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第三章 :癒し特級? 知らないの〜! 転生したわたし、後衛じゃなくて前衛回復役として世界を殴り倒したいの〜!  作者: ぃぃぃぃぃぃ


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第十六話:大盾の講義と立ち回りの基本なの〜

 迷宮下層で「異端の最強パーティ」としてギルドに認められた翌日。

私は張り切って早起きし、シエラお姉さんに引っ張られるようにしてギルド訓練場へ向かった。


お日さまが照って、なんだか訓練日和なの〜。


でも、お姉さんの表情は……すごい怖いの。


「お前、昨日あれだけ褒められたからって、浮かれてんなよ」


「ふ、浮かれてないの〜。ただ、嬉しいだけなの〜」


「それが浮かれてるって言うんだ」


私はぷくーっとほっぺを膨らませたが、シエラお姉さんはまったく気にせず、どっしりと大盾を床に置いた。


カンッッ!!!


ものすごい音が鳴って、地面が少し揺れた。

訓練場にいる他の冒険者たちが、ビクッとしてこっちを見る。


お姉さん、存在感が強すぎるの……。


そんな中、シエラお姉さんは真剣な表情で私を見つめた。


「いいかステファニー。昨日の時点で、お前は正式に“前衛回復士”としてギルドに認められた」


「はいなの〜!」


「だが、その称号はつまり……“攻撃よりも死なないことが最重要”という、重い呪いなんだ」


「……呪い?」


「そうだ。お前が死んだら俺も死ぬ。俺が死んだらお前も死ぬ。つまり――」


「仲良しなの〜!」


「違うわ!!」


訓練場にシエラの怒声が響き渡り、鳥が三羽ほど飛び立った。


「いいか。お前は俺の背中で回復を続ける役目だ。いい加減、自分がどれだけ重要か理解しろ」


「理解してるの〜! お姉さんを守るために、回復頑張るの〜!」


「守るじゃなくて、俺の体を治すんだよ!」


「どっちも大事なの〜!」


シエラはため息をつく。


「……まあいい。今日はお前の生存率を上げるための訓練だ。昨日までは“偶然うまくいった”で済ませられるが、今後は通用しない」


「はいなの! 生存率上げるの〜!」


「よし。じゃあ講義だ」


お姉さんはチョークを取り出し、地面に線を引きはじめた。


「まず、お前の立ち位置だ。今までみたいに俺の背中にぴったり貼り付くのはダメだ」


「えぇ〜!? わたし、お姉さんの背中が安心スポットなのに〜!」


「気持ちは分かるが、戦闘ではやめろ。盾の操作の邪魔だし、敵の範囲攻撃巻き込まれる」


「じゃあ……どこが安心スポットなの〜?」


「俺の背中から……一歩だけ距離を空けた場所だ」


「一歩だけなの〜?」


「そうだ。これ以上離れると回復が届きにくい。逆に近すぎると巻き込まれる。だから一歩。それを身体で覚えろ」


お姉さんの言葉を聞きながら、私は慎重に一歩下がってみた。


うん、ちょっと寂しいけど……これも大事なの〜。


「よし、その距離だ。そのまま絶対に俺から離れるな」


「はーいなの〜!」


「離れたら死ぬぞ」


「そんな怖い言い方しないでなの〜!? 怖いの〜!!」


シエラは続けて大盾を構えた。


「次は、攻撃のいなし方だ。例えば魔物の突進。正面から受けると衝撃がでかすぎる」


「……この前もすごかったの〜。お姉さんが吹っ飛ぶかと思ったの〜」


「あれは吹っ飛んでたぞ」


「えええ!? お姉さん、飛んでたの〜!?」


「俺自身も気付いてなかったがな……」


お姉さんは突進を模した木製器具を持ってくると、大盾を斜めにして構えた。


「突進の直前に、半歩だけ横にずらして――」


ドゴォォッ!!


木製器具が大盾にぶつかった瞬間、衝撃が斜めに逃げて、私は衝撃をほとんど感じなかった。


「わぁ〜!! ほんとに弱くなったの〜!!」


「角度を変えるだけで防御力は倍になる。覚えとけ」


「お姉さん、天才なの〜!」


「まあな」


急にドヤ顔したの〜。かわいいの〜。


次に、お姉さんは訓練場の岩や段差を指差した。


「迷宮での防御は、盾だけじゃない。通路の角、岩、段差……全部使うんだ」


「全部なの〜?」


「そうだ。物陰に隠れれば、敵から見える面積が半分になる。つまり被弾も半分」


「かしこいの〜!!」


「お前の回避能力は“遅い”からな。物陰を盾にして動くといい」


「お姉さん、言い方が雑なの〜!」


「事実だろ」


私はぷくーっとしたけれど、お姉さんは気にせず、段差の裏に隠れる動きを実演してくれた。


「こうやって、半身だけ隠す。敵の攻撃は直線が多いから、角にいれば当たりにくい」


「なるほどなの〜……岩の影に隠れて……お姉さんの背中を見ながら回復するの〜!」


「ようやく理解したか」


講義が終わる頃には、私はすっかりヘトヘトだったけれど、頭の中はスッキリしていた。


シエラお姉さんの言う通り、私は力が弱い。盾も重たくて持てないし、攻撃を避けるのも下手なの。


でも……賢く動けば、生き残れる。


そしてお姉さんを支えられるの〜。


シエラお姉さんは私の肩に手を置いた。


「最後にもう一つ。もし俺が隙を見せたら……迷わず刺メイスでツンッとやれ」


「ツンッなの〜?」


「そうだ。お前の攻撃は弱いが、隙を作るには十分だ」


「お姉さん、わたしの攻撃が弱いって断言しなくても……」


「事実だろ」


うう……言い返せないの〜。


でも、私はにこっと笑った。


「わたし、お姉さんの盾の後ろから、回復とツンッで守るの〜!」


シエラお姉さんは、少しだけ口元を緩めた。


「……よし。今日の講義は終わりだ。明日からは実戦形式で動きの練習をするぞ」


「はいなの〜!! お姉さん、がんばるの〜!!」


こうして私は、前衛回復士としての“死なない動き”を学び、

シエラお姉さんの背中を守るための準備を整えていったのだった。

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