【幕間:神域】守護者の憂鬱
とりあえず一週間程度で次を書けてよかったです。
まだ予断を許さない感じなので不定期な感じで行きたいと思います。
楽しみにされている方申し訳ありませんが、お付き合いよろしくお願いします。
主様よりクーリアという名を頂戴してからというもの、守護対象を眺める日々です。
雑務は当然の如く発生しますが、基本的には理熾様の監視がお仕事です。
普通仕事となると不平も出てきますが、緊急依頼を経て一段と逞しくなった理熾様を見ていると頬が緩む毎日です。
理熾様は依頼当日と翌日は寝込んでいたのですが、次の日からはあっさりと復帰して歩いています。
粉砕骨折って人族にとって修復不能なレベルの致命傷なんですけどね…?
主様曰く『LvUPによる13年分の成長』と捉えての回復とのことで、何と言うか相変わらず常軌を逸しています。
まぁ、無意識との事ですが。
しかもスフィアの法則に則っているそうで、齟齬も不具合も副作用も無いそうです。
常軌を逸しているといえば理熾様の戦闘力もです。
近接戦闘に魔法を併用し、戦いの素人であるにも関わらず、圧倒的な手数を実現して押し切るんですから。
能力的にというよりは余りにも指向性を持たせたスキル群と使い方がおかしいんですよね。
いえ、Lvに対する能力値は十分に高いんですけれどね?
そのままギルドへと足を運び、報酬と報償の内容を決めてしまいました。
しかも『不在』を引きずり出した上に認められるなんて流石です。
たった13年という月日で大人と対等に話を付ける能力を磨いたと思うと相変わらず素晴らしい方です。
あ、良いことを思い付きました。
この『報償の条件』について【神託】を追加しましょう。
不在との話で報償の内容を操作した部分を引き合いに出せば少なくとも今回分は手に入ります。
主様からも「適当なものを見繕え」との指示いただいていますし、丁度良い機会です。
そんなことを思い、主様に進言をと思ったのですが、残念ながら手を離せないご様子。
呼びかけに対して「理熾の危険以外なら後回しだ!」と素気無く断られました。
主様は確かにいくつかの世界を管轄していますが、あれほど忙しい理由が余り分かりません。
何だか傷口を広げているように感じるのですが気のせいでしょうか。
第二、第三の手詰まりが発生しないことを祈るばかりです。
ともあれ、仕方が無いのでそのまま観察を続けます。
祝賀会が始まろうとしていました。
あぁ…素晴らしい。
ようやく理熾様の価値を周りが理解し始めたようです。
あの司会者も分かっていますね。
きっちりと紹介を…って、あれ?
理熾様自身が制止していますね…まだ目立ちたくないということですか。
何とも用心深い方です。
宴も進み、少し酔われている様子ですが…って、ダメですよ!
腕相撲なんて力むようなことをしては。
まだヒビが入っているんですよ?
そんな私の思いも知らずにその場の全員をあっさりと下します。
神功族とは相対しなかったようですが、同ランク程度なら瞬殺であろう膂力は流石ですね。
…ようやく主様の手が開いたようです。
流石に【神託】ですから、主様の許可くらいは取らないといけません。
「一応勝手にやって良い」という許可は貰っているんですけれど、スフィアの状況を考えると…という訳です。
「主様、理熾様の追加報酬分の【神託】案を思い付きました」
「ふむ、どんな内容だ?」
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【神託】
欲しいものを手に入れろ
達成内容:自身の要求を通せ
ギルドが君に報償を提示するという
ならば自分が欲するものを手に入れろ
それによって相手も納得するのだから
報酬:任意のスキルのLvUP
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「これでどうでしょうか?」
「なるほど、交渉でもぎとって来いという訳か。
だがこうなると『何も望まない場合』も該当するな…。
流石にこの【神託】を通すとなると『報酬が勝ちすぎる』ぞ?
いや、正確には『解決すべき問題が存在しない』と言うべきか」
その言葉を聞いて私は「難しいですね…」と歯噛みした。
確かにスフィアには介入できる余剰分が無いために、理熾様に不自由をさせてしまっています。
それを忘れて作ってしまっては意味の無いものに成り下がります。
だって『それができれば苦労しない』という話なのですから。
「ならば少し手を加えよう」
そう仰って主様が【神託】の内容を修正されました。
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【神託】
報償を追加せよ!
達成内容:相手の提示する報償以上を求める
ギルドが君に報償を提示するという
償いとは軽いものではない
故に、相手には誠意を見せる必要があるのだ
時には心を鬼にし、請求するべきだ
それによって相手も納得するのだから
報酬:任意のスキルのLvUP
---+---+---+---+---+---
これは…条件としてはかなり厳しくはありませんか?
相手が提示する以上を要求しろというのは理熾様の体面を傷つけることになりかねません。
「主様…」
「クーリア、お前の懸念も分かる。
これは『建前』というものだ。
本質的に見れば『条件を変えろ』ということだ。
よく読んでみろ。
『追加しろ』と命令しているが、では『相手の提示する報償』とは何なのだ?
規定の対応ではなく、話し合いにより決定するのだからまず確実に『初期条件』は変更される。
そして『追加』とは何を指す?
単純に理熾にとって利益であれば『追加条件』に該当するのだから、そこまで気を張る必要は無い」
何とも詐欺師的な発想です。
確かに『前提条件を気にしないこと』を条件に考えれるなら、その発想でも構いません。
しかし…気付かずに事を進めてしまっては拙いのではないでしょうか。
「そういえば報償はギルドと領主とでの二件あったな?」
「はい、既にギルドでの話し合いは終了しています」
「ふむ…この【神託】に該当するのか?」
「はい、不在が出した条件から変更していますので」
「なるほど。
ならば領主との話し合い前に発令しておくといい。
理熾なら察して何とかするだろう。
少なくともこの【神託】で1つは手に入る。
十分な報酬だと思うが、クーリアはどう考える?」
「はい、私の進言に加えて領主分も出して頂けるなら十分だと思います」
「そうか、ならば発令しておいてくれ」
「…主様」
「どうした?」
「今から領主との会談のようです」
「すぐに発令しろ!!」
「承知しました!」
慌ただしく【神託】を発令する。
本来であれば『未来の指針』になるはずの【神託】というシステムです。
過去の行動に対して報酬が支払われるのは余りよろしくありません。
出来る限り前もって発令している必要があるので今回のことです。
相変わらず緊急的な措置に申し訳なさで一杯になりますが仕方ありません。
そもそも対処療法的に行動しているのが間違いなのですが、理熾様の物事に対する処理速度が早すぎます。
無能力で放り出されて数日で最高位の<武神>を発掘したり。
その後数日で緊急依頼をこなしたり、怪我をしたかと思えばそれほど寝込みもせず超回復してみたり。
やることなすこと早いんです。
主様もここまで早く状況を進めるとは思って居なかったはずです。
毎回驚いていますしね。
まぁ、それはクレームなんてものではなく、単なる私達からの評価です。
素晴らしいの一言なのです。
流石の理熾様は【神託】の内容から察したようです。
あぁ、何ということでしょう。
あの領主、空気も読まずに『前提条件』を設定せずに話を進めています。
これでは下手をすると【神託】を取りこぼしてしまいます。
理熾様が困っているのですから、それこそ察してください!
手に汗握る…というほどでもありませんが、話が右往左往した後にようやく着地しました。
『報償を軽くする』という方法で条件を捻じ曲げ、結果的に条件として追加する形になったようです。
相手があの領主でなければ、報酬を引き下げた時点で諸手を挙げて喜ぶところです。
全く理熾様は『適正価格』というものを自分基準で持ちすぎだと思うんです。
それにしても変わったものを報償として要求したのではないでしょうか?
確かに領主が抱える騎士団の訓練に参加するのは得かもしれません。
けれどせっかく吹っかけられるようなタイミングなのですから、もっと即物的に金銭を要求した方が今後のためではないでしょうか?
資金があればそれだけで様々なものが手に入るのですから。
不在との報償でも特に金銭に対して執着を見せていませんが、どういう理由なのでしょか。
というか理熾様…そのまま訓練場へと足を運ぶのですか。
何とフットワークの軽い…過剰労働に当りませんか?
貴方は今全身ヒビだらけですよ?
そのまま暫く観察しますが…何なのでしょうか、あの失礼な金槌は。
一体私の理熾様に何の恨みがあって突っかかるのですか。
そうです、理熾様やっちゃってください!
アレ…副団長?
うーん…理熾様ならあの程度瞬殺でしたのに…。
いえ、体中にヒビが入ってるんですから危険ですよね。
副団長様々ですね。
そこから暫くはちゃんとした見学会でした。
今後ともそんな風に平和に過ごして頂ければ良いんですが…。
お読み下さりありがとうございます。
更新も出来てないのに登録等が少し増えていてありがたい限りです。
それほど変化はありませんが、1話(プロローグ)~5話(神様の手際)まで修正をしてみました。
強調点が鬱陶しい話をメインで修正するつもりだったのですが、結局全部読み返さないと分からないので最初からちょこちょこと修正していくつもりです。
今読み返すと何を思ってあんなに一杯、しかも変な場所に強調点を入れたのでしょうか…。
自分でもよく分からないテンションで書いてたんですかね…(。。;




