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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第四章 奥へと迷走、探索は着々と
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第七話 序盤のボスはゴツくても弱い


「いやあ……まさかあんな罠があるなんてね」


「古典的も良いとこだろ。実際に体験の初めてだぞ」


「コウさんでもそうなんですか?」


 コトネさんがそう聞いてくるが、確かにそういうシチュエーションがあるゲームもあるにはあるがそのゲームはした事なくそもそも動画で見たぐらいで現物が手に入れられない。そんな訳で漫画で見るような事態の経験なんて初めてという訳だ。嫌な初体験だな、オイ。


「……戻ってみる?轢き潰されたモンスターのアイテムが落ちてるかもよ?」


「また追いかけられるのはごめんだぞ。そもそも粉々になってるんじゃねぇの?」


「それはそうかもね……」


 再度追いかけられるのはごめんなので戻らず、第2陣が来る気配も無さそうなので先へと進む。あの一連の罠はあれで終わったようで特に気になる事もなく、平坦で道が少しずつ広がったりもしないいつもの通路へと戻ってきた。


「さて分かれ道だけどどっちに行く?」


 その先でまた変な四叉路とかでは無く普通の分かれ道に突き当たったので2人に尋ねる。


「ちょっとマップを……んん?あー、多分右じゃない?」


「何かあったんですか?」


「いや多分ゴールじゃないかって」


「まあ進めば分かるだろ」


 ショウの予測通り曲がった先には石碑があり、これで3階層に進む事が出来る。


「とりあえず今日はこれで終わりで良いかな?」


「まあ疲れたし……1日1層か」


「休日なら時間も取れるでしょ。コトネさんは大丈夫?予定とか」


「はい、全然大丈夫です」


 そんな訳で今日はおわりになった。まあショウの言った通り週末になれば進み具合も何とかなるか。せめて最下層に着くぐらいはしたいんだが、着実に行くしかないか。






 さてそれから3日後、土曜日になり時間が取れる。今日は5階層の攻略である。3、4階層については特に、鉄球に追いかけられるような大した出来事は起こっていないのでほぼ語る事が無い。3〜5階層も特に変わらずレンガ調のダンジョン的な感じだったので、広いのも相まって時間がかかるせいで若干飽きてくるんだよな。そろそろ何か変化が起きて欲しいところだが、期待通りこの先は色々とあるみたいだった。6から10階層は草原らしく異界的なダンジョンタイプだとか。いきなり変化が劇的過ぎるだろとか色々思ったが、変化をつけるならそれもアリか……まあゲームだし。


「それにしてもあの辺り罠が多い地帯だったんだな」


「ああ2階層のアレ?石碑の近くにあるなんていやらしい配置だよね……しかも1番面倒なのに引っかかったみたいだし……三分の一で」


「他のプレイヤーの皆さんも追いかけられたんですかね?」


「考えるとシュールだよなあ……俺達も引っかかったから笑えないけど。運営はログとか漁って笑ってんのか……?」


「流石にそれは仕事として大丈夫じゃないでしょ……まあ後は結構な収入も手に入ったから良いじゃないか」


 ショウの言った通り、その後3、4階層ではそこそこの量のモンスターを狩る事ができ、まだ大して相場が下がっていないのでまとまった金額を手に入れることができた。まあ3、4階層が何か特別だったというわけではなく単純に罠にかかる回数が少なく石碑まで時間がかかり遭遇したモンスターの数が多かっただけである……罠にかかるよりはマシだった。まだ相手のレベルが低いので戦闘は先の様に倍々ゲームで出現しなければ問題無く、罠にかからずストレスフリーだったという訳だ。道には迷ったが、延々と回ってるわけではなくひたすらハズレの道を引きすぎてただけなのでイライラするよりかはしょうがないという気分にしかならなかったからなあ。今思えばスタート地点も悪かったんだろうな。


「んで、ここでボスがでるって?」


「5階層毎みたいだね。環境が5階層毎に変わるみたいだからエリアボスみたいな感じでしょ。ここはいつものモンスターのでっかい版らしいよ」


「ざっくりだなあ、詳細は?」


「若干変わってるみたいでさ、ランダムで相手の攻撃手段が変わるらしいんだよ、オプションみたいな?まあそれの情報の整理や何やらのせいでてんてこまいだったみたいで多分今まで出会った中からランダムで出るから頑張ってね、らしいよ」


「あー、確かに色々なタイプがいましたね」


「盾に槍に爪にドリル……確かにな」


 そういや飛び道具系の奴がいないなと思ったが、この先また出る階層はあるだろうし、飛び道具の方が厄介だからそういう感じなんだろう。銃士系統ならそっちの方が本命の強化素材とかがあるんだろう。ガトリングとか作れるのだろうかな、使う趣味は無いがある意味ロマンだな。


「リーチが長いのばかりにならない様に祈るしかないか」


「今の所ランダムぐらいしか結論出せてないみたいだからね、どうなるんだか」


「そういやマップとか売り出されてるんだろ?買ってないのか?」


「いやーそれがさあ、この迷宮階層のスタートがランダムじゃん?だから半端に買えなくて結構高くて……値段聞く?」


「うーん、中途半端に買ってもそこに行かなきゃ意味ないからなあ、しょうがないといえばしょうがないか?」


「結局それなりに歩くから時間やら収穫やら考えれば微妙なところだよねぇ」


「けど、また迷ってますよね」


「え、いや……法則とかないんだね、石碑が中心部にあるとも限らないから当てが全く無いよね」


 迷宮なのでしょうがないのだが、まあ醍醐味か。それから数十分、迷いながらも進んでいきようやくボスがいるところまで着いた。そこにはご丁寧に大層な扉が取り付けられておりいかにもボスがいるぞといった雰囲気を醸し出している。


「2人とも準備は?」


「全然問題ないけど」


「私も大丈夫です」


「じゃあ行こうか」


タンクであるショウが前に出て扉を開ける。だだっ広い空間の奥の方に鎮座していたのは1つ目の、数メートルはある巨大な機械系のモンスターだった。いかつい見た目だな……俺達が入ったのがきっかけになったのだろう、1つ目に光が灯り、ゆっくりと動き出していく。


「今攻撃してダメージ入るかな?」


「味方でも敵でも変身シーンや起動シーンは邪魔してはいけないという世界の摂理があってだな……」


「リアルはそうもいかねぇだろ、このゲームはそういうところしっかりしてるし」


「2人とも迫ってきてます……!」


 起動シーンはとうに完了していた様でこちらへと迫ってきていた。さて武器は……爪に、ドリル?うわ、でけぇドリルだな、というか形が綺麗な三角形、デフォルメ感があるが威力は見た目以上で、その攻撃は地面を結構抉っていた。そのまま次の階とかいけねぇかな、物理的に存在している訳じゃないからどんだけ掘らせても意味ないか。


「てか結構素早いな、足なのに」


「ガッションガッションうるさいけど伊達じゃないね……機械系はヘイト操作が面倒で困るなあ!」


「あーダルい、【空走場】、どうせ目が弱点とかそんなんだろ!」


 【空走場】を使い、空中を走る。あのいかにもな目というかカメラはコアじゃ無くても大ダメージを与えられる様な部位だろう。そう思い向かっていくが、背中から武器を持ったアームが何本も展開された。長さ的には下には届かないだろうから俺みたいな空中用かな……やっべ、避難。


「いやー、あれに捕まると削り倒されるな」


「じゃあ真正面から行けば?」


「普通のアームに捕まるだろ」


「じゃあ地道に削っていくしかないね!」


 とりあえず、周りのアームが邪魔なのでスキルを使いながらぶった斬っていく。流石に自動修復みたいな力は無いようで、また生えてくることはない。いよいよ目をやれると思ったら一際大きなアームが展開されてそれを振り回して邪魔をしてくる。ここまでするなら弱点で確定かな?まあ振り回すといっても攻撃はパターン化されているので慣れれば普通に避けられる。


「【刺突】」


 刀を目に突き刺すと、至る所から煙が出て動きが格段に悪くなった。


「ナイス!」


「あとはバラせば良いだけか」


 ほぼカカシ状態になったので、そのまま攻撃していくと普通に倒せた。まあ浅いところだしこんなもんだろう。


「まあ普通だね」


「時間ありますし、次に行きますか?」


「そうだね、早速進もう」


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