魂食を嫌う天使
「や、やめろ!止めてくれ殺さないで!」僕の目に映るのは目に涙を溜めて震えている…、殺し屋。
「案ずるな。お前の腐った魂を食うだけだ表面を食い、綺麗な黒点1つない魂をな…」
僕は人とは違う。僕は悪人か善人か見た目で理解することが可能だ。悪人の魂を善人の魂に替える。それが、僕ら天使の任務。
だけど、僕は少し違う。
天使が口を揃えていう『悪の魂は蜜の味』
僕は悪の魂は『不味い』としか思えない。
その原因は分からない…。
「…じゃあ、いただきます」
不味いのは理解済み。ただ、これは任務。
天使としての、義務。
「…不味い…。食えたもんじゃないな」
僕はまた、悪の魂を吐く。
「すまないな…悪人。人違いだったようだ…、帰ろう…うさちゃん」
僕は空腹のまま天界へ帰った。
「ただいま戻りました。皆様。長老様はどちらに?」
「ルシウス、お帰りー。長老様なら奥の間にいるよ」
「あ、ワイズ様…!あ、ありがとうございます」
「長老様…ルシウスです」
「入りたまえ。ルシウス」
長老様の部屋に入るのはドキドキする。
僕は呼ばれてきたんじゃない。
ただ長老様に会いたくて。僕たち長老様は優しい。話していると嫌なことも、悲しいことも全てが消え去る。それなのに、この緊迫感。それだけ偉大なんだろう。
「ルシウス、また魂を吐いたそうな」
「申し訳ないです」
「いや、口に入れる勇気が有ればそれで十分だ…よくやったな」
「ありがとうございます。そのお言葉胸にしまって頂きます」
「ああ。ところで、ルシウスお前宛に手紙が来ていた」
長老様は立って手紙を持ってきた。
「まさか、あいつからくるとは…派手だからすぐわかったわい」
「これは…行ってきても?」
「かまわんよ覚悟があるのなら」
あの人からの手紙。
久々に会うな……。
ルトラス…。
天界にある大きな神殿。
少し先に、赤闇という深い森がある。
奥へ行けば行くほど、悪界へ繋がっている。
その悪界と天界の狭間に昔、天使と悪魔が契約を結んだ廃神魔殿がある。
そこに、あの人はいる。
赤闇につく。
足を踏み入れると空気が重く感じた。
しばらく歩いていると人影が見えた。
黒のローブ魔法書をもって、ツノまで生えている。悪魔か。
「あれが、…………悪魔?」
はじめて見たのに怖くない。
普通の天使なら逃げる。
どうやら、この部分も皆とは違うみたい。