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不良から逃げたら異世界行けっつわれた  作者: 野良犬の遠吠え
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逃げた先には

駄文です。

言葉のチョイスも、文法も良くわかっとらん素人のものです。

それでも我慢して読んでくださるというのであれば幸いです。

不良に絡まれ、持っていた金を取られた。と言ってもたかだか500円だけだが。

一発殴られてヒリヒリする頬をさすりながら、俺は家路を急ぐ。

あの脳筋DQN共のせいですっかり遅くなっちまった。妹が腹を空かせて無いといいんだけど。

街灯の少ない住宅街。

コンビニとマンションの間にある裏路地に、そいつはいた。


「やめて!やめてよぉ!」


必死に腕を振り回すその女は、俺が金を取られた不良共に絡まれていた。

「いいじゃねえかよ。俺たちと楽しいことしようや」

金髪のすました野郎が彼女の手首を掴み、壁に叩きつける。

俺にはどうすることも出来ない。

ただ、見ているだけ。

こんな弱い男に、人を助けられるはずがなかった。

「いや!助けて…お兄ちゃん…!」

出来るわけないんだよ、あいつを助けるなんて。

でもさ、できないってわかってても、ここで行かなきゃ、後悔すんだろ?

震える拳を握りしめ、笑う膝を無視して、俺はその裏路地へと入って行く。

目指すは、最愛の妹を押さえてつけている金髪。

「何してんだオラァ!」

「がっ!?」

精一杯の力を込めて殴り飛ばす。

「お兄ちゃん!?ど、どうして」

「どうしてもこうしてもねえ!俺がどうにかすっからダッシュで帰れ!」

「でも……うん、分かった!」

妹は一瞬考えたようだが、すぐに了解してくれた。

物分かりのいい奴で助かったよ。

走り去る妹を背に、目の前のチンピラ共を睨みつける。

「んだてめ?こんなことしてただで済むと思ってるわけ?」

さて、どうすっかなぁ…。

ここで取れる行動は、

1.妹と同じ方向に逃げる。

2.妹と違う方向に逃げる。

3.あいつらに突っ込む。

このどれかだ。

1は却下。3はやるだけ無駄。

なら、2しかねえわな。

即断し、俺は走りだした。

後ろから喚く声と足音が聴こえてくる。

うるせーバーカ。俺はお前らみたいな暴力的な日々は過ごしてないんだよくそったれ。

幸い足の速さには恵まれている。このまま裏路地や何やらをフルに使えば逃げ切れるはずだ。

裏路地に入って入り組んだ道を行く。

何度目かの角を曲がった時、俺は自分の失敗に気付く。

行き止まりだ。

後ろからの声が近づいて来る。

考えろ、どうする。よく周りを見るんだ。何処かに、突破口が…。

ここは行き止まり。けれど、壁の一つは少し高いだけで、外へ通じているようだ。

あそこを登り切ることさえできれば、きっと逃げ切れるだろう。

でも多分、登っている時間はない。

でも、ここで待ってたってボコボコにされるだけだ。

なら、やるしかない。とんでもなく低い成功の確率に賭けるしかない。

壁に飛びつき、上端を掴む事に成功する。無い腕力を使って必死によじ登る。

「いたぞー!」

後ろから息を切らした不良の声がする。だが、そんな事を気に留めている余裕はなかった。

逃げろ。逃げろ。何が何でも逃げろ。

俺にはまだやる事があるんだ。

家に帰って飯を作らなきゃならない。

俺に一切無干渉な親父と家のために働きっぱなしの姉、最近急に冷たくなった妹に飯を作らなきゃならない。

母さんに頼まれてるんだ。みんなをよろしくって。飯も洗濯も風呂掃除も全部俺の仕事なんだ。

しっかりこなさなきゃ、母さんに失礼ってもんだろうが!

俺を引き摺り下ろそうとする不良共の顔面を蹴飛ばし、壁をよじ登る。

やった。これで、家に帰れる。逃げ切った。俺は、逃げ切ったぞ。

そう思った時だった。

ドン。と、後ろから押される感覚。

前のめりに倒れ行く俺の前には、ぽっかりと黒い穴が空いている。

姿勢を戻せない。落ちる。あの穴に。深い深い穴に落ちていく。


ああ、俺は逃げきれなかったんだな。


意識が遠のいていく。

どこまで落ちるのだろうか。

どうでもいいか。いっそどこまでも落ちればいい。

考えるのをやめて、落下に身を任せる。

意識が消える寸前まで、都会の喧騒が耳をついていた。

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