空けてジリジリ取り囲む。
どうやらウッドウルフ達は理熾を脅威だと認めたらしい。
くそぉ…。
もう少しいけると…いや、それよりも数が多すぎる!
何だよ30って!
19も減らしたのにまだ50くらい居るじゃないか!
森からわらわら集まってくるのを見て悪態をつきつつも周りを睨みつけるのも忘れない。
ここで気を緩めれば一気に襲われる。
矢は28本、投剣は1本消費。
剣は手持ち、斧はノータッチで槍は突きの勢い保管。
被ダメゼロ、MP消費も多分ちょっとだけ。
体力は使ったけども、まだまだ余裕だ。
肩で息をしながら思考を巡らせる。
初撃で混乱を、追撃で警戒を、そして現在は脅威を与えている。
ここからは一旦撤退した方が賢いと判断して帰り道を探す。
本隊は理熾の帰りを待っているのだから。
あっちから来たから、そのまま帰れれば良いんだけど…囲まれてるからなぁ。
と冷や汗を流す。
周りを50体もの大型犬並みの大きさのウッドウルフに囲まれているのだ。
冷や汗どころではないのだが、理熾の心はそれどころではない。
一手間違えば死ぬという、余りの緊張で心が動かせない。
良い意味でテンションが高い。
このまま待ってたら完全に囲まれる。
突っ切ってきた方を逆戻りすれば敵の数はまだ少ない。
包囲網が完成していない今しか、帰れない!
今の機会を逃せば後は泥沼の殲滅戦である。
恐らく倒し切れるだろうが、今の無傷を維持したいなら退くべきだ。
それに時間も掛かる。
そう判断して、決断する。
投剣を飛ばせば楽に突っ切れるが、それはしない。
こんな弱い理熾が拙いながらも蹴散らせる雑魚に放つものではない。
何より使い捨てて良いシロモノではない。
「ふぅ」と呼吸を整えて動き始める。
走るのに邪魔な剣は亜空間に仕舞って1歩目は目の前へ、2歩目は全力で方向転換して目的の方角へ。
一度フェイントを入れたため、一瞬だけウッドウルフの行動が遅れる。
機を見逃さず、3歩目以降は全力疾走だ。
「どけぇぇぇええええ!」
しかも最初と同じく声を張って威嚇する。
いくら無手の理熾を目の前にしても簡単には跳びかかれない。
そもそも殴ってくる相手に『武器が無いから』という事にはならない。
拳ですら味方を何体も失っているのだから。
それに目の前で武器を出し入れする上に矢まで放ってくるのだ。
簡単には仕掛けられない。
正面に居るウッドウルフ達は怯えて跳び下がるが、背後は逆に勢い良く追いすがって来る。
邪魔になりそうな前面に惜しむことなく矢を放ちながら森を駆ける。
森を抜ける後20m程のところで背後に気配が近付く。
亜空間から斧を抜き放ち、全力疾走のエネルギーを右足一本で支え、全ての勢いを斧に乗せ変えて振り回す。
重量のある斧を振り回すエネルギーに、前進エネルギー全てを乗せ換えたので右足が地面にめり込むが瞬時に停止。
思いの他速い速度で斧を回転させて背後のウッドウルフに命中する。
まさか全力疾走からのフルブレーキで止まるとは誰も思わない。
完全な不意打ち状態で斧の一撃を2体が同時に受けてバラバラになって吹き飛ぶ。
更に背後のウッドウルフが凄い勢いで肉片を被って被害が拡大する。
一回転しながら背中の脅威が去ったと判断して勢いをそのままに亜空間に斧を放り込んで走り出す。
こうして理熾は囮の役目を果たして森を抜ける。
後は平原で待つジン達へ駆け込むだけでとりあえず完了だ。
理熾が出発してからまだ20分ほどしか経っていないから戦況はまだ進んでいないはず。
どう料理するかは知らないが、そこまで行けば一旦休める。
そう思い理熾は駆ける。
援護まで後1kmくらいだ。
「リオ君、そっちはダメだ。
連れて行くと向こうが決壊する」
不意打ちで告げられたそんな言葉に驚きを隠せなかった。
お読み下さりありがとうございます。
これから暫く戦闘シーンが続きます。
それほど過激にするつもりはありませんが、気をつけてください。




