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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第四章 奥へと迷走、探索は着々と
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第二話 飼王


 門の前に建てられた建物は見た目はどれも同じ様な物ばかりだったが、看板に多少個性が出ていたりそも売られている物が違うので十分またと呼べる雰囲気を醸しだしていた。店をやっているのはここの場所からしてプレイヤーが大半だが、NPCも多少見かけた。迷宮に入れずとも金回りが良いプレイヤーが集まるので商機を捉えた商人とかが店を開いているのだろう。といっても消耗品が多く、目を引く様な物は無かった。生産職のプレイヤーの修理所的なものもあったが、俺の場合はクルトに頼めば良いしなあ。

 そうして色々見て回っていると、先の方にショウの後ろ姿が見えた。誰かと話しているみたいだったが、あれは……イプシロンにトリモチさんに……後1人は誰だろうか?女性プレイヤーみたいだが、肩に梟だかのモンスターを乗せ、狼系のモンスターをつれている。テイマーかな?

 ここで方向転換するのもどうかと思ったのでそのまま近づいて行くとイプシロンに気づかれた。


「あれコウじゃないか!こっちこっち」


「あれ、コウ」


 まさか手を振って呼ばれるとは……まあ呼ばれたからには行くか。


「やあ久しぶりだね」


「あー、そっちこそ元気そうで。トリモチさんも」


「おう、今日はショウと一緒にイベントか」


「そうですね。たまたま?」


「うん、歩いてたらね……ああ、この人は知らないよね。魔術士派生従魔師系統4次職の「飼王」のタルさん。こっちはリアフレのコウです」


「タルです、よろしくねー」


「あ、コウです」


 4次職かあ、凄いな。コイツの交友関係どうなってるんだ。コミュ力高いのは知ってるけど、初日組なだけでここまで広がるもんじゃないとおもうんだけどなあ?

 紹介されたプレイヤーはオレンジ色の髪に、腰に色々とぶら下げているのが特徴的だった。「飼王」か、字面と見た目からイメージ通りテイマージョブなのだろう。肩に乗っている梟はまんま梟だが、連れている体高が腰ぐらいの黒い狼は何か強そうだな。見た目はまあ黒いだけなのだが、何か知った様な感じが……気配を察知するスキルも技能も無いから気のせいかな。


「彼女は今2匹しか連れてないけどプレイヤーの中で1番多く種類のモンスターをテイムしてるんだよ。今どのぐらいでしたっけ?」


「えーと、200匹ぐらいかな?どの子も可愛いからー、どんどん増えちゃって」


「200匹……!?」


「確かに凄いよな」


「凄いよね、餌代も馬鹿にならないと思うけど、1人でこなしてるからね」


「まあみんなで狩りに行けば、大体は何とかなるからねー。誰かにもよるけど1回で10匹ぐらいまでしか連れていってあげられないから大変だよ。それに副収入もあるしー」


「副収入?」


「彼女のホームは凄くてね。動物園を越えて生物園みたいな事になってるよ」


「入場料的なアレか……」


「まあ少しねー。機会があればどうぞ」


「あ、まあ機会があれば」


 テイムしたモンスターなら安全だろうしそう言うことも出来るか。ちょっと興味があるから暇があれば行ってみようかな。


「そういえばトリモチさんは何でここに?店は大丈夫なんですか?」


「俺か?いやそこのイプシロンにな、少し頼まれて出張だ。まあイプシロンというか、PCAとその他の連中にも頼まれたんだがな」


「出張?」


「迷宮からドロップで一部だが食材も出たらしくてね、その検証のために呼ばせてもらったんだよ。4次職はPCAにも中々いないからね」


「あー、なるほど」


「トリモチさんのスイーツはとても美味しいですよねー、また食べたいですけど中々機会が……」


「すまんな、もう少し店がでかけりゃ回転もまだ良くなるだろうがなあ、これ以上は手が足りんでな」


「いえいえ、無理のない範囲で大丈夫ですよ、ゲームなんですし」


「そう言ってもらえるとありがたいよ……ああ、もうこんな時間か。そろそろ蒸し上がるんで戻るわ」


「そうですか、じゃあ私もまた迷宮に入ろうかな?」


「うん、2人ともまた」


「頑張って下さい」


 トリモチさんとタルさんはそのまま行ってしまったが、イプシロンは残っていた。まだ何かあるのか……あれの事かな。


「えっと?」


「……ここじゃなんだから僕達か借りている所へ行こうか。時間はまだ大丈夫だよね?」


「10分ぐらいならまあ」


「そうだねコトネさんに連絡入れれば良いし」


 そうしてイプシロンについて行き、イプシロンのパーティなのかそれともポールスターで借りているのかは知らないが建物の一つへとはいる。聞きたい事か、まあマモンの事だろうな、共通の話題なんてそれぐらいしかないしな。それにしてもいつ知ったのだろうか?


「最初会ったのはイプシロンさんでね、少し話したんだよ。その後すぐあの2人とあってね」


「ああ、それで知ってるのか。まあいつか連絡するから別に良いけど」


 ショウが話したのか。それなら別に良いし、基本的にこういうユニーク関連は大手のクランに寄っかかっているぐらいが丁度良い。今の所はちゃんと組んでもらえているし、俺達じゃ他のプレイヤーとの調整とか出来ないしな……ショウなら意外と出来そうだが。


「さて今は他のメンバーはログインしてなくてね、今は人の目や耳は無いから安心して良いよ。それで「強欲」の……マモンに会ったんだっけ?」


「あ、うん、領主の娘の従者みたいになってて……」


 クエストで起こった事を話していく。王女やら何やらが関わってはいるが、秘密裏に行っただけで情報自体は口止めされている訳でも無し、概要。話すだけなら問題無いだろう。マモンはそのままアリシアのお付きを続けて行くみたいだから所在地が分かって申し分ないはずだ。


「なるほど悪魔崇拝の組織を倒すクエスト……7大罪の悪魔に出くわすとは皮肉というか。とにかくこれで3人か、あと4人……道のりは長いね」


「イプシロンさんの方は何か情報とか……?」


「いやそれがもう全然。下手にクランメンバーに情報収集を頼むと漏れて面倒だしね。そもそも敵が天使なのは分かってるけどどういう決着をつけるのかも分からないしね。ベルゼバブも詳しい事は話してくれないし。7人そろえは進むはずだけど」


 まあそりゃ簡単には行かないから。モモも話してくれないし、7人揃わないと本当に話してくんないかもな。


「そういえばイプシロンの方はイベントどのぐらい進んだんだ?」


「少し触れただけだから5階層だよ。最初から大分広いから、まあ他にも色々あるし気をつけた方が良いよ。幸いセーブポイントがあるから進めやすいし」


「セーブポイントかそりゃありがたいな」


「……色々?」


「んー、まあそれは実際に入ってみてね、ははは。お互い頑張ろう」


 その後はマモンの情報の代わりなのか、イベント以外にも色々とWikiに乗っていない様な役立つ情報を教えてもらったりしていた。ショウが知らない事もあり、流石はトップギルドの長と言うべきか。兎にも角にも有用な情報が得られたのでありがたい。

 そろそろコトネさんとの待ち合わせの時間なのでイプシロンと別れ待ち合わせ場所へと向かう。さてイベントの迷宮だ。イプシロンの口ぶりからして面倒なギミックが多そうだが、最下層まで……行けるものか?


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