ポルン4
理熾は急激に意識を研ぎ澄ませる。
まずはいつもの儀式であるステータスをチェックする。
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名前:ミカナギ リオ
年齢:13
職業:武神・空間使い
称号:両立者/開拓者/使役者
Lv :35 (+3)
HP :3431 (+595)
MP :3576 (+712)
SP :425 (+60)
筋力:1581 (+349)
敏捷:1567 (+323)
体力:1871 (+413)
知力:2754 (+706)
魔力:2356 (+664)
幸運:1032 (+250)
所持金:448030カラド
武器
神威の護手(自動修復)
黒鎖鋼の剣(腐食耐性/切断)
黒鎖鋼の槍(腐食耐性/切断)
紅蓮鉄鋼の斧(衝撃拡散/壊滅)
士魂の強弓(属性付与/剛力/過速)
紅蓮鉄鋼の投剣(小)(超重量/加速)
紅蓮鉄鋼の投剣[血魔石](超重量/加速/結界/契約)
手ごろなナイフ
防具
常盤の外套(流体/最適/適温/対刃/吸魔)
常盤の戦着(流体/最適/適温/対刃/吸魔)
戦場の健脚(流体/最適/軽量/超重/硬化/適温/吸魔)
装飾
繋ぎの指輪(空間魔法MP削減)
深化の竜牙(瞬発/部位強化/竜鱗/結界/契約)
吸命機構[血魔石](吸命/保存/返還)
吸魔機構[血魔石](吸魔/保存/返還)
スキル
パッシブ
言語知識
HP回復速度上昇Lv5
MP回復速度上昇Lv7
武術指南Lv6
魔術指南Lv5
魔力感知Lv5
魔力操作Lv8
体術Lv12
成長力強化Lv8 (+1)
剛力Lv5
肉体強化Lv4
身体能力強化Lv5
状態異常耐性Lv6
必要経験値減少Lv4
MP消費減少Lv5
魔力増幅Lv5
頑堅Lv3
直感Lv4
修復Lv2
従属 New
アクティブ
空間魔法Lv7
重力魔法Lv3
精神力吸収Lv3 譲渡中
魔闘技Lv6
闘気Lv2
罠士の目Lv2
索敵Lv5
隠密Lv4
解析Lv5
隠蔽Lv5
限界突破Lv4
連携Lv2
ユニーク
武神Lv4
・武器の心得(全武器装備開放:パッシブ)
・戦技の極意(全武技使用開放:アクティブ)
・二刀流(同系武器同時使用)
スキル取得Lv7
・SPを消費してスキルを取得できる
-消費SP制限の撤廃
※ユニークスキルはSP30以下に限る
業
虚弱化Lv0 (解除)
備考
討伐ランクE
ステータス開示拒否権
妖精憑き
奴隷:5人所持(内3人孫奴隷)
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ステータスを見てみるとちゃんと経験値を稼いでいるようだった。
アレだけの魔物を倒したとは言え、【重力魔法】での共同投げっぱなしなど間接的な要因も多かったはずである。
とはいえまだ理熾もLv30台なのだから妥当なのかもしれないと納得した。
スキルが上がっていないことにがっかりしたが、逆に上がるだけの期間も無かったのだから仕方ない。
という確認をあっさり終え、準備を始める。
【限界突破】は当然のように起動し、【直感】と【索敵】を併用。
理熾の持つパッシブは【限界突破】の恩恵を受けて活性化。
遠距離の座標を認識するために牙の【瞬発】をも稼動させる。
対するアクティブスキルは処理能力に余裕が無いので今のところ保留。
少なくとも【腐食】対策に矢には無属性の魔力付与を行う予定なので大丈夫なはずである。
更にライムの《腕力強化》、《魔力活性》を付与。
ただし威力が足りなければ保留にしてあるアクティブスキルを追加する。
矢の威力が届く範囲は通常の弓兵で100~150m前後。
強弓と呼ばれる威力の高い弓を使っても500mは届かず、それよりも遥かに威力の高い理熾の弓ですら500m程度が限界だ。
だからここまでしても弓で2km先のポルンにダメージを与える攻撃は絶対に出来ない。
本来であれば。
(リコ、目の前に《転移門》起動。
僕の指示する座標に二つ目をお願い)
向きは地面と垂直で、理熾が弓を構えた丁度正面に50cm程の《転移門》の一つ目が壁に掛かる鏡のように浮かぶ。
更に【連携】を通し、リコは理熾の思い描く座標に二つ目の《転移門》を展開する。
そこから先は理熾とリコの魔力と処理能力を使った限界へのチャレンジである。
大ポルンの50m背後(?)に二つ目が展開された瞬間、【索敵】と【直感】で核の座標を認識して矢を放つ。
武技は使わない。
理熾は迷宮で助けたパーティの一人、レーンが使っていた《流し撃ち》も考えていた。
速射性に優れた武技ではあるものの、武技の最中に中断することが難しいため諦めた。
まさに臨機応変な対応が求められる場面なので本当に泣く泣く、という感じだが。
核を2つ、2連射で射抜いた辺りで理熾の攻撃に気付いた大ポルンが行動を開始する。
動くことで核の位置も変わるため、即座に座標を修正して3、4、5と矢を放って核を壊していく。
しかし大ポルンは核が壊れることを気にする事無く《転移門》越しの理熾へと体液を膨張、拡散させて数十に分割。
触手のようにばらける体液の数本を1本に束ねて槍の様に紡いで加速させ、触手状の体液と共に理熾へと殺到する。
大ポルンの槍や触手が到達するまでの間に理熾は更に3つの核を破壊し、二つ目の《転移門》を閉じた。
門を閉じてしまえばそこは単なる空中で、槍や触手が貫いた空間には何も存在せず、理熾へと繋がる道も当然無い。
攻撃が空振りに終わったことに困惑しているかのように蠢動する大ポルンがそこには居た。
しかしそれで終わるはずも、終われるはずも無い。
先ほどとは正反対の位置に《転移門》を開きなおし、理熾は同じく武技を乗せずにただの連射によって核を撃ち抜く。
最初の時とは違って一度目の門の展開時に座標修正を行っている。
距離や展開角度、更には撃ち抜きやすい核の位置まで把握済み。
テンポ良く5、6と速射を続ける内に大ポルンも理熾の存在に気付いて行動する。
理熾に一番近い部分の体液が槍を即座に展開し、攻撃を加えようとするが、その周辺の核を淡々と穿つ。
そうすることで核周辺の体液は少しだけ落ち着いた。
しかしすぐに他の核が制御権を握って立て直してしまうため、大した時間稼ぎにしかならない。
結果、10連射ほどするだけで触手の槍が殺到するので門を閉じる羽目になる。
同じように違う場所へと門を開き、淡々と作業のようにこなす。
実は理熾には『淡々』という言葉ほどの余裕は無い。
300もの核の動きを大まかに認識しつつ、撃ち抜く核の選別、敵の攻撃への迎撃・配慮。
《転移門》の次回展開場所の走査・設定、設定後に撃ち抜く核の優先順位の大まかな決定。
リコとの【連携】、各種スキルの処理と魔力分配、弓の弾道予測・調整まで加われば【瞬発】を併用してもかなり厳しい。
攻撃するために移動するのが『本人でなくてはいけない』ということもない。
今回の場合、移動するのは理熾ではなく攻撃の始点である《転移門》と、《転移門》越しに放たれる威力を持った矢だ。
射撃位置の移動を《転移門》に任せ、矢の発射場所を変更すれば良い。
そのことで浮いた力を威力・速度といった殲滅力に集中させた。
故に理熾は『砲台』として固定され、リコが《転移門》を開けることで擬似的な《空間転移》を実現している。
理熾自身も魔力を消費しているが、【空間魔法】の制御権を持つリコの消費の方が圧倒的だ。
【吸魔機構[血魔石]】、自然回復、魔法薬、《魔力活性》で得られる魔力のほとんどは、理熾からリコへ回路を利用して供給もしている。
それでも目減りするのだから困ったものである。
大ポルンの周囲を《転移門》が開き、閉じる度に理熾の矢が投じられ、核を撃ち抜く。
その門が繋がる短い攻撃の中でも理熾は必死に処理能力を酷使する。
《転移門》の開閉のタイミングは時間を置いてはいけない。
時間が経てば経つほど、前回の場所との誤差が大きくなってせっかく手に入れた座標情報が無駄になる。
逆に言えば連続して開き続けなければ意味が無く、その為に極限の処理能力と魔力使用を要求される。
既に15分ほどの攻撃を行い、核の数も徐々に減っている。
このため認識自体は楽になってきたが疲労のせいで結局つらさは変わらず。
その間ライムや配下のポルンの様子など理熾には一切分からない。
ただ目の前でリコが回復薬を5本、魔法薬を2本開けたことだけは確かだった。
全く割に合わない討伐である。
更に5分、磨り減らすような攻撃を続けると大ポルンの様子が変わったことに気付き手を止める。
相手の行動指針が変わるなら、こちらも合わせて変えねばならない。
変わる瞬間で強攻策に出てしまうと下手をすると変化についていけない。
そして何よりもそろそろ限界も近いということで休憩を入れたのだ。
最後の《転移門》を少し距離を置いて10cm程まで絞り、のぞき穴をリコが作ってくれたところで理熾は膝を折って座り込む。
項垂れ、大きく息を乱す理熾にリコが回復薬と魔法薬を浴びせ掛けてくれた。
当然リコも消耗しているため、一緒に被る。
(っくはぁぁぁあ!
しんどい、超しんどい!!)
圧迫されきっていた処理を解放された理熾が【連携】越しに叫ぶ。
開放感が半端ない。
だが動く体力や気力は全く無いので意識だけだ。
(なんつーか相変わらず無茶するよな…)
ライムは呆れたように返答する。
たった二人(一人と一匹?)だけで移動要塞相手に奇襲攻撃をかまして狙撃手だけ落としていくようなものなのだから仕方ない。
無茶なことをしているものの、逆に言えば『たったこれだけの無茶』であの大ポルンを圧倒しているのだ。
(これくらいしないと倒せないしね…)
(主人が『スミレなら確実』って言った理由が分かった。
あいつならリコや主人より遥かに《転移門》使えるからな。
しかも特に指示しなくても主人が望む場所に瞬時に門を開くだろうし)
(だよねー。
やっぱりスミレは凄いわぁ)
と理熾はしきりに感心するが、そんなことを言いながらも『同じ結果』をもぎ取る理熾にライムは閉口する。
低い技量を工夫と力ずくの両面から突破するのだから感心してしまう。
普通はどちらかに偏るはずなのだが、やはり理熾の場合は『出来ることをやる』というのが上手いと結論付けるしかない。
(で、あのポルンどう思う?)
(かなり削ってるからな…。
残りは50前後ってところか?)
ライムが予想したと同時にステータスが展開された。
リコが改めて【解析】した結果だ。
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種族:大ポルン 48
Lv :82
スキル
パッシブ
最適化Lv7
捕食Lv7
腐食Lv5
アクティブ
部位強化Lv10
収縮Lv5
膨張Lv5
ユニーク
並列化Lv7 (-5)
均一化Lv7 (-5)
狂凶化Lv15 (+12)
業
狂凶化Lv15 (+12)
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理熾の矢から一時的に逃れた大ポルンは壊れた核を消化しながら蠢動する。
大きさを減らしているのは体液をも消化しているのかもしれない。
(正解…って、何だこれ…。
【狂凶化】のLvが一気に上がってる…なんで?)
(一気に?)
(12も…って、【並列化】と【均一化】のLvが下がってる…。
そうか、核の数が減ったからか!)
(どういうことだ?)
解析結果もちゃんと知らないライムとしては理熾の言っていることがさっぱり分からない。
何よりこれほどの数の吸収合体したポルンなど見たこと無いのだから、変化内容が分かるはずも無い。
(えっと。
300の核で300体分の身体を操作するのは簡単だよね?
じゃぁ50の核で300体分の身体を操作するのは?)
(そういうことか…)
(うん、【狂凶化】は必要だから持ってるスキルなんだね。
それが無いと身体を維持できないんだと思う。
維持するために意識を保つ処理まで削ってるから、意識がなくなるんだよ)
そう思考で話し合う間にも大ポルンの体積が減少していく。
そして急激に圧縮されたかと思うと体液が爆ぜた。
周囲の木々に飛び散り、粘着して引き折る。
特にそれで何があるわけでもない。
一応消化しているようだが、木々から手に入る魔力などたかが知れている。
つまり完全に意識を落としての暴走状態に突入してしまったらしい。
(【狂凶化】のせいかな?)
(だろうな…。
それとポルン特有の【捕食】が前面に出てるんだろう。
処理できないから他のユニークのLvまで落ちたんだな。
だとするともっと…。
そうか、壊れた核を喰って成長してるから一気に落ちないのか)
(だと思う。
逆に言えばこっからのが面倒だね。
無差別に暴れる上にさっきよりも核の質が良いはずだから…)
と大ポルンの対策を考えていく。
のぞき穴は大ポルンと距離を置いているし、ポルンの性質上物理攻撃は強くとも魔法その他は壊滅的だ。
間接的な攻撃手段が無いため、距離を開けてある現状では今すぐに危険があることなど無い。
だから二人は意識しつつも対策に考えが割ける状態だ。
とはいえせっかく数を減らしてもこれでは本当に割に合わない。
だがこのままの考え方で行くなら核を減らせば減らすほど扱える体液が無くなり弱体化する。
後は逃がさずに核を潰しきる方法さえあればそれで良い。
「ご主人様、終わりました。
そちらはまだ掛かりそうですか?」
「スミレ!?」
何処からとも無く響く声は、待ちに待ったものだった。
お読み下さりありがとうございます。




