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第三章 :癒し特級? 知らないの〜! 転生したわたし、後衛じゃなくて前衛回復役として世界を殴り倒したいの〜!  作者: ぃぃぃぃぃぃ


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第三話:赤髪の女剣士、シエラ登場〜

 夕暮れのギルドは、いつものように冒険者たちの声と、酒場から漂う肉の匂いでむんむんしていた。

訓練場で散々言われた「後衛にいろ!」という教官の叫びが、まだステファニーの耳の奥でぐわんぐわんと反響している。


ステファニーは腰に差した初心者用剣をぺちっと叩きながら、掲示板の依頼を眺めていた。


「うぅ〜、わたしは回復士じゃなくて、前衛になりたいの〜……。でも、今日の講習じゃ、剣で魔物を倒すのはぜ〜んぜん無理なの……」


木製ダミーすらまともに斬れなかった。

むしろ跳ね返って自分の額に軽くゴンッとぶつかる始末で、周囲の新人たちが変に心配してくれたほどだ。


「どうしたらいいの〜……。かっこよく魔物をざっくざっく斬りたいのに〜……」


と、ぶつぶつ言いながら依頼書を見ていたその時。


――バァァン!!


ギルドの扉が、爆発でもしたかのような勢いで開いた。


冷たい外気と、鉄と血の匂い──そして何より、赤と黒が混ざった強烈な色彩が、ステファニーの視界に飛び込んできた。


「……わぁっ!?」


全員の視線が入口へ集中する。


そこに立っているのは、夕日の色すらかすむほど鮮烈な赤髪の女剣士。


腰に下げた大剣は、ステファニーの身長より大きい。

その刃には、ついさっき斬り伏せてきたばかりの魔物の返り血がわずかに残っている。


ギルド職員Bが思わず叫んだ。


「おお、シエラ! おかえり! 無事だったか!」


女剣士──シエラは鼻で笑い、豪快に言い放つ。


「おう、済んだぜ! 思ったよりデカかったが、まとめて塵にしてきた! さっさと報酬寄越せ、喉が渇いて死にそうなんだよ!」


「はいはい、相変わらず豪快だな……!」


そのやり取りを皮切りに、ギルド中がざわめいた。


「あれ、シエラじゃねぇか!」 「また単独で難関依頼こなしたのかよ……怪物だな」 「赤髪の女傑だ……惚れる……!」


歓声、どよめき、畏敬。

空気が一変するほどの存在感。


ステファニーは、掲示板からちょこんと顔を出し、その光景を目撃した。


「わぁ……!?」


目がキラッキラである。


シエラは、背負った大剣を片手で軽々と担ぎ、受付へズンズン進んでいく。


ステファニーから見れば、その動きひとつひとつが「前衛」そのもの。

しなやかな筋肉、ぶれない足取り、鋭い気迫。

武器を振るうたびに周囲の空気を変えるような、圧倒的な強さの象徴だった。


「す、すごいの……! 本当に魔物をなぎ倒してきたって感じなの……!」


心臓がどきどきする。

憧れのあまり、目がうるうるしてくる。


シエラは受付に重い袋をドサッと置く。


「これ、全部討伐証だ。倒した分、きっちり出せよ」


「おいおい……これ一人で全部やったのか……?」


「当たり前だろ。依頼だしな」


豪快に笑うシエラの姿は、周囲の冒険者から見ても別格だ。

強さがそのまま人格にも出ているタイプ。


ステファニーは、胸の前で両手をぎゅっと握りしめた。


「こ、これなの〜! わたしのなりたい『前衛』って……これなの〜!」


目がさらにキラキラして、今にも星が飛び出しそうな勢いだ。


受付の横でシエラが大剣を壁に立て掛け、どっかと椅子に座る。


「で、報酬は?」 「今、計算してるって……!」


「あ〜早く酒くれぇ……今日の魔物、硬すぎて腕が張ってんだよ。あー疲れた!」


シエラは「俺」と自分を呼びながら、腕をぐるぐる回す。

その豪快さは、もはや地震でも起こりそうな迫力だ。


ステファニーはその姿を、影からこっそり見つめていた。


(ああいう人と一緒に戦えたら、わたし……きっと……!)


ステファニーの妄想が始まる。


シエラと背中合わせで戦う。

ステファニーが前に飛び出して剣を振りかざす。

「任せろ!」とシエラ。

光るエフェクト。

爆散する魔物。

「やったの〜!」

「ナイスだ、相棒!」

──みたいな未来。


「ふふふ……! 前衛ステファニー、始まってるの〜!」


妄想でニヤニヤし始めるステファニー。

しかし、その様子を近くの冒険者に見られ、


「あの子、なんか超にやけてね?」 「訓練帰りでテンション壊れたんじゃね……?」


などとひそひそ言われるが、本人には一切聞こえていない。


ステファニーの目は、ただひたすらシエラだけを追っていた。


やがて、報酬を受け取り終えたシエラが席を立つ。


その瞬間──


「!!」


ステファニーの心に火がついた。


(あ、あの人に……明日、話しかけるの!)


胸の前でぎゅっと拳を握り、決意する。


「あの人となら、わたし……きっと強くなれるの!」


その決意は妙にキラキラしていたが──

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