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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第四章 奥へと迷走、探索は着々と
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第十七話 いつか来る連絡


「コウ、そっち向く!」


「分かってる!」


 あれから数十分、銃撃を避け矢を避け爆弾を避け攻撃しているが、いまいち攻撃力が足りない。レベルがそこまで高いわけではないが、やたら装甲が厚いせいで斬っても倒せるレベルのダメージにならない。埒があかないので1回【貫牙剣(アウラ)】を使ったが、そもそも刀身が足りないわ、アームには下手に近づくと蜂の巣になるわでSPの無駄という残念な結果に終わってしまった。装甲を剥がそうともしたが、そうしようとする動きをすると俺ばかり狙ってくるので元の子もない。結局地道に時間をかけてくしかないみたいだが、ボスなのでしぶといんだよなあ。


「コトネさん大丈夫?」


「はい、大丈夫です!」


 コトネさんは先程の事もあり、常と一緒に行動している。俺の方はもちろん守る手段が無いのでしょうがない。最悪一緒に蜂の巣だし。

 ボスの後ろに周り、今度は足を削っていくがまあそんなすぐに破壊できるなら苦労しない。せめてアームの1本でも破壊できれば状況が変わるのだが。いやHPは多少は、まあ1、2割は削れてるんだよ。見た目が全然変わっていないように見えるせいで結構きつい。うーん、腕の1本でも犠牲にする覚悟でまた【貫牙剣】でも使うか?いやー、同じ轍を繰り返しそうだな。良し、こんな時は他人に縋ろう。


「ショウー!何かやってくれー!」


「ええー!?何かって……ええ……?」


 うん、流石に無茶ぶりがすぎたか。自分でもこれは無いと思ったが、どうしようかな。地道にやってくしかないかな……あれ、ショウ何やってんだ?


「そぉーーれぇ!!」


「またか!」


「ちょっとショウさん、私達この後どうするんですか!?」


 また盾を投げやがった。タンクが盾を投げてどうするんだ。いや何かしろと言ったのは俺だが、そうするか?蜂の巣になるぞ、コトネさんが。そう、コトネさんが。

 しかし、ショウの手に馴染んだ盾であるお陰か、コントロールは良くボスのメインカメラにクリーンヒットした……あれ、何かカメラの光が点滅しているような。もしかしてスタン?動物系じゃないのに頭(?)にぶつけて何でスタンするんだか。まあ良い、色々突っ込む前にこの隙をつこう。


「【貫牙剣(アウラ)】……!」


 全速力でボスに近づき左側のメインアームに飛び乗って根元へと近づく。


「【抜刀】!」


 スキルで初撃に勢いをつけ、関節部分を滅多切りにしていく。【貫牙剣】のお陰で何とか数秒で断ち切り、左メインアームを破壊した。


「良しっ……うわっ!」


 もう復帰しやがった。右側のガトリングがこちらに向いて銃弾を放ってくる。というか今までの攻撃が大体いっぺんに来た。ブチギレすぎだろ。少し余裕かましたせいで左腕が蜂の巣になってしまった。


「あっぶね」


「大丈夫ですか!?」


「いやー、お疲れさん、よく反応したね」


「お前も大概だろ」


 ショウの盾に隠れ、コトネさんに回復してもらう。痛くないけど腕の見た目が痛いわ。これ、表現規制とか大丈夫なのかな、割とちゃんと見えるけど。血はエフェクトなだけマシか。


「さて思ったよりも効果大みたいだよ?」


 そう言われてよく見ると明らかに動きが鈍くなっているように見えた。もしかして片側が無くなってバランス取れなくなった?んなアホな……精密機械ってそんなもんか?


「てかお前盾は……回収したのか」


「うん、コウが殴ってる間にね」


「ここからどう……ショウさん!!」


「え?うわっ、【ストッパブル】!!」


 相手も危機を悟ったのか、体勢を低くした。それだけならまだ良かったが、背中の機構が動き、バリスタが発射された。座り込んでいたので俺は対処が間に合わず、コトネさんのお陰で何とか反応したショウがスキルを発動した。しかし流石にボスの奥の手、もろに受けたショウの盾は半壊しショウも左腕が吹っ飛んだ。奥の手の破壊力……避け推奨のギミックだなあ、これ。どうしよう、盾役がやられたぞ。


「ショウ!?」


「死な安……ほらコウ、僕よりあそこ」


「ああ?あ、なるほど」


 背中の機構が動き、更にバリスタが無くなったせいか、奥に赤く光る物体が見える。なるほど、バリスタをやり過ごしてコアを露出させようってか?後は俺がさっさとやらないとな。


「んじゃコトネさん、ショウ頼む。いざという時は盾にするんだぞ」


「おい」


「はい!分かりました!」


「あれコトネさんそれどっちの返事!?」


 俺が向かってくるのは捉えているようで俺に集中放火が来る。【空走場】を発動し、3次元的に避けられているが、このままだと全然近づく事ができない。ダメージはもう無視して近づかないといけなくなった。左側から近づき、なるべく右のメインアームの射線の邪魔をする。


「よっし、着いた!」


 何とか背中に辿り着いたが、うかうかしてるとまた攻撃が来る。ギリギリ【貫牙剣】の効果時間、これで終わりだ。


「【刺突】!」


 スキルのアシストを受けながら、刀をコアに突き刺す。突き刺されたコアはひび割れ、その光を失った。


「はあ、終わっ……やべっ、ぶっ」


 ドロップ品になるの忘れてた。ボスの体が消え、当然足場も無くなったので落ち、油断してたので変な体勢で倒れた。頭打ったあ。


「あー、締まらないな」


「回復しますね」


「お疲れさん。あの一撃にはびびったね、お陰で装備がパーだよ」


「まあしょうがないだろ、しばらく休みだな」


「そうだね……」


 ショウの装備も壊れ、俺も左腕が無いので解散!ショウの装備が直るまで数日休みだな。






「んあー、授業だりぃ……」


「そう?まだ何とかなると思うけど」


「お前と一緒にするなよ」


 地頭の差を考慮して欲しいもんだ。というか、できるかできないかでは無くそもそも勉強がだるい。嬉々として勉強する奴はこの世に1割以下だと思いたい。教室でダラダラとしているわけだが、特に生産性のある会話をしているわけでは無い。そうしていると、ショウのスマホが鳴り、通知を知らせた。


「えっ、マジか……あー、まあそりゃそうか」


「どうしたんだ?」


「迷宮攻略されたってさ」


「へーそう……はあ!?もう!?いや俺達が遅いだけか……」


「まあしょうがないよね。攻略したのはイプシロンさんのパーティみたいだよ」


「わー順当。やっぱトッププレイヤー凄いわ、まあかけてる時間が違うしなあ」


「あ、でも1人知らない人が入ってたみたい。銃士系統みたいだけど」


「へえ、お前でも知らないプレイヤーいるんだ」


「いやそりゃいるよ。銃士系統の知り合いだってちょっと組む機会あった人ぐらいなんだし。そもそも迷宮のお陰で日の目を浴びたんだからね」


 とにかく迷宮が攻略されたと聞き、モチベが上がってんだか下がってんだかよく分からん。俺も頑張ろう的な感情なのか、当然とはいえ先に攻略されたことに残念がってんのか……普通に両方かな。まあ地道に進めていくか。


「迷宮の階層って結局どのくらいあったんだ?」


「50だってさ。まあ妥当な……感じかな?」


「ゲームによるだろ。まあ100とか言われなくて良かっただろ」


「ははは、それはね……僕達はまだ20、半分以上残ってるなあ」


「告知されてる期間はまだあるし、何とかなるだろ。攻略情報もその内出てくんだろ」


「また気楽に行こうか。どうせならイプシロンさんに聞きに行く?」


「そもそも会えるのか?攻略したんだから忙しいだろうし」


「聞けなかったら聞けなかったで良いでしょ」


「そりゃそうか」


 ボスの特徴とかフィールドの内容とか聞けたら良いな。攻略したから色々と忙しそうなことになってそうだが、まあ聞けたらで良いし。可能性は結構低そうだけど。


「そういやエクストラモンスターってどうなったんだろうな」


「あー……まあ聞けば良いでしょ。絶対はぐらかされるだろうけど。ボスだったら残念、徘徊ならまだチャンスはあるかな。もう倒されてたら意味無いけど」


「イベント毎に配置されてる確証はまだ無いけどな。春イベは運が良かったな」


 ゲームにログインしたらまずはイプシロンさんにアポ取れるかだな。繋がりは濃いといえば濃いかもしれないが、大した情報も無い今じゃ無理そうか。攻略したというあと1人のパーティメンバーも気になるが、それはまあ誰でも良いか。


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