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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第四章 奥へと迷走、探索は着々と
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第六話 迷宮といえば?


「そういや昨日のドロップ、売っちゃったけど……別に大丈夫だろ?」


「ああ、まあレアっぽくないし1個ぐらいなら別に。結局何だったの?まだ調べてないんだよね」


 ショウもコトネさんもまだ知らない様なので、さっきサツキさんに教えてもらったことをそのまま話した。主に銃士系統装備に使われるという事を話すと、ショウはなるほどと、コトネさんは俺と同じくそんなジョブがあったのかという反応だった。話の流れ的にクルトとレイブンさんの話も少ししたのだが、運が悪かったんだなという視線をよこされた。まあ運が悪かったのは本当だったのでしょうがないといえばしょうがないので、今度はタイミングが合えば良いなあ。


「んー、それならとりあえず売った方がいいかな?コトネさんは?」


「私も特に関係があるわけでは無いので……薬士に関係ありますかね?」


「うーん、機材とか?まあ機械のパーツだから無いとは言い切れないけど……今集める必要は無いんじゃない?今の所レアドロの区別もつきそうにないし」


「じゃあ大丈夫ですね」


「今売ればそれなりに金になるからな」


「そうだね……あれ、いくらだったの?」


 そういや金額言ってなかったな。伝えるとショウは納得した様な、コトネさんは驚いた表情を浮かべていた。ショウは前にも似た様な経験があるのだろう、コトネさんはアイテム1個の値段としては高い事を知ったからか。


「それは……今は売って、落ち着いてから何とかした方が良いですね」


「いやー、こうなるとはね。銃士系統は破産する人もいるんじゃない?」


「別に楽しんでいるなら良いんじゃないか?サツキさん曰く、狂喜乱舞らしいし」


「それはまた……まあ今までが今までだからね、本人達が良いなら良いか」


「そういや知り合いとかいるんだろ?」


「うん、何人か……フレンドは2人ぐらい?」


 いくらショウでも流石に少ないか。総人口数百人ぐらいしかいない気がしてくるな、これを機に増えていくなら喜ばしいことか。この先の環境どうなるかなー。

 今話しながらゆるく進んでいるが、それでも大丈夫なのはモンスターは出るが全くと言っていたほど罠に出くわさないためである。流石に怪しいとは思ったが、まあ道に入っている時点で罠にかかっている様なものなので出たとこ勝負な状態になっている。まあ罠の傾向を知れるし、罠ばかりあっても進めないしね、行き止まりだったら意味ないけどという結論になった。それにしてもどれだけ広いのやら。歩いている感じ、規模がキロ単位っぽいんだよなあ。そうして進んでいくと、着いたのはいつもの直角の分かれ道では無く、四叉路だった。


「これは……初めてだね」


「そうだな……どうしようか」


「他2つは罠とか、そういう感じですよね?」


 コトネさんの言う通り、これは正解の道は1つだけとかそんな感じだろう。まあイメージが、という話なのでどれ選んでも変わらない可能性はあるにはあるが、今まで直角だった曲がり角がいきなり四叉路になれば疑うのは普通だろう。


「いや、本当にどうするか……ほら、パーティリーダー?」


「いやいやこういう時だけリーダー頼ってくるのやめようよ、責任押し付ける気でしょ……それにしてもねぇ、今更戻る?」


「戻れば無難な選択肢になりますからね」


 戻るかあ、そういやそうだがこんな明らかに怪しい道を行かずとも石碑へと続く道はあるはずだろうが、それはそれで負けた様な気分になってくるというか……いや何に負けるんだか。


「じゃあ3人でジャンケンにしようか?丁度3人だし、テキトーに割り振って勝った人がね」


「えー……まあ先に進むならそれで良いか。正解は分からないんだしこういう時に攻略情報が欲しくなるよな」


「私も大丈夫です」


 そんな訳で、先に進むためジャンケンだ。公正公平な手段だと思われている決着方法だが、平等だと思ったことは無いんだよなあ。あれ、そういやAGIのおかげで見切れるのではないかと思ったが、別に今勝っても負けてもメリットが何も無いので検証はしなくて良いか。それあってショウも提案してのだろう。

 そしてジャンケンの結果としてはコトネさんが勝利し、左の道へ行く事となった。


「だっ、大丈夫ですかね……?」


「まあ、ジャンケンだから。気楽に気楽に」


 責任の所在を不明瞭にするためのジャンケンなので、コトネさんが気負う必要はない。これが俺かショウで変な罠でもあったら互いに揶揄するだろうが、コトネさんの場合はそんな事をするわけにはいかないから罠があるにせよないにせよ、無難な結果ではないだろうか。


「とりあえず進もうか」


「そうですね……」


 そうして進んでいくが、なんか少しずつ道が広くなっているような……気のせいか?


「なんか道広くなってません?」


「気のせいじゃなかったか……」


「何かの罠かな……気を、うわっ」


 ショウが気をつけようと言おうとしたところ、上からモンスターが降ってきた。上を確認すると天井が高くなっていて、幾つもの穴が空いているので多分そこから降ってきたのだろう。そう考えた瞬間、俺達が進んできた道の途中が閉まってしまった。


「退路を絶たれたね……」


「とりあえず倒して進めば良いんだろ?前進は出来るんだし」


 相手は攻撃し始めてきたのでショウが防ぎ、俺が攻撃する。何か特別に強いという事は無く、これならすぐ倒せるだろうと思ったが、上から2体目が降ってきた。


「2体目かよ……」


「コウは早くそれ倒して……コトネさんは僕達の間ね」


「は、はい」


 2体目の方に行かないといけないので、雑に攻撃してさっさと倒す。機械だと刀じゃ微妙に相性悪いな。


「さて2体目……うわあ」


2体目の方へと振り返った瞬間、3体目が降ってきた。


「コウ?うわ、こっちにも……どうしよう、そういう系かあ……」


「えーい、面倒臭い!【貫牙剣(アウラ)】!」


 機械だろうと何だろうと、これなら楽に解体出来る。現れた3体目を解体し、すぐさま2体目も頭部と思われる部位を断ち、活動を停止させる。


「ふぅ、これで……ヴェ」


 思わず変な声が出るぐらいには面倒な状況になった。俺達を囲む様に8体のモンスターが降ってきた。いやまあ倒せるは倒せるはずなんだがこのパターンだとなあ、数の暴力は困る。


「良し、逃げよう!このままだと詰む気がする!」


「賛成!」


「はい!」


  唯一の逃げ道である通路の方へ3人で向かう。モンスターは全て倒さず、通路側にいるのをショウが弾き飛ばして道をこじ開ける。


「お、追いかけてきます……!あとどんどん増えている気が!」


「なんで2階層でこんな罠があるんだろうね!配置した人性格悪いでしょ!」


「……なんか下り坂になってないか?」


 1本道を進んでいるとどんどん傾斜がついてきている気がする。次に待ち受けている罠を思いついたがいくらなんでもそれはないと思いたい。


「後ろから轢き潰す様な音と転がる様な音が……!?」


「チキショウ、こういうのは見るのが面白いんであってやられるのはごめんなんだよ、罠全般そうだけど!」


 後ろから俺たちに迫ってきたのは通路の大きさギリギリの鉄球だった。うわー、なんという古典的な……しかしショウはワンチャンあるかもだが、俺とコトネさんは死ぬだろう、原始的だが威力はあるだろうからなあ。まさか発泡スチロールでもあるまい。そもそも発泡スチロール無いだろうし。なんかどんどん傾斜がキツくなってるから速度も上がってる。


「コウ、切れないの!?」


「刀身足りねぇ上に切ろうとしてる間に潰れるわ!」


「頑張れ!」


「死ね!」


「あの!あそこに窪みが!」


「コトネさんナイス!」


 コトネさんが見つけた窪みのおかげで何とか鉄球をやり過ごす事が出来た。解決策も古い感じだなあ。ゲームの身体能力だから結構麻痺してるが、相当な距離走ったからな、大変だったわ。


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