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隠し子 後編

「明後日は日の出見に行こうか、」


一昨日の晩、父親は何の前触れもなく少女にそう言った。


とくべつ朝の話をしていたわけでもなく、太陽の話をしていたわけでもなかった。


(かれら)にとっては当然の話だけれども、端の地の話をしていたわけでもなかった。


只、少女が昼間に遊んだ近所の友達の話を父親に様々を誇張しながら話しかけて、父親は時々微笑んだような緩んだ顔を見せながら少女の話を聞く、これまで通りの夜ご飯の一場面が流れていた。


「ひのでってなに?」


跳ねるように明るい少女の声は純粋だった。


父親はその問いに、冗談で言って自分に答えさせようとしているのか、その迷いが一瞬の憤りを覚えさせて数秒なにも返すことが出来なかった。


だが、少女の境遇を思い出すとその怒りは消え去って父親は静かな声で答える。


「日が昇るさまのこと」


「さまってなに?」


「、、、状態のこと」


「じょうたいって?ひって?」


「、、、、、様子の事、日は太陽、、」


「たいようがのぼるって、、どういうこと?」


「、、、、、、、、、朝が来るってこと」


「あさってくるものなの?どっからくるの?」


「、、、、、、、、、朝が来るっていうのは、、、そう言うことじゃなくて、、、、日付が」


「ひづけってなに?」


初めて聞く言葉の重奏に少女の好奇心はあふれ出し留まること知らなくて聞かずにはいられなかった、


だけれども、少女の年齢は七歳になり初等学校の二年生に当たる頃だった、学校の石板には当然日付は書かれていて、日が太陽であるなんてことも、「日」という感じを教えられるときに一緒に教えられているはず。


父親の堪忍袋の緒も限界を超えた。


「学校で習っただろう!!!!!!!!!!ふざけるな!!!!!!!!!!」


少女は混乱した、少女が話してきた毎日の出来事の殆どが学校に通っているはずの時間の事だった。


父親に怒られ、父親の機嫌を損ねたことにも混乱した、だけど何より少女の中で自分の身が何処かから落ちて行く様な不安定さが全身襲ったことに、恐怖してそれをどうにか抑えようとするかのような混乱だった。


「がっこうって、、なに?」


少女の声は落ち着いたものだった、まるで暗く狭い洞窟の中を、しゃがみながら、壁に手をそっと置きながら恐る恐る不安を覚えながらゆっくりと進んでいくような声だった。


それを聞く母親は悲痛な何かを堪えながら俯いている。


少女は世の隠し子。

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