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神様のおねがい  作者: もやしいため
第三章:始まりの街
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究極(クラス)の選択

今回はスキル考察ではなく、クラス考察になります。

この場面でも理熾の理解力はキラリと光り、発想力はセンガの追随を許しません。

一通りのクラスについての説明をしてもらった理熾。

だが、だからと言ってどのクラスを選べば良いかが分からない。


「ちなみに選べるクラスってどんなのがあるんですか?」


という素朴な疑問だった。

何よりクラスの良し悪しなど知らない。

結局どれを選べば良いか分からないので、後回しにすらしようとしていた。

取るクラスによっては多くの恩恵を受けられると言うのなら、その反面間違ったものを取ると大変な目に遭うからだ。


「それが、本人にしか分からないようになっています。

 このクラス情報は個人情報の最たるものですので。

 部外者()には選択できるクラス数のみ、表示されています」

「んー…僕には見えませんでしたが?」


「あぁ、すみません。

 途中でやめてしまったので…では続きをはじめますか?」

「そうですねぇ…お願いします」


こうしてクラス選びが再開された。

改めて円の中に入ってリラックス。

ボーっとした頭の中に浮かぶのは複数の文字の羅列。

例えば、<戦士>、<召喚師>、<剣聖>、<格闘家>、<騎士>、<魔法剣士>、<魔法師>、<魔法使い>などなど。

対象が多すぎて選ぶに選べない。

よって理熾は質問する。


「センガさん、近接職で最強のクラスって何だと思いますか?」

「そうですねぇ…。

 近接職というくくりで言えば、最強の一角は<暗殺者(アサシン)>でしょうか。

 隠密性、諜報能力に優れて基本的に気配を断っての一撃必殺です。

 気付かれたところで、戦闘能力自体がかなり高いですね。

 まぁ、速度に特化していますので、固い相手や体力のある相手は不得意ですが…」


「なるほど、その他ってありますか?」

「<剣闘士(グラディエーター)>というものも捨てがたい。

 近接に特化している上に、得物をある程度選ばず、剣・槍・斧、それに盾など、複数扱えます。

 その代わりと言ってはなんですが、ほとんど魔法に適性がありません。

 近接戦闘が主体のタイプになり、不便を感じるかもしれません。

 しかしその分、物理戦闘力はかなり高い職になり、魔法能力の低さを補って余りある強いクラスですね」


「なるほど」


説明を受けた内容を考えれば確かに最強ランクのクラスだろう。

だが、残念ながら理熾の求めるものではない。


 何となく、二つとも違う気がする。

 <剣闘士>は近接過ぎて、それこそ最前線に出ないとダメっぽい。

 何より魔法が使えないなんてふざけんなって話だよね。

 魔法使うためにわざわざ異世界(スフィア)にまで来たのにさ。


 <暗殺者>の方は強そうだけど、戦争とかの大規模戦闘じゃ全く役に立たなそうだし。

 戦えるだけマシとも思えるけど、聞いてる限りは対個人って感じだよね。


 ぁー…そういえば勇者とかあるのかな?


と『勇者』というクラスがあるかは不明だ。

ただ手に入るとすれば相当に強いだろうという予想は立つ。

今まさに力が必要な理熾は躊躇い無くセンガに聞いていく。


「センガさん。

 勇者とか魔王ってクラスあるんですか?」

「いえ、そのように呼ばれるクラスはありません。

 それらはどちらかというと『称号』ですね。

 まぁ、自分で掲げる人も居るには居るのですが…認められなければ意味ないですし」


雷の魔法が得意、というわけでも無さそうだ。

理熾はさくっと諦め、クラス選びに戻る。

これほどクラスが多いと逆に適当に選びたく無くなってきてしまう。

ある意味これも大きな一歩のはずなのだが、面倒さが前に立って来てしまう。


「あっと、これなんだろ?

 <武神>ってクラスがあるんですが」


ゲームや小説などでは見慣れないタイプの名前である。

他にも色々と分かるような分からないような微妙な名前のものはあるが、何となくこのクラスが気になった。

何せ『神』がついているのだから。


 まぁ…『神』っていうのには良い思い出無いんだけどね。


と心の中で苦笑する事も忘れない。

今まさに苦労しているのはその神のせいなのだから。


「<武神>…、ですか?

 リオさんホント何者ですか」


センガが驚愕の表情で見る。

聞いてはまずいクラスだったのだろうか。

理熾は少し焦る。

悪魔とか魔王とか、そういうタイプの嫌われ役のクラスなのかもしれない。


「<武神>というと、格闘系の最上位のクラスです。

 格闘系統はそれほど強いクラスではないのですが、<武神>だけは勝手が違います。

 【格闘術】と同じく、基本は武器を持たない『無手』という戦闘スタイルを取るクラスです。

 ですが<武神>はクラスと同じ名前の【武神】というユニークスキルが発現します。

 これがかなり曲者で、先ほど上げた剣闘士以上に『武器を選ばず戦えるスキル』なのです。

 そして扱える武器で発動出来る、全ての武技も扱えます。

 つまりほとんど全ての武器と武技を扱えるクラスという訳です。


 ちなみに。

 過去にこの国では数人しか発現したことの無いクラスになるので、希少価値が尋常ではありません」


と若干興奮しながら理熾に説明する。

しかも「是非そのクラスにして情報を下さい」とセンガが迫ってまでくる。

そんなセンガの声を聞き流しながら理熾は思う。

『これこそ、求めていたクラスだ』と。

器用貧乏を極めた先の、『万能』のスキルである可能性。

他のクラスの説明も聞くべきではあるが、これ以上に理熾の好みに合うものは無いだろう。


 多分、マイナースキルの【体術】と、尋常じゃない可能性(低Lv)で選択可能になったんだろうなぁ。

 運が悪かったからか良かったからなのかは分かんないけど、最弱の状況だからこそ得られる幸運とは…。


などと躍る心で頭は冷めた感想を持っている。

きっと不意打ちでスフィアに飛ばされた時に『過度の期待は禁物』だと言うことを学んでしまったのだろう。

そんなことを内心思いながらもスフィアへと訪れた理由を掘り返す。


「おぉぉ…凄いクラスですね。

 他にも聞きたいんですが、魔法職でオススメのクラスってありますか?」

「え、<武神>で決定ではないのですか?」


センガが意外そうに聞いてくる。

それはそうだろう、発現者が極少数の最高位クラス。

選ばない可能性の方が低い、むしろ無いようなものだ。

センガがもし手に入るなら、考えるまでも無く飛びつくだろう。

なのに理熾は余りにも冷静に伝える。


「いや、ほら、念のためです。

 他の可能性も考えておかないとって思って。

 クラス選択を終えた後で文句言っても遅いですよね?

 …もしかしてクラスって後で変更とか出来たりします?」


そういえば、とクラス変更については聞いていなかった事を理熾は思い出す。

もしクラス変更が出来るなら、もっと違った可能性が広がる。


「あぁ、クラスの変更は不可能です。

 クラスは魂に刻むので、変更することが出来ません。

 もし仮にクラス変更が出来たとしても、恐らく心が壊れます

 変更だけじゃなく、魂にクラスを刻む際に失敗しても同じくですね」

「何それ怖い!」


「えぇ、ですからクラス選びは慎重に…って、私が言えませんね。

 申し訳ありません。

 ただし、特例として上位クラスへの『クラスアップ』はありえます。

 例えば<剣士>が<騎士>へ、<魔法剣士>へ、といった風に。

 まぁ、大体の場合はクラスアップなんて出来ないししないんですけどね」


何ともあっさりした風にセンガが答える。

クラスアップするだけの能力があるなら、もっと他のクラスが望めるということらしい。

わざわざそんなところで足踏み(クラスアップ)するよりは、新たなクラスを取得した方が強いというのが主流だそうだ。


「っと、それよりも魔法系のクラスですかぁ…単純に<精霊使い(エレメンタルマスター)>なんかは強いですね。

 契約精霊の能力にも因りますが、<精霊使い>をクラスに持てば上位・最高位の精霊と契約できるはずですので」

「【精霊魔法】ってそんなに強いんですか?」


精霊と聞くと、理熾は悪戯好きの妖精(フェアリー)を思い浮かべる。

実際は全くの別物なのだが、理熾の認識では似たようなもの、なのだ。


「精霊というのは魔法生物と言っても過言ではないモノです。

 私達人間の魔法は、魔法というものの表面を使える程度です。

 精霊達はどちらかと言えば『魔法そのもの』とも言い換えられる程なので、まさに桁が違います」

「へぇ、そんなに違うものなんですね」


「えぇ…というより、リオさんの知識は偏りすぎではありませんか?」

「すみません、常識がないもので…。

 <精霊使い>以外とかって思い浮かびますかー?」


「うーん…<魔法使い>というのは、そのクラス自体が結構高位のクラスになります。

 意味が広いことから、初心者から熟練者まで総じて<魔法使い>と呼ばれるクラスです」

「もしかして明確な区別が無い?」


「そうとも言い換えられますね。

 魔法というのは『魔力を使って結果を出す技法の総称』です。

 ですので、クラスとしては<魔法使い>が最低であり、最高でもあると考えられます。

 まぁ、クラスを持って無くても魔法は使えますしね。


 …後は特色ですかね?

 近代・精霊・儀式・古代のいずれを使っても、出発点は『魔力』です。

 後はどう名乗るか、何が得意かになってしまうのですが、それっぽい名前ってありませんか?」


センガはどちらかと言うと物理系なのだろうと理熾は感じた。

魔法職に関する知識が【精霊魔法】しか出て来ていないからだ。

講師として『それはどうよ?』とも感じるが、それこそ万能な知識などありはしない。


 うーん…そんなこと言われてもなぁ。

 とりあえず魔法とかで並び替え(ソート)とか出来るのかな?

 …おぉ、出来た。

 相変わらずよく分からないところで自由度が高いなぁ。


視界に薄く写る文字列が順序を変えた。

何故だか一覧が並び替えを終えたので答えてみる。


「<付与士(エンチャンター)>、<魔文字使い(ルーンマスター)>、<召喚師(サモナー)>、<幻術使い(イリュージョナー)>…」

「ちょ、ちょっと待ってください!!

 何でそんなに高位のばかりの名前がいっぱい出てくるんですか!」


「え?」

「『え?』じゃない!

 私をからかっているんですか!?」


憤慨するセンガ。

理熾が『知っているクラス名を適当に言ってからかっている』と受け取っているようだ。

まったくもってそんなことは無いのだが。


「そんなはず無いじゃないですか。

 単にたまたま適性が多いだけですよ?」

「ホントですか?

 <魔文字使い>とか、<召喚師>とか、魔法の中でも高位のクラスですよ?

 そもそも<魔法使い>以外の選択肢を持つこと自体が『高位』なのに!


 貴方<武神>も選べるんですよね?

 物理・魔法を問わず、何でそんなに選択肢が広いんですか!」


「いや、僕に言われても…」


詰め寄られて答えに窮する。

『クラス適性』というのは、その者の能力に依存する。

武器を扱うのが得意なら物理系のクラスが。

魔法を扱うのが得意なら魔法系のクラスが。


当然の事ながら『得意』と『扱える』は別物。

物理系でも魔法を、逆に魔法系でも物理を選ぶことも出来る。

だがそこにもやはり傾向というものがある。

物理が得意なら魔法のクラスは余り選べない。

選択肢は少ないし、クラスのランクも低い。

逆もまた然りなのだ。


<武神>という物理最高ランクのクラスが出ている以上、魔法のランクは低くなければならない(・・・・・・・・・・)のだ。

スフィアの常識では。

理熾の場合はLvや能力が余りにも低い現状が、タイプ傾向の可能性を無限に広げる。

だから今現在に限り、物理・魔法のどちらにも得意になる可能性があるのだ。


 理由の予想は立つけども、余り公言しないほうが良いよなぁ…。

 低レベル(幼児)にクラス選ばせるのは運要素強過ぎるし。


と思って即座に切り替える。

余り長々やるようなことでもないらしい。


「で、結局のところ。

 魔法職ってどういうのが良いですか?

 もう高位で便利ならそれでも良いかなぁ、とか思うんですが」

「それはどうかと思いますよ?

 そうですね…利便性という一点を求めるならば<空間使い(ディメンショナー)>でしょうか。

 空間使いの【空間魔法】は扱いが難しく所持者が少ないですがかなり便利です。

 荷物の持ち運び便利な亜空間作成から始まり、空間転移、空間の断絶による攻撃・防御など多彩ですね」


もし推薦される魔法が無い場合は<付与士>を考えていた。

名前からして、補助魔法の使い手っぽいからだ。

何にせよ概要を聞いてからにはなるが、<付与士>を持って魔法拳士とでも名乗ろうかと思っていた。

だが今のセンガの話を聞いて心が決まった。

魔法は便利でなければいけない。

理熾の常識的に。


 よし、<武神>と<空間使い>だ。

 物理で汎用性が高い<武神>と、希少性・特殊性・利便性が高い【空間魔法】を使えば何とかなるでしょ。

 というか、【空間魔法】手に入れたら絶対に他の魔法使ってやるッ!!


と心を決める。

未だセンガはご立腹だ。

余り表情には出していない辺りが優秀な講師なのかもしれない。

そんなセンガの状態を置き去りに、もうひとつ気になっていたことを質問する。


「ひとつ気になってたんですが、クラス選択の時に『同時に複数クラスを選ぶ』ことはできますか?」

「は?」


「ほら、これだけクラスの選択肢があるなら、もしかすると二つとか一緒に取れるかなぁって」

「…同時、というのは過去に試した人は居ません。

 まず、クラス特性は魂に刻むものです。

 それ故、通常の選択でさえ大変危険度の高い儀式になります。

 当然安全への配慮は行っていますが、やはり100%ではありません」


クラスを得るには相応のリスクがあるようだ。

だからといって、クラスのメリットを無視する程のリスクではない。


「また魂には容量があり、その『容量に見合うクラス』しか刻めません。

 通常であれば容量の過不足はクラスの選択肢に因るので、誰もが失敗することはありません」

「ということは…対象のクラス2つ分以上の容量があれば、同時に選択することも出来る、と?」


「推測になってしまいますが、そうです。

 けれど何故同時なのですか?

 一つ取り、その後にまだ余裕があればそのまま二つ目を取ればいいのでは?」

「まぁ、そうですよねぇ」


理熾は同意するのみだった。

安全を取ればセンガの言う通りだし、普通はそうする。

が、理熾は事情が違う。

これは他人には言えないことなのだが。


 今の僕は『可能性の塊』だからこそ、クラスの選択がほぼ自由なんだ。

 ということは、何かのクラスを取ってしまうと可能性が狭まる…?

 いや、どっちかと言うと『方向付けられる』って考えた方が正しいのかな?


 そうなると前衛職を取れば物理系へ、魔法職を取れば魔法系へ偏る可能性が高い。

 つまりこの瞬間は無理をしてでも、『可能性のバランス』を取る必要がある。

 でもこれ、全部僕の予想と推測なんだけどさ。


スフィアに来てからは危ない橋を渡ったこともあるし、現状ではまだまだ危険でも渡る必要がある。

ここで躓くなら、結局何も成せないままな気もする。

だからこそ、ここでもリスクを取る(・・・・・・)

「これが最後の危ない橋だといいな」と思いながらも。


「決まりました。

 これって、どうやってクラスを選べば良いんですか?」

「決めたクラスを頭に浮かべながら、円の中心にある陣に手をつけて願えば完了です」


「分かりました」


無能な理熾は何処までも貪欲だ。

Lv2の分際で、最高位クラスを二つ同時に取得するという暴挙を犯す。

誰もがやったことの無い可能性に賭けて。

お読み下さりありがとうございます。

考察関連はちょいちょい発生しますので苦手な方には申し訳ありませんが、お付き合い下さい。

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