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必要ないと判断したのはそちらでしょう?  作者: 風見ゆうみ


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8.5  お気楽(チーチル視点)

 リンファがいなくなってから、魔物の存在が確認され始めたので、わたくしはとっても困っていた。

 だって、わたくしは魔物が苦手なのっ。


 動物のように可愛い顔をしているものもいるけれど、近付いたら襲ってこようとするのよっ!?


 陛下ったら本当にひどいわ。


 リンファを遠くにやっちゃ駄目って言ったのに、追い出しちゃうんだからっ!


 陛下を奪っちゃったことに関しては、リンファに悪いとは思っているけれど、聖女なんだから、リンファも仕事はしなくちゃいけないはずっ!


 陛下に聞いたけど、リンファは追い出されて拗ねちゃって、陛下からのお手紙の返事をしないんだってっ!


「リンファったら、本当にぷんぷんっだわっ!」


 ちょっと、やけ食いでもしちゃおうかしらっ。


 わたくしは19歳でまだまだ若いのだし、ちょっとくらい食べ過ぎちゃっても消化できるわよねっ!?


 そう思って、メイドを呼ぼうとした時だった。


 ぞわりと、背中に何かが走るような悪寒がした。


「今のっ……何かしらっ」


 今まで感じたことのないような、悪意を感じたの。


 陛下に伝えないといけないと思って、わたくしは部屋から出た。


 廊下にはメイドが歩いていたけれど、わたしくしの焦った様子を見て驚いているだけで、異変を感じた様子はない。


 これは、聖女しか感じらないないものなのかもっ!?

 こんな時にリンファがいてくれたら確認できるのにっ!


 急いで陛下のいる執務室に向かうと、陛下は笑顔で私を出迎えてくれた。

 

 そんな呑気にしている場合じゃないっていうのにっ!


「陛下、大変ですっ! 魔物が動き始めたかもしれませんっ!」

「何を言っているんだ、チーチル。夢でも見たのか?」

「夢じゃ有りませんっ! 本当なんですっ! 聖女だからわかるんですっ! あっちの方向で、嫌な気配がするんですっ!」

「あっちの方向?」


 陛下はわたくしが指さした方向に顔を向ける。


 すると、陛下の近くにいた、今まで見たことのない男性が言った。


「あちらの方向ですと、以前、魔物を目撃したという森がありますね」

「でしょうっ!? 森の中は太陽の光が当たりにくくて、この世界の魔物は昼でも活発化するんですっ!」

「日が出ている間は大丈夫なのか?」

「そうですねっ。太陽の光は苦手ですっ!」

「では、今晩はその付近の人間に夜は出歩かないように注意させ、明日の朝に結界を張りにいこうか」


 陛下があっさりとした口調で言う。


 結界を張るのはわたくしなのよね?


「そ、それでっ、大丈夫なんですかっ!?」

「一応、以前に、リンファが張った結界が機能している場所だ。だから大丈夫だろう。本来なら、リンファに戻ってきてもらうのが一番なのだが、まだ返事が来なくてな」

「リンファ、どうしたら許してくれるのかしらっ」


 しょぼんと肩を落とすと、陛下が近寄ってきて、私を抱きしめてくれる。


「チーチルは何も悪くないぞ。悪いのは仕事をサボり、私に必要のない存在だと言わしめたリンファなのだから」

「本当ですかっ!? わたくし、リンファから陛下を奪っちゃいましたけどっ!?」

「それはしょうがない。リンファの努力不足なのだ」


 よくわからないけどっ、陛下がそう言うのならそうよねっ!?


 気分が明るくなると、さっきの魔物の気配も気のせいのように思えてきた。

 

「陛下っ! お腹が減りましたっ! 一緒に何か食べませんかっ!?」

「ああ、そうだな。一緒に食べよう」


 残された男性は、寄り添って出ていくわたくし達が羨ましいのか、悲しそうな目で見つめていた。


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