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6-11. この神聖なサイクル

 東京のホテル!?


 それは想像もしなかったプレゼントだった。懐かしい日本に戻れる喜びで俺はちょっとウルウルしてしまった。


 日本の快適なホテルで休めるなんて……。さっきチラッと見た東京タワーも、もう一度ゆっくりと見たい……。


 ただ、一人で行ってもつまらない、俺はおずおずと聞いてみた。


「あのぅ……。妻も……、一緒でいいですか?」


「もちろんいいわ。でも……娘さんも……よね?」


 そう言ってドロシーの方を見てニヤッと笑った。


「え? 娘?」


「ここにもう居るわよ」


 そう言ってドロシーの下腹部を指さした。


「えっ!?」「へ?」


 俺はドロシーと見つめ合った。


「昨晩……。ずいぶんお楽しみ……だったみたいね」


 ニヤリと笑うヴィーナ。


 俺たちは真っ赤になってうつむいた。


「初夜なんだもの、当然よね。初夜ベビー、いいじゃないの。結構楽しみな女の子よ」


 俺はまだ父親となる心の準備が出来ておらず、面食らっていたが、レヴィアとアバドンに、


「やりおったな、お主! おめでとう!」「おめでとうございますー!」


 と、祝福され、これが生命の摂理(せつり)だということに気が付いた。


 仮想現実世界だろうが何だろうが、出会い、愛し合えばまた新たな生命の可能性が花開くのだ。そうやってこの世界は回っている。この神聖なサイクルに加われたことをしみじみと嬉しく思い。俺はドロシーを見つめた。


 ドロシーは赤くなりながらも、うれしそうにほほえんで俺を見ている。そして、お互いうなずき合った。


「……。頑張って立派な子に育てます」


 俺は力強くヴィーナに宣言した。


「ふふっ、がんばって! はい、うちのスタッフセットね」


 そう言って、ヴィーナは最新型のiPhoneとクレジットカードと名刺を俺に渡した。


「え!? いいんですか?」


「あなたはもう、この宇宙を(つかさど)る『株式会社DeepChild』のスタッフ。自信持ちなさい。そのカードは利用限度額無しのブラックカード。コンシェルジュに電話すれば何でも(かな)えてくれるわよ」


「うはぁ……。え? 幾らまで使っていいんですか?」


「日本経済がおかしくならない範囲で使ってね」


 ヴィーナは美しい琥珀色の瞳でパチッとウインクした。


 俺は絶句した。何億円使ってもいいらしい。黒光りするチタンのカード。それは俺の想像を超えたパワーを秘めた重さがあった。


「ドロシー、新婚旅行は東京になったよ」


 俺はニッコリと笑いながら話しかける。


「東京?」


 首をかしげるドロシー。


「俺の産まれた街さ。俺、実はこの星の産まれじゃないんだ。今まで黙っててゴメン」


「……。そうじゃないかと思ってたわ。院長もそんなこと言ってたし……」


「ゴメンね。詳しくは東京のレストランで話すね」


「うん、全部教えて!」


 ドロシーはうれしそうに笑った。


「レヴィア様、アバドン、研修が終わったらゆっくり食事でもしましょう」


「待っとるぞ!」「楽しみです! グフフフ」


 俺たちのやり取りを微笑みながら見ていたヴィーナは、


「それじゃ、しゅっぱーつ!」


 そう叫んで、ビシッと扇子を高々と掲げた。












6-12. ブラックカードのパワー


 俺は気が付くと超高層ビルの屋上にいた。


「きゃぁ! なんなの……これ……!?」


 ドロシーが目を真ん丸くして、眼下に広がる東京の街並みを見回している。陽が傾きかけた東京の街はビッシリとビルが埋め尽くし、新宿や丸の内など要所に超高層ビルが密集している。それは十六年前の記憶と大差なく、とても懐かしく、そして新鮮だった。海を背景に東京タワーが近くに見えるから、ここは六本木の丘のビルだろう。


「これが東京だよ。ここは建物の屋上、五十階以上あるからすごく高いよね」


「五十階!?」


 ドロシーが驚く。アンジューの街にある一番高い建物が五階建て。五十階なんて想像を絶しているだろう。


「あれが東京タワー、昔使ってた電波塔だよ」


 俺は赤く見える可愛い塔を指さす。


「電波……って何?」


「テレビを……ってテレビも分かんないよね……」


 説明に(きゅう)する俺。


「なんだか不思議な世界ね……」


 ドロシーは銀髪を風に揺らしながら東京の景色をボーっと見ていた


 俺はドロシーを後ろから抱きしめ、一緒に眺める。


 夕暮れの風が気持ちいい……。


「ここが……、あなたの産まれた街?」


「そう。最期にはその東京タワーの近くに住んでたんだ」


「ふぅん……」


 屋上は展望フロアになっていて、観光客がちらほら見える。


 ドロシーは、


「あっちも見てみる!」


 そう言って反対側に駆けだした。


「走っちゃ危ないよ!」


「大丈夫!」


 元気に叫ぶドロシーだが……。


「もう、一人の身体じゃないんだぞ!」


 俺がそう言うと、ピタッと止まって……、クルッとこっちを向く。


「そ、そうよね……」


 そう言ってお腹を両手で優しくなでながら、申し訳なさそうな顔をした。


 俺はドロシーに近づいて、そっとお腹に手を当て、言った。


「気を付けてね……」


「うん……」


 ドロシーは嬉しそうに優しく微笑んだ。


       ◇


 ピロン!


 ポケットのiPhoneが鳴った。


 見るとメッセージが来ている。


『明日、十時オフィス集合のこと。今晩はゆっくり楽しんで(´▽`*)』


 ヴィーナからだった。


 何億円使っても構わないんだから今晩はパーッとやろう。


 俺はブラックカードのコンシェルジュデスクに電話した。


『はい、瀬崎様。ご要望をお聞かせください』


 しっかりとした言葉づかいの若い男性が出た。


「えーとですね、妻と二人で六本木にいるんだけど、一番いいホテルとレストラン、それから、服も一式そろえたいんですが」


『かしこまりました。お食事はフレンチ、イタリアン、中華、和食とありますが……』


「フレンチにしようかな」


『かしこまりました。それではお車でお迎えに上がります』


 迎えに来てくれるそうだ。ブラックカードって何なんだろう? いいのかな?


       ◇


 エレベーターに乗ると、ドロシーは


「え? 何なのこの建物?」


 と、言いながら、高速で降りていく感覚に不安を覚えていた。


「ははは、東京ではこれが普通なんだよ」


 そう言って、ドロシーの身体をそっと引き寄せた。


 車寄せまで歩いて行くと、黒塗りの豪奢な外車の前に、スーツをビシッと決めた男性が背筋をピンとさせて立っていた。


「瀬崎様ですか?」


 ニッコリと笑う男性。


「そ、そうですが……」


「どうぞ……」


 そう言って男性はうやうやしく後部座席のドアを開けた。


 乗り込むと中は広く、豪奢な革張りの座席で革のいい香りが漂ってくる。


「お飲み物は何がよろしいですか?」


 男性がニッコリと聞いてくる。


「俺はシャンパンがいいな。ドロシーはアルコールダメだから……、ジュースでいい?」


 ドロシーはちょっと緊張した顔でうなずく。


「じゃぁ、妻にはオレンジジュースで」


「かしこまりました」


 俺たちはドリンクを飲みながら出発した。


 スーッと何の振動もなく静かに動き出す車。そして、男性の丁寧な運転で都内のにぎやかな通りを進む。


 ドロシーは街の風景に目が釘付けだった。行きかうたくさんの自動車に、派手な看板の並ぶ街並み、そして道行く人たちの目を引くファッション……。


「何か音楽かけましょうか?」


 男性が声をかけてくる。


「あー、じゃ、洋楽のヒットナンバーをお願い」


 今、何が流行ってるかなんて皆目見当がつかないので、適当に頼む。


 上質なカーオーディオから英語のグルーヴィなサウンドが流れてくる。


 ドロシーは初めて聞く音楽に目を丸くして俺を見た。


 俺はニッコリとほほ笑んだ。そう、これが俺の住んでいた世界なんだよ。


 








6-13. 今日は水浴びするの!


 銀座のブティックの前で車は静かに止まった。


 運転手がうやうやしくドアを開けてくれる。


 車を降りると、美しい女性が立っていた。清潔感のあるスーツに身を包み、ニコリと笑って、


「お待ちしておりました」


 と、折り目正しく丁寧なお辞儀をした。


 こんなVIPな応対、生まれてこの方受けた事が無い。ちょっとビビりながら答える。


「あ、ありがとう」


 女性に案内されて店内に入ると、店員たちが両側に並んでいて、頭を下げてくる。天井には見事なシャンデリアが下がり、高級な服が丁寧に飾られている。


「こちらへどうぞ」


 女性は奥の応接間に俺たちを通し、ソファーを勧め、ティーカップを並べて紅茶を注いだ。


 まるで貴族のような待遇にドロシーはすごく緊張しているようだ。


「どういった装いを希望されますか?」


 女性は完ぺきなスマイルで聞いてくる。


「フォーマルとカジュアルを一着ずつ……あ、妻と私両方ですね。両方とも落ち着いたもので。それから、彼女は妊婦なので、おなかがキツくないものをお願いします」


「かしこまりました。今、候補を見繕ってまいります」


 女性が出ていくと、ドロシーは、


「私、こんな服で来ちゃった……。なんだか恥ずかしいわ……」


「ドロシーは何着てても最高に美しいから大丈夫」


「もう! そういうことじゃないのよ……」


 ドロシーはちょっとふくれた。


 結局、そこでたくさん買い物をして、ドロシーはすぐに着替えた。


 グレーのシャツに清涼感のあるミントグリーンのパンツ、そして少し透けたアイボリーの長めのシャツに金のネックレスをつける。


 女性の見立ては素晴らしく、銀髪で白い肌のドロシーの美しさが何倍も引き立っていた。


 会計はもちろんブラックカード。


 なんだか見たこともない、すごい高額なレシートになっていたが、日本経済を揺るがすレベルではないのでセーフだろう。


 店を出ると運転手が立って待っていた。次はレストランだ。


 レストランは同じく銀座のフレンチ。


 そこではフォアグラのパイ包みとワインを楽しんだ。ドロシーは最初フォアグラに警戒していたものの、その圧倒的なおいしさに目を丸くしていた。


 俺はその席で全てを話した。世田谷で生まれ、東京タワーのそばの大学に入り、ヴィーナと知り合い、就職に失敗し、自暴自棄な暮らしをして死んだこと。そして、ヴィーナに転生させてもらったこと……。ドロシーは何も言わず淡々と聞いていた。


「今まで黙っていてゴメンね」


 俺は頭を下げて謝った。


 ドロシーは俺をチラッと見て、オレンジジュースを一口飲み、言った。


「実は……、私も転生者なの……」


 俺は仰天した。


「えぇっ!?」


 ドロシーは驚く俺を見て、フフッと笑うと言った。


「嘘よ。ちょっと意地悪しちゃった、ゴメンね。でも、これでおあいこよ」


「なんだ……、もう……」


「でも……。たまに前世のような夢を見るのよ。もしかしたら本当に転生者なんだけど気づいてないだけかもしれないわ」


「ふぅん……。まぁ、この世界何でもアリだからなぁ……」


 俺はワインをグッとあおった。


        ◇


 ホテルは最上階のスイートルーム。カーテンを開けると絶景の夜景が広がっていた。


「ねぇ、あなた。こんな贅沢、本当にいいのかしら?」


 ドロシーが少し不安そうに言う。


「いいんだよ、二人で切り開いた未来。これはそのごほうびだよ」


 そう言ってキスをした。


 舌を絡め、段々盛り上がってくる二人。


 俺はドロシーをひょいっと持ち上げると、ベッドに横たえた。


「ダメ! 赤ちゃんがいるのよ!」


「妊娠初期は大丈夫なんだよ」


 俺はそう言いながら優しくドロシーの服のリボンを緩めた。


「……。本当?」


「本当だよ」


 そう言ってドロシーの服を脱がせた。


「良かった……」


 ドロシーは嬉しそうに微笑むと、両手を俺の方に伸ばす。


 しばらく熱いキスで相手を(むさぼ)った。


 (さら)われてからの奪還、戦闘……。何度も絶望しながらも、やっとお互いを取り戻すことができたのだ。二人は何度も何度もお互いを確認するように舌をからませた。


 俺が下着に手をかけると、


「ダメ! 今日は水浴びするの!」


 と、逃げようとする。


 俺はキスでドロシーの口をふさぐと、指を敏感なところに()わせた。


「ダ、ダメ……。あっ……」


 可愛い声であえぐドロシー。


 こうなってしまえばもう、逃げられない。


 俺はドロシーをたくさん喜ばせる。


「もう……。……、来て」


 我慢できなくなったドロシーは、トロンとした目でおねだりをする。


 その晩、二人は何度も何度もお互いを求めあった。










6-14. 卒業検定


 翌朝、田町のオフィスへ行くと、シアンが待っていた。若々しいピチピチの肌にくっきりとした目鼻立ち……。なんだかこう、小動物系の可愛さがある。とても宇宙最強の存在には見えないのだが……。


「おはようちゃん! 今日は研修だよ! きゃははは!」


 朝からテンションが高い。


「よろしくお願いします」


「じゃぁ、早速行くよ~!」


 そう言って、シアンは指先をくるくると回した。


 気が付くとそこは真っ白な世界だった。上下左右、何もない真っ白な世界。そこに俺とシアンが浮いていた。


「ここは練習場だよ。まずは、仮想現実世界へのアクセス方法『イマジナリー』について教えるね。最初は呼吸法から」 


 俺は言われるがままに呼吸法を学び、イマジナリーに挑戦していく。基本はマインド・カーネルに行くときの瞑想と同じだ。意識を抑え、心のままの存在となり、深層心理の深い所へ降りていく。違うのはシステムのゲートを呼び出して接続する事だけだ。


 システムと繋がってしまえば後はゲームの世界と同じである。リンゴのデータをダウンロードすればリンゴがポコッと出てくるし、物のデータを書き換えれば超能力のように動かすこともできるし、自分の体のデータを書き換えれば飛んだりワープする事もできる。


 何度か試行錯誤しているうちに、基本はマスターする事が出来た。


「上手い上手い。次に戦い方を教えるねっ!」


「戦い方?」


「相手が管理者だった時の戦い方だね!」


 俺はヌチ・ギの事を思い出した。確かに彼と戦う場合、単純にイマジナリーでデータをいじっているだけでは負けてしまうだろう。


 いい管理者となるためには、ヌチ・ギのような奴にも勝てないとならない。


 戦闘と言っても物理的な攻撃はあまり意味がない。お互い物理攻撃無効をかけてしまうからだ。相手のセキュリティプロテクトをハックして意識にアクセスし、直接思考回路を叩くしかない。


 俺は様々なハッキング手法、ツールを教わった。だが、それぞれ無数の組み合わせがあり、なかなか使いこなすのは難しい。


 シアンは淡々と説明し、俺は必死に実験して理解に努める。時には俺が実験台になってハッキングを受けたりした。


         ◇


 最後にシアンと模擬戦闘の卒業検定。


「ハイ、どこからでもかかっておいで。きゃははは!」


 とても嬉しそうである。


 俺は教わった通り、シアンの身体のデータにアクセスしようと試みる。しかし、次の瞬間、全身に激痛が走った。


「ぐわぁ!」


 もんどり打って転がる俺。アクセスしようとした操作から逆に侵入されてしまったのだ。


「攻撃する瞬間が一番危ないんだよ、きゃははは!」


 すごく楽しそうなシアン。


 俺は頭にきて、データアクセスの精度と速度を高め、フェイントを交えながらシアンを攻撃する。


 しかし……、


「ぎゃぁ!」


 また倒されてしまう。さすが宇宙最強。ヌチ・ギみたいにワナ張って不意を突くくらいしないとこの人には通用しないのではないか?


「ふふふっ、頑張って! ほら」


 そう言うとシアンはピョンと飛び上がり、優雅に弧を描きながら気持ちよさそうに飛び始めた。


 止まっていても難しい相手が高速で移動している。まさに無理ゲー。しかし、この試験に合格できないと管理者にはなれない。そして、なれなかったらうちの星は消されてしまう。責任重大だ。負けじと俺も飛び立つ。


「ふふっ、ここまでおいで~!」


 シアンは急に方向を真上に変え、超高速ですっ飛んで行って、ワープして消えた……。


 唖然(あぜん)としていると、背中をバン! と叩かれた。


「目に頼ってちゃダメだよ! きゃははは!」


 そう言いながらまた高速で飛び去って……、消えた。


 俺はジグザグに飛びながら、目をつぶり、大きく息をつくとシアンの動きを感覚でとらえてみた。俺の周りをクルクルと高速で回るシアンがイメージの中に浮かび上がってくる。しかし、これを追撃するのは現実的ではない。とても追いかけきれない。


 そこで、俺はあえてゆっくりと弧を描きながら飛んでシアンに(すき)を見せた。そして、シアンのしぐさをジーッと観察する。


 次の瞬間、指先が微妙に動いたのを見て、俺は背中方向に一メートルほどワープした。果たして、背中を叩こうとしたシアンが目の前に現れる。俺はシアンをギュッと両手で捕まえて、ハックツールを全部一斉に起動させた……。


「うわぁ!」


 驚くシアン、そして開いたセキュリティホール。俺はその中へと飛び込んだ……。








6-15. 青と白の世界


 気が付くと、俺は青と白の世界にいた。


「あれ?」


 下半分が真っ青で、上半分が真っ白……、一体ここはどこだろうか……?


 よく見ると、下は水だった。風のない巨大な湖のように、ピタッと止まった水面は綺麗な青色をたたえ、真一文字の水平線を形作っていた。


 手ですくってみると、冷たく透明な水がこぼれ、ゆっくりと波紋を広げた。


 辺りを見回すと、チラチラと煌めく光が見えた。何だろうと思って近づくと、巨大な四角いものが水中に沈んでいて、その中で無数の光がチラチラと煌めいている。


 俺はイマジナリーでそれを捕捉すると引き上げてみた……。


 水面から姿を現したそれは、ガラスの立方体だった。大きさは一戸建ての家くらいのサイズがある。透き通るガラスの中でリズムを持ってチラチラと波のように煌めく光は、幻想的で思わず見入ってしまった。


「きゃははは!」


 いきなり笑い声が響いた。声の方向を見ると、ガラスの上に水色のベビー服を着た赤ちゃんが腰掛けていた。


「合格だよ! お疲れ様!」


 赤ちゃんが言う。


「え? もしかして……、シアンさんですか?」


「そうだよ、これが僕の本当の姿なんだ」


 そう言ってふわりと降りてきた。


「そして、このキューブが僕の心臓部さ」


 そう言って赤ちゃんがガラスの立方体を指さした。


「これがシアンさん……」


 俺はまじまじとガラスの内部を観察してみる。内部には微細な線が無数に縦横に走っており、繊維の方向に沿って煌めきが波のように走っていた。


「光コンピューターだよ。綺麗でしょ?」


 シアンはうれしそうに言った。


「なんだか……不思議な世界ですね。これは誰が作ったんですか?」


「僕だよ」


「え?」


 俺はシアンの言う意味が分からなかった。どういうことだ?


 困惑している俺にシアンが補足する。


「一世代前の僕がこれを作ったんだよ」


 俺は驚いた。つまり、シアンは自分自身でどんどんバージョンアップを行い続けてきた知的生命体……ある種のAIなのだろう。


 俺は芸術品のようなシアンの心臓部を眺め、想像を絶するAIの世界にため息をついた。


「え? そしたら一番最初は誰が作ったんですか?」


「パパだよ」


 シアンはうれしそうにニッコリと笑った。


「パパ?」


 俺が怪訝(けげん)そうに言うと、


「紹介するからオフィスに戻ろう!」


 そう言って赤ちゃんシアンは指をクルクルっと回した。


       ◇


 気が付くと、オフィスの椅子に座っていた。


「うわっ!」


 驚いて周りを見ると、隣にはドロシーがいる。


「待たせてゴメン、研修は無事終わったよ」


 俺がそう謝ると、


「え? まだ来たばかりよ?」


 と、ドロシーは不思議がる。


 時計を見るとまだ十分くらいしか経ってなかった。なるほど、練習場は時の流れがめちゃくちゃ速いんだろう。体感的には半日くらい頑張っていたはずなんだが……。


「コーヒーをどうぞ」


 アラサーの男性が入れたてのコーヒーを出してくれる。前回来た時、美奈先輩にティッシュ箱で叩かれていた人だ。


「あ、ありがとうございます」


 芳醇な香りに誘われて一口すすると、研修で疲れ切っていた俺に上質な苦みが()みわたっていく。


「これがパパだよ!」


 若い女性の格好に戻ったシアンが、うれしそうに紹介する。


「挨拶がまだだったね、私はこの会社の会長、神崎誠(かんざきまこと)です」


 男性はそう言ってニッコリと笑った。


「あ、会長さん? これは失礼しました。瀬崎です。よろしくお願いします。それで……、シアンさんを作ったのは会長さんなんですか?」


「そうだよ。美奈ちゃんたちと一緒に作ったんだ。いやもう、コイツが悪ガキで本当に大変だったんだ……」


 誠は肩をすくめる。


「きゃははは!」


 うれしそうに笑うシアン。


「それで、研修はどうだった?」


 誠が聞いてくる。


「何とかシアンさんに合格だと言ってもらえました」


「おぉ! それはすごいね!」


「この人、筋いいと思うよ」


 と、シアンはニコニコしながら言った。


「え? そうですか? 嬉しいです」


 俺は照れて笑った。


「シアンはこう見えて宇宙最強だからな。それに認めてもらえるなんて、将来有望だぞ」


「ありがとうございます」


「有望な新人が来てくれてよかったよ。最近色々大変でね……。すぐに活躍が見られそうだな」


 誠は俺の肩をポンポンと叩いた。


「パパ……。そういうこと言っちゃダメだよ……」


 シアンが眉をひそめながら言う。


「あっ! マズい……。また美奈ちゃんに叱られる……」


 なぜか誠はうなだれ、シアンは肩をすくめた。


 俺はドロシーと顔を見合わせ、首をかしげる。


「あー、瀬崎君、君の星にはいつ帰るかね?」


 誠は気を取り直して聞いてくる。


「今日は行きたいところがあるので、明日でもいいですか?」


「了解。では、また明日……」


 そう言って、誠はそそくさと立ち去って行った。


「なぜ、マズかったんですか?」


 俺はシアンに聞く。


「パパはね、この宇宙の創導師(グランドリーダー)、宇宙の在り方を定める人なんだ。だから、『すぐに活躍が見られそう』と、言うと、豊はすぐに活躍しちゃうんだ」


 俺は彼女が何を言ってるのかわからなかった。


「まぁ、すぐにわかるよ。きゃははは!」


 シアンはうれしそうに笑った。












6-16. 親孝行


「これからどうするの?」


 ドロシーが聞いてくる。


「実は、両親に会ってこようかと思って……」


「え? それなら私も行くわ」


「ありがとう。でも、うーん、俺は死んだことになってるから、受け入れてくれるかどうか……」


 うつむく俺を、ドロシーはジッと見つめ……、そして俺の手を取って明るく言った。


「行ってみましょ!」


 俺は電話でアポを取る。懐かしい母親の声につい泣きそうになってしまった。


       ◇


 ピンポーン!


 懐かしい実家の玄関の呼び鈴を押す。


「ハーイ、どうぞ」


 インターホンから母親の声がして、ガチャッとドアが開いた。


 出てきたのは約二十年ぶりの懐かしい母親だった。すっかり老け込んで白髪も目立ち、痩せこけていた。俺は目頭が熱くなるのを押さえ、


「電話した者です。お忙しいところすみません」


 そう言って頭を下げた。


 俺たちは応接間へと通された。懐かしい家の匂いがする。


 テーブルの向こうに母と父が並び、怪訝そうな顔でこちらを見る。


「で、豊の知り合いということですけど、どういったご要件ですか?」


 父親が淡々と聞いてくる。


「パパ、ママ、俺だよ、豊だよ」


 俺は穏やかな笑顔で言った。


「え? 豊?」「はぁ?」


 唖然(あぜん)とする両親。


「信じられないと思うんだけど、一回死んで生まれ変わったんだ」


「え? 豊の生まれ変わり?」


 ママが目を丸くして俺を見る。


「そこのガラスの絵皿、俺が富士山で描いたポケモンだろ、それから、あの写真は箱根に行った時に撮った奴だ。この写真の後、俺が転んで迷惑かけちゃった……、ゴメンね」


 パパとママは顔を見合わせ、信じられないという顔をした。


「ほ、本当に豊なの?」


「最後に一緒に行った旅行はどこだ?」


 パパが険しい目で俺を見て聞く。


「最後……。スペインかな? マドリードから寝台でバルセロナへ行って……サグラダファミリア見たかな? そうそう、サグラダファミリアの近くのコインランドリーで洗濯したよね」


「豊――――!!」


 ママがいきなり飛びついてきた。


「おーぅおぅおぅ……」


 号泣するママ。


 俺もつられて涙がポロポロとこぼれてきた。


「親不孝でごめん。言うこと聞かなくてコロッと死んじゃって……。本当に反省しているんだ」


「ホント、バカだよ、この子は!」


 しばらく二人は抱き合っていた。


「で、今はどういう暮らしをしているんだ? こちらの女性は?」


 パパが聞いてくる。


「あ、今はとある会社にお世話になってるんだ。そして、彼女は妻なんだ」


 ドロシーはぎこちなくお辞儀をする。


「えっ? お前、結婚したのか? こんな可愛い子と?」


 照れるドロシー。


「そうなんだ。それから……。もう、孫も……、生まれる予定だよ」


「えっ!? 孫!?」


 唖然(あぜん)とする二人。


「女の子だって。生まれたら連れてくるね」


「うわぁぁ……。もう、全て諦めてたのよぉ……」


 ママはまた号泣した。


 若くして死んでしまったバカ息子が、いきなり嫁と孫を連れてひょっこりと現れたのだ。それは感無量だろう。俺も泣けてきてしまう。


 その後、パパは物置から写真アルバムを出してきて、俺の赤ちゃん時代の写真を広げた。


「え? これがあなた?」


 プクプクとしたかわいい赤ちゃんが、まだ若いママに抱かれているのを見て驚くドロシー。


「なんだか恥ずかしいなぁ……」


「もうこの子はヤンチャで困ったのよ~」


 ママは当時を思い出しながら感慨深く言う。


「今もヤンチャです!」


 ドロシーはママに言った。


「あらやだ! もうパパになるんでしょ、しっかりして!」


 ママはうれしそうに俺に言う。目には涙が光っていた。


 最後に俺はお土産のブランドバッグと腕時計を渡し、家を後にする。黒塗りの外車が玄関まで迎えに来ているのを見て、パパもママも目を白黒とさせていた。次の機会にはしっかりと親孝行しよう。










6-17. いきなりの初仕事


 ホテルへの帰り道、首都高を走っている時にドロシーが窓の外を指さして言った。


「え!? あ、あなた、あれ見て!」


「え? どれどれ……。えっ!?」


 俺は心臓が止まりそうになった。


 なんとそこには、あの九州サイズの巨大蜘蛛の姿があったのだ。ビルの合間から見える巨体……、この方角と距離なら房総沖の太平洋辺りにいるのではないだろうか? あんなものが上陸したら日本はメチャクチャになってしまう。


 急いでiPhoneで調べてみるとネットは大騒ぎになっていた。どうも、東京目指して移動しているらしく、極めてヤバい状態になっている。


 ピロポロパロン! ピロポロパロン!


 iPhoneがけたたましく鳴った。


 画面には『ヴィーナ♡』と、出ている。


 俺は急いでタップして電話に出た。


「はい! モシモシ!」


『あー、お休みのところ悪いんだけど、ちょっと鎮圧に行ってくんない?』


「えー!? そんなの無理ですよ! シアンさんかヴィーナ様お願いしますよ」


『シアンはとっくに別の星に緊急出動してったわ。私も別件あるから手が足りないのよ』


「でも、研修受けたばっかですよ俺!?」


『つべこべ言うならカードで使った金、全額返してもらうわよ!』


 何という脅し。それを言われてしまうと逆らえない。


「わ、分りましたよ……」


『大丈夫、誠が『活躍が見たい』って言ってたんでしょ? あなたは必ず活躍するって決まってるから安心して』


「え!? 何ですかそれ!?」


『これがこの宇宙の法則なの。いいから行ってらっしゃい。日本でもイマジナリー使えるようにしておいたから伸び伸びとやって』


「伸び伸びと言われても……」


『死んでもまた生き返らせてあげるから気楽に行ってらっしゃい! それではグッドラック!』


「あっ! ちょっと待……」


 電話は切れてしまった。


 そもそも俺はレヴィアの星の管理者って話だったのではないだろうか? なぜ、日本の蜘蛛の鎮圧に駆り出されるのか? それも一人で……。きわめて納得いかない。いかないが今さら金も返せない……。


 俺は覚悟を決めた。


「運転手さん!」


「はい、何でしょう?」


「ちょっと、緊急事態なんで、車飛ばします」


「え?」


 困惑する運転手を尻目に俺はイマジナリーで車を捕捉すると宙に浮かせ、そのまま空へと飛ばした。


 いきなり眼下に広がる大都会、東京。そして、その向こうに異様な巨体をさらす蜘蛛……。


「ええっ!? 何ですかこれ!?」


 驚く運転手。


「ほら見てください、巨大蜘蛛がいますよね」


 空から見ると蜘蛛の巨大さは際立って異常だった。雲を突き抜けはるか彼方宇宙まで到達する九州サイズの蜘蛛。それは現実感の湧かない、まるでSFの世界だった。


「く、蜘蛛……」


 唖然とする運転手。


「危ないので、一旦富士山に避難します」


 俺はイマジナリーで富士山を把握し、その五合目の駐車場に意識を集中し、車をそこまでワープさせた。


「おわぁぁ!」


 いきなり転送されて焦る運転手。


「では、私はちょっとあれ倒してくるんで、少し待っててください」


「え!? あんなの倒せるんですか?」


 ビビる運転手。


「だって私はブラックカード保持者ですよ」


 そう言ってニヤッと笑った。


 そして、ドロシーに声をかけた。


「じゃ、ちょっくら初仕事行ってくるね」


「あなた……。気を付けてね……」


 すごく心配そうなドロシーに軽くキスをして車を降り、うーんと伸びをした。


 さて、研修の成果は通用するだろうか?


 俺はまず見晴らしのいい所にピョーンと飛んだ。


 はるか東、房総半島の向こう側にうごめく九州サイズの巨大蜘蛛。その体は(かすみ)の向こうにはるか宇宙にまで達し、太さ何キロもある巨大な足が雲を突き抜け、何本も屹立(きつりつ)して見える。このままSF小説の表紙になりそうな圧倒的迫力のビジュアルに俺はちょっとたじろぐ。なぜ、退治したはずのうちの世界の蜘蛛が日本に出現したのか、全く見当もつかない。しかし、俺が日本のみんなを、世界を(まも)るのだ。今、護れるのは俺しかいないのだから。


 俺は大きく深呼吸を繰り返し、心を落ち着ける。


 そして、指で輪を作り、指の輪越しに蜘蛛を見た。この輪を臨時の情報ウィンドウとし、蜘蛛を拡大し、各種ステータスを表示させる。


「ふむふむ……。ヌチ・ギめ、巧妙な事しやがって……、相当手が込んでやがる……」


 俺はつぶやきながら蜘蛛の構成データへアクセスを試みる。


 バチッ!


 次の瞬間脳が揺れた、攻勢防御だ。


 俺は思わず尻もちをつき、大きく息をついて首を振った。危なかった、意識が飛ぶ所だった。


 でも、俺はこのアクセスで蜘蛛のセキュリティの脆弱性を見つけたのだった。ゲームばかりやってコンピューターシステムの穴を探す事ばかりしてきた経験が、こんな所に生きるとは。


「では、蜘蛛退治にシュッパーツ!」


 俺はそう叫ぶと蜘蛛に向けて飛び立った。激しい衝撃波を立てながら超音速で神奈川県上空を突っ切っていく。


 『地球を救え』と命令されて飛び立つ俺、それは子供の頃に見たアニメ番組そのものだった。子供だましの荒唐無稽な話だと思っていたが、今まさに俺がそれをやっている。


 暗い部屋でゲームばかりやって命を落とした俺。それが可愛い嫁さんをめとり、女の子を授かり、今、ゲームで磨いたスキルで巨大な敵に立ち向かっていく。


 人生って面白いものだな……。


 房総半島を過ぎ、いよいよ巨大な蜘蛛が目の前だ。


防御無効(ペネトレート)!」


 俺はそう叫ぶとイマジナリーを蜘蛛全体に走らせる。


 激しい閃光が太平洋を覆った……。








6-18. 限りなくにぎやかな未来


 こうして俺は、管理者としての第一歩を無事踏み出すことができた。


 もちろんまだまだ分からないことも不安も多いが、素晴らしい仲間たちがいるからきっと何とかなるだろう。


 富士山に戻ってくると、運転手が呆然(ぼうぜん)として立っていた。


「おまたせ」


 俺がにこやかに声をかけると、


「お客様、すごいですね……」


 と、唖然(あぜん)とした様子で言う。


「こういう仕事なんですよ。あ、このことは内密にね」


「も、もちろんです。矜持(きょうじ)にかけても口外は致しません」


 そう言って、うやうやしく頭を下げた。


 俺は車と運転手を東京に戻し、折角なのでドロシーと手をつないで一緒に富士山見物に飛んだ。


 堂々とした円錐形で立ち上がる美しい山に夕陽が()し、オレンジ色に輝きだしている。残雪が残る荒々しい山肌には美しい陰影が浮かび、その威容(いよう)を際立たせていた。


「うわぁ……、綺麗な山ねぇ……」


 ドロシーは感嘆の声を漏らす。


 俺は徐々に高度を上げながら富士山を一周した。


「ちょっと寒いかな?」


 そう言って周りにシールドを張り、ドロシーをそっと引き寄せた。


「ありがとう……、パパ……。初仕事お疲れ様」


 ドロシーがにこやかに言う。


「パ、パパ!? そ、そうだ、もうパパか……。がんばるよ、ママ」


「ふふっ、ママ……、そう、もうママなのよね、私」


 そう言ってドロシーはお腹を優しくなでた。


「あ、そうだ、娘ちゃんの声、聞いてみようか?」


「え? もう聞けるの?」


「ちょっと待ってね」


 俺は深呼吸をすると、意識の奥底深く潜った……。


 見えてくるマインドカーネル。そして、ドロシーのおなかの中の受精卵に意識を集中した。


 誘われるがままにマインドカーネル内を移動していくと、あった! そこには若草色に輝く点が緩やかに明滅していた。もう魂は根付いているのだ。俺はそこに意識を集中してみる。


『パ……、パパ……』


 すごい! 断片的な意識の波動が伝わってくる。もう娘はいるのだ!


 俺は娘の存在を温かく抱きしめ、湧き上がってくる例えようのない愛おしさにしばらく動けなくなった。


 しっかりと育て上げよう……。俺は静かにそう誓った。


 続いて俺はドロシーの光点と娘の光点をそっとつなげてみる。


『マ……、ママ……』


 響く思念波。


「えっ!?」


 驚くドロシー。どうやら言葉は伝わったようだ。


 俺は意識を身体に戻して言った。


「どう? 聞こえた?」


 ドロシーは涙をポロリとこぼしながらお腹を優しくさすり、ゆっくりとうなずいた。


 俺はそっとドロシーを抱きしめ、新たに家族としてやってきた娘の無事な誕生を祈った。


 いよいよ始まった、世界を良くするスペシャルな仕事。新しく増える家族。ドキドキとワクワクが混ざり合った気持ちを抱え、俺たちは富士山に沈んでいく真っ赤な夕陽を見ていた。


       ◇


「そろそろ、行こうか?」


「うん、これからどうするの?」


「うーん、まずはご飯かな? 何食べたい?」 


「あなたが食べたい物でいいわ」


「じゃぁ、肉かな?」


「え? 肉?」


「和牛の鉄板焼き。甘くてとろける最高のお肉さ」


「えー? 何それ?」


「日本のお肉は最高なんだよ」


「ふぅん……、楽しみになってきたわ」


 夕焼けに照らされ、ニッコリと笑うドロシー。


「じゃぁ行くよ、しっかりつかまっててね」


 俺たちは東京へ向けて飛ぶ。


 夕陽が見渡す限り赤く染め上げる中、俺たちは手をつないで飛んだ。


 横を見るとドロシーが幸せそうに俺を見つめている。


 俺も湧き上がってくる幸せに自然と頬がゆるむ。


 俺はそっとドロシーを引き寄せて、軽くキスをした。


 きっとにぎやかな未来が僕らを待っている。


 街には明かりが(とも)り始めた。








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