【創作BL】140字創作小説 2作 『まだ此処に居たいよ』『前時代』
『まだ此処に居たいよ』
柔らかくて熱い頬、細い腕、合わさる手。
時計の音がコツコツと時間を運んで行く。
もう門限が近い為、僕はそろそろ家へと帰らなくてはならない。
しかし、この今、一瞬しか味わえない状況を僕は手放したくないと思った。
「まだ此処に居たいよ」
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『前時代』
君の手をきゅっと握る。君も、僕の手を握り返してくれる。
僕の手に、君の細い指の関節がごつごつあたる。手をさすってみる。すべすべしている。
ふと、前から人が歩いてくるのが見えたので、お互いにそっと手を離した。
いつか、手を繋いでいても良い世界が来るといいと思った。