第27話 終わりにしては酷すぎる
一軒の家を中心にパトカーが円を描くように止められている。
少し遠い距離だが、その家を包囲している状態だ。
そして、パトカーと家の間には大破して煙をあげるパトカーが見える。
始めはあそこの距離にパトカーを並べて包囲していたようだ。
「様子はどうですか?」
俺は包囲している警官に駆け寄りたずねる。
「さっきまで異世界人とおぼしき人影は見えてたんですが。
今は家に入ってしまって」
「彼らの見た目は?」
「全員『同じ』なんです。
何人もいるのに、全員同じ顔で、
同じ髪型、同じ涙ボクロ。
皆ダブルのスーツを着て、
変な銃のようなもので攻撃してきました」
その一人だけ見れば違和感ないが、
複数人だと途端に異質になるのか。
俺は金太郎飴をイメージしてしまった。
「やってみようか。
マサヤ君、一曲お願いしていい?」
「任せろ」
マサヤはギターをかき鳴らした。
マイクもないのに彼の歌声は周囲を駆け巡る。
「計器の針が振り切れそうなほど揺れてる。
この辺りに『彼女』はいるよ」
ゼータは俺に耳打ちした。
突然、目の前の人家から爆音でブザーが鳴り響く。
周囲に緊張が走る。
俺も身構えて、マサヤと家の間に立つ。
すると、家からぞろぞろと人が出てきた。
全員同じ顔、同じ服、同じ背丈。
「どうしたんだ?!
何故急に数値がこんなに不安定になる!?」
一人がそう叫んで辺りを見回した。
そいつは包囲する警察を睨み付け、
俺を見つけ出した。
「防衛軍だ! チクショウ!
『不死身の男』だ!
特捜隊は他の所に出払ったんじゃなかったのか!?
何だって予定どおりに行かない!
腹立たしい!」
涙ホクロの男性が俺を指差して叫ぶ。
「もういい!
計画を前倒しにしよう!
出せ!」
一人がそう指示すると、
もう一人がスーツのうちポケットからリモコンのようなものを取り出した。
それを操作すると、地面が大きく揺れ出した。
「なんだ!?」
「マサヤ君!
パトカーに掴まるんだ!
皆も何かに掴まれ!」
山の方から音がした。
みるみるうちに山肌が崩れて盛り上がる。
そして、山の中からなにかが現れた。
現れたのは銀色に輝く空飛ぶ円盤と、
それに繋がれた巨大な異形。
「な……、なんだあれ」
かろうじて人の形だ。
火傷痕のような、イボのような肉塊が全身を埋めつくし。
それらを繋ぐように機械やパイプが無数に埋め込まれている。
頭らしき部分は見えるが、
顔は機械や肉塊で埋まり何も見えない。
異形の身体は毒々しい緑の煙を上げて、
円盤は異形と繋がったケーブルやパイプで異形を引きずる。
そして、異形の要所要所に見られる『女性の特徴』。
「……まさかっ」
その異形は、悶え苦しむように身悶えし。
声はないが、
空に向かって絶叫するように頭をあげる。
「……そうだ。
あれは、さっきの部屋と同じエネルギーを出してる。
……あれが、『彼女』だ」
ゼータは唐草模様の眉間にシワを寄せる。




