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神様のおねがい  作者: もやしいため
第十四章:集う三神
400/537

【幕間:開拓地】財務官セルジ・クラインの場合

400話到達記念ということで、セルジによるセリナのためのラボリ開拓の様子をご覧ください。

ラボリを発展させる上で近隣の村への配慮に、道を付ける指示を出して出来たのがあの馬鹿でかい街道か。

恐らくこれは早急にスミレ依存から脱するための第一手。

道さえ付けられれば過度にスミレに頼る必要も無いし、ラボリの周囲を整理するには時間が掛かる。

それらを見越しての指示だが…主にリオ君へ下賜する手続き面で時間稼ぎしたかったわけだな。

目算で半年ほどを見込んでいたのが、その実大した時間も掛けずに作り出した…っと。

これはギルも頭を悩ませるはずだ、と俺は資料を捲りながらそんな風な感想を持つ。


期間にしてたった一ヶ月。

しかもそのままラボリの整備にまで手を伸ばして均して二ヶ月とは恐れ入る。

約2kmにも及ぶ原生林を切り開いて道を作るには流石に短すぎるんじゃないのか?

はは、そりゃギルも慌ててシュフル家を惜しみなく出す訳だ。


で、その費用が…従来の約1/7以下。

本来なら一番高いはずの運送費と次に高い人件費が、材料費より安いとかありえんだろ。

どんな詐欺を働けばそんなことになるんだ?

しかもただでさえ安い人件費の7割強を我が領主様が握ってるとかどうなってる。

どれだけ一般の仕事を奪い取ってるんだ…………いや、そうか。

運送費がまるっと人件費(スミレ)に回されてるのが原因か。


だとするとギルも随分と安く見積もったものだ。

いや、これは日割りと時間割り……か?

そこに作業時間や成果に応じてボーナスも出してるとなると突っ込みにくいな。

小細工が上手くなったものだ。

だが成果報酬と言うには余りにも安すぎるだろギル?

ラボリに着いてから、延々と俺に説明してくれる孫のセリナの声を聞きながら帳簿を眺めて一人心の中で笑う。


『正当な報酬を用意する』


実はそれが一番難しい。

何を基準に『適正か』と判断するのは不可能だからな。

まぁ、ラボリ(こちら)は<空間使い(ディメンショナー)>を使うリスクを負っている。

隠す方法をあちらが提示したのならともかく、この額は現実に見合わないな。

そもそも仕事量に対しての報酬が安すぎるのはいただけんなぁ…いっそその仕事ぶりに超過料金を取るべき案件だ。


「リオ君達の仕事が速すぎて追い付かないんです」


我等が領主の成り上がり具合や配下五人の素性など。

開拓地ラボリに関わる粗方の登場人物の説明と代官業の状況を説明し終えたセリナが零した愚痴。

そりゃそうだ、と俺は思うね。

いっそ追い付くような化け物が居るなら引き抜きたいくらいだ。


リオ君達は本当に力の使い方を心得すぎている(・・・・・・・)

突き抜けた力は、万能に等しい効力を発揮することを卑怯なくらいに理解している。

セリナの話しぶりを聞くに、暴力を制御して伐採や整地に回し、運搬能力の高さをゴミの回収に利用していた。

高い情報収集能力で流通と環境を掌握した上で適切な人材を適切なタイミングで投入している。

それら単一の尖った力を、使い方と関わり方で各方面に影響を与えていた。


だからこそリオ君達を頼れば速度を得る。

が、その反面、参加した時と抜けた時の差が激しく、進捗状況にどうしても緩急が現れる。

今のようにしっかりと事前に日程を組まねば酷いことになるだろう。

その辺を弁えているのがネーブルだが…まぁ、奴はあえて無視することもあるみたいだな。

ギルが貴族に誘ったらしいが、嫌がってるのはその辺りの『融通(ワガママ)』が利かなくなるからだろう。

良いとこ取りとは何ともイヤラシイなやつだ…まるでシュフル家のようだ。


「真面目なセリナにアドバイスをやろう。

 仕事はな、期限と重要度で仕分けるんだ。

 重要なものが最優先だが、その中でも期限が短いものが一番、長いものが二番目に据え置く。

 時間が取れれば残った瑣末なものに手を付けるが、同じく期限の長短で優先順を付け、誰かに回すか付き返すと良い」

「その判断が付きません…」


「そうだな…たとえばこの『警備の必要性』なんかは期限が長く重要なものだ」


机の上に積まれた書類の中から一枚引っ張り出してセリナに見せる。

内容は『早急に魔物に対抗する戦力の融通』というもの。

日帰り仕事にして手は打ってあるとはいえ、昼間に襲われれば少々心許ないのは仕方ない。

実際は未だに信じられない<迷宮創造者(ラザフォード)>の存在が、対策の無意味さを知る原因だがね。


「魔物に対する抑えはラザフォードがやるだろう。

 だからこの本質は住人が出来た際の『問題解決者の設置』だ。

 敷いた法を守らせる部署は必要なので重要だが、今すぐにどうにか出来る物ではない。

 ただし、問題が頻発すれば緊急性が増して対処せねばならず、『瑣末』にするには重い内容だ」


俺の言葉に頭を回すセリナ。

宿の管理を長年任されていたこの子の管理能力は高いが、今の代官業の内容とは噛み合わない。


そう、客の質や数・種類は千差万別、サービスやイベントを組めばイレギュラーも発生するが、宿屋の業務は完璧に時間で割り切れる。

むしろ『どの時間に何をするか』を決めていなければすぐに破綻する。

支配人のセリナはある意味で時計係(タイムキーパー)の役目でもあったわけだ。

対して領主業は過去の清算、現状の確認・報告・対応、未来への懸念と対策など、時系列や内容が余りにもバラバラで幅広い。


こうなると持ち上がる多くの問題に右往左往しながら対処するのが関の山。

要望と利益分配の見極め、重要性の認識などなどがすっぽり抜け落ちている…ま、いきなりでやれるはず無いわな。

だというのに引継ぎもなしに放り込まれた代官業務を二ヶ月もの間こなし、形にまでしているのは身内の贔屓目を排除しても馬鹿げてる。

いくら領地構想をリオ君達が行っていたとしても、これで17歳とは…いやはや、若者は強いものだな。

感心していると


「そうすると一番のものばかり…」


そんな言葉を零した。

そもそも優先順位とはそういうものだからな。

全てを行えれば最良だが、当然のように資源と時間は有限だ。

重要なものを片付けてからいくらでもどうでも良いこと(趣味)を始めれば良い。


「確かにな。

 しかし今の方法を使えば、目の前の決裁の内、緊急性・重要性の高い1/4しか見なくて済む。

 乱雑に積まれた今の状態で毎日これだけこなしているのなら、重要なものだけは終わる計算だろう?」

「…そうですね」


疲れたように呟くセリナだが、これからは財務系が俺に回ってくるので負担も随分と減るだろう。

甘やかすのも考えものだからな…俺が生きている内は良いが、代わりが居なくちゃ負担だけが激増する。

それならやり方や気の抜き方を知っておいた方が未来の時間を買える。

これがギル相手なら配分は簡単だったんだがなぁ…孫とはままならんものよな。


「セリナ、金勘定は俺に回せ。

 しばらくは決裁も含めてだ。

 何事も金の流れを掴んでからでなければな」

「はい!

 え、決裁もですか?」


「判断が付かないのだろう?

 それはそうだ。

 本来、業務は代官だけで行うものじゃない。

 間に何人もの役職者が不備や問題点を考察し、それらを通過した案件に決裁を行うからな」

「間にはシュフル家が…」


事務方能力に特化したシュフル家。

それらが居なくてはセリナもここまで持たせるのは無理だったろう。

ギルも張り込んだものだが…やはり数は少ない。

それに


「あいつらは優秀だが、使いどころが難しい面々だ。

 しかもギルはセリナの能力を引き出すために処理能力の高い者を寄越してる。

 お前の手足になるようにな。

 だから手持ちのシュフル家に案件の濾過(フィルター)役を望むのはお門違いだ。

 まずは期限別で案件の並べ替えを厳守させ、重要度はセリナが目を通して判断すると良い」

「はい!」


「あ、それとだ。

 期限別に箱を用意しろ。

 本日、明日、1週間以内、1週間以上、2週間以上と日付の名札を付けてな。

 それだけでやるべき問題が目に見えて仕分けされるから、見違えるほど楽になるぞ」

「えっと…」


一気に言い過ぎたかもしれんな。

しかしギルはセリナを囲いすぎ…宿の運営で学べることは山ほどあるだろうが、同じことをさせすぎたな。

貴族の娘として代官まで任せる可能性があるならもっと他のこともさせておくべきだった。

だから俺は先に答えをバラす。

だが毎回教えてもらえると思うなよ?


「明日からのシュフル家への指示はこうだ。

 毎朝、本日・明日分を仕分け、それ以降は案件を追加する場合は指定の箱へ入れろ、だ。

 長期のものに関しては数日に一度整理を行えば良いだろう。


 どちらにせよ、期間を確かめるだけで良い仕分け業務までセリナがする必要は無い。

 『自分しか出来ないもの』を選び出す(・・・・)のが数をこなすコツだ。

 任せられる内容は人に与えるのも忘れずに…あぁ、俺のところにはいつでも相談に来て構わんからな」

「分かりました、すぐに指示します」


うむ、素直でよろしい。

俺は満足げに可愛い孫娘の頭を撫でながら「それではギルを驚かせるか」と悪巧みに誘い込んだ。



「諸君、村長を使って急に呼び出して申し訳ない。

 俺の名前はセルジ・クライン、隣の娘が孫のセリナだ。

 知っての通り、俺の息子はこのアルス領を30年程治めているが、それは今関係ない。

 俺とセリナはすぐ近くに出来たラボリに赴任して来たので挨拶を、と思ってこの場に立っている」


この場に居るのは大体50人。

長の話では子供を入れて76人だから…大人のほぼ全てがこの場に居るわけか。

中央広場の一段高い台から発した俺の声にどよめく民衆。

普段は重くて邪魔なだけの家の名はこういう時に使わねばな。


「だからいっそのこと五大都市のアルスと俺達は、商売敵の間柄だと思ってくれ」


大都市に向けての宣戦布告とも取れる俺の言葉にざわつく領民達。

それらを宥めるのは長の仕事で「静かにせんか馬鹿者!」と怒鳴る光景を眺めながら『すまんね村長』と心の中で謝罪する。

はは、しかし良いなこの『生の声』は。

やはり反応が無ければ面白くないだろう?


「ありがとう村長。

 しかし聞いて貰ってる立場では反応も欲しい」

「なんと慈悲深い…」


「なになに、これは必要なことだ。

 では集まってもらった理由を掲げるとしよう」


そう言って俺の横にいたセリナを一歩前に立たせる。

見知らぬ他人の不躾な視線は痛いだろう?

これが全て敵意に染まることもきちんと覚えておくのだぞ、と言葉に出さずに忠告しながら話を続ける。


「先程話した通り、俺達二人はラボリに赴任した。

 特に孫のセリナはまだ若いが、ラボリを下賜された領主直々に代官に任命されている」

「初めまして、セリナ・クラインです。

 隣接する領地を任されましたので、挨拶と思いこの場を設けていただきました」


とセリナは頭を下げると周囲は余計にざわめき出す。

ふむ…まぁ、貴族が頭を下げればそうなる。

今回のことぐらいなら別に悪く無いが、貴族ではなく支配人の意識が前に出ているな。

これは矯正せんと今後の代官業に差し障りが出るかもしれんな。


「この土地は俺達の直轄地では無いのでな。

 本当に隣人に挨拶に来たまでだ。


 ……しかし。

 それと同時に、俺達は『ラボリを大都市の一つに数えさせる』と宣言する。

 先程アルスを『商売敵』だと言ったのはそういう意味だ。

 では、諸君らに問いたい。

 これほど近くに新たな大都市が出来た場合、この村に『未来の展望はあると思うか?』と」


先程よりも大きくざわめく。

受け取り方によっては宣戦布告どころか死刑宣告に等しい…青褪める村長の顔を見て少し申し訳なく思うが仕方あるまい。

これは決まった事実だ、と自然と理解してしまうほどにアルスを立て直した『クライン家』の名は重いからな。


「いやなに、脅すつもりではないよ。

 何度も言うようだが、この土地を治めるのは俺達ではない。

 直接の手出しも出来ないし、するつもりも無い。

 だから近隣に越してきた者として、ケジメを着けようと宣言しに来たわけだ。

 商売敵なのは何も五大都市だけではない…諸君らのこの村も等しく俺達の商売敵だからな」


さてさて、どう出るか。

この場で襲い掛かってくるくらいのイキが良いのがいれば良いんだが…まぁ、無理か。

少しでも常識があれば辺境伯に喧嘩など売れんからな。


「お爺様、余り無茶を言わないで下さい。

 私達は宣戦布告に来たのではなく、救済に来たんですよ」


良い合いの手だセリナ。

お前は演者にもなれるかもしれんな。

「ふむ…そうだったな」と一度咳払いを挟み、静まるのを待ってから続ける。

固唾を呑むとはこのことだろうな。


「さて、諸君。

 ラボリはまだまっさらな土地だ。

 だからこそ、六つ目の大都市を目指しておる。

 転居の心積もりがあるならば受け付けるが、そうでなければ先の宣言通り競い合おうぞ」


そんな俺の語りは領民の耳朶を打つ。

最初にこの村に道を作ったのが一ヶ月前。

そこからひっきりなしに村を経由した物のやり取りをしてさらに約一ヶ月。

その間、ラボリの噂や情報は嫌と言うほど聞いたろう?

そう、俺達(ラボリ)は『一ヶ月で街道を作る』ことを知らないはずが無い。


俺の言葉は単なる宣戦布告という意味だけでなく、現実的に『物流を作り変えるぞ』という意図がある。

いや、いっそのこと宣言してやっても良い。

ラボリとしてはわざわざ遠回りして村を経由するより、ラッフェルやアルス近辺に直通の街道を作った方が早いのだから。

これだけ居るのだ…誰か一人くらいそうした可能性に近付く者が居るだろう。

ざわめきを止めないのにはそうした疑念を広めるため(・・・・・)だ。


「諸君等の仕事の邪魔をしたまま長々と演説を垂れてしまったな。

 これからは余談程度に聞き流してくれて構わない。

 孫のセリナたっての提案だから、乗ってくるものが少なくても俺自身は全然…」

「お爺様!

 余計なこと言うなら私が告知しますよ?」


「あーうん、すまん。

 …俺達が治めるラボリは、今後発展の見込みしかない。

 そこで、この告知より一ヶ月の間に転居を申し出た者には、住居を『格安の家賃で用意しよう』というのが代官である孫の救済案だ」


ざわめきが大きくなる中、俺は内心で笑いが込み上げる。

そう、俺達は実のところこれが言いたかっただけだ。

原生林状態のマイナスから、ようやく切り開いた今がゼロだ。

まともに開発されていないから発展しかないのは当然だ。

危機感を煽り、虚飾の未来を見せ、勝敗を予想させて誘導する…。

いや、実際ラボリの周囲を再編するつもりなので俺達が口にしているのは何一つ嘘じゃないからな?


「提供する住居は全て領主の所有物で、転居に際して家を買う必要は無い。

 つまりまだ住居が足りないラボリでは最低でも大工の仕事はしばらく無くならない。

 別段こちらに移り住まずとも、今は手が足りないので労働力は大歓迎だが…定期的に往復するのはつらいだろう?」


ギルがセリナの主張を押し退けたのは『労働力の有無』だ。

職人達がアルスから足繁く通ってくれているのも今だけだ。

人が居なければ経済が回らず、経済が回らなければ金も手に入らない。

まずは人が居てこそで、無いものは他所からまかなえば良いのだ。

色めき立つ領民達に向けて送る撒餌はこんなものではない。


「今のラボリはアルス立て直しの時と同じで不足ばかりでな。

 毎日のように通る荷馬車を見れば一目瞭然だが、商売を始めるには良い土地だ。

 規模に応じて申請すれば、商売の税金を近隣の五大都市アルスやラッフェルよりも下げるつもりだ。

 同じ名の管理迷宮(ダンジョン)や、領主館のある中心地に近い方が人の集まりは当然良くなるだろう。

 早い者勝ちとは言わないが、そこでの商売も捗る…まぁ、住まねばその恩恵も移動の出費で飛んでしまうがね」


商売関連の税金は、五大都市ではアルスが飛びぬけて安いが、それでもそう安いものではない。

大きくなると複雑化するせいで維持にコストが掛かるため、安く済ませるのは難しい。

特例を連発すると今度はその処理のせいでコストが跳ね上がることにもなるので、一番の効率化は全てを一律にすることだ。

しかしそれは逆の見方をすると、今のように小規模の内なら維持コストを安く見積もっても問題無いことになる。

アルスも元々税を全撤廃してから組み直した街だからな。


「大規模な移民は領主の怒りを買い、下手をすると兵士を差し向けられることもある。

 税が手に入らなければ領主としても死活問題だからだ。


 しかし何も問題は無い。

 俺達が諸君らの領主を黙らせるからだ。

 領主達が気にしているのは結局のところ『(カネ)の話』だ。

 なぁ、このガーランド国内で、俺に『金の話』で勝てる者が居ると思うか?」


大言を吐いている自覚はあるが、領民はクライン家がいかに金を持つかをよく知っている。

その財源の大本は俺で、ギルはその金の使い方が上手いのだと考えている。

何処にも嘘はないし、それだけの金を稼いだ自負もある。

まぁ、俺より出来るやつはいくらでも居るだろうが、それでもガーランド国の領民にこの言葉は効くだろう。


アルス領に近い街道の村に住むのは元々はアルスの出身だ。

特に圧制を敷いていた前領主の時に逃げ出した者が多く、元々あった村は逃げ延びた難民をゆっくりと吸収して大きくなっていった。

そして税として搾り取られて逃げ出した彼らが、アルス立て直しの際に自ら行動を起こせなかったのは仕方ない。

あの激動期に踏み込んで行けるほどアルスを信用していなかったし、疲弊した彼らもようやく腰を落ち着けられる場所を手に入れたのだからな。


気付けば立て直しはほぼ終わり、開かれていた門戸も狭くなってしまっていた。

今更参加するのも憚れる…いや、既に地力がある者達とやり合えるほど村に身を寄せた者達は強くない。

それがダダを筆頭とする村々の意見だろう。


しかし、今回は違う。

領主直属の文官が、自ら足を運んで囲い込みに来た。

しかもそこへ来たのが現領主(ギル)の父で財布でもある俺と、娘で代官のセリナ。

アルスを立て直したクライン家の評価は非常に高く、故にその未来予想は馬鹿馬鹿しいほどに説得力がある。


今は俺の演説に希望を見たものは『ラボリの発展』を。

逆に絶望を見たものは『村の荒廃』を鼻先に突き付けられて決断を迫られている。


更には一ヶ月という猶予期間が曲者だ。

短すぎれば脅迫で、長すぎれば優遇感が薄れる。

そして十分に考えられる時間を与えるのは『決断』を促すため。

必要な人材は『解決を模索する者』で、誰かのせいにする者などクライン家(俺達)は必要としない。


そして何よりこの期間はリオ君が掲げた『五都祭(フィックスウォー)に合わせたもの』だった。

そう、彼がこの土地を離れるまでに落ち着かせておかなければ、いくら名前だけとは言え領主の責務から王都へは行けない。

だから俺とセリナは手持ちの家名(ブランド)と権力と金を駆使し、こうやって他所からまるっと引っ張ってくることにしたのだ。

お読みくださりありがとうございます。


当然のように一話ではまとまりませんでした…お付き合いいただければ幸いです。

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