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第三章 :癒し特級? 知らないの〜! 転生したわたし、後衛じゃなくて前衛回復役として世界を殴り倒したいの〜!  作者: ぃぃぃぃぃぃ


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第三十一話:最終決戦(中編)シエラ復活〜

 結界《生護ライブ・ガーディアン》は、タイラント・アームドベアの猛攻を受けながらも、ピクリとも揺れなかった。


タイラントが岩壁を砕く勢いで拳を叩き込むたび、結界の表面に青い火花が散る。

しかしドームは壊れない。

どころか、反射衝撃でタイラントの拳がしびれているように見える。


Aランク戦士長は、まるで神獣でも見たかのように口を開けた。

「嘘だろ……回復士のスキルで……結界が……?」


Aランク魔導士も震えていた。

「特級回復士のスキル一覧に、あんな防御術式なかったはず……!?」


ステファニー自身も、涙目で叫ぶ。

「私も知らないのー!! なんでこんなの出てるのー!!」


シエラはステファニーの肩を支えながら、結界を観察した。

淡い金色の膜が、彼女たちをなら保護しながら、外界の凶暴な魔力を完全に遮断していた。


まさに“慈光の防護”そのもの。


しかし、ステファニーの額から滴る汗は尋常ではない。


「お姉さん〜〜……魔力、バカみたいに吸われるの〜! 止めたいのに止まらないの〜〜!」


シエラはステファニーの両肩を掴んで言い聞かせる。

「ステファニー、落ち着くんだ。この結界はお前の魔力に反応して暴走している。制御しないと魔力枯渇で倒れるぞ!」


「む、むりなの〜! 全然ボタンとか無いの〜!」


「ボタンは無い!! 魔力の流し方で調整しろ!」


「そんな高等技術私にあると思う!?」


「ある! 俺を回復させた時みたいに、集中しろ!」


ステファニーはぷるぷる震えながら、涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにした。

「お姉さぁぁぁん、技術あるけど、今パニックで何も考えられないの〜〜!!」


「認めやがったな!? あるのかよ!!」


やりとりが完全にコントだったが、状況は笑えない。


タイラントは結界が壊れないのを悟り、雄叫びを上げたあと、壁を蹴って結界全体に身体ごと体当たりを始めた。


ゴッッッ!!


ドームが凄まじく揺れ、Aランク部隊は悲鳴を上げながら転がりまくる。


Aランク戦士長

「ぐあっ!! ジェットコースターかこれは!!」


Aランク魔導士

「シエラ殿! 何とかしてくれ!! 我々、このまま“結界内ぐるぐるミンチ”にされる!!」


シエラは歯を食いしばる。

「ステファニー、まず結界の維持を弱めろ! 強度を半分に下げるんだ!」


ステファニーは涙をこぼしながら叫んだ。

「無理ー! 魔力が勝手に出ていくー! これ、なんか壊れた蛇口なのー!!」


「回復士が蛇口とか言うんじゃない!!」


シエラは焦燥に駆られ、結界表面に手を当てて魔力を流して解析を始める。

シエラの瞳が鋭く細まる。


「……なるほど。これは強制防衛型の特級……ステファニーの“保護欲”が魔力量と連動して暴走してる。止められるのはステファニー本人だけだ」


ステファニー

「い、今のお姉さんの説明、なんか私が原因って言ってるように聞こえるんだけど……?」


「原因だよ!!」


「ひどくない!? 結界張ってるのに!? 頑張ってるのに!?」


「頑張ってるけど魔力が枯れたら二人とも死ぬぞ!!」


タイラントの体当たりが続く。

結界は割れないが、光が不安定に揺れる。


ステファニーは泣きながら叫んだ。

「お姉さんを守りたいのー!!」


「分かる! 分かるけど暴走はまずい!!」


「どうしたら止まるのー!!」


「深呼吸しろ!」


「こんな状況で深呼吸できるわけないのー!!」


「じゃあ俺の顔を見ろ!!」


ステファニーはびくっとして、涙まみれの目をシエラに向けた。


シエラは真剣な声で言った。

「ステファニー。お前は俺を守れた。十分だ。だからもう少し“緩めろ”。全部守ろうとするな」


「……お姉さん……」


「信じろ。俺も戦う。お前は……“支えてくれ”」


ステファニーの瞳が大きく揺れる。


少しずつ、だが確実に結界の光が落ち着き始めた。


ステファニー

「……うん……やってみるの……」


深く、ゆっくり息を吸い、魔力の流れを少しずつ細くする。


金色の膜の輝きが柔らかくなっていく。


Aランク戦士長が叫んだ。

「おお! 揺れが減った!!」


Aランク魔導士

「暴走が収まってきてる……!」


だがタイラントは、結界が弱まったのを敏感に察知した。

拳を大きく振りかぶり、雄叫びを上げる。


タイラント

「グルルルァァァァ!!」


シエラが叫んだ。

「来るぞ!!」


ステファニーは震えながらも結界を維持する。


シエラは剣を抜き、結界の前へ立った。

「ステファニー、あと少しだけ維持しろ! 結界の穴を俺が作る!」


「穴!? 今作るの!? 危なくない!?」


「俺がやるから大丈夫だ!」


シエラは魔力を一点集中し、結界に触れて“出口”となる部分を形成した。


ほんの小さな隙間。

しかしそこからシエラは外に飛び出すことができる。


ステファニーが叫ぶ。

「お姉さーーん!?」


シエラは振り返らずに叫んだ。

「ステファニー! 絶対に下がるな! お前が俺の盾だ!!」


「それ盾っていう!? 逆じゃない!? お姉さんが盾じゃないの!?」


「今はお前が最強だ!! だから頼む!!」


ステファニーは涙をこぼしながら結界を維持する。

シエラは結界から飛び出した瞬間、タイラントの巨体に向かって全速力で突撃した。


Aランク戦士長

「で、出た……! シエラ殿の自殺特攻……!!」


Aランク魔導士

「いや、あの人自殺じゃない! あれは……本気だ!!」


シエラは雄叫びを上げる。

「こっちだ、化け物ォォォ!!」


タイラントの拳が振り下ろされる。

シエラは滑り込むように避け、剣を巨腕に突き刺した。


「おおおおおおおっ!!」


甲高い金属音が響き、ようやくタイラントの装甲に亀裂が走った。


ステファニーが結界の中から叫ぶ。

「お姉さんすごいのー!! でも無茶しないで!!」


シエラ

「無茶しないと勝てん!!」


タイラントが怒り狂い、壁を揺らすほどの咆哮を上げる。


シエラは結界越しにステファニーを一瞥し、叫んだ。

「ステファニー! お前の結界がある限り俺は死なない! 支えてくれ!!」


ステファニーの瞳に強い輝きが宿る。

「支えるの……! ぜったいお姉さんを死なせないの!!」


タイラント、シエラ、結界の中のステファニー。


三者の魔力が交錯し、奥の空間が震えた。


最終決戦は――ついに、本当のクライマックスへ突入する。


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