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第三章 :癒し特級? 知らないの〜! 転生したわたし、後衛じゃなくて前衛回復役として世界を殴り倒したいの〜!  作者: ぃぃぃぃぃぃ


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第七話:癒し特級の実力、ギルドを震わせるの〜

 討伐任務を終え、夕暮れの街道をシエラとステファニーが並んで歩いていた。茜色の光が二人の影を長く伸ばしている。


「今日もいっぱい回復したの〜! ほらほら、お姉さん見て〜! わたし、すっごく成長してるの〜!」


ステファニーは尻尾でも生えていそうな勢いでぴょんぴょん跳ねている。


シエラは重い溜息をついた。


「……いや、成長も何もお前は最初から完成してんだろ。回復士としてはよ」


「前衛として成長したいの〜!」


「お前の成長方向は毎度毎度ひん曲がってんだよ!」


そんな漫才のようなやり取りをしながらギルドの扉を開くと――

中は、ただならぬ空気に包まれていた。


怒号。血の匂い。足音。焦り。


冒険者が一人、仲間に担がれ治療室へ運ばれていくところだった。


「誰か回復士は!? こいつ深層で魔物にやられたんだ!」


「応急処置じゃ持ちません! 出血がひどい……!」


職員の声も悲鳴に近い。


ステファニーはロッドを抱え――きゅっと目を細めた。


「大変なの〜……!」


「深層帰りか。そりゃ無事じゃ済まねぇな」


見た瞬間、ステファニーは迷わず駆け出していた。


「わたしが治すの〜!!」


ギルド職員Aは目を丸くする。


「ス、ステファニー様!? ですがこれは……上級でも時間が……!」


そこへ、シエラがずい、と前に出た。


「ステファニーにやらせろ。今治せるのはコイツだけだ」


その声音に、職員は一瞬だけ迷ったが――やがて覚悟を決めた。


「……お願いします!」


シエラが顎で合図する。


「行け」


「任せてなの〜!」


治療室の空気は、重かった。


血の海。浅い呼吸。虚ろな眼。


誰が見ても“手遅れ寸前”だ。


ステファニーはそっと膝をつき、ロッドを傷口へかざす。


(……救うの〜)


静かに、深く息を吸う。


「いくの〜……上級──《聖癒ディヴァイン・ヒーリング》なの〜!!」


その瞬間。


眩い光が、爆発した。


治療室が昼になるほどの神聖な輝き。

空気が震え、床が光に染まり、冒険者たちは目を覆った。


「な……なんだこの魔力……!?」


上級回復士ですら震えるほどの光量。

そして光は、傷に触れた瞬間――まるで巻き戻しだ。


裂けた皮膚は滑らかに。

ちぎれた筋肉が再生し。

血が逆流するように止まっていく。


十秒。


たったそれだけで、重傷者はゆっくりと上体を起こした。


「え……? 俺……生きてる……?」


シエラが腕を組み、ぽんと答える。


「運が良かったな。特級の“直治し”だ」


治療室が静寂に包まれ――


次の瞬間、一気に爆発した。


「な、なんだ今の!? 一瞬で治ったぞ!!」


「ありえねぇ! 致命傷だぞ!? なんで全快してんだよ!」


「ステファニー様……これが、特級の……!」


「神の領域……いや、人間なのか本当に……!」


冒険者も職員も大騒ぎだ。


そんな中心で、ステファニーは満面の笑みで立ち上がった。


「これくらい普通なの〜! わたし、もっとすごいこともできるの〜!」


「もっと!?」


彼女は誇らしげにロッドを掲げる。


「わたしね〜……前衛がやりたいの〜!!!」


ギルド全体

「………………はい???????????」


上級回復士Eは青ざめた。


「人類の宝を……前に出す……? 正気か……!」


職員Aは頭を抱えた。


「まただ……この天才は……問題児でもあるんだった……!」


ステファニーは頬を膨らませる。


「わたし、殴りたいの〜!」


「お前なぁぁぁ!! 今命救った直後に言うことじゃねぇだろ!」


「だって〜! お姉さんも殴ってるから〜!」


「俺は前衛だからな!? お前は回復しろ!!」


「やだ〜! 回復はもう得意だからいいの〜! これからは前衛の練習なの〜!」


ギルド全体

「そこじゃねぇぇぇぇぇ!!!」


その日――

ギルドは“特級回復士ステファニー”の実力に震撼し、

同時に“前衛志望問題”という新たな頭痛を抱え込むことになった。


シエラは頭を抱えつつ、ぽつりと呟く。


「……頼むから回復士の仕事は忘れんなよ……」


「はーいなの〜!」


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