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神様のおねがい  作者: もやしいため
第三章:始まりの街
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お役所仕事

戦闘シーンはとりあえず終了です。

お金稼ぎに奔走します。

こんな年から金策とは…世の中は世知辛いです。

初のオーク戦を終えた翌日、討伐部位の確認などを含めて討伐カウンターに向かう。

昨日は何だかんだで気を張ってたみたいで、お風呂入って食べたら寝てしまっていた。

結局紙束の謎は解けないままだ。


「ふわぁ…」


と眠そうに欠伸をできるのも、ある程度討伐者として生計を立てる見込みが生まれたからである。

以前のように『明日の食事に困る』というレベルの赤貧さは今は無い。


 あぁ…そろそろちゃんとお金払って泊めてもらわないとなぁ。

 流石にセリナさんに悪いし。


相手がギルバートではない辺り、セリナのお節介さが伺える。

そろそろ所持金も溜まったので、装備も新調しなければいけない。

いつまでも『戦利品』に頼っていてはいけない。

元手が無料(ただ)で重宝しているのだが。


 むー…とはいえ、どうしよう?

 僕が使える武器はほぼ全て(使えないのは知らないけど)。

 何を主武器として持つかだけれど…あぁ、とりあえず手甲はあるしいらないか。

 それかオークの時みたいに武器を掻っ攫っていくっていうのもありかな。

 というより、今の鉄武器使うなら整備しないとなぁ。


ぐるぐると装備に対して考えなくてはいけないことが出てくる。

この辺り、相談できる『鍛冶師』が居るとかなり楽なのだが、新人(理熾)にはそんな相手は居ない。


 とりあえずギルドでめぼしい鍛冶師を聞いてみよう。

 昨日で疲れたし、今日は鍛冶屋巡りということで。


本日の方針をさらっと決める。

オークの討伐部位はゴブリン達と同じく耳だった。

ゴブリンと違うのは、オークの肉は売れるということ。

といっても解体など全くしていない状態なので、二束三文まで値が落ちるらしい。


 やっぱり解体技能は必須なのかなぁ…?

 というか、解体の依頼をギルドで出せば良いのか?


と思いつく。

オークなどの討伐はそれほど難しくは無い。

事実理熾は単独で2体まで同時に攻略しているのだから。

しかし、1体の大きさが200kg以上ある。

解体して100kg捨てたとしても、100kgを持ち帰れるかと言われれば難しい。

他に装備も荷物もあるし、運搬用の荷車などを持ち込むと移動が困難になって進めない。

要は倒すのは簡単でも、食材として持って帰れないのだ。


ただオークの肉は美味いらしいので、持ち帰れるなら売れる。

ギルドでも確認したが、買い取り価格は10カラド/kg程度は見込めるらしい。

つまり肉にして100kg持ち帰れば1体につき1000カラドというわけだ。

亜空間に入れられない量を持ち帰る必要は無いが、小遣い稼ぎには大変良い値段である。

解体依頼ということを視野に入れて考えると、「オーク5体で100カラドくらいでやってくれないかなぁ」とか考える。

この金額ではとても割に合わない解体作業になりそうだ。

どれくらいが適正か考える必要がある。


この世界の平均月収はギルド職員が押し上げているけど、大体2000カラド。

ちなみに1月は30日、1年は12ヶ月である。

なんとも分かりやすい。

そう考えると重労働ではあるものの、日給100カラドというのは適正だと言える。


 うーん…誰か来るかな?

 ふと思ったんだけど、オーク5体の解体が100カラドって安いのかな?

 そもそもギルド員ってもっと稼げるよなぁ…500に上げようか。


と決定し、ギルドに申請を出す。

何せ薬草(100カラド)の時に放置されているのを見ているのだから。

ギルドの取り分が今回は1割なので、500カラドの依頼で50カラドを別でギルドに支払う。

ついでに消耗品などに関しては理熾が保障する旨を付け加えて完成した。

依頼内容は以下の通り。


◇◇----------------------------◇◇

【緊急:採取】オークの解体

依頼者:リオ


依頼内容

オーク5体の解体をお願いします

予定として1日を考えていますが、早く終われば帰ってもらって結構です

カウンター経由でご連絡ください

明日朝9時からお願いします


また、解体用のナイフ等は消耗品として現金で補填させて頂きます


報酬:500カラド

◇◇----------------------------◇◇


「ありがとうございます。

 それじゃ、お願いします」

「分かりました」


「あ、それと。

 鍛冶師さんのお店一覧とかありません?」

「おすすめの鍛冶師は居ますが…。

 そういった物はこちらにはありませんね」


「では、地図におすすめ鍛冶師のお店書き込んでもらえます?」

「少々お待ちください」


と討伐カウンターの受付と淡々としたやり取りを終えて討伐カウンターを出る。

残念ながら、ギルドでは鍛冶師の管理が出来ていないらしい。

しかしふと思う。


 アレ…?

 作成系のカウンターがあるのに、鍛冶師って登録しないのかな?

 いやいや…討伐カウンターでは分からないってことなのかもしれない。


すぐに考え直す。

作成カウンターがある以上、ギルド員である方が依頼を受けられ明らかに得なのだ。

材料の仕入れから、販売まで考えると鍛冶師一人で全てをまかなえるわけが無い。

結局は何かに所属していた方が楽だし、手っ取り早い。

組織があるのなら利用するべきなのだ。

そう考えると、ギルド員を管理出来ていないというのは考えにくい。


 …とりあえずまずは作成カウンターに行ってみよう。

 だめもとで。


作成カウンターへと向かい、聞いてみるとあっさりと教えてくれた。

むしろ嬉々として教えてくれる様を見るとわざわざ別口利用をする人が居るというのも頷ける。

それにしても本当に横の繋がりが皆無らしい。

何より討伐カウンターで教えてもらった『おすすめ店』の鍛冶師のランクは高くなかった。


 いやいや、マジなんだよ。

 聞く場所によって話が壊滅的に違うってどういうこと?

 餅は餅屋って事だと思うけど、流石にギルド組織としてまずいのでは…。

 そもそもこういうのって中央のメインカウンターのが良いのかなぁ…?


二度手間もいいところである。

聞いたことに答えてくれるのは良いが、足りない情報を貰っても全く嬉しくない。

これでは誤報と同じか、それ以上の被害がある。

ギルドに対する疑問…というよりは不満は尽きない。


作成カウンターで改めて貰った地図を見ながら街を散策する。

少なくともギルド員として確認される鍛冶師は全て掲載済み、とのこと。

武器の良し悪しなどは分からない。

片っ端から入っていく。


 うん、全くわかんない☆

 そりゃそうだよね!

 鑑定とかのスキル持ってないんだから!

 むしろ鑑定とか解析とかのスキルこそ取るべきなのかもしれない。

 誰か概要だけでも教えてくれないかな?


と思いながら店を回る。

ダメ元で解析系スキルを聞いて回ったら、簡単に答えてくれた。

理由は解析系のスキルは習得がとても難しいから、らしい。


最初は【解析系スキル】が無い状態で、知識を詰め込まなければならない。

その上でモノを見極め続けていると、いつのまにかスキルが増えている…という。

何とも無茶苦茶である。

そもそも解析スキルなしで鑑定できるなら、「スキルいらなくない?」ということなのだ。

本末転倒というか、なんと言うか。


まぁ、スキルを持つと解析時に対象のステータスを見ることが出来るので所有者は違いにすぐ気付く。

ついでにいえば、ステータスを見れるので、対象に対する知識など必要ない。

そうなると逆に「今まで付けた知識は何だったんだ?」と感じる羽目になる。

何ともやるせない。


ちなみに解析とは逆に隠蔽スキルというものも存在する。

対象物は何でも良く、基本的に『ちゃんとした目利きを阻む』という効果を持つ。

解析者のレベルより隠蔽者のレベルが高ければでたらめなステータスや、そもそも見れなかったりする。

逆であればステータスの閲覧が、解析と隠蔽が同一レベルの場合は隠蔽が勝る。

隠す方が有利とは、なかなか面白い構造である。


 おぉぅ…ここに来て僕にとって必須スキルじゃないか。

 隠蔽は本当に必須だ…Lvとか知られちゃまずいし、何よりスキルがヤバイ。

 こんな節操無しにスキルなんて手に入るわけが無い!

 ………あぁ、そうなると『隠蔽持ち』に思われるか…?


今まで必要なかった理由が少し見えてくる。


 いやいや、隠蔽がそんな『あからさま』だったらすぐばれる。

 結局のところある程度『見れる』状態にしておかないと大変そうだ。

 むぅ…やっぱり取る必要があるのか…。


一人うんうん唸っている。

何も買わずにスキルの話だけして去る理熾を店員(大人)達は本当に不思議な顔で見る。

一応モノは見ているのだが、全く良さが分からない。

惹かれる物が無いのだから、買う意味も無い。


解析系スキルの名称は解析、鑑定、診断の3つで、それぞれに特徴がある。

鑑定のコストはSP15で、物体を。

診断のコストはSP20で、生物を。

解析のコストはSP30で、全てのステータスを見破る。

物体:生物の見破る比率は解析が1:1、鑑定は1.5:0、診断は0:1.5といった感じ。

どの解析スキルであっても、熟練度が高ければ物体・生物を問わず見れるようにはなる。

また、所有者は鑑定が最も多く、その1/1000程度が診断で、診断よりも解析者は更に少なかったりする。


 鑑定・診断両方とも同時に使えば解析より高性能なんだよね。

 ついでに熟練度も共有できるから…とは思うけど、やっぱりコストがなぁ…。

 代用品の解析があるからそれで良いか。

  

と少し迷って解析を取得する。

ちなみに解析を常時使い続けるという荒業は…出来なかった。

余りに全てのモノのステータスを読み出そうとするので頭痛でそもそも目が開けていられない。

仕方が無いので、店に入った時に商品にフォーカスして全てを解析していく。


 んー…まぁ、それなりなのかなぁ?

 僕の【神威の護手】って攻防ともそんな無いけど、自動修復が強い。

 主武器(メインウェポン)ってやっぱり簡単には見つからないってことかなぁ。


武器のランクはともかく、ピンと来るものがない。

理熾は何でも使えるので他人よりかなり選り好みが出来るのだ。

そのため決めるのが本当に難しい。


 単にちょっとしたの、を買い集めてその場しのぎでも良いかなぁ…?

 使い捨てできる程度には亜空間に入るし。


などと作り手が聞いたら激怒しそうなことを考える。

そもそも理熾の戦闘スタイルでは強力な1本より、粗悪品の10本の方が強くなる。

武器の良し悪しよりも、圧倒的な手数で封殺するというスタイルだからだ。

なのでそれら全てが業物で無くても良い。

その事が選べないという最大の理由だった。


一通り回り終えると夕方になっていた。

残念ながら結果は芳しくは無い。

とりあえず良さ気なところが数件あったので、後日鍛冶師と相談する事を決める。

ちなみに今は朝方に出した依頼を誰かが受けてくれたかを確認しに行く。

「まぁ、今日の今日で誰かが来るとも思えないんだけどさ」という感想を持ってはいたのだが。

問い合わせてみると。


 えぇ…マジ?

 何か10人くらいから応募あるんだけど…?


オーク5体に10人掛かり。

報酬を500カラドと書いていたが、総額か単価かは書いていない。

書いていないのだが…。


 うっわ…まさか…ぎゃー…?!


要約すると、1人頭500カラド、10人の雇用として5000カラド。

何故かギルドへの支払額も450カラド請求される。


 いや、おかしいだろ!

 どう考えても1人で出来るだろ!!

 何でギルド側で止めないッ…あぁ、止めるわけないか。


たまたま討伐カウンターで受注しているから気付かないが、お役所仕事極まれるギルドでこんなトラブルは日常なのだろう。

討伐であれば、討伐対象自体に制限が掛かっているからだ。

討伐してしまえば次の参加者など発生しようが無いから。


 あぁ…とりあえず、締め切ろう。

 これ以上来られても赤字になるだけだし。


今更手遅れとも思いつつ、実行に移す理熾だった。

お読み下さりありがとうございます。

ギルドは相変わらずギルドです。

痒いところには全く手は届きません。

流石です。

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