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君が見た、太陽の色。  作者: 輝嬉
僕と君の、秋の色。
7/7

僕の知る、秋の風。(1)

⊡登場人物紹介(秋元ver.)


こんにちは。自己紹介と人の紹介します。こういうの苦手ですけど、とりあえず軽く周りの人のこと書いてみます。


・秋元(自分)

16歳。身長は多分173とか。これといった趣味はないです。でも最近は散歩とか外出ることハマってます。辛いもの好きです。


・牧さん(可愛い)

可愛い生き物。存在してくれてありがとう。身長は僕と頭一個分違うくらい。とにかく元気。可愛い。想像以上の大食い。そのうち建物とか食べそう。可愛い。


・岡崎さん(友達)

牧さんととても仲良し。大抵一緒にいる。身長は結構高め。金髪で怖いけど、多分めっちゃ優しくて良い人。


・姫川(前の席)

僕の数少ない昔からの親友。学年に1人はいそうな爽やか系イケメン、文武両道、なんかの主人公。性格は基本良いが、残念な部分が多少。聖人1号。


・千葉さん(隣の席の人)

クラス委員長。The優等生って感じの人。クラスのみんなから信頼されてる。聖人2号。


・富田(後ろの席)

柔道めっちゃ強いらしい脳筋男。めちゃくちゃフレンドリーで優しさの塊みたいな人。中学の時から何故かエンカウントするたびに絡んでくる。


・藤原さん(右前の席の方)

学年で1番頭がいい。いつも静かな人。大門さんと仲良し。


・大門さん(陽の者)

男子人気が高い女子。いまどきのギャル。基本的に誰とでも仲良さそうだけど、藤原さんとは特に仲良さそう。


以上、軽い自己紹介と周りの人の紹介でした。

 今朝、僕はいつもより遅く起きた。かなり疲れていたのか、なかなか起きれなかった。まだ眠さがあるが、なんとか支度して学校へ向かう。弁当を作る時間がなかったため、道中コンビニで何か買っていくことにした。学校には食堂などもあるが、人が多いし移動が面倒だ。店内に入った僕はとりあえずパンコーナーへと向かった。なんとなくどれを買うかは決まっているが、商品を目の前にすると、何故かどうしようかと迷ってしまう。自分でもよくわからない癖だ。

「あ!おはよ、秋元くん」

パンを見ていると、聞き覚えのある声が聞こえてくる。

「お、おはよう。」

「こんなところで会うなんて偶然だね~」

「うん。」

牧さんは両手で大量のお菓子を抱えていた。すごい量だ。

「...それ全部買うの?」

「そうだよ~。秋元くんは何買うの?」

「んー、昼食用に適当にパンとか買ってこうと思って。」

「そうなんだ~」

結局、最初から買おうとしていたパンを三つ買うことにした。

「それだけで足りる?大丈夫?」

「多分大丈夫。まぁ足りなかったら購買で買い足せるし。」

「たしかにそっか~」

「じゃあ買ってくる。」

「私も~」

レジへ向かうと、ちょうど空いていたため、早く終わった。牧さんの方はまだ時間がかかりそうだったため、先に外に出て牧さんを待つことにした。あの量、レジの人も大変だろう。

「ごめん!おまたせ~」

しばらくすると、お菓子の詰まった手提げバッグを持って、牧さんが出てきた。「じゃあ行こっか!」と歩き始める牧さんに付いていく。お菓子を買えてよほど嬉しかったのか、いつもより機嫌がよさそうだ。鼻歌を歌いながら歩いている。朝から元気ですごい。さっきまで、まだ眠くて若干だるかったが、牧さんを見てるとそれが吹き飛んでいくようだ。なんてほのぼのしていた僕は、急に冷静になる。

(なんだこの状況...?)

昨日の放課後といい、現実味のない状況ばかりだ。急に緊張してきた僕は、心拍数が上がるのを感じる。気が付けば、僕はさりげなく牧さんから距離を取っていた。何も気にしていないような牧さんは、先ほど買ったチョコレートをすでに食べている。

「秋元くん、これあげる~…えっ、なんでそんな遠くにいるの⁈」

チョコを差し出そうとした牧さんは、驚いてぽかーんと口を開いていた。

「え、もしかして私のこと嫌い...?」

「い、いや、そんなことっ」

「えへ、冗談だよ~」

僕は慌てて牧さんの横まで追いつくと、牧さんは「これあげる~」とチョコレートをくれた。

「ありがとう。これ、おいしいよね。」

「そうだよね!私これ好きなんだよ~」

牧さんからもらったチョコは、僕も好きなチョコレートだった。それが、なんだかちょっとだけ嬉しかった。

 学校に到着すると、いつもより人が多かった。いつも、人が少ない早めの時間に登校していたため、人が多いのは新鮮だ。昇降口で靴を履き替えて、牧さんの方を見る。下駄箱が一番上の列で苦戦している。さらに、今日は手提げが邪魔で靴を取るのが余計に難しそうだ。その辺に一回置けばいいんじゃないのか?なんて思いながらも声を掛ける。

「袋持つよ。」

「ほんと?ありがと~」

牧さんが靴を履き替えるまで手提げを持つことにした。改めて見てもすごい量だ。それに、結構重さがある。

(お菓子だけでこんな重くなるのか…?)

袋を覗き、重さに驚いていると、視界の端に影が映る。横を向くと、そこには人がいた。めちゃくちゃ目が合った。

「ゎ、びっくりした…。」

「んにゃ」

こんな近くにいたのに、全く気配がなくて気が付かなかった。いつからいたんだろう...。

「あ!るーちゃんおはよ!」

「にゃ~。さゆちおは~。」

そう言って、牧さんを抱きしめる。この人は珠洲(すず)さん。同じクラスの女子。いつもふわふわしていて、ぼーっとしていることも多い、かなりマイペースな人。男子からの人気はかなり高いらしい(情報源:姫川)。個人的に、この人がクラスで一番何を考えているかわからない。

「やー、はなしてー!死んじゃう!」

「あ~、ごめんね~」

ようやく解放された牧さんは目一杯息を吸っている。いつもこんなことやっているのだろうか。羨ましい。僕も牧さん持ち上げて高い高いしたい。…なんて思うのは自由ですよね。

「牧さんこれ。」

「そうだった!ありがと!」

持っていた手提げを返してあげた。

「お~、きょ~はいっぱいだね~」

「えへへ~、そうなんだよー」

珠洲さんは牧さんの手提げを覗き込んだかと思うと、突然手を突っ込み「あった~」と、お菓子を2つ抜き取る。ラムネと小分け包装したスナック菓子だ。スナック菓子の方は1つだけ丁寧に切り取り、残りは手提げに戻す。

「さゆちありがと~」

「全然だよー」

「んじゃ、これあげる~」

珠洲さんは謎の小さな袋を取り出し、牧さんに渡した。何入ってるんだろう?なんて考えながら見ていたら、珠洲さんと再び目が合った。

「あっき~、もしかしてみてた~?」

「あっきー?えっと...はい…。」

「お~。あ、おは~」

「え?お、おはようございます?」

一体何が「お~」なんだ...?それに、あっきーなんて初めて呼ばれたんですけど。久しぶりに珠洲さんと話したが、やっぱりこの人はよくわからない。挨拶をした後、珠洲さんは何故か無言のまま、ぼーっと見てくる。それにつられて牧さんもこちらを見る。

「...ん?な、なに?」

「あっき~」

「は、はい?」

「あげる~」

珠洲さんから渡されたのは、先ほど牧さんに渡していた袋と同じものだ。

「え、いいの?」

「うん、あげる~」

「ありがとう。これって何入ってるの?」

「パウンドケ~キだよ~」

「るーちゃんが作ったんだよ!」

「そ~。る~がつくった~」

「へー。」

パウンドケーキってなんだ...?名前だけ聞いたことあるけど、どんなのかわからない。きっと見ればわかるだろう。

「ほんとに貰ってよかったの?他の友達にあげる分とかじゃ?」

「んにゃ~。す~りょ~げんて~。あげるひとはる~の気まぐれなのだ~」

こういうのって、そんな感じに配るものなのか?よくわからないが、ありがたく貰っておこう。

「ごめん、本当は何か返せるものあればよかったんだけど...。」

今持ってるのはさっき買ったパンくらいだ。これを上げるのもなんか違う気がする。

「あ、じゃ~それちょ~だい」

珠洲さんは僕のリュックのポケットを指さす。

「?ここには何もないけど...」

手を入れて確認すると、一枚の紙らしきものがあった。取り出して見てみると、、、それは、最高にキメた姫川の自撮り写真だった。

「…。珠洲さん、こんなんでいいの?」

「お~、ありがと~」

…まあ、珠洲さんがいいならいいか。一方、牧さんは唐突に出てきた謎の写真に混乱していた。

「え...え?なんで秋元くん、姫川くんの写真持ってるの…?」

「えーっと...何でですかね。自分でもわかんないです。」

「わからないの⁈」

本当は知ってるけど。被写体本人の仕業だろう。昔からたまに、自分がいい感じに映った写真を、気付かれないように僕に渡してくるという、謎の行動をすることがあった。何の目的なのかは一切不明。高校に入ってから、やってきていなかったため油断していた。本当にやってなかったのか、わからないけど。

「それにしても、いつから知ってたの?」

「ん~、きのうだっけ~、おとといだっけ~。みた~」

「姫川が?」

「そ~」

「そっか。」

後で見つけた報告と写真を珠洲さんにあげたこと、本人に言っておこう。喜ばれそうだから、言いたくないけど。

 チャイムが鳴り、授業が終わって昼休みになる。友達の席へ、他の教室へ、中庭へ、購買へ、みんなそれぞれ、いつも通りに移動していく。そんな中、僕は教科書も片付けずにそのまま机に突っ伏していた。今日は天気がとてもよく、ちょうどういい暖かさ。こんなの眠くならない方がおかしい。お腹は空いているが、それより今は眠さが勝つ。

「おや?こんなところで寝ているのは、僕の親友じゃないか」

「...…」

前の席のやつが振り返り、寝ている僕に声を掛けてくる。

「ふふっ、どうやらぐっすり寝てるみたいだね」

「...……」

起きない僕の頭を当たり前のように撫でてくる。

「前はこれで起きたんだけど…なら目覚めのキッスでも」

「え気持ち悪っ、まじでやめて。」

流石に嫌すぎて起きてしまう。冗談だろうが、こいつならやりかねない。

「やぁ、やっと起きてくれたね」

「そっか、今日だったか。ごめん忘れてた。」

「全く…しばらくこの僕と話せなくて、拗ねちゃったかと思ったよ」

「んな訳ないだろ。毎日話してるだろ。」

このイケメンは姫川。小学生の時からの友人。ステータスが高い。イケメンで勉強も運動もでき、誰にでも優しい人間。多くの女子から好かれており、告白もよくされるらしい。もちろん、それを妬む男子もいて、たまに嫌がらせも受けていたりしたが、ものともしない強メンタルの持ち主。逆に、気付いた時にはそいつらと仲良くなっている。全く悪いところが無いわけじゃないが、本当にすごくていいやつだ。なんかの作中なら、絶対主人公の男だ。

「さあ、こんなところで寝てないで早く行くよ」

「わかったからちょっと待って。」

朝買った昼食と水筒を持った僕と、レジャーシートとその他諸々を抱えた姫川はいつもの場所、外にある桜の木の下へと向かった。

「それにしても、今日はなかなかいい天気だね。絶好のピクニック日和だ!」

「たしかに。」

高校生になってから、この場所で二週間に一度、金曜に僕たち二人でピクニックをしている。僕と違って、人気者な姫川は常に周りに誰かしらがいる。もちろん、姫川は自分がそんな状態では、僕が近寄ってこないことを知っている。だから、学校でもゆっくり話す時間が欲しいからと、姫川の提案で始まった。といっても、席替え以降、席が前後で話しやすくなったため、ほとんど意味はなくなっていた。でも、楽しいからと今でも続けている。

「あ、そうだった。」

「どうした?」

「今日これあるの忘れてて、弁当作ってきてないや。」

「ふっ、そうだと思ったよ」

「なんでだよ。」

「君と僕の仲だからさ」

「?」

「まあまあ、今日は僕が作ってきたから、安心してくれ」

「まじか。助かるよ。」

「軽く作ったサンドイッチだけなんだけどね」

「いや、十分。」

二人でいつも通り手際よくシートを広げて座る。シートはかなり大きめで広々としている。二人で寝転がっても余裕で足りるくらいだ。早速、僕らは食事にすることにした。

「さぁ、召し上がれ」

「うい、いただきます。」

姫川の作ったものは初めて食べる。姫川の手作りとか、こいつ好きな女子ならめっちゃ喜ぶんだろうなぁ、なんて思いながら食べる。

「うん、普通にうまいな。」

「本当かい?口に合ったならよかったよ。」

「まぁ挟んであるだけだしな。」

「うっ、それはそうだけど...。僕じゃこれが精一杯だったよ。本当は、いつも君が持ってきてくれるような弁当を、作ろうとしてみたんだけどね」

「んや、気にしなくていいよ。美味けりゃ見た目なんて気にしないよ。」

「そう言ってもらうと助かるよ」

僕にとって食事は美味しいか美味しくないかだ。でも僕がピクニックの時に作ってくるものは、いつもの昼食より見た目にもこだわっている。気分的になんとなくだ。

「んじゃ代わりにこれ。朝コンビニで買ってきたやつだけど。」

姫川に朝買ったいちごジャム入りパンを渡す。

「おぉ!流石、わかってるね」

「まあね。」

偶然、姫川の好きなパンを買っていただけだが、とりあえずわかってる感を出しておいてみた。緑色の葉に覆われた桜の木の下、二人で雲が流れていく青空を見上げながら、サンドイッチを食べる。たまに中身の無い話をしながら、ただのんびりと昼休みを過ごす。それ以外、ほとんど変わったことはしないが、これで充分だ。

「はぁ~、今日まじでいい天気だな。飯食って、さらに眠くなってきた。」

「なら、僕が膝枕してあげようか?」

「嫌だよ。」

「全く…そんな遠慮しなくてもいいんだよ?」

「してないわ。それにしても、前回の夏休み前にやった時から、だいぶ涼しくなったな~。」

「ははは...。あの時は暑くて大変だったね」

「ほんとだよ。無理矢理連れ出されて、普通に死ぬかと思ったよあれは。」

「そ、それは本当に申し訳ないと思ってるよ。僕が外でやろうって言ったけど...僕自身、今でも後悔しているよ」

「まぁ、あれはあれで楽しかったしな。二度とやりたくはないけどね。」

「僕も同感だよ」

前回の過酷なピクニックのことを思い出し、二人で苦笑いする。

「もう少ししたら、紅葉の季節だね」

「たしかに。ここなら紅葉見放題だし、ピクニックも楽しくなりそう。」

「だよね!今から楽しみだよ」

「ねー。」

「それに、秋と言えばやっぱりスイーツだね!今年も一緒に食べに行こうじゃないか!」

「ほんとスイーツ好きだな。予定合えばね。」

イケメン姫川は案外可愛い部分もある。スイーツに目が無かったり、寝る時はぬいぐるみが無いと寝れないなど。ただし、ぬいぐるみは自分を模した自作のぬいぐるみだ。そこはちょっとあれだけど。

「あ、そういえば言おうと思ってたことあったんだ。」

「なんだい?」

「お前久しぶりに写真入れたな?」

「なんだ、もう気付かれちゃったのか」

「今回は運よく目撃者がいてね。それが無ければ見つけるのもっと先になってた。」

「なんだって?僕としたことが、不覚...。」

「そこ悔しがるとこなの?」

見つけて欲しいのか欲しくないのかわからない。

「それで、どうだった?久しぶりの僕の写真は?今回は特にかっこよすぎてぜひ見せたかったんだ!あぁ、もちろん今までの僕もかっこいいけど。なんなら、実物が一番かっこいいけど!自分で本物の自分を見れないのが残念だよ」

「急に元気になるじゃん。」

そう、この姫川(ひめかわ) 海翔(かいと)という男、重度のナルシストである。人前では、完璧に爽やか系のイケメン主人公をしている反動なのか、家族や僕のように親しい人の前では爆発する。安易にかっこいいと褒めると止まらなくなるため、とりあえずこういう時は見守ることに徹する。誰か知らない、通りすがった女子にすらかっこいいと言われるくらいには、日常的にかっこいいと言われているが、そこで暴走しないのがすごいところだ。まぁ、そこで解放できない分、家族や僕が主に被害にあっているけど。

「それでなんだけど、見て。」

僕は珠洲さんからもらったケーキの袋を取り出して見せる。

「ん?なんだい、この袋?」

「お前の写真で入手したケーキだ。」

「僕の写真で?」

「うん。ケーキくれた人が、代わりに写真欲しいって言うからあげた。」

「その人は女子かい?」

「うん。」

「なんてことだ...」

そう言って、驚いた姫川は額に手を当てる。あれ、思ってた反応と違う。もっと喜ぶかと思ってたけど。

「もしかして、あげない方がよかった?」

「あぁ、そうだね」

「え...ごめん。」

「あの写真の僕はあまりにもかっこよすぎて危険だ。」

「…そっちかよ。」

「あ、実物が一番かっこいいんだけどね。」

「そっか。」

こいつは何を言っているんだ?どっちも変わらないだろ。

「それで、誰なんだい?写真を欲しがった子は?」

「珠洲さんだよ。」

「珠洲...あぁ、るるちゃんか」

「いや、名前知らない。」

「そっかなるほど...。じゃ」

「じゃ、ってどこ行く気だ。」

「決まってるだろ?珠洲さんのところさ!」

「待て、なにしに行く気だ?」

「かっこいい僕が直接これをプレゼントしに行くんだよ!」

そうして出てきたのは写真の束だった。

「えぇ、なんで持ってんだよそんなに。」

「いつでも君に渡せるようにさ」

「いや要らないよ。」

姫川は自分の写真を楽しそうに眺めている。

「はぁ...。海翔のことだから心配はしてないけど...。行くにしても、いったん落ち着け。今は時間無いから、行くなら放課後とかにしときなよ。」

「確かにそうだね。僕としたことが少し取り乱してしまったよ。」

「全く…とりあえずこのケーキ食べて落ち着いこう。」

「それ、僕も食べていいのかい?」

「うん。どうせ姫川の写真を生贄に召喚したケーキだしな。」

「い、生贄って」

袋を開き、入っていたケーキを取り出す。

(パウンドケーキって言ってたっけ。カステラみたいだな。)

なんて思いながら半分に分けて、姫川に渡す。

「おお、これは美味しそうなパウンドケーキだね」

「珠洲さんが作ったらしい。」

「そうなのかい?なら後でお礼も一緒にしないとだね!」

「だな。」

「じゃあ、いただこう」

「うん。」

どんな感じだろうと食べてみると、美味しいかった。フルーツも入っていて、食感もいい。お店で売ってるクオリティだ…多分。売ってるの食べたことないから知らないけど。二人でパウンドケーキを味わって食べた後、時間を確認すると、昼休みがもうすぐ終わろうとしていた。僕らは急いで片付けをし、授業に間に合うように教室へとダッシュで戻ることにした。

 西日が顔側面を激しく照らしてくる。顔の半分だけ、やたら日焼けしてそう不快だ。

「はぁ…。終わった‐...。」

ため息をついた後、大きく背伸びをする。午後の授業も乗り切り、長かった一週間が終わった。リュックにものを詰め、帰ろうと席を立ちあがった時、目の前にイケメンが立ちはだかってきた。

「やあ、今日はこのまま帰るのかい?」

「今日もこのまま帰ります。」

「そうか...。なら、少し僕に付き合ってくれないかい?」

「別にいいけど、何すんの?」

まぁまぁ、と言って歩いていく姫川の後に付いていく。昼休みのことを思い出し、なんとなく行き先を察した。目的地にいたその人は前の席に座る子、大野さんにものすごいちょっかいを掛けていた。いつものことなのか、何かを書いている大野さんは珠洲さんをスルーし続けている。

「やあ、るるちゃん。今、大丈夫かい?」

こちらに気付いた珠洲さんはゆっくり顔を上げた。その間も、大野さんの背中を指でつつき続けていた。

「ん~。いまいそがし~かも~」

「それは申し訳ない。また出直すよ。」

「待って!うそっ!この子、今全然忙しくないですっ!」

大野さんが勢いよく振り返り、姫川を引き留める。

「ひ、姫川くん…⁉」

「あ~、ち~ちゃんのまけ~」

「…もうっ!」

「いたっ」

大野さんにデコピンされた珠洲さんは、額を抑えながらうぅ~と机にうなだれた。流石に少し怒ってたのか、大野さんの少し顔が赤くなっているように見える。

「ご、ごめんね姫川くん。この子、全然暇だから」

「うぅ~、ひまです~」

「よかった。実は君の作ったケーキの感謝を伝えたくてね」

姫川はちょうど空いていた珠洲さんの隣に腰かける。僕はその机から顔を覗かせられる程度に屈んだ。

「あれ~?ひめかわくんにあげたっけ~?」

「秋元に半分分けてもらってね。とても美味しかったよ、ありがとう」

「お~」

姫川の後ろで僕も大きく頷く。それに気が付いた珠洲さんはグッと親指を立てた。

「それともう一つ、聞きたいことがあって…」

「ん~?しゃしん~?」

「そう、写真。なんで僕の写真とケーキを交換してもらえたのか、少し気になってね」

「ん~。なんとなく~?」

なんとなくで欲しくなるようなものなのか...。

「そうか…実はここに僕の写真コレクションがあるんだけど、欲しかったりしないかい?たくさんあるから選び放題だよ!もちろん欲しいだけ―」

「待て待て、落ち着け姫川。」

急にエンジンが掛かり、立ち上がった姫川を制止する。はっとした姫川は少し申し訳なさそうに座り直す。

「僕としたことが...申し訳ない」

「...まさかこのために連れてきたのか?」

「あぁ、おかげで助かったよ。ありがとう」

それにしても、家族や僕以外の人の前では基本暴走することはなかったため、姫川にしては珍しいことだった。その間、珠洲さんは不思議そうにしており、大野さんはさっきから黙り込んで俯いている。落ち着きを取り戻した姫川は、気を取り直して話し始める。

「僕の写真が欲しかったら是非言って欲しい。いつでもすぐにプレゼントするよ」

「ん~、る~いらな~い」

「ええ⁈」

予想外の返事に姫川は驚愕し、ショックで固まってしまった。そりゃそうだ。姫川が好きな人達からは需要がある...かは知らないけど、それ以外の人からしたら普通に要らない。

「ち~ちゃんもらえば~?」

「えっ、い、いいよ別に!」

「えええ⁉」

姫川はさらに追撃を食らっていた。...なんか可哀想だ。

「ま、まぁ、欲しくなったら...いつでも言ってね...じゃあ...僕はこれで...」

意気消沈した姫川はゆっくり立ち上がると、そう言い残して去って行った。それを見送った後、珠洲さんが口を開く。

「ん~、なんでいじはっちゃうの~?もらえばよかったのに~」

「だ、だって...」

俯いている大野さんは耳まで赤くしていた。察するに姫川が好きなのだろう。本当は写真が欲しかったけど、恥ずかしくて言えなかったパターンのようだ。

「えっと...。姫川の写真、要ります...?」

いつの間にかポケットに入っていた写真を恐る恐る大野さんに差し出してみる。

「え...?なんで秋元君が持ってるの?」

「まぁ…色々あって...。」

少し驚きながら不思議そうに見られている。今朝も同じようなことがあった気がする。

「せっかくだし、もらお~」

「う、うん」

頷いた大野さんはそっと写真を受け取り、静かに手帳に挟んだ。

「あ、じゃあ自分もこれで...。珠洲さん、ケーキ美味しかったです。」

「うむ」

グッと親指を立てる珠洲さんに、ぎこちない真似をしてみると満足そうに笑っていた。その後、軽く会釈してその場を後にした。

帰る前に、姫川に「どんまい。」と声を掛けると、静かに写真を差し出された。なんとなく拒否しづらかった僕は、受け取っておくことにした。

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