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神様のおねがい  作者: もやしいため
第四章:【緊急依頼】魔物討伐
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緊急依頼2

未だに理熾のスフィア知識は偏り…というかほとんどありません。

今後【神託】報酬で手にはいるかもしれませんが、今のところはフィリカやセリナといった大人が頼りです。

今回も色々便宜が図られます。

とにかくすぐに受付を済ませる。

場合が場合だし、時間が時間だ。

まさか発令から、出発まで7時間しかないとは思わなかった。

いくら緊急とはいえ、装備のメンテなどは時間が掛かる。

掛かり付けが居たとしても下手をすると順番待ちだ。

たった7時間で全てを終わらせなければならないとは、無茶苦茶である。

しかも作成会議開始から、行動開始までが3時間である。

会議がまとまらなければ会議を終えてからの準備がゼロの状態で出陣だ。

まだ知恵の無い魔物だから良いものの、知恵のある人間相手なら100%勝てない。

ここまで接敵されるまで気付かないというのも類を見ないだろうが、余りにもひどい話である。


 だから【神託】が割り込んだのかなぁ?

 てことは神様視点でも急だった、ってことになるんだけど…そんなことある?

 ………あの神だしなぁ…『ドジっちゃった☆』とか言いそう。

 ついでに『後はよろしく♪』的な。


「ありえる」と溜め息をつく。

今に始まったことではないものの、まさかスフィア人レベルでの反応速度とは思わなかった。

神様の癖に先読みが出来ないとか、準備が出来ないとか、残念で仕方ない。


 あれ?

 確か何をやっても詰んでるって言ってたような?

 てことは先読みが…いや、少なくとも予想が立てられるってことだよね…?

 何で【神託】が遅れるんだろ…?


疑問は尽きない。

というより神様に関わったら疑問しか増えないと思い直す。

今あることを、しっかり終わらせようと心に決める。


何より今回の【神託】は時間が余り無いので急がねばならない。

とにかく一度フィリカのお店へ急ぐ。


「フィリカさん、やっぱり緊急出てました。

 お昼には一度作戦会議に出ないといけません」

「昼、だと?

 発令から3時間程度で締切ということか?

 そうなると参加者がかなり限られるのでは…?」


「ですね。

 たまたま居た人たちばかりですから」


そうなのだ。

討伐者に限らずスフィア人は朝も夜も早い。

夜に明かりをふんだんに使うことが出来ないのだから当然だ。

それに夜にわざわざ何かをしなければいけない理由も無い。


それが午前中とは言え、朝も早いとは言えない8時に募集して昼の12時には作戦会議。

この間ずっと仕事中の時間である。

ちなみに確認等の混み合いが酷く、今は既に11時である。

今回のように、間に合う者達は休日にしていたか、休養を取っているかのどちらかだろう。

どちらにせよ仕事をする日では無いのだ。

これでは集めることすら難しい。

せめて1日あれば帰還者を交えられるのだが、帰ってくる頃には出発だ。

そのまま参加してくれるならありがたいが…疲労困憊で参加されても足手まといでもある。


「それで、その人数も揃わない討伐にリオ君は参加するのか?」

「うん、そのつもり。

 フィリカさんどうする?

 今回の依頼ってかなり危ないと思うけど」


と理熾は経緯を推測混じりに話す。

ふんふんと内容を聞いていくフィリカの顔色は何故か明るい。


「いやいや、それだけ分かっていて何故参加する?

 リオ君のランクなら参加しなくても問題ないだろう?」


ランクで言えば全く問題が無い。

実際に理熾の戦力は誰も知らないのだ。

辛うじてセンガが理熾に敗戦を経験しているので、今の討伐数に納得するだろう。

しかしギルド員を含めた大概の者は理熾が一人で倒していると思っていない。

それこそライやノルンのように侮っているはずなのだ。

それを「わざわざ助けてやる必要は無いだろう?」というのがフィリカの見解だ。


「まあね。

 でもこれも機会(チャンス)かなぁと」

「どういう意味だ?」


「いやほら、僕って舐められてるでしょ。

 ライさん、ノルンさんも僕見てお使いだと思ってたし。

 別に地位を求める訳じゃないんだけど、ちょっとくらい見直してもらわないとさ」


苦笑いしながら告げていく。

そろそろ実力を見ろよと周囲に示すために。


「なるほど。

 確かに…侮るのは勝手だが、それでリオ君が不利益を被っても、ということか」

「そういうこと。

 あ、それに今の装備ってフィリカ印でしょ?

 ここで僕が活躍すれば良い宣伝になると思うんだよね」


そういってフィリカを釣る。

今回の討伐はどう考えても戦力不足だ。

時間も人も物資すらも恐らく足りていない。

それでも、討伐は行われる。

例え自殺に近くとも。


 少なくともアルスという街レベルの問題なんだよね。

 僕個人がどうやったって如何にもなら無い可能性の方が高い。

 そう、僕個人なら。

 けどフィリカさんは精霊魔法を持っている。

 センガさんが言うには精霊魔法は規格外らしいからね。

 頼るわけじゃないけれど、せめて戦場に立たせられれば火の粉(討ち漏らし)位は何とかしてくれると思うし。


既に理熾はフィリカに全幅の信頼を置いている。

素晴らしい装備は勿論、戦力としても、知識としても有能なのだ。

同じ場に立っているというだけで安心するのも仕方が無い。


だが逆に同行が無くても良いのだ。

理熾は自ら進んで危険に首を突っ込むのだから。

何より無関係なフィリカが安全に過ごしてくれるのが最善だから。


「良いだろう。

 リオ君の勇姿を見物に行くとしよう。

 あ、それとこれを餞別に持っていくといい。

 まだ取立てが済んでないんだから、絶対に、死なないようにな?」


そういって渡されたのは今朝話した靴である。

運動靴とは違い、ブーツというべきか…軍靴というべきか。

そもそも防具ではなく、武器になっているのが伺える。


「靴底や膝、脛周りの合金部分は紅蓮鉄鋼と黒鎖鋼で強度と衝撃吸収の両立を行っている。

 紅蓮鉄鋼が重過ぎるから、比率は黒鎖鋼の方が圧倒的に多いがな。

 それに跳飛石(ちょうひせき)と呼ばれる、重量を軽くする石を使って軽さを重視している。

 だがそれだけだと攻撃時に重さが足りなくなるという弊害が出てくる。

 対策として魔力量に応じて硬度と重量を増す荷重硝(かじゅうしょう)もあしらっている。

 魔力を使うので銀鎖糸と、魔縛糸はセットで、もののついでなので零燃糸も織り込んである。

 これで対刃以外の効果を持つからかなり使い勝手がいいと思う。


 後、見ての通り丈は膝まで。

 手甲を見本に動きやすさと強度を両立させてある。

 そいつの機構はかなり面白い形になっていて、衝撃を受け流すように出来ているんだな。

 しかも全てを受け流すと攻撃できないから、衝撃を流す先を変更してる。

 防御の際は外へ、攻撃の際は敵へと言う風に、衝撃を流すように作られている。


 そしてこれで重さをほぼ0に調節してある。

 重さが必要な時は重くしたいだけ魔力を通して重量と硬度を増すといい」


何と言うか圧巻である。

朝に依頼して、昼には…というかわずか数時間で出来上がる特注品(オーダーメイド)とは何なのだろうか。

どんな専属でもココまで仕事は速くない。

何より完成品の品質が異常に高い。

理熾よりもよっぽどフィリカの方が規格外である。


「え…これは…高級品過ぎるのでは…」

「値段で言えばな。

 だが分かると思うが、今朝渡した服や武器と同じ材料を使ってる。

 材料の追加は跳飛石と荷重硝くらいだ。

 糸にしても余剰分があったから、組み合わせているしな」


この出来栄えで余りものの寄せ集め宣言をしている。

だがどう考えてもそんなレベルの品ではない。


「くく…気後れしたか?

 問題ないぞ、今回の緊急依頼でいいところを見せてくれれば減額してやる」


そういって優しく笑う。

何とも剛毅な生産者である。

自らの武具に誇りを持ちつつ、値引きを行うと言う。

だから頑張れよ、と。

見物料を取れるくらい、魅せろよ、と。


 うっわぁ…何というプレッシャーの掛け方するんだ…。

 死ぬ気は無いけどこれじゃ死ねないし、期待に見合わなかったら取り立てられるじゃないかっ!


そう思って理熾は笑顔が引きつるのを感じる。

そして状況は待ってくれない。


「さて、リオ君。

 この靴にご不満は?」


自信満々を隠そうともせずに聞いてくる様が何ともいやらしい。

断られる可能性など微塵も持っていないくせに、質問するのだから。


そんなフィリカに対する返答は一つしか思い浮かばなかった。


「ありません。

 ありがとうございます」

「毎度あり」


何にせよ性能(スペック)のごり押しで買わせる(しかも時価(値段未定)で)とは何とも無茶な商売人である。

お読み下さりありがとうございます。

フィリカによる便宜はとてもめんどくさい形をとります。

フィリカの価値観を納得させれればそれでよく、それが出来なければ吹っかけます。

なんという悪徳商人でしょうか。

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