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神様のおねがい  作者: もやしいため
第十三章:有名税の取り立て方
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借金の平定者達

まさか更新し忘れているとは思わず、放置していました(汗

現在は修正後の文章となっていますが流れは変わりませんので、気が向けば読み返してみてください。

ファロの借金返済計画は、父セルジの采配でとんとん拍子に進んでいった。

まず、ファロ自身が支払える額で無理のない金額を提示させると、即座に出せるのが60万カラドだという。

個人でどれだけ溜め込んでいるのだあいつは。

まぁ、ギルドマスターの役職より、現場で指揮してる方が多いので大氾濫(スタンピード)は稼ぎ放題だろうがな。


それを差し引くと残りは340万カラド。

これをわしら…ガートルード、オウル、ガゼルの四人で等分して85万カラドずつ貸し出す。

その際には『組織から借りる形』で終結した。

個人的な支払いの形に出来なくは無かったが、あえてそうすることで社会的に縛るようにと父からの入れ知恵だった。

そうしてあっさりと400万カラドをわしらから引き出した父はホクホク顔で部屋を出て行った。


今大会にリオ君を引き摺り出したまでは良かったが、現状を見ると『詰んだ』としか言いようが無い。

お互いに立場で動かした金であれば、簡単にどうこうすることが出来ず、踏み倒すことも難しい。

国内なら五都市の内、三都市を敵に回してまで誰がファロに手を差し伸べるだろうか。

たとえ他国へ逃げ延びても、発見されれば外交上すぐに送り返されるような相手に借金していれば身も引き締まるだろう。


大氾濫を盾に交渉しようにも、ファロのヴァルトル領(ホーム)であるはずのガートルードが、この場で金を出している時点で逃げられない。

役職を降りて結んだ契約を勝手に破棄しようとする行動を取るなら、そのまま借金に押し潰されるだけ。

目を瞑れるだけの額に減らすまではお互いに逃げられない状況へと陥った。

こうして見るとわしらも安くない金を間接的に父から引き出されるので、首輪が付いたのはファロだけでは無いかもしれんな。

まぁ、わし達に掛かる首輪は信頼で結ばれているから、まだ本物のリードが付いていないものだがね。


しかしこの額になると現金決済など出来るはずもない。

今回は85万カラドなので30万、15万、10万カラド程度に分けられた複数の証文が回り、それを分割決済して現金化することになる。

必要に応じてお互いが金を融通することになるが…この証明書の発行だけでも随分と手間だな。

セルジめ…その辺を置き去りにして帰ったのは議論を先延ばしにする為か。

恐らくそれぞれに違う金額を指定し、必要な額に応じてその領主に問い合わせるつもりだ。

1万カラドを85枚とか言われる者もこの中には居るだろう…筆頭はわしだが。


そんな父は別室で待つセリナとリオ君と合流後、すぐにラボリに引き返す手はずだ。

そう、すぐに、だ。

まったく…世界の流通事情を全て無視するような利便性だ。

常用出来るリオ君を羨みつつ、ギルドマスター達が去った部屋でグラスを傾ける。

ようやく『ファロへの貸し出し公務』から解放され、問題が全て解決したのだからな。

そして


「しかしガートルードやオウルまで引っ張り出してくるとはな」


とわしは口にしなくても良いような事実を呟いた。

年を取ったからかもしれんな。


「息子をけしかけて旅をさせたらえらいことに巻き込まれた」

「あの異端児さえ絡んでいなければユスカの判断も間違っていなかったんだ」


相槌を打つような返事をする同輩の二人。

お互いの役職が高いので正確かは分からないが、同僚と呼んでも良いかもしれない。

一人は早々に息子に役職を押し付けているが。

わしと同じようにゆったりと杯を傾けているのは、この一大事を乗り越えてホッと一息を入れているのだろう。


「話は聞いておるよ。

 それぞれに同情はするぞ」

「おいおい…」

「貴族の情報を容易く…」


「そんな建前などいらんよ。

 お前達も説明されねば乗れなかったろう?」


苦言を言いたい訳ではないのだろう。

自然と行われるべきルールを無視されれば何かしら口から零れるのも仕方が無い。

それにわしが言う通り、それぞれの陣営に『事情説明』は必須だっただろう。

現状と身内の汚点の両方をな。


リオ君が言うには、集団戦の決勝戦終了後にハウリングエッジと話をしたそうだ。

ファロの魂胆はメンバーには伏せられていたようで、細かい話など聞けないと判断してすぐにその場は解散。

少し時間を置いてアレンだけをこっそりと引っ張りだしてきた。


そこで知った内容は、オウルの指示とユスカの手配に乗ったファロという構図。

ようやく全貌を知ることになったのだが…とりあえず当初の予定通り、強権を振り回すファロの首を押さえようということで今回のことだ。

ちなみにアレンはリオ君とアシュレイに許され、友人のような扱いに落ち着いたのこと。

ただし、暫くは「パシリに使う」とリオ君が明言していた。

どうやら立案時に『身内への反応が劇的だ』というところを狙って突いたのが気に喰わなかったらしい。

自覚はあるのだな、と少し笑ってしまった一件でもある。


「ガートルード、お前のところはどうなってる?」

「どう、と言われてもな。

 あの子らしくて可愛いだろ?」


「馬鹿言うな、アレンに『末っ子と仲直りして来い』と言ったらこれだぞ?」

「それはオウルが悪いだろうが。

 単に『見聞を広めろ』って教えてやれよ」


「それだと指針が無くて右往左往するだろうが」

「はは、お前のところは全員堅物だからなぁ」


「堅実だといえ放蕩貴族が。

 末っ子もそうだが、当主代理のユスカも大概だろ。

 あそこが末っ子で遊ぶことを考えなきゃファロまで出張ってこなかったはずだ」

「それを言われれば痛いがな。

 話を聞いて流されただけのアレンはどうなんだ。

 どう考えても事態を収拾出来ないヤツを放り出す方が悪いだろう」


とまぁ、けなし合いというか愚痴の言い合いを始める二人。

親が責任を取れる期間に問題を起こしてくれた方が良いだろうに。

今のところ無傷のわしはそんな風ににやにやしながらそんな醜い争いを眺める。

いやぁ、良い酒だ。


「何を他人事で呑んでいる。

 この件の片棒を担いだのはお前だろうが」


などと思っていたのが悪かったのか。

ガートルードから指摘を受ける。


「わしだけを敵に回すんじゃない。

 そういう意味ならガゼルも同じだろう?」

「というよりあそこが元凶か?」

「いや、元凶はアレンを炊き付けたお前だろう」


「それよりもアシュレイが『あのまま』なのが一番悪いんじゃないのか?

 アルスに初めて来た時にラボリを見付けてくれたが、恐らくあれは黙って潜る気だったぞ?」


その時に感じた違和感を公務外(今のうち)にぶちまける。

これは単に家族間や仲間内の話であって、貴族間の話ではない。

問題が起きていれば糾弾もするが、恐らくリオ君とカルロが何とかしたのだろう。

であれば突くのは野暮だ。


「っぐ…引っ掛かりは感じていたんだがやはりか。

 カルロもアシュレイには甘いからなぁ…」

「『甘いからなぁ』じゃないぞ。

 危うくラッフェルかアルスが被害に遭ってたんだからな?

 街道の事を思えばわしらの生命線をぶった切るような位置だぞ?」


「ふ、ふん!

 結局カルロが抑えたんだから差し引きゼロだろう?」

「はは、ファロとアレンを使うユスカも居るし、うちよりよっぽど悪いじゃないか!」


「そちらはアシュレイ本人が潰したろう!?

 あの子の運の強さ…あぁいや、すまん、運じゃダメだよな運じゃ」

「ははっ、分かれば良い」


わしやオウルの追撃にガートルードは子供っぽく突っぱねようとしたが、どうにもならなかったらしい。

どう考えてもやつが悪いのだから仕方ない。

放任主義もあそこまで行くと問題ということだな。

その点カルロのバランスのよさが際立つ。

あぁ…いや、リオ君相手に殴りかかったり追い回したりとやらかしていたか。

血は争えんなぁ…ガートルード?


「にしてもやはりアシュレイは同年代で別格だな。

 スニノの戦力を奪ったかのようなアレンがまるで子供だぞ?」

「あぁ、確かにあの世代の戦力は過剰だな。

 今期のアレクセイ最下層到達者の総数を知ってるか?」

「わしは子供が入っておらんので正確な数字は知らんな」


「なんと全部で8パーティ、学生32人と護衛72人だぞ」

「例年の4倍以上か。

 二人とも何ともえらいタイミングで挑戦したものだな」


カルロですらもオークを一人で、アシュレイならオーガを倒せると聞いたな、と思い出しながら返事をする。

まったく、近頃の子供は強靭だな。

そうなると次席のアレンもオーガを単独撃破する程度の力はあるのか?


「それだけ豊作だと折角の記録が薄れかねんな。

 だがそのトップはお前のところの末っ子だろう?」

「記録だけならな。

 それに二位はお前の次男だろう」


「何だ謙遜か?

 嫌味か?

 結局一人でヴァルトルの全員を抑えてたじゃないか」

「集団戦で個別に相手してもらって何を言ってる。

 あの面子は全員個人技に長けた壊し屋だぞ。

 アリスのリーダーが異常に駒の使い方が上手いだけだろう」


「そうなのか?

 その割りに随分と金を出したようだが」

「ぁー…お前もそう思うよな?」


そんな二人のやりとりに答えを知るわしは思わず「くはは…」と笑ってしまう。

そう、あの光景を見ればヴァルトル領主(ガートルード)が金を出したと思うだろうな。

新たにワインを継ぎ足しながら怪訝そうな顔でオウルが


「なんだ違うのか?

 ならばギルバートがアリスに金を出したのか?」


わしの方に話を持ってきたが、見当違いも甚だしい。

是非とももう少しリオ君の商人っぷりを押しておこうか。

わしはワインで口を湿らせながら


「くく…あの戦う商人を馬鹿にしてるのか?

 わしから領地を実力で手に入れ、代官や財務官まで付けさせるやり手だぞ?」

「は?

 あの小娘、まさかあれだけの金をかき集めたのか?」

「それだけならまだ良いんだがな…」


背景を知っているガートルードは顔を手で覆って嘆く。

そんな姿ですら、今のわしのつまみだ。


「くはは!

 全てだぞオウル。

 あの子は今大会で出した全てを一人で手配したんだ」

「全て…あの<人形遣い(ドールマスター)>と人形も含めてか?

 何の冗談だ…?

 そんな不穏分子を足元で飼ってるのかギルバート」


「当主から降りて耄碌したかオウル。

 結果を手に入れるために環境を整えてエサを与えるならば分かるが、全てを揃えて結果だけを持ち込むような相手を『飼う』とは言わんだろう?」


実に面白い。

やはり13歳という若さではその辺りの説得力が無いだろうな。

だからこそ大会での『建前の討伐者』という偽の演説が染み渡った。

あんなもの、屈強なマリネが演説したところでブーイングにしかならんからな。

何とも常識を外すのが上手い子だ。


そんなことを考えているとオウルが苦い顔で「となると別勢力か?」と呟く。

存分に酒の味が悪くなっているだろうなぁ。


「少なくともわしが手綱を握っているとは思っていない」

「私側でも同じだな。

 むしろアシュレイの手綱を握ってるくらいだ」

「………それは大丈夫なのか?」


そう、思うだろうな。

ガートルードからはアシュレイ、わしからは父とセリナがリオ君の下に居る。

下手をするとここにアレンが加わるかも知れず、それらはある意味人質だとも言えるのだから。

何かで拗れた時にその効力を理解して使う可能性があるだろう…ネーブル辺りがな。

まぁ、それだけでガーランドの貴族が膝を折ることはないが、それでも十分な痛手となる。


「そうだなぁ。

 過去に見解の相違で敵対したこともある」

「なっ…」

「…それで?」


絶句するのはオウルで、続きを求めるのはガートルードだ。

この辺りは事情を知るか知らないかの違いだろうな。

敵対すらした相手と仲良くやっているのが信じられないのは共に同じ、か。


「事なきを得たさ。

 わしの意見は曲げられたがな」

「………お前の?」

「いや、貴族の(・・・)だろう?」


「そうなるが、事情が事情なので判断としては微妙かもしれん。

 その件で思うことは、リオ君は甘すぎる。

 今回の顛末からすればわし達が雁首合わせる事態にまでなった。

 だがね、ファロの要求があの子への個人攻撃だった場合は、要求自体を無視していた可能性は高い」

「つまり切り捨てる判断を潰されたんだな」

「ギルバートも十分甘いじゃないか」


一瞬冷えた空気が緩んでいくのを感じる。

察しが良いのはありがたいが、わしも人だぞ?

切り捨てるのを選びたいはずが無かろうが。


「しかし今回で一番得をしたのはギルバートだな」

「アルスからラボリに金を移すのに、ファロの借金を経由してる訳だしな。

 というよりギルバートの85万が400万に変わり、そっくりそのままそっちに流れるのに全く納得いかないんだが」

「そうでもないさ。

 広義でいえばラボリから徴収も出来るが…わしがどうこう言える金じゃない」


「身内が管理する領地だろう?」

「『開拓が終わった』ってことは金を出せないってことだろう。

 首尾よく新たな資金源を手に入れたお前が一番得をしているに決まってる」

「無茶を言うやつらだな。

 あの金は『ラボリの管財人』になった父が管理してるんだぞ?」


「「お、おぅ…そうだな…」」


二人同時にうなずいた。

まったく…それだけで意味が分かるだろ。

あの父から金を引き出すのがどれだけ難易度の高いことか。

下手をするとお前等も父に致命的な権利を握られてるんじゃないのか?


というより一番得をしたのはリオ君以外にあるまい。

『商人のリオ』は華々しくデビューし、ラボリは注目を浴びた。

しかし今後発生するであろう応対や交渉などの仕事は全てセリナと父に押し付けられる。

あの二人はラボリの代官と財務官だからな。


さらには400万カラドという大金を手にした上に、ネーブルを通じて『勝てる試合』に金を突っ込んだらしい。

賭け金が増えるほど胴元の運営が儲かるのは道理だが、それでも『当りが無いこと』が一番に決まっている。

そんな『実は運営側が儲けられたはずの金』を、大会規約(ルール)に沿って賞金と払戻金として正当に引き出してきた訳だ。

いつぞやの試合で「7割になるのはお客に悪い」と言っていたが、あれは主に自分達のこと。

何とも酷い自作自演…今大会だけで一体いくら巻き上げたのだろうな?

下手をするとこの瞬間は父のセルジより金を持ってるかもしれん。


「そもそもあんな問題児を何処で見つけたんだギルバート」


この面子になら話しても良いか?

いや、リオ君が【幻影の首札】(変装装備)を再度取り付けたことを思えばオウルは信用して無いのか。

面識も大してないから仕方ないな。


「半年ほど前に壁の外で拾った」

「はぁ?

 アルスにはあんな例外が落ちてる壁があるのか?

 金を出すから切り取って送ってくれ」


「聖地にして祀ってて無理だ。

 どうしてもというならお前が祈りにでも来い」

「そこまでなのか」


「わしの『利益』に関わったのが片手じゃ足りない…半年でだぞ」

「つまりお前はたった半年で5回以上の不幸に遭っとるのか。

 相変わらず辺境は治安が悪いな…ご愁傷様と言っておくか?」


好きなように言いおって。

ま、その分収穫も多いんだが。

リオ君のお陰で奴隷やら素材やらで稼がせてもらっているしな。


「わしがたまたま警備してる時に見付けてな。

 脅威を感じなかったから槍で突いて起こして宿を紹介しただけだ。

 ちなみに次に会ったのは疲労困憊で宿に運び込まれたところ…しかも緊急依頼の英雄としてだ」

「何だそれは?」


「信じられんかもしれんがね。

 わしも未だに信じられんさ。

 後はあの子が大会中に語ったのが全て…あぁ、新たな話が今回追加されたな」


と頬を緩める。

話を聞かされているガートルードならこれで納得するだろう。


はてさて。

今回の事でガルヴァーニ家の次男アレンを、アシュレイを通して掌握。

オウルに恩と負い目を十分に与えたリオ君はどう動くのかね?

少なくともガルヴァーニ家は彼等を雑に扱えなくなったからな。


驚くべきことに気が付けばガーランドの主要貴族の半数がリオ君の手の内だ。

十人にも満たない勢力が、領地を持って管理し、国内に影響を与えるんだから羨ましい限りだ。

これからは管理能力を問われるというのに、それらは全てセリナや父という外部で賄う新機軸。

本来なら好き勝手にするために領主が采配を揮うんだがなぁ。


「で、結局戦力としてはどうなんだ?

 見たところやれなくはなさそうだが」


オウルが突っ込んで聞いてくるのを「ふむ…」と一言吐き出して考える。

答えても良いが、隠しているかもしれんからなぁ。

無難なところで言うと…。


「お前の次男が警戒して、ガートルードの末っ子が対等な立場を望む程度だろうよ」

「カルロがアシュレイの護衛として推薦してきた程度だな」

「煙に巻くにももう少しマシな答えはないのかお前等…」


呆れるように告げたオウル。

答える気が無いのがバレたらしい。

わしもガートルードも笑いながら杯を煽る。

公務も上手く行き、普段会えないような対等なやつらと酒を酌み交わせるなど今日は良い日だ。


「そういえばガートルードはいつまで居るんだ?」

「さぁて…一番手の多い私が王族に引きとめられててな。

 ヴァルトルはユスカがどうにかするとの思惑からだろうが迷惑な話だ」

「わしが呼ばれたら当主を交代してやるのに」


「そんなことを平気で言うからギルバートは呼ばれないんだろう」

「煩い、オウルみたいに上手く渡せなかったんだ」

「私もそろそろ臨時外交官とか遊べる役職になりたいな」


「遊んでるわけじゃないんだぞ!?」

「そうだなぁ、子供で遊ぶだけだからなぁ」

「楽しそうだよなぁ…後始末に走り回ることさえなければ」


と二人して追い詰めると「お前等…」と目が据わったオウルがこちらを睨む。

これだから煽り耐性のないヤツは…と薄く笑いつつ、そちらを放置してガートルードに返す。


「それで何で引き留められてるのだ?」

「『外交』としか言えんが…ファロが動いてたろう?」

「ならば魔境関連か」


オウルの言葉に返答は無く、ガートルードはただ杯を傾けながら


「普段からこんな思いをしているギルバートに感心するな」


とぼやく。

まったくだ。

是非とももっと感心してくれ。


「無視をするな。

 だがまぁガートルードには同情する」

「同情するくらいなら兵力を寄越せ」


「それはまた公式の場でな」

「またなんとも騒がしくなりそうだなぁ…わしは余り関係ないが」

「っく…こんな時だけ上手く逃げおって」


何事も維持することは難しいが、発展させることも重要だ。

王族はこのガーランドを発展させるために魔境の攻略を目指すということかね。

確かに魔境はどの国の所属でもないから切り取れる土地ではあるからな。

ただアルス以南への派兵だけは勘弁してもらいたいものだ。


こうして公務外の情報収集兼愚痴の言い合いは夜遅くまで続いた。

ちなみにわしは翌日にはアルスで仕事をしていた。

あぁ…なるほど、便利にも大きな弊害が伴うものだな、と嘆きながら。

お読みくださりありがとうございます。

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