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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第一章 少年は舞台へ、歯車は揃いゆく
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第九話 亀「硬くて時間がかかるのが売りです」

今日は2話更新で、これは2話目です。


「「よろしくお願いします」」


「あはは、そんなにかしこまらなくてもいいよ、まだ2番目のボスなんだし」


「そうだぞー、提案したのはこっちなんだし」


 実際思い出さなければそのままフィールドボス倒してそのまま次の町に行ってたし。同じペースで進んで良い武器を作ってもらえるとありがたいし。


「いえいえ、売れ始めたとはいえ次の町に行くまでまだ時間がかかりそうだったので」


「そうね、早く町に行きたいと思ってたから、本当にありがとう」


「まあこの辺りにしておこうか。改めてショウだよ、ジョブは盾聖で役割はタンクだね」


「えっとコトネです。ジョブは魔術士(補助)です。よろしくね」


「クルトです。まだジョブは生産者ですが鍛治士志望です。こっちが妹の……」


「アゲハです。裁縫士志望です」


 簡単な自己紹介も終わり、この5人でパーティを組み、目的のフィールドボスほど向かう。道中は先程と同じでほぼ俺が倒していたが、横から飛び出てきたモンスターがいてコトネさんとクルトとアゲハがたこ殴りにしていた。返りエフェクトはついてなかったので少しホッとしたのは秘密である。


「そろそろだね……と言うか見えてきたね」


 ショウがそう言ったので前の方に目を凝らしてみると岩らしき物体が動いているのが見えた。近づいていくうちにそれがフィールドボスである亀のモンスターであることが分かる。うわ、岩食ってるわ……こういうとこ見るとやっぱりゲームであることを実感する。動くだけならほぼ現実と変わらないのでこういう光景を見ないと忘れそうになるわ。


「あれってゴーレムの仲間とかなんですか?」


「いや一応生き物みたいだよ、岩食べてるけど食事じゃなくて甲羅とか甲殻を維持するのに食べてるらしいってさ」


 クルトがあの光景を疑問に思ったのかショウに尋ねる。そりゃあの光景を見たらそう思うだろうなあ。ショウがこの亀について詳しく知っているのは情報を扱う専門クラン……いわゆる検証班みたいなものと協力した時があり、その時知ったみたいだ。初日組でクラン無所属ということもあり、たまに交流のあるクランに呼ばれたりするらしい。あいつも色々ゲームやってるからタンクの立ち回りも上手いし、呼ぶ利点はあるのだろう、人当たりもいいし。というかボスだ、ボス。話している間に結構近づいているのでそっちに意識を向けないと。


「じゃあコウ、何するか知らないけど頼んだよ〜」


「おう、任せろ〜」


 特に盾を構えるわけでもなくショウが俺の後ろに下がっていく。この場合、ちゃんとタンクをするより適当に俺にやらせて後ろの初心者3人をサポートする感じか。まあ高レベルのプレイヤーが真面目に参加するのもどうかと思うし妥当だろう。


「あの、バフとかっていりま……すか?」


「んー……いや大丈夫かな。必要になったらお願いするよ」


「あ、はい頑張って下さい!」


いやー、バフすらつけないのは調子になりすぎたかな……下手こいたらどうせショウが出てくるだろうから大丈夫かな?


「あの、僕たち生産職ですけど何かしら手伝わなくても良いんですか?コウさん1人ですけど」


「ん?ああ大丈夫だよ、なんかやりたいことがあるらしいから刀が不利なこっちのフィールドにしたみたいだから……失敗したら派手に笑ってあげると良いよ!」


 ……聞こえてるぞコラァ!いまにみてろよこの亀輪切りしてやるからなぁ!


「おーいコウ!」


「あ゛あぁ?」


「うん、聞こえていたみたいだね」


 なんなんだ?一々確認するなよ……こういう時わざわざ言う奴じゃなかったはずだが。


「なんだよ?」


「いや、後ろ後ろ」


 え?後ろ?おや、なんかでかい岩みたいなのが……わあフィールドボスだ、気付いてらっしゃったのね?……噛みつき攻撃ぃ!

 上から来る亀の噛みつき攻撃を横に飛んで避ける。今の日の向きだと影が来ないから気づかなかった。というか


「もっと早く教えろよ!」


「え?だから教えたじゃないか〜」


 いや、回避する間に合ってなかったらあの質量だと死んでそうだわ。岩纏ってるせいで重そうだな?時間かける気は無いのでさっさとエクストラスキルを使おう。


「【貫牙剣(アウラ)】!」


「え!?」


 よし、案の定ショウが驚いた。スキル名からしてエクストラスキルだと分かるんだろうな……さて岩亀の解体開始!


「キュァァァァァ!!!」


 素早く懐に潜り込み足に思い切り斬りつける……がっちり岩に守られた足であるがほとんど抵抗なく断ち切ることができた。バランスを崩した亀は体制を崩し崩れ落ちる。それでも戦意を失っていないのか立ち上がろうとするので右の後ろ足を断ち切り阻止する。流石に身の危険を感じたのか、顔と足を甲羅の中に引っ込め、防御の姿勢になる。さてどうしたものか……あと残り時間は150秒、効果時間があるうちに出来れば倒したいが……


「あれ?」


 こいつの甲羅、確かにでかいが俺の今の刀の刀身の長さなら突き刺してもギリギリ届くんじゃ無いか?甲羅の穴は付いている岩が動いて塞がっているが上から突き刺せば届くはず。


「ふっ」


 勢いよくジャンプし、甲羅の上に乗り……突き刺す!


「キュァッ!」


 鳴き声がしたけど動かないな……あ、ポリゴンになっていく。おー、倒せた倒せた。


「よしよし、想定通りだ」


 倒せたので後ろで見ていた4人の方へと戻る。あ、ショウの顔引き攣ってる、笑える。


「すごかったですね!本当に僕と同じで始めたばかりなんですか!?」


「いやー、たまたま強いスキルを手に入れてね、エクストラスキルって言うんだけど」


「やっぱりエクストラスキルなのかい!?」


「あの、エクストラスキルって……?」


「え?ああ……エクストラモンスターって言う特殊で数がとても少ないモンスターを倒すともらえるスキルなんだけど……数が少ないからね、遭遇するだけでも難易度が高いんだ。ましてや倒すとなるとね……どうやったの?」


そりゃ気になるだろうな。隠すことでもないのでアウラとエンカウントした時の話をする。フィールドボスの狼が食われたと言った時は驚いていたが、もう1度倒す必要があったと説明した時に笑いやがったので鞘で思い切り叩いたがタンクでVITが高いから大したダメージが入らなかったのが腹が立つ。


「ま、まあ聞きたいことは大体聞けたし、フィールドボスも倒せたからとりあえずドライタルへ進もうか」


 ここでずっと立ち止まっているのもアレなのでとりあえず進むことになった。フィールドボスを倒した後はモンスターは道から大きく外れない限りほとんどでないということらしいので時に警戒もせず進んでいく。


「いやでもコウさんってすごいですね!エクストラモンスターって始めたばかりで倒せる仕様じゃないって触れ込みですけど」


「あー、まああいつ星1だったからなあ。星の数で難易度変わるみたいだし、なによりあいつの特徴そこまで尖ってなかったからなあ」


 実際星1のエクストラモンスターはスペックのみを考えれば3次職のプレイヤーなら変なギミックとかが無く油断しなければ普通に倒せるらしいので、アウラは変なギミックとかがあるタイプじゃないから運良く倒せたんだよなあ。


「そ、それでもやっぱりすごいですよ。強いモンスターなんですよね?エクストラモンスターって」


「まあコトネさんの言う通り普通にすごいんだけどね。相手がコウだとあんまり褒めたくないなあ……」


「あれえ?こちとら星1のエクストラモンスター倒しただけの初心者ですよ?初日組なんだからエクストラスキルの1つや2つ手に入れてるんじゃないんですかぁ?」


「ぐっ……そりゃ遭遇したのは何回かあるけど準備が整ってなかったり僕タンクだからMVP取りづらいんだよ」


「やっぱりアタッカーの方が取りやすいんですか?」


 疑問に思ったのかアゲハがショウに尋ねる。確かに1番活躍したプレイヤーって聞くとトドメ刺したやつとか1番ダメージ与えたやつのイメージがあるよな。俺、ソロだったけど。


「いや生産職でもエクストラスキル持ってる人いるよ?さすがに戦闘に参加する必要があるけど……まあ僕はその場にいたわけじゃないけど厄介なギミック持ってたエクストラモンスターらしくてね、それの解き方に気づいて更に実行したのがその人だったんだよ。」


「へえ、すごいな。ギミックそんなにやばかったのか?」


「うん、ギミック解かないと死なないタイプだったらしくてね、タチ悪いプレイヤー以外はみんな納得したみたいだけど」


「全てのプレイヤーじゃなくても非戦闘職でも可能性あるのは嬉しいですね」


 そこら辺配慮されてるのはゲームバランス的に有難いな。俺は生産職は経験ないけどバランス酷くてプレイヤー間でものすごくギスギスした時期があるゲームとかあったしなあ。運営が良いアプデしたおかげで解決したから良かったが。


「あ!あれがドライタルですか!?」


「そうだね、あれが3番目の町ドライタル。周りのフィールドの特性上縫製より鍛治向きの町だね。まだ序盤だからやや、と言ったところだけど」


 山の斜面を少し掘って造った様な感じで、遠目に見た感じだと確かに鍛治寄りの町なイメージがうかがえる。さーて、どんどん進めていこうか。



ロックタートル「頭ひっこめたのに甲羅ごと貫かれた。解せぬ」

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[一言] ロックタートルカワイソウ……………ww
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