表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様のおねがい  作者: もやしいため
第十章:アルス領お家騒動
206/537

挨拶回り2

ルルガと別れ、次の目的地を考える。

カルロとロッソ、そしてガウス子爵には挨拶に行かなければならないだろう。

情報が役に立つ、立たないはこちらの問題。

急に押し掛けて迷惑を掛けたのだから。


現在地は領主館。

であればまずはカルロからだろうと思ってノイズに所在を確認すると、館内に居るということだった。

すぐに面会の話をしてもらうが、貴族なので即座に対応してくれることなど普通は無い。

もし時間が掛かるのならばアポだけ取るつもりだったのだが、すんなりと話が通ってしまった。


「こんにちはカルロ様。

 昨日は押し掛けてしまってすみません」

「いやなに。

 私が許可したのだから気にするな」


「ありがとうございます」


と理熾はせっかくのお言葉なので『気にしない』ことにした。

これでお互いの貸し借りはきっちりとゼロになったのだから。

そのまま視線を移動させてロッソを見る。

一瞬だけ身を竦ませたがそれだけだった。

気丈に振舞っているようにも見えるが、護衛の本分を全うしているのだろう。


「ロッソさん、昨日はすみませんでした。

 時間に余裕が無かったのであんな方法を取りました。

 あ、スミレに悪気はありません。

 ただ僕の命令に従っただけですので、何かあるなら僕にお願いします」

「…気にするな。

 こちらも口が過ぎたと反省している」


「ありがとうございます」


身を固めて返答する辺り、理熾に対して多少の恐怖心が窺える。

やはり昨日の強硬手段はやりすぎたと反省するしかない。

そんなことを考えていると急にカルロが「そういえば結局リオの力を見ていないな」とか言い出した。

確かに50人近くを昏倒させたのはハッサクで、その実力は不明。

唯一カルロをねじ伏せて見せた理熾にしてもそれだけである。


カルロの戦力は低くはないものの、基本は護身術。

本来は戦う為の力ではなく、自身を守る為の力なのだ。

だから攻撃性能だけを考えるならカルロはそれほど強くなかったりする。

そういう理由もあり、カルロは理熾に戦力を見せろと要求してきた。


だが要求されている理熾からすると「何言ってんの?」という思いしかない。

戦力の強弱に関わらず、自分の手札を晒すことの意味(デメリット)を理解していないらしい。

そんな明らかに否定の態度を取る理熾にカルロは続けた。


「私の護衛(ロッソ)と戦ってくれ。

 もし今回謝罪に来たのなら、な?」


しかも先ほどまで身を硬くしていたロッソはそこはかとなくやる気である。

昨日スミレに無力化されたことを根に持っているのかもしれない。

もしこれで『実力を出し切れていない』という風に思っていたら相当面倒だ。

護衛と言えば不測の事態に対応するのが仕事なので、臨機応変が実力なのだから既に理熾には負けている。

いや、正確にはスミレには、というべきかもしれない。


それに不意打ち、騙し討ちで相手を倒す理熾からすると真っ向勝負など最悪だ。

せっかく『対等な条件なら負けなかった』という言い訳を残して実力を隠しているのに、だ。

めんどくさいことになってしまったと理熾は嘆く。

とはいえ何となくやらないといけない雰囲気。

仕方なく『力比べ』というなら、単に力だけを見せ付ければ良いと話を持ちかけた。


「なら腕相撲で良いかな?」

「ほぅ…ロッソと腕力で勝負するという訳か?」


「まぁね。

 単に移動しなくて良いのと、怪我しないからですけどね」

「なるほど。

 そうまでして『怪我をさせたくない』と言いたいのか?」


「逆ですよ。

 怪我したくないんです。

 成長期がまだなのに、こんなことで怪我して身長伸びなくなったらどうしてくれるんですか」


と理熾は真面目に返答した。

これにはカルロがキョトンとした後、いつもの貴族的な所作を忘れて「あはっはは!!」と笑い転げた。

その横に立つロッソも顔を下げて肩を震わしていることから、笑いを堪えているのだろう。

カルロとしても化物的な戦力を予想させることから、目の前の子供がそんな『普通の悩み(コンプレックス)』を持っていると思わなかったのだ。

少し狙ったこととはいえ、理熾としても『そこまで笑われるのか』と少し不機嫌になる。


「すまんすまん。

 まさかそんなことを思っていたなんてな!

 いやぁ…リオは本当に私の予想を超えてくる!」

「それって褒め言葉かな…?」


「当然だ。

 あぁ、それと腕相撲で良いだろう。

 ロッソもそれで構わないな?」

「はい、カルロ様」


そう返答して近くにあったテーブルを寄せて来る。

ロッソと理熾は互いに向き合い椅子に座った。

身長180cm程のロッソからするとテーブルは少し低い。

そもそも大人と子供でする腕相撲なのだから、その辺は仕方ない。


理熾はステータスを開いて確認する。


---+---+---+---+---+---

名前:ミカナギ リオ

年齢:13

職業:武神・空間使い(ディメンショナー)

称号:両立者(ダブルスタンダード)/開拓者(エクスプローラ)/使役者(マスター)

Lv :32

HP :2836 (-1105)

MP :2864 (-1115)

SP :335

筋力:1232 (-480)

敏捷:1244 (-485)

体力:1458 (-568)

知力:2048 (-797)

魔力:1692 (-659)

幸運:782 (-305)

所持金:635820カラド


武器

神威の護手(自動修復(セルフヒーリング)

黒鎖鋼の剣(腐食耐性/切断(スライス)

黒鎖鋼の槍(腐食耐性/切断(スライス)

紅蓮鉄鋼の斧(衝撃拡散/壊滅デストロイ

士魂の強弓(属性付与/剛力/過速(ダッシュ)

紅蓮鉄鋼の投剣(小)(超重量/加速(アクセル)

紅蓮鉄鋼の投剣[血魔石(ブラッディコア)](超重量/加速(アクセル)/結界/契約)

手ごろなナイフ


防具

常盤の外套(流体/最適/適温/対刃/吸魔)

常盤の戦着(いくさぎ)(流体/最適/適温/対刃/吸魔)

戦場の健脚(流体/最適/軽量/超重/硬化/適温/吸魔)


装飾

繋ぎの指輪(空間魔法MP削減)

深化の竜牙(瞬発/部位強化/竜鱗/結界/契約)

吸命機構[血魔石](吸命/保存/返還)

吸魔機構[血魔石](吸魔/保存/返還)


スキル

パッシブ

言語知識

HP回復速度上昇Lv5

MP回復速度上昇Lv7

武術指南Lv6

魔術指南Lv5

魔力感知Lv5

魔力操作Lv8

体術Lv12

成長力強化Lv7

剛力Lv5

肉体強化Lv4

身体能力強化Lv5

状態異常耐性Lv6

必要経験値減少Lv4

MP消費減少Lv5

魔力増幅Lv5

頑堅Lv3

直感(シックスセンス)Lv4

修復Lv2


アクティブ

空間魔法Lv7

重力魔法Lv3

精神力吸収(メンタルドレイン)Lv3 譲渡中

魔闘技(まとうぎ)Lv6

闘気Lv2

罠士の目(トラッパーズアイ)Lv2

索敵Lv5

隠密Lv4

威圧 New

解析Lv5 譲渡中

隠蔽Lv5

限界突破Lv4

連携Lv2


ユニーク

武神Lv4

 ・武器の心得(マスターウェポン)(全武器装備開放:パッシブ)

 ・戦技の極意(バトルマニア)(全武技使用開放:アクティブ)

 ・二刀流(ダブルフォーム)(同系武器同時使用)


スキル取得Lv7

 ・SPを消費してスキルを取得できる

  -消費SP制限の撤廃

  ※ユニークスキルはSP30以下に限る


(カルマ)

虚弱化(アビリティロスト)Lv0 (解除)


備考

 討伐ランクE

 ステータス開示拒否権

 妖精憑き

 奴隷:5人所持(内3人孫奴隷)

---+---+---+---+---+---


自身のステータスを見て内心「あーあ」と溜息を入れる。

改めて見るとやはりHP・MPで言えば1000以上も減ったというわけだ。

特にそのことに対する後悔は無いが、能力値が必要な現在は少し不安にもなる。

ただ一つ収穫としては【威圧】というスキルが増えた。

しかし理熾は「そういえば何か出てたなぁ」という程度だった。

考察・実験はまた後の話である。


 今更だけど『【神託】からの報酬』じゃなくて『【神託】への報酬』だったのは何だろう?

 確か【神託】は『神様の依頼』だったよね。

 で、今回は効果が逆…あぁ、なるほど。

 だから『全部が逆』ってことか。

 神様的には別にセリナさんはどうでもいいってことなんだなぁ。

 そう考えると『僕からの神様への情報提供依頼』って形になったのかな?


 『【神託】の情報を利用した場合にだけ報酬を支払え』ってあったから、多分そうなんだろうなぁ。

 実際あの場面で僕が誘拐を知ることは絶対無理…ギルバートさんも隠してたし。

 特にこの世界の伝達能力じゃ僕が知る頃には色々と終わってるよね。

 だとするとすごいタイミングが良い。

 …もしかしてストーカーされてんの?


 ま、まぁ…怖いからその辺置いとくとしても。

 そんな情報への『報酬』が僕の能力値って、流石に値段が高すぎるよ神様…。


と思わずにはいられなかった。

今では簡単に稼げる金などであれば問題なかった。

理熾にとっての命綱である能力値を削られるのは今更だが本当に痛い。

その見返りがセリナの無事であるなら安いと断言出来るが、それでも痛いことには変わりない。

だから今になって『他になかったの?』と思ってしまう。

既に報酬は支払われた後なので考えても無駄だが。


ステータスを見ながらそんなことを考えていると対面に座るロッソの肘が「ドン!」とテーブルに置かれた。

何だか【闘気】を纏っていそうな雰囲気だ。

負けても良いのだが、何となく手を抜くのだけは許される感じではなさそうだった。

理熾もテーブルに肘を乗せ、お互いの右手を掴み合う。


その上からカルロが手を沿え「準備は?」との問いに二人して静かに頷く。


理熾は【魔闘技】、【闘気】、【限界突破】といったアクティブスキルを起動する。

特に【限界突破】は能力値やパッシブ系のスキルの上限も外すのでかなり有効だろう。

ギチギチと理熾の身体が引き絞られる感覚を持つ。

次いで【深化の竜牙】の【部位強化】と、スキル効果を限界まで引き出せるように【瞬発】の発動準備を整え合図を待つ。

カルロの手が離れ、「始め!」の合図と共に全てのスキルを最大稼動させ、理熾は全力でロッソの腕をねじ伏せた。


結果、カルロの手が離れた次の瞬間にはテーブルは「ゴガン!」という音を立てて真っ二つ。

ロッソは右腕を叩き付けられた上に右側に一回空転して握力を無くした。

状況に慌てた理熾がその手を離してしまったために、ロッソを止める手立てが無くなり錐揉みしながら壁に激突。

けしかけたカルロは呆然とし、気を取り直した理熾が慌ててロッソに駆け寄り回復薬を振りまいた。


 ぎゃー!!

 能力落ちたし大丈夫だと思ったのに!

 まさかこんなに力あるとは!!


理熾の能力値は全て【体術】が管理し、戦闘時も気遣う必要の無い魔物か規格外(化物)ばかり。

しかも能力値を献上した今ですら、単純な能力値(力押し)ならまず誰にも負けない。

単に規格外達は理熾と対峙する際、必ずスキルと技術、更に策を駆使して戦っているだけ。

それでようやく理熾をねじ伏ているのだから、『強い護衛程度』で止められるはずも無い。

相変わらず自己評価が低い理熾は、数こそ少ないがこういう事故を起こす。


「リ、リオ…?

 お前本当に凄いヤツだったんだな…?」


理熾がロッソを介抱している背後からそんな言葉が投げかけられる。

むしろ『凄いヤツ』でなければ護衛なんて出来ないのだから、今更過ぎる話ではある。

そのことを思うとカルロの目はやはり曇っているのだろう。


「それよりロッソさんが!」

「大丈夫だろ。

 少し目を回しているだけだ。

 これでも公爵家子息の護衛だぞ?

 ………いや、大丈夫だよな…?」


ぴくりともしないロッソを見てカルロも後半かなり不安そうだったが、とりあえず息はある。

だが理熾の馬鹿力で腕が折れてないとか、肩が外れていないとか、握った手が砕けてない辺りで十分に頑丈である。

もしかすると【体術】がブレーキを掛けてくれたのかもしれないが。


ロッソが結構な音を立てて壁に激突した為に、領主館で働く従者がカルロの部屋に殺到した。

『ちょっとした余興』という説明をし、割れた机を運び出し、ロッソを看護するようにカルロが依頼して事なきを得た。

未だ部屋が散らかっていることを思うと問題は片付いていないようにしか見えない。

だが理熾は腕相撲と言う名の頼まれ事を完遂したのでロッソの搬送と共にそそくさと退散した。

まだ気を抜いているからいいものの、カルロに捕まると長そうだからだ。


そしてそのまま逃げるように領主館を後にした。

途中ノイズに声を掛けることだけは忘れない。

ロッソの件についても謝罪したのだが、「子爵よりマシですよ」とこっそり毒を吐いていた。

そんなことを言うノイズは理熾との確執を知っている可能性は高い。

とはいえ、相変わらず迷惑ばかり掛けている気がひしひしする。


そのままガウス子爵の居る宿へと向う。

相変わらず受付はビクビクとした対応だったが気にしない。

どうやら出掛けていたようで留守だった。

理熾は受付に「昨日はありがとうございました」と言伝を頼んで帰った。

そもそも敵同士だった子爵に対してそこまでしなくてもいいかもしれないが、やはり礼は礼である。

今後は『使い勝手の良い駒』から『味方』にクラスチェンジしてくれるのを祈るばかりである。

その前にもう少し賢さが必要だが。


 さて…お礼巡りはとりあえず終わったとして。

 主犯をどうやって引きずり出そうかなぁ。


考えても答えは出ない。

ルルガとの話でも用意周到に計画されているのはやはり出発のみ。

その代わりに証拠が丸ごと『存在しない』のだ。

全て切り捨てるという形で情報を遮断しているから仕方ないという結論に至ったのだ。

そう簡単に覆るはずも無い。


 しばらくは情報が出るまで待ち、かなぁ?

 そうなると何も出来ないんだけど…どうしよっか。


暇になるというわけでは無いものの、やるべきことへの手段がさっぱり思い付かず理熾はぐったりするのだった。

お読み下さりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ