表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様のおねがい  作者: もやしいため
第三章:始まりの街
14/537

理熾の成長記

今回はスキルの説明です。

…というよりは、理熾君がナチュラルハイで眠い頭をフル回転。

日本でのやる気の無い理熾とは既に全く違い、頭をフル活用中です。

基本的に賢い子なのですが、今までは使い方や使い道を知らなかった感じです。


まだまだ序盤なので説明ばかりで申し訳ない。


8/17訂正

理熾はとりあえずざっと一通りスキルに目を通した。

ちゃんとした知識を持たない理熾にとってこの世界の取扱説明書に等しい。

確実に必要な知識であり、常識であり、法則だ。

この基本を知らなければ何も出来ないのは言うまでもない。


そしてはてさてどうしようか、と理熾は悩む。

資料を読んだ感じではこうだ。


 スキルにはパッシブとアクティブとユニークがある。

 うん、スキル欄見れば分かるよね!


 簡単に分けると、

 ○パッシブ

 常に能力を発揮するスキル。

 能力の強化や補正、耐性など多岐に渡る。

 その他身に付いた技術に関わるモノで、一番の特徴はMPなどを消費しない。

 『加護』もその一つに数えられるが、加護は基本的にユニークに分類される。


 ○アクティブ

 パッシブなどと違い、『使用するタイプ』のスキル。

 MPや体力などを代償にして始めて効果を発揮する。

 代償を必要とするため、それだけ強力であり特殊効果なども与えられる。

 ただしMPや体力が不足すると使えなくなるため、扱いも難しい。


 ○ユニーク(固有)

 種族特性・加護・才能や独自開発等により獲得した特別なスキル。

 千差万別で代償が必要だったり、使い道が分からなかったりというような特殊性を持つ。

 ただ共通することは、基本的には強力なものが多いことと、所持率が非常に低いこと。

 翻って『ユニーク持ちは能力が高い』とされる。


 現状の僕は一般常識(言語知識)を除けばユニークだけ持っている訳で『強いか?』って聞かれたら首を振るしかない。

 しかも横に。

 【スキル取得】って弱いユニークなんだよね…。

 だから多分単なる『物珍しさ』でユニーク欄に入ってるだけなんじゃないかな?


この他にも、スキル・能力に限らず『熟練度』と呼ばれる隠れたステータスがある。

要はどれだけ『使いこなせているか』ということだ。

理熾の今のメイン武器は【神託】報酬で手に入れたナイフになるのだが、当然ついさっき握ったばかり。

既にスキル持ちでナイフを取り扱って居る者には当然足元にも及ばない。

これは今スキルを取っても同じだ。


 これが『熟練度』って呼ばれるモノの差ってやつ。

 技術にもレベルがあるって事だね。

 ついでに能力も。

 だから昨日のマラソンで体力と敏捷がレベルも上がってないのに増えてたんだよね。

 うん、『情報は力』は確実だね。


そして、ここからが本番である。

そもそも理熾は能力値が低い。

もしかすると普通のスフィア人よりは優遇されてるかもしれないという、仄かな希望はある。

しかしそれでも影響を抑えるためにスフィア人の天才以下のはずである。

クライアント(神様)直々のお言葉なので間違いないだろう。

要は確実にスフィア人の枠内には収まり、最悪の場合スフィア人よりも弱い可能性がある。

この話になると理熾は改めて泣きたくなるのだが、実際かなりの問題なのだ。


そうなると能力値に頼れない分、『スキルに』となってくるが、それも微妙。

理熾にとっての唯一無二の武器は現在【スキル取得】のみだ。

一応ユニークスキルとして【スキル取得】を持ってはいるが、逆に言えばそれしかない。


確かにスキルの取得とは、簡単なことでは無いらしい。

一定以上の取り扱いが出来て、初めて世界に認められる(・・・・・・・・)

世界に認められたがために、非常に効率の良い運用が行える。

これが俗に言う『壁を越える』ということになり、『ステータス欄に追記される』というのがその証明だ。


汎用性が高かったり習得が簡単だったりという一般的なスキルは、今理熾が調べているようにギルドなどで公開されている。

国が広めることもあるという、むしろ公然として語られるようなレベルのものばかりだ。

そしてそんなスキルの習得に人は躍起になる。


スキルを持っている方が便利だし、何より『技術の証明』になる。

槍を使えば【槍術】、剣を振れば【剣術】、料理をすれば【調理】といった風に、目的となるスキルを取ることはそこまで難しくは無い。

つまりスキル取得の方法も簡単に分かり、努力は必要ではあるものの、スキルの取得は容易(・・・・・・・・・)ということ。

スキルの前提条件さえ揃えれば手に入るのだから。

だが


 これって僕のスキルって練習がいらないってだけで殆どメリット無いよね。

 絶望的だね!☆


誰にでも出来ることを、条件付で人より早くできるだけなのだ。

結局スフィア人を圧倒することすら出来ないのだから絶望的にもなる。

だからといって絶望していても意味が無い。

とりあえずまだありそうなメリットを探してみる。

が、思い当たるのは余りよろしくない話。


最低水準をこなせばスキルはいくらでも手に入る上に、今度は『熟練度』が邪魔をする。

同一のスキルでも熟練度が違えば優劣が付く。

スキル一つにしても強弱があるということだ。

確かにスキル持ちは重宝されるが、当然それはその技術の高さ(・・・・・)が重宝されている訳だ。

ということは、スキル持ちの行動は『広く浅く』では無く、『深くさらに深く』技術を特化させるべきなのだ。

これはスフィアにおいての常識である。

要は求めるものに特化して研鑽するべきということになる。

日本で置き換えるなら履歴書に書く資格のようなものだが、持ってるだけでは意味が無い。

使ってこそ、使えてこそ意味があり、そのためには熟練度は無くてはならない要素なのだ。


 料理人は料理を作るべきで、剣士は剣を振るべきってことだね。

 その分野で競ってるからね。


 そこでまた僕の話に戻る。

 僕は『スキルの取得に特化してるだけ』でしかないことに。

 だからきっと他の人よりいっぱい取れるけど、だからって全部の熟練度を上げられない。

 例えば頑張って全てを一緒に上げて行くとするとどうなるか。

 うん、考えるまでも無いよね。

 万能タイプではなく、器用貧乏になっちゃうのさ!

 しかも劣化版!


 はは、笑っちゃうよね!

 もうホントあの神様の首絞めたい。

 まぁ、光の玉だから首とか無いけどさ。


 熟練度に対して特に補正が無く、誰でも取れるスキルが簡単に取れるだけの僕。

 だから僕の『奥の手』はちょっと頑張れば誰にでも出来る程度ってこと。

 しかもスフィア人にも。


 ね?

 これでどうやって僕は世界を救えば良いんだか。

 むしろ僕を救っておくれよ。


ユニークスキル、【スキル取得】のお陰でスフィア人に比べて、修得が簡単というアドバンテージがある。

けれど、理熾は『スフィア人に解決できない問題の解決』をしなければならない。

そうなってくると多少のアドバンテージでは足りず、圧倒的でなければいけない。

それなのに『広く浅く』にしか適正が無い。


 だが改めて言おう。

 絶望していても始まらない!

 そこで僕は考えました。

 これは革命的な閃きだと胸を張れるね!

 僕のスキルの本質は『パッシブ』にこそあると!


パッシブは『常時発動型スキル』のことを言う。

つまり、育てる必要は無く、所有時間こそ全てなのだ。

所有時間が長ければ長いほど恩恵を受けられ、なおかつ熟練度によって強化されていく。


 アクティブスキルで他人を先行出来ない代わりに、パッシブスキルでは僕が一番のはずだ!(多分)

 ごめん、ようやく見つけた逆転の目を前に熱くなりすぎて間違った。


 結局のところ『使えば使うだけ強化される』はず。

 でも【短剣術】の話で言えば、最低限でも『常にナイフを持っている状態』でないと多分ダメ。

 逆に言えば『持っていないと上がらない』訳で、パッシブとはいえ効率が良いとは言えない。

 常にナイフを握ってるとか、どんな変質者だって話だよね!

 だからパッシブはパッシブでも、寸分の違いなく『常に効果が発動するスキル』を選ばないと意味が無いんだよね。

 この辺りの境界線がとても難しい。


そういう理由で。

理熾はパッシブスキルを改めて見直し中なのだ。

その中で欲しいなと思ったのがいくつか。

色々効果が重なってきっと重宝するだろうなぁと思うものを列挙する。


【HP回復速度上昇(SP10)】

【MP回復速度上昇(SP10)】

【身体能力強化(SP5)】

【成長力強化】

【状態異常耐性】

【必要経験値減少】


 とりあえずこれだけ取れればいいんじゃないかな!

 ポイント足りてないけど☆

 って、あれ?

 何かレベル上がってる…?

 あぁ、さっきの資料見た報酬のお陰かな。


 うん、ちょっとましになってきたのかな?

 いや…Lv2でましとか有り得なかったね…ごめん。

 誰に謝ってるのか分かんないけど。

 これでいくつか取れるようになるかな!

 まぁ、成長力強化と状態異常耐性は制限に引っ掛かるのか数値すら出ない。

 しかし魔法使いたいなぁ…魔力7しかないけど。


言語知識は常識的過ぎて余りにも実感に薄い。

便利ではあるのだが。

結局のところ、『スキル』というものをまだ実感していない理熾は知識だけの頭でっかちだ。

前進するには取って使ってみるしかない。

しかし今後のことを考えると『絶対にミスれない』というプレッシャーを感じて溜息しか出なかった。

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ