魔法の名前
ようやく理熾念願の魔法のお話です。
今までとにかく自身の強化を考えていたのが、少し趣味に入れました。
勉強ばかりですが理熾君も本望でしょう。
9/14訂正
SPは使い切ってしまった。
次にSPが手に入るのは【神託】か、LvUPかのどちらかだろう。
とはいえ、【神託】を当てには出来ない。
報酬がSPというものが運良くあるかどうかもわからない。
何よりあの神様相手に『希望を持つ』というのがそもそも望み薄というものだ。
ここは自力で何とかするしかない。
となると…Lv上げになるわけだけど…。
モンスターとか動物倒せば経験値が手に入るのかな?
あぁ…討伐って言うくらいだし殺さないとダメなのかもしんない。
少し嫌悪感を持つ。
『自分は動物を殺せるのか』という嫌悪感を。
だがそれよりもまず自分の能力値で相手を倒せるかどうかが怪しい。
その上人間相手の殴り合いすらまともにしたことが無い理熾では話にならない。
何せ魔物や魔獣は殺しに掛かってくるのだから。
とにかくテーブルに並べた伝記やら英雄譚を元の場所に返してくる。
【体術】の確認さえ取れてしまえばただの日記に用は無い。
せっかく来た図書館なのだ、色々調べてから出た方が懐に優しい。
そのまま改めて司書に聞きに行く。
「すみません。
アルス付近で出没する魔物、魔獣、動物の一覧ってありますか?」
何とも大雑把な質問である。
しかも並べ立てて聞けば良いというものではないのだが、その点この司書は優秀だった。
むしろ司書さんが優秀になる程、ややこしい質問があったのかもしれないが。
「そうですね…。
あちらの棚に魔物の図鑑が、その隣に魔獣、動物の図鑑がそれぞれ置いてあります。
魔物や動物ごとの生息図的なものも掲載されてると思いますが…多分、欲しいのは逆ですよね?」
と的確に答えてくれる上にこちらの意図まで読んでくれる。
確かに理熾は魔物の生息分布図から対象の魔物の性質や特徴を知りたい。
出遭った相手を調べるわけではないのだ。
何処へ行けば安全に狩りが出来るのかを調べたい。
司書に言われて伝えた内容と全く正反対だと気付かされた訳である。
単に良く聞かれるのかもしれないが。
「ぁー…そうですね、ありますか?」
「そういった物が必要でしたら、討伐カウンターにて討伐対象とそれらの分布図が掲載されています。
こちらにもありますが、情報の鮮度はどうしても討伐カウンターの方がよろしいかと思います」
それはそうだろう。
そういう資料が討伐カウンターに無いと不便で仕方ない。
今回理熾が欲しがったものはそちらに行けば手に入るだろう。
ちなみに先程案内された棚にも一応分布図はあるらしい。
定期的に更新もされているが、最新ではない。
図書館に置いてある分布図の更新頻度は大体3ヶ月~半年に一回程度らしい。
それすらも討伐カウンターの複製品なので若干情報が古くなってしまうとのことだ。
新種や、遭遇確率等の資料はやはり討伐カウンターの方が良いようだ。
うーん…だったら魔法とか勉強するかなぁ?
そんなに簡単に手に入るとは思えないけれど、やってみることには意味があるよね。
そもそもSP無いから、必要なら自力で覚えるしかないわけだし…。
というか魔力低いけど大丈夫なのかな…?
とにかく方針は決まった。
そもそも魔法を使うために来たのだから、調べるくらいは苦ではない。
むしろそういうもの関連は大歓迎だ。
「んーだったら、魔法書とかありますか?」
「はい、あちらに。
効果・属性ごとに並んでいますので、順番を変えないように注意してください」
指示された棚に向かう。
多くの本がある図書館だが、理熾が必要な本は今のところ極一部だ。
今のところ出来る事の方が少なく、知識に用が無いのだ。
まずは自身の強化が最優先。
そして次に常識を学ぶこと。
最後に改めて自身の強化を行うこと。
本来であれば常識が最優先だろう。
最初から一定以上の能力を持てばわざわざ「自分の強化」を目指す必要は薄い。
強くなるに越したことは無いが、命の危険が無いからだ。
なので元々持ち合わせる能力の調整、把握さえ出来れば何とかなる。
少なくともイレギュラーが無ければ死ぬことは無い。
けども、僕はやっぱり何も無いからなぁ。
早い内にそれなりになっておかないと…。
そもそもイレギュラーがレギュラー並みに発生するだろうし。
世界の問題解決を頼まれている以上、イージーモードであるはずが無い。
能力が低い上に環境がハード、もしくはヘルモードとは何とも恐れ入る。
解決する方法も…いや、そもそも問題すら提示されていない状況では何を言われても無理としか答えられない。
これは異世界初心者にはハードルが高すぎるよね。
っと、ここかな…。
まず「魔法」について調べよう。
目当ての教材を手に入れて読み進める。
相変わらずの主観な文章を頭の中で整理して組み立てる。
どうやら魔法はメインで使う魔力の所在によって大きく区分けされるようだ。
一番簡単なのが自身が持つ魔力を利用する魔法。
これは近代魔法と呼ばれていて、どの属性でも適正さえあれば扱える。
逆に言えば適正が無ければ一切扱えず、現在この方法が主流である。
二つ目は世界に満ちる精霊の力を借りる精霊魔法。
自分の魔力を精霊への供物に、『精霊が魔法を使う』という代理魔法になる。
スキルのみでは扱えず、精霊との契約が必須。
精霊に気に入られなければ素質があっても何も出来ない無能になってしまう。
また、近代魔法より遥かに効率良く結果が得られるが、精霊との意思疎通が出来なければ逆もありえる。
魔法の発動その他を他者に任せるため、扱いが難しい。
当然契約した精霊が持つ属性しか扱えないとデメリットも多い。
三つ目は儀式魔法。
世界に流れる魔力を施設などを利用して行使する大規模魔法。
時間・地理・環境など、さまざまな要素が含まれるため、『魔法装置』として完成しているものが多い。
俗に言う魔法陣、特殊な魔具や、『形式』であったりといった風に多くの制限が掛かる。
四つ目は今や扱える者が居ない(もしくは極少数)古代魔法。
儀式魔法と同じく、世界に存在する魔力を、施設や形式を経由せずに個人が利用する魔法。
詳細は失伝してしまっていて、技術は不明。
以上4つが基本的な魔法である。
その他にも、継承魔法(代が続くほど能力が上がる)や、儀式魔術の亜種である呪術などがある。
それぞれの魔法が明確に分類化されていないのは、単に『技術として確立されていないから』らしい。
要約すると結果は分かるけど、理由が分からないって感じだろうか。
いうなれば、テレビは使えるし見れるけど、内部の構造は誰も分からないという感じである。
技術の改良や効率化の発見は行っていっているが、「そもそも」の部分が誰にも分かっていない。
分からないけれど、使えるし別に良いかってことかな。
僕も確かにラジオとかテレビの構造分からないしなぁ。
というか、もし科学技術の構造を知ってこの世界にこれてたら、かなりの強みなのでは…?
剣と魔法の世界ってくらいだから、銃なんて存在してないはずだし。
とある意味愕然とする。
どれだけ身体的に無力でも、知識と技術を駆使すればどうにでもなれることが分かってしまったからだ。
おぉぅ…これはこれで凹むなぁ…。
まぁ、中学生が銃の構造に詳しいってのもおかしな話だし、納得しよう。
うん、そうしよう。
と何とか自分を慰める。
別に銃を知らなくても、その他の技術を知っていれば楽に生きられそうな事も黙殺する。
そしてそれにしても、と頭を切り替える。
何か本の上では儀式は大掛かり過ぎだし、古代はわかんない。
近代と精霊しか使えないけど…精霊は契約できないと意味が無い。
近代魔法がとっつき易い…というか、それしか無理っぽい?
少なくとも自前の能力使ってるわけだし…。
うん、全く魔力なんて感じないんだけど☆
まさに前途多難である。
必ずこの先ぶつかるであろう、弓や魔法といった遠距離攻撃に対する方法が『我慢』しかない可能性が出てきた。
【体術】を持っているので、それなりに回避や防御は出来るだろうが…。
連射性があったり、範囲攻撃だったり、むしろ精神系だと最悪だなぁ。
回避の方法が無い…むぅ、手持ちのナイフだけじゃ絶対対処出来ないなぁ…。
仕方ない。
魔法については【スキル取得】で一つ何かとって、それをベースに他のを覚えよう。
とりあえずは補助魔法系かなぁ…?
魔法の対象を絞って改めて調べていく。
どの魔法でも攻撃魔法、防御魔法、補助魔法、回復魔法などいくつか種類がある。
これも効果によって辛うじて分かれているだけで、それほど明確に分かれてはいない。
だって防御魔法ってある意味では補助だし、回復とは言え、耐久力を上げるものもある。
結局のところ、『魔法』って名前でくくってるだけなんだろうなぁ…。
複数の効果を付与したら区別の付きづらい魔法を使えるようになるかも?
そうすれば対処法も難しくなるのかなぁ?
と納得と想像をしていく。
根っからの魔法使いではなく、しかもスフィアの常識に疎いのでこういう発想が出てくる。
むしろ理熾としては全属性を使いたいし、近代魔法は取っ掛かりとして、古代魔法を覚えたい。
だって僕の魔力絶望的なんだもんなぁ…。
自分の魔力使う程度じゃ何にも出来ない気しかしないよ!
今魔力7しかないし!
その後も『補助』や『回復』と呼ばれる魔法を頭に入れていく。
使えるかどうかはこの際関係ない。
今のところ使える兆しも無いのだから…。
気付くと日が傾いて最早夜だった。
結局、3時過ぎに到着した図書館で4時間以上もずっと勉強していた計算だ。
日本に居た頃を思えば驚異的である。
そんな理熾の図書館を出て初めての言葉は
「はぁ、おなかすいたなぁ」
スフィアにおいての閃きは天才的なのだが、相変わらずだった。
お読み下さりありがとうございました。
今後どういった形で魔法を使うのか楽しみにしてください。




