クラスの学習
お待たせしました。
クラス考察再びです。
戦闘話は作りたいのですが、まだまだ基礎も分からないのでどうしようもありません。
クラス選択の儀式場を後にし、資料室のような場所を訪れる。
ここでクラス特性を知り、合うスキルを選択していくのだろう。
といっても普通ならこの場面で見繕ったスキルを習得する方法を教わるだけなのだが。
「さて、ではリオさん。
武神と空間使いのどちらを選択されたんですか?」
さも当然かのようにセンガが質問する。
「え?
両方選びましたけど?」
「は?」
選ぶな、という話をしたはずなのだから、当然どちらかを選んでいるはずだ。
センガの質問はおかしくはないし、何より忠告を聞いておけという意味では当たり前である。
ただ単に理熾が相手なのが悪かったのだ。
「アレ、僕両方の時の注意事項は聞いたような?」
「えぇ、だからやるなって言いましたよね?」
「ん? 言われてませんよ?
クラス特性を魂に刻むから危ないよって言われただけで」
センガは唖然としてしまう。
これを揚げ足取りというのだろうか。
心が壊れると言うのは生半可なことではない。
子供と言えどそれくらいは理解しているはずだ。
だから、何よりも『リスクを承知だった』のかが一番の問題だろう。
「リオさん、貴方がしたことは大変危険です。
それを理解した上で行ったということですか?
私の忠告等を全て聞いた上で、貴方の判断で行ったと?」
「え? そりゃそうでしょう。
カルマの話もそうですけど、例え失敗しても僕のせいでしょ?」
別段気にした風もなく言う理熾にセンガは恐怖する。
理熾は、しっかりとリスクを取るという選択をしたということに。
「そうですか…それならば問題ありません。
上へ報告してもよろしいですか?」
「えー…それは止めて欲しい…。
いや、というか止めた方が良いんじゃないかなぁ」
改めてあっさりと答える理熾。
真意を測りかねているセンガを見て、続きを話す。
「だって僕みたいに成功するとは限らないからね。
あ、僕自身もカルマが発生したから、ノーリスクって訳じゃないか。
まぁ、でも。
成功者が居るってだけで皆きっと真似するから、出来れば伏せていて欲しいかな」
「ではカルマの件も報告できませんが…」
「え? うん、別に良いよ?
状態異常系で本当に良かったと思ってるし」
真意が全く読み取れない。
理熾の受けたカルマはかなり厄介なものになる。
自身の戦力に常時1割の制限を掛けられるのだから。
それを完全に自分のせいだと言い、なおかつ良かったと笑って言えるなんてのはセンガには信じられない。
「まぁまぁ、センガさん。
既に対策も取ってるから本当に気にしないで。
それより武神と空間使いのスキル説明お願いします」
センガには20程も年下だろう理熾の考えが全く読めない。
何よりカルマという加護に相対するような不利益を、部屋を移動するだけの時間で対策したと言う。
理熾の言う常識がないという言葉が全く違う意味で聞こえてくる。
「君には一体何が見えているんだ…?」
センガには口に出すつもりは無かった。
たまたま出てしまっただけだった。
その言葉を理熾が笑いながら拾う。
「そうですねぇ…目の前かな?
悪いことでも見方を変えれば何とかなるものですよ?」
「まぁ、どうしても無理なこともあるけどね」と笑って言う理熾。
センガはもう子供だとは思わないことにした。
「色々と失礼しました、リオさん」
「え? 何にも失礼されてないけど…」
「気にしないで下さい。
単なる私の気構えですので。
さて、クラス特性ですね。
武神はユニークスキルを持つクラスとして有名ですが、発現者が少ないため、資料も少ないです」
「ぁーそういえばこの国で数人とかって言ってたような…?」
改めて言われ、かなり嫌な感じがする。
もしかして選択を間違ったか、という風に。
聞いていた以上はこの上なく理熾好みだったのだから、仕方は無いのだが。
「はい、ですが他国を合わせてもそれほど多いクラスではありません。
下手をすると現在の所有者はリオさんのみ、という可能性もあります」
「うわ、すっごいレアクラスじゃない!?」
驚いている理熾。
センガは「この辺りは子供だな」という感想を持つ。
「そういった訳で資料等は少ないのですが、資料は不要です。
1:全ての武器を扱える
2:全ての武器の技を扱える
3:熟練度の値が不明
以上3点がポイントとなります」
ふむふむと理熾は相槌を打つ。
疑問に思う点を質問する。
「聞いてる限りだと、武器を扱う際に有利なスキルは全て役に立つって聞こえるんだけども」
「ご明察です。
身体強化系は言うまでもありません。
そもそも格闘等の近接戦から投擲武器で遠距離までこなせるので、戦闘タイプによって得るスキルを考えるとよろしいかと」
「…何というか凄いクラスだね?」
「その分、熟練度の値が見えません」
「値が見えない?」
「はい。
過去の所持者によると、熟練度が上がっている感覚はあってもレベルが上がらない、との事です。
もしかすると『武神』というスキル発現にて完成という可能性もありますね」
「なるほど…」
「よって現在のところLv2以上は未確認です」とセンガは締めくくる。
確かに武神というものはある意味で物理職の最終目標とも言える。
遠近の武器と技を共に扱えるのだから、それはもう当然だろう。
だからこそ、『武神』を持つことが終着点なのだという論が出てくる。
けれど理熾は気になったことがあった。
「一つ聞いても良い?」
「なんなりと」
「武神を取得した人って、高齢だったりしない?」
「その通りです。
良く分かりますね」
それを聞いてLv2以上が存在しない理由が理熾には分かってしまった。
話はとても簡単なのだ。
多分、武神を取得してから、Lv上げるだけの期間が無いんだね。
武神というクラスは終着点と呼べるだけの魂の容量だったり、経験値が必要になるだろう。
それを満たしていざクラスを得ると、武神クラスを使う期間がないんだろうね。
要はレベルを上げるだけの熟練度が稼げずに、引退って事。
ま、予想だけど。
とあっさり予想を手放す。
理熾の場合、これから使う時間しかないのだから、気にする意味がない。
そもそも武神のクラス自体が十二分に強いのだから、別にLvが上がらなくてもどうにかなる。
「分かりました。
武神は万能すぎるので、後で考えます」
すぐさま頭を切り替える。
別段時間が無いわけでもないが、特に今すべきことでもない。
図書館でスキル調べた方が効率的だしね。
ま、教えてくれる人が居るならそれに越したことは無いんだけども。
理熾にとって今は武神という物理スキルより、魔法というファンタジーの方が大事なのだ。
「それより空間使いはどんな感じなんですか?」
目を輝かせながら聞く。
分析やら運に賭けるとか、先ほどまでとの雰囲気と全く違う。
今は完全に子供と化している。
元々子供なのだが。
「え、えぇ…そうですね。
空間魔法も、武神と同じく非常に汎用性が高い魔法になります。
故に基本的に魔法を強化するようなスキルさえあれば十二分に効果を発揮するでしょう」
理熾の変わり身にセンガが戸惑いつつも答える。
「どんなことが出来るんですか?」
空間魔法について余りにも知らな過ぎる。
少しくらいは埋めていかないといけない。
「複雑な話になるのですが、空間魔法の使い手は、現在地を『座標』というもので観測しているそうです」
「何だかいきなり良く分からない話に…」
「ですよね…私も余り分かっている訳ではありません。
簡単に言うと、私の立ち位置から、リオさんまでの距離を常に測っているということです」
「え、何て面倒な」
「もう既にクラス持ってますよね?
今更ですので、しっかり習得してください。
本来魔法の照準というのは、かなり曖昧なものです。
目測で『大体この辺』という感じで魔法を繰り出します」
「うん、だよね。
豆粒当てるわけじゃないし、別に『そこら辺』でもよさそう」
センガの説明に理熾は同意する。
理熾にとっての魔法とは、範囲攻撃を言う。
まさに『そこら辺』への攻撃だと思っているのだ。
「はい、けれど空間使いはその照準を物凄く細かく指定できます。
ですので魔力のロスが少なく、効率よく効果を発揮させられます。
むしろこの技術の高さを競うのが魔法職と言っても過言ではありません。
高い効率・威力・密度・命中率がどの分野でも必要とされますが、魔法職はそれ以上に要求されます」
センガの説明は続く。
魔法職に疎いのかと思ったが、そうでもないらしい。
やはり講師の肩書きは伊達ではないのだろう。
「魔法職は物理職とは違い、魔力を使って何かを成します。
これは物理職のように、装備という恩恵を受け難いことを意味します。
あぁ、魔法職の装備がないという意味ではありません。
何かを切りたいとしましょう。
物理職であれば刃物を用意すれば良い。
それを魔法職が行うとなるとどうなるでしょうか?
土を錬成して刃の精製や、風を束ねて薄くしないと切れません。
つまり自身の魔力で武器を作るところからはじめなければならないのです。
物理職は単純に武器があるだけで誰でも攻撃できますが、魔法職は武器があっても補助にしかなりません。
魔法職はそれほど本人の能力に依存するということです。
故に魔法職ほど、身を削るという意味を理解していると、私は思っております」
センガの説明が熱を帯びる。
昔何かあったのかもしれない。
「まぁ、魔法職はその分武器を持たなくて良いので身軽ですし、攻撃手段を複数用意できます。
物理職・魔法職共に一長一短です。
それをどう扱うかはそれぞれの能力ということです。
ただしやはり魔法職は魔力管理が重要で、それができないのであればただの足手まといですね」
最後にサクッと毒を吐く。
恐らく理熾に釘を刺したのだろう。
「お前はそうなるなよ」と。
「っと、話が大幅に逸れましたね。
以上のことから、魔力の管理や命中精度などなどは魔法職に強く求められます。
それらの問題を空間使いはクラスとして補助できるという稀有なものです。
何せ一番のネックである無駄撃ちが減らせ、照準が定まるので攻撃範囲も狭くできるので効率的です」
「なるほど…良いクラスですねぇ」
相槌しか打てない。
全くもって良いクラスである。
照準や効率に関しても、修練の結果が空間使いのクラスなのだ。
そう聞けば「そりゃアレだけ頑張ればそれくらい」とも思うのだが、理熾は違う。
武神の時もそうだったが、クラスを習得したからの特典なのだ。
全てにおいて過程と結果が逆転している。
「さて、本題に戻しましょう。
先程も挙げましたが、空間使いは空間転移・亜空間作成、空間の切断による攻撃・防御などが行えます」
「それって練習どうするんですか?」
「とりあえず亜空間作成からはじめると良いと思います。
荷物を亜空間内に保管することが出来るので、荷物袋を体積・重量を感じさせず持ち歩ける感じです」
「おぉ! それは凄い。
それを使えばかなり移動が楽ですね。
ちなみに重量とか、使用時の制限などはありますか?」
「最大積載量というのは確かに存在しますが、空間魔法の熟練度に比例して拡張できます。
それと魔力量とかも関係しますね。
また、使用に際して魔力…MPを使うので、枯渇していると開けませんので注意が必要です」
「なるほど、魔法で作る空間だしね。
例えばMPなくなっても、空間が壊れることは無いの?」
「それはありませんね。
亜空間自体は一度作ってしまえば所有者の意思なく壊れることはありません。
壊れる時は所有者の死亡をもって、維持が出来なくなる際です。
その際は、ボックス内に入っている荷物は所有者が死亡した場所に全て吐き出されます」
「まぁ、死んだら荷物がどうのこうの言ってる場合じゃないよね」
あっさりと同意する。
「けどそうなると遺産相続などはかなり大変だろうな」とか適当なことを理熾は考えていた。
「練習に際しては、魔法の担当者を付けますのでその際にお願いします」
「分かりました~」
そこでふとセンガが思い至る。
「何だか今更なんですが、この2つめの講習っていらなかったかもしれませんね」
「え?」
「いや、だって………ね?
必須・不要のスキル選択の時間だったのですが、リオさんは別です。
リオさんのクラスはどちらも汎用性が高いし、物・魔共に扱えますので、間違うことがないのです。
他の人なら、物理職の癖に魔法職用のスキルを取ろうとしていた、なんてこともあるので必要なんですが」
「おぉ!」
「あぁ…でも。
武術系だけは取らないでくださいね。
武神に組み込まれてるので普通は取れないはずなんですが、リオさんなら…と思うので念のため」
理熾は乾いた笑いしか出なかった。
お読み下さりありがとうございました。
めでたく(?)、5000PVを超えました。
今後ともよろしくお願いします。




