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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第一章 少年は舞台へ、歯車は揃いゆく
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第八話 全体的にやり方を間違えた

今日は2話更新で、これは1話目です。


「よっと」


 大振りの一撃を避けられ隙を晒したオークの首に目掛けて刀を一閃。首を刎ねられたことによりオークは首から赤いエフェクトを出しながら光の粒子となって消えていく。後にはドロップアイテムである肉の塊が残るだけである。

 さて俺たちは移動も終わり、現在はパーティで狩りをしている。このフィールドはオークの他にも岩を纏ったトカゲや山羊みたいなモンスターなどが出る。しかし悲しいかな、エクストラモンスターであるアウラのおかげでこの場所の推奨レベルより割と高くなった俺のステータスと初期装備より余程良い補正がかかっているこの刀があるおかげでエクストラスキルを使わずとも首を刎ね、倒すことができている。


「私たちいる意味あるんですかね……?」


「いやあ思ってたよりレベルが上がってて武器も良い物だからね……想定外だよ、作戦が台無しだね」


「あの……あまり大きな声で……」


「ああごめんね。驚いたものだから……」


 後ろで何か話しているが大したことじゃないだろう。いやー、パーティ組んでるのにパーティらしいことしてないわ。連携とかした方がいいんだろうけどわざとダメージを受けるのもな……


「おーいコウ!ちょっと戻ってきて!」


「へーい……どうした?」


「いや、コウのサポートとしてコトネさんにも回復とかコウを抜けてきたモンスターの迎撃とか体験してもらおうと思ってたんだけどそんなにレベル上げてるとは思ってなくてさ」


「ああーなるほど、頑張ったのが裏目に出たか……」


 確かにさっきから俺以外は後ろで立っているぐらいしかしていない。VRゲーム自体が初めてで、立ち回りも分からないから慣れさせようとしてたのか。


「すみません……」


「いやコトネさんが悪いわけじゃないよ。コウのことだからレベル上げに夢中になるのは予想しようと思えばできたことだからね」


「じゃあコトネさんを前に出して適当なモンスターとでも戦わせる感じか?」


「一応役割はサポートだから正面切って戦わせるのもアレなんだけどね……まあ1度くらいはしょうがないか」


「じゃあ何かしらモンスター引っ張ってくるけど……何がいい?」


「ひぇっと、その、あのさっきのオーク?とかトカゲとかは正面からはまだちょっと慣れてないので……」


 まあ一昔前のディスプレイを隔てたゲームと違ってVRはそこにいる、しかもこのゲームだと実際に生きてるみたいだからな、正面からいきなり戦うのは怖いのだろう。リアルでも見たところ大人しい人のようだったし。


「じゃあさっきの山羊だな。ちょっと探してくるわ」


「うん、よろしく〜」


「お、お願いします」


 さて、探すとするがこのフィールドならどこにでもいるみたいなので適当に走って行く……あ、いた。すぐ見つかったわ、石を拾って……投げる!


「メエ"ェッ!」


 ここにいる山羊は気性が荒くこちらに向かって駆けてくる。追ってきているのを確認し、二人の方へ戻る。


「お、来た来た」


「準備大丈夫かー!?」


 コトネさんは腰にかけていた杖を両手に持ち身構えている。コトネさんが持っている杖は魔法を使うときに補正がかかるものだが補正が低めな代わりに耐久値がとても高いので殴っても大丈夫という代物らしい。少し離れているがショウもすぐ間に入れるように構えているので大丈夫だろう。このままコトネさんの方に走っていく。


「えいっ!」


 コトネさんは俺を追ってきた山羊モンスターに向かって杖を思い切り振る。山羊モンスターはコトネさんを視認しているだろうが意識は完全に俺に向いているので、コトネさんが振った杖に直撃する。


「メ"エ"ェ!」


 もろに杖の攻撃を受けた山羊だが、威力が弱かったのかと折れ込みまではしなかった。それは山羊にとってはある意味不幸だった。


「えいっ!えいっ!えいっ!えいっ!えいっ!」


「メ"!エ"ェ!メ"エ"ッ!エ"!メ"エ"ェ!」


 ……そりゃVRゲーム初心者、しかもこう言うジャンルに縁がなかった大人しめの人にやらせるとこうなるわな。コトネさんは杖で殴ることに夢中になっているのか山羊に向かってメイスを振り回し続けている。


「これやり方間違えたよな……」


「うん……なんか今日の僕は考えが短絡的な気がする……」


 そりゃ後方支援タイプとはいえモンスターが接近してきた想定はした方がいいけれども……立ち回りとか戦闘自体に慣れてからの方が良かったんじゃね?あ、山羊死んだ。


「えいっ!……あれ?あっ、倒しました!」


「あ、うん、お疲れ〜……うわっ(小声)」


 このゲームは相手に傷を負わせると血の代わりに赤いエフェクトが出る。その出たエフェクトはフィールドやプレイヤーなどにつくと一定時間残る仕様になっており……そう、至近距離でモンスターを攻撃し続ければ必ず赤いエフェクトが自分に飛んでくるわけで……コトネさんの顔に付いていてなんとも見た目が猟奇的な感じになっている。いやコトネさん何も悪くないわ、完全に方法間違えた俺らのせいだわ。


「どうする?(小声)」


「割とすぐ消えるから何も言わないでおこう(小声)」


 コトネさんがドロップアイテムを拾っている間に素早くショウと話し、返り血……返りエフェクトについては隠蔽する方向で意見を揃える。


「えっと何かありました?」


「いや何でもないよ、これからどうしようかなって」


「確かにそうだな、このままフィールドボスまで行くか?」


「アタッカーはコウがいるけど……本当にこっちでいいの?刀相性悪いよ?」


「大丈夫だって。ちょっとした考えがあるから」


「まあいいけど……それが失敗したら大笑いしてあげるよ」


 残念だったな、こっちには肉食系ハムスターより授かったエクストラスキルがあるのだよ。大笑いするのはこちらの方だ、ハハハハハハハハ。


「あ、えっと、ショウさんの時はどうやってクリアしたんですか?」


「ん?ああ、僕の時はね、一緒にいた鍛治士志望の生産職が一番活躍してたよ。STRが高い上に持ってたのハンマーだったからね」


 それは剣持ってるやつより役に立ちそうだな、相手はモンスターとはいえ石なら砕けそうだし……そういえばクルトたちどうなったかな?ちゃんと売れているだろうか……?どうせなら一緒にボス倒して早く次の町に行った方が俺としてもありがたいが。どうせなら誘ってみるか?


「あー、2人ともちょっといいか?」


「なんだい?」


「1パーティって5人までだろ?2人が良ければなんだけどボス行くなら生産職誘ってもいいか?2人なんだけど」


「もしかしてその装備作った人?別にいいんじゃない?失敗すると恥かくのコウだけだし」


「あはは、それはないから安心しろ。度肝抜かせてやるからな……コトネさんは?」


「わ、私は全然大丈夫ですよ!はい!」


「ああ、そう?じゃあ誘ってみるわ」


 メニューを呼び出してフレンドリストを開く。このゲームはお互いが戦闘中でない場合は一部を除いてフレンドと通話をすることができる。フレンド登録しておいて良かったなっと。


『もしもし、どうしました?』


「今大丈夫か?」


『ええ大丈夫ですよ』


「今からドライタルの方のフィールドボス倒しに行くけど、せっかくなら一緒に行かないか?」


『え、いいんですか?あ、けど僕たち2人ですけど大丈夫ですか?』


「こっち3人だから大丈夫だよ。それじゃ門のところでいいか?」


『あ、はいわかりましたお世話になります』


「おう……悪いけどツヴァイアットまで戻るけどいいか?」


「あっ、問題ないです!」


「いいよー、たいした手間じゃないし……早速行こうか」


 今いるところは岩場フィールドの真ん中ぐらいなのでそこまで手間がかかるわけでもない。急ぐ理由がある奴はいないのでのんびり行こうと方針である、用件作ったの俺だけど。



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