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神様のおねがい  作者: もやしいため
第三章:始まりの街
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装備の新調2

ついに装備を更新します。

装備の名前を考えるのって楽しい反面、物凄く頭をひねります。

効果を持たせれば万能すぎるし、効果がなければ使わない。

どれぐらいがちょうどいいかが分かりません。

ですがその辺りフィリカの高スペックがカバーしてくれるのでありがたいですね☆

翌日になり、フィリカのお店へ向かう。

ようやく身形が整うかと思うと感無量である。


 きっとフィリカさんのことだから調子乗っちゃうんだよな~。


と、会って間もないというのにフィリカの性格を把握している。

あのタイプは凝り性で、制限が掛かるか、上限を設けないかの問題を渡すと喜ぶ。

制限が掛かれば制限内の最上位を目指すし、上限が無かったら納得いくまで打ち込むのだ。

変に「これがいい」とか言うよりは自由にさせる方が結果が良い典型である。

ちなみに理熾もそのタイプなのだが、当人達はお互いに気付いていない。


ウキウキしながら店に着くと、ノルンが店番をしていた。

朝も早いのに住み込みで働いているのだろうか?


「おはようございます」

「あ、リオさんおはよう。

 師匠! リオさん来ましたよ!」


店内に大声で叫ぶ。

ノルンが大声とは何とも似合わないと思ってしまう理熾。

どちらかというとフィリカを呼びに行きそうだったのだ。


「五月蝿いな、聞こえてるよ。

 いらっしゃいリオ君。

 用意できてるんだが、いくつかの質問と最終調整をお願いするよ」

「はい、よろしくお願いします」


「まずは投擲武器から。

 依頼内容は重くて丈夫で投げやすいモノ。

 投げやすさは形状で、丈夫さと重さは材質で対応している」


そう言って投擲武器(投げナイフ)を取り出した。

フィリカが用意したのは紅蓮鉄鋼(ぐれんてっこう)と呼ばれる、暗めの赤色の合金を使った物だった。

紅蓮鉄鋼は金属の中でも重く、粘りもある金属なのでとても丈夫である。

反面、固く粘りがあるため加工が難しく、重量があるので携帯性に向かないという弱点があるらしい。

鍔等は無く、形状は両刃の直剣のミニチュア版といった形か。

柄の部分は短めで、紅蓮鉄鋼の土台に丈夫な布を巻いて更に何かで塗り固めて滑り止めにしてある。


「おぉ…超カッコイイ…」


理熾もこういう武器が嫌いなわけではない。

むしろ男子としてとても興味がある。

機能美は勿論、かっこよさはとても心をくすぐられるのだ。


「そう言って貰えるとありがたいな。

 色味は金属の色なので、変えられない。

 変えてしまうと特性が無くなるので仕方ないんだ」

「特性って?」


「重量のせいで初速が出ないんだが、加速(アクセル)の特性がある。

 助走として少し距離は必要だが最終的な攻撃力も速度も紅蓮鉄鋼が勝る。

 まぁ、鏃としては重すぎて扱えないんだが、リオなら使いこなすだろ?」

「おぉ…凄い。

 まさに欲しい性能だ!

 って…でも物凄い重いね…」


約15cm程度の刀身の癖して、恐らく5kg以上ある。

この重量だと鉄アレイを投げるようなものだ。

どう考えても肩の方を壊しそうなものだが、スフィア人なら投げれないことは無い…のかもしれない。

だが戦闘中に投げるようなものでも無いし、持ち歩くような重量でもない。

なんというか本当に矛盾した武器である。

それにしても見た目と重量のギャップが半端無い。


「携帯武器の癖に携帯できないという致命的な武器だな。

 リオ以外はこれを見たら馬鹿にするだろうが、むしろ君用だと思えば良い。

 ちなみに総紅蓮鉄鋼で作った剣は重すぎて誰も扱えなかった馬鹿エピソードがある。

 割と細身の剣だったのだが、重量は確か250kgオーバーだったか…当然持ち上がりすらしない」


その剣を作った人は一体どうやって剣の形に仕上げたのだろうという疑問が浮き上がる。

が、まぁ…変人は何処にでもいるのだろう。

やろうと思ってやれないことは余り無いのだから。


「さて、次に剣、槍、斧の3つだな。

 こちらは黒鎖鋼(こくさこう)と呼ばれる合金がメインだ。

 この黒鎖鋼は紅蓮鉄鋼とは真逆でとても軽いんだ。

 重量で言えば鉄の25%程度だろうか…武器としては重さが足りない。

 だから中心は先ほどの紅蓮鉄鋼で作っているが、これは重くするためと強度を上げるために入れてある。

 ちなみに黒鎖鋼は錆び耐性があり整備(メンテ)が楽なのと、切断力に特性がある。

 その分脆いんだが…その辺は上手に使いこなしてくれ」


「まぁ、紅蓮鉄鋼と比べてだがな」と続けて言う。

鉱物や武器の良し悪しなど分からない理熾としては聞いたところで分からない。

使えば多少の体験にもなっていくのだろうが、今までの経験では判断する材料には足りない。


そして武器の取り扱いに関して理熾は素人もいいところなので、刃筋を立てると言うことは出来ない。

オーク戦にしても武器を力任せに振り抜いていただけなのだから、このままだと一撃で刃こぼれしてしまう可能性もある。

とりあえず「使い方学ばないとなぁ」と思いつつ、気になったところを質問する。


「斧も同じくらいの重さなんですか?」

「いや、切り裂く剣や槍とは違って斧はむしろ断ち切るタイプだろう?

 なので逆にしてある。

 総紅蓮鉄鋼だと重すぎるが、紅蓮鉄鋼を中心と表面に、間に黒鎖鋼を入れてある。

 これでかなり重量的な問題が軽減される。

 こうすれば重さの克服、頑強さと加速の両立が行えるからな。

 紅蓮鉄鋼は無駄に頑丈だから、多少使い方が粗くても問題ないしな」


幅広の斧の為、盾として使うことも念頭に入れた作りだそうだ。

超重量と超軽量という、特性が正反対の金属を同時に使うのはとても難しいのだが、サラッと行っているのがフィリカである。

しかも盾として扱った際には黒鎖鋼が衝撃を逃がすためにかなり身体に優しいらしい。

何とも使い勝手の良い斧である。


「おぉぉ…凄い凄すぎるよ!

 ようやく超接近戦(手甲)卒業だよ!

 いや、しっかり使うけども!」

「喜んで貰えて何よりだ。

 そこでこれからが本題だ。

 リオ君は攻撃を受けたことがあるか?」


いきなり良く分からない質問をする。

次は防具の番なのでその為の質問なのだろうか?


「ぁー訓練ならあるけど、実戦では今のところ無傷かな」

「えぇ!?」


今まで黙って成り行きを見守っていたノルンが叫ぶ。

フィリカは五月蝿そうにノルンを睨むが、睨まれたノルンはそれどころではなかった。

討伐者として生きてきて、無傷とは異常にも程がある。

まして昨日オークを目の前で打ち倒している。

単独でオークを撃破出来るのは確かに凄いが、出来る者は多い。

だがあのレベルの戦闘を行うのが日常なのに、無傷なのだ。

訓練をしていたらしいが、実践は最初からあのレベルで戦えていたと言うことだ。

どう考えてもおかしい。


「五月蝿いぞノルン。

 そもそもリオ君が防具をないがしろにしている理由がそれだろう。

 ダメージを受けないのなら装備に頼る必要が無い。

 布の服でも重騎士の聖鎧でも、当らなければ意味が無いのだからな」

「そ、そうは言ってもそんなことがありえるんですか?」


「今、目の前にあるんだから、あるんだろう。

 とはいえ今後も無傷かどうかは分からないから、防具は必要だがな」

「そ…そうですね…」

「アハハ…。

 まぁ、ギルドに登録してまだ10日くらいだし。

 討伐始めたのもまだ1週間経ってないからたまたまだと思うよ」


理熾は謙遜のつもりで言う。

「無傷なのは期間が短いだけで、運が良かっただけだよ」という意味を込めて。

しかしノルンの受け取り方は違った。


「えぇ!?

 それであれだけ戦える!?」

「あれ?

 言い方間違えた…?」

「いや、言い方より何より事実が恐ろしいだけだよ」


フィリカが正鵠を射る。

まさにその通りで、命のやり取りを初めてたった1週間と思う無かれ。

その間ずっと布の服なのである。

オークと対面すれば一撃貰えば即死だし、状態異常系の敵が出れば掠り傷が致命傷になりかねない。

そんな一撃必殺状態での、ノーミスクリアである。

何より一番命の危険があるであろう、最初期をその状態で過ごしているのだ。

難易度設定は自分で出来るとはいえ、リスキーにも程がある。


それを平気で抜けてきたのが理熾である。

紙装甲ここに極まりという感じだ。

第三者視点が抜けているがためにこういうことになる。

ちなみにセリナはまだ討伐に出ていることすら知らない。

何せ布の服だし。


「え? そうなの?」

「…私達生産者泣かせだな君は」


苦い顔で呻くフィリカにノルンはがくがくと首を振る。

装備に頼らない討伐者というのは有能で強いだろうが、その分武具が売れないのだ。

生産者泣かせと言われても仕方ない。


 えぇ…確かに防御紙だと思ってたけどさ…。

 予想以上にまずい状況だったんだね…。

 センガさん指摘してよ!


と理熾はセンガに責任転嫁してたりする。

だが絶対にセンガは悪くない。

防具も着けずに森を歩く馬鹿は(理熾以外)居ないのだから。


「まぁ、これからは違うから良いだろう。

 少なくとも鎧という選択肢は外しておいた。

 リオ君なら服に銀鎖糸(ぎんさし)を織り込んだタイプのもので十分だ。

 そもそもダメージを受けないのだからな」

「師匠、それはどうかと思いますが…」


「問題ない。

 何せリオ君の体格だと直撃するだけで致命傷だ。

 装甲を厚くして受けを前面に出した時点で避けれず的にされる。

 そうなれば致命傷を受けないだけで、転がされて反撃すら出来ずに封殺される」

「おぉ、凄い。

 僕が思ってたことそのままだ」


フィリカの解説に理熾は感嘆の声を上げ、ノルンは納得して黙る。

まさにその通り。

理熾はリスクを減らすためにリスクを被る選択しているのだ。


「それに銀鎖糸は魔力の浸透率が良いし、特性としても優れている。

 特性は流体化で、空気や衝撃などの抵抗を受け流す。

 打撃系の攻撃であればかなり耐性を持たせることが出来る。

 そして織り込むということは、他の糸も扱えると言うことだ。

 何せ糸というのはそれ単体で完成品なのだからな。

 他に使っている糸は3つ。


 1:環境用に零燃糸(れいねんし)

  糸が適温を保ち、織り込むことで寒暖に左右されない服になる。

  温度調整は糸を作る段階で行う必要があり、なかなか扱いが難しい代物だが今回は使わせてもらった。


 2:対刃用に軟鋼線(なんこうせん)

  銀鎖糸と同じく、金属系の糸で切断に対して高い効果を持つ。

  その分重くなるが、鎧を身に着けるより遥かに軽い。

  まぁ…直撃を受ければ切られる可能性があるが、掠る程度なら余裕で弾ける。


 3:保護用に魔縛糸(まばくし)

  元々昆虫系のサンドピークという魔物が狩をする際に利用していた糸を加工したものだ。

  身に着けてる者の魔力を吸い上げる変わりに装備を最適に保つ。

  整備不要(メンテナンスフリー)と言うことだな。

  擦過、ほつれ、汚れなどちょっとしたことなら勝手に治る。

  しかも万全の状態なら最適を守るために強度が上がる。

  ま、その分魔力を吸われるからその辺ちゃんと計算してもらわないと困るんだがな。

  とはいえ、魔縛糸が吸い上げた魔力は銀鎖糸によって服を巡るから、魔縛糸だけよりはかなり効率は良いはずだ。


 そしてこれに銀鎖糸を加えた4種で服を作っている。

 ちなみにほぼ魔道具のようなものになっているから、魔力を通せばある程度までなら身体に合う。

 後はデザインだけだな…美的センスに関しては個人の差がありすぎるから何とも言えないがどうだ?」


と一通りの説明を受けた後に服を渡される。

上着は黒を基調とし、要所に銀と赤のラインと刺繍が入っている。

羽織るように着るデザインで、腹部の左右にそれぞれ布を止めるボタンがついていて、正面から見ると着物みたいに服が重ね合わされている。

首元は衿が立っていて、首をガードしているのだろうか。

更にフードもついている。

丈は正面は腰まで、後ろは膝裏まであり、日本の常識で無理矢理に表現すると物凄く上等なインバネスコートと言った感じ。


ズボンも作業服(カーゴパンツ)のように色々と収納出来るようにポケットがあちこちに存在する。

それぞれが動き回らないようにその上からベルトで固定できるようにもされている。

これだけゴテゴテついているにも関わらず、それほど重さを感じない。

何というか技術の粋というのはこういう事をいうのだろうか。


「おぉぉ…凄い…」

「お気に召してもらえたようだな。

 当然だが上下共に先ほどの4種類の糸をメインに使っている。

 割合などはコチラで勝手に決めているがな。

 あぁ、ちなみに普通の馬くらいになら何処を蹴られても痛く無い程度の強度にしてあるぞ」


「何それ凄い!

 今の状態なら僕の身体に穴が開くと言うのに!」

「いや、その状態なのがそもそもおかしいんだよ。

 さてともかく…一応注文はここまでなのだが、どうだろう?」


とフィリカが問う。

理熾に不満などは無い。

むしろ最低…いや、布の服(マイナス)からの衣替えなので文句が出るはずも無い。


「あ、うん。 大満足です。

 支払え無さそうだけど!」

「くくく…素直で良い子だな」

「師匠…特に最後のはかなりやばいのでは…?」


三者三様の言葉を放つ。

理熾は嬉しいながらも焦りが、フィリカはただただ楽しそうにし、ノルンは予想金額に冷や汗を流す。

とはいえ、理熾の依頼は3万カラドであるわけで、それを超えるのはちょっと問題でもある。


「投げナイフは1本300カラドで、計1500カラド。

 剣、槍はそれぞれ3000カラド、斧は5000カラド。

 3本合わせて1万カラドってところにしておこう。

 防具は流石に足が出るんだが、気にするな。

 3万から1万1500カラド引いた1万8500カラドで手を打とう。


 青田買いというヤツだな。

 次回も来てくれることを祈っているよ。


 これで計3万カラドでどうだ?」


にやりと笑いながらフィリカが告げる値段を聞いていく。

そもそも剣や槍が3000カラドと言うのも信じられない。

何せ特性を持たない高級装備でそれくらいしていたのだから。

何よりノルンが目を剥いている。

「ノルンに商売をさせてはいけないなぁ」と理熾はこっそり思う。

当然答えは決まっている。


「買います」


清々しいほどの即答だった。

お読み下さりありがとうございます。

装備新調編いかがでしょうか。

いきなりの高スペック装備に理熾はたじたじです。

にしても、3万カラド(300万円)を即決で出すとか…。

いくら物が良くても一歩引いて考えると凄いですよね(。。;

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