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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第三章 更に先へ、騒動は予見不可
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第二十話 悪魔召喚


「遅いなあ」


「結構迷ってるのかもね」


 教祖の口を分いでから十数分。騎士団長達がくる気配はまだない。ショウの言った通り意外と迷っているのだろうか?単純に広いし、分かれ道が多かったしな、どんだけ時間をかけてこんな場所を用意したんだか。俺達もモモの探知魔法が無かったら同じ様に迷ってたんだろうなあ。

 意外とこれ時間制限クエストだったりするのかな、悪魔を召喚される前にたどり着いて阻止せよ的な……いや召喚される悪魔にも寄るか?そもそも最上位扱いのが2人いるしな、一時的に強化されて強いっていう展開もあるかもだけど。

 とりあえずする事もないので座りながら休憩していると、いきなり中心にある魔法陣が光り始めた。


「はあ!?何でいきなり!?」


「あ、野郎舌噛んで死にやがった!姐さん!?」


「狂信者の度合いを舐めてたかねぇ……自分諸共とは」


 よく見ると教祖の口から血が垂れていた。氷で口が塞がれていたはずだが、それでも何とかするとは、感心すれば良いのかどうか。とにかく面倒なことになったぞぉ。


「これ、中断とかは?」


「シンプルすぎてねぇ、邪魔する所が……他の連中も巻き込まれてるし」


 確かに他のローブ共も痙攣していて、周りのエフェクトも生贄にされてる感じが。折角捕らえたんだけどなあ、モモが。


「じゃあ戦闘まっしぐらか。失敗したなあ」


「ある意味締めになる気がするけどね」


「そうだけど……これはこれでアリか?」


 はっきりとボスがいるのは確かに分かりやすいが、一度終わったと思った後から追加されると面倒な感情の方が多い。まあゲームならそういうのもあるからしょうがない。

 魔法陣の光が激しくなり、視界が一瞬真っ白になった。光が収まるとそこにいたのは数メートルはある巨大ないかにもな姿の悪魔だった。

 悪魔を召喚するなら黒い光とか黒いモヤとかのイメージがあるが、仕様に一々ケチつけるのは意味ないな。というか、あの悪魔通じそうにねぇな。野生タイプ?


「2人どっちかお知り合いだったりしない?」


「「まさか」」


「ですよねぇ……」


「あれ知性が無いタイプだなー。暴れるしか能がないが厄介は厄介だな、生贄になった連中のせいで強化されてるからなあ」


 戦闘しか選択肢にない感じか、とりあえずさっさと倒さないとここが崩れそうだし。何をするかと身構えていると召喚された悪魔はいきなり叫び出した。


「ギャァァァァァァ!!!」


「うっるせぇ!!」


 でかい叫び声に耐えながら刀を抜き接近する。いかんせん体格差が大きいので足しか切れなさそうだが、こちらには【空走場(アハルテケ)】がある。足場を作り頭を狙うが、腕を振り上げこちらの邪魔をしてくる。


「流石にいきなり頭は欲張りすぎか!」


「コウ!こっちで引きつけるからそん時に!」


「へーい!」


 うん、流石に欲張った。

 閉鎖空間な上に地下なのでモモはあまり派手な魔法は使えない。しかし、さっきの通路での戦闘と違い、まだスペースがあるので、敵悪魔の動きを邪魔してくれているが……何故か思ったより効いていない。


「ちっ、こいつ物理タイプかよ」


「物理タイプ?」


「魔法を使わない純粋な近接格闘タイプな。搦手使う方が悪魔にゃ多いんだけどな」


「ああ、そのまんまか」


「そのせいもあってか姐さんの魔法も効きずれぇみたいだし……そもそも耐性あるからなあ、屋外なら効きづらくてもぶっ放して倒せるんだが」


 マモンはそう言ったが、それなら邪魔になっているだけでも凄いんじゃないか?外での戦闘は……雑魚だったり派手なの使ってもガブリエルに防がれたり、アハルテケの時は一応加減していたみたいだし、そういえばちゃんと威力を出した所見たことないな。


「グァア!!」


「うおっ」


「危ねっ」


 ショウに引きつけられていたはずだが、いきなりこっちを狙ってきた。情緒不安定なのか、だべっていたこっちが気に障ったのか。すれ違い様に色々とダメージは与えているが……なんかどんどん治っているような。


「こいつ自己再生持ちか?」


「そうみたいだね、これどういうタイプかな。速度をうわまらないといけないのか、上限がある方か……前者だとすっごい面倒だけど」


「そうなんだよな……【貫牙剣(アウラ)】はまだ使わない方が良いか」


 よく切れる様にはなるだろうし、その分ダメージも増えるだろうが、こういう敵に関しては刀は不利なんだよな。剣の方がまだ叩き潰したりとか出来るだろうし。刀身の長さからいって上手いこと切り刻める自信もないし、SPの消費もすごいしな。何にせよ魔法じゃなく物理的に大ダメージを与えられる方法が欲しいな……騎士団長か?


「……俺が呼ぶよ。運が良ければすぐ連れて来れるだろ」


「うーん、確かにそっちの方が良いか。じゃあ頼んだ」


「おう」


 マモンの場合、あの悪魔をコピーしたところで体格差のお陰で効果が薄い。更には今のところ普通の物理攻撃しかして来ないのでこの状況で1番自分の強みを活かせないのはマモンだろう。

 というわけで騎士団長を呼びに行ってもらうことになり、その間に残った俺達3人で弱点やら自己再生の条件やらを見極めないといけないわけだが……大ダメージ与えられるメンバーがいないから検証しようが、とりあえず刻んでいくか?


「ショウ、何かカウンターとかで大ダメージとか出来ねぇの?」


「カウンターはあるにはあるけどね、相手的にちょっと無理そうかなー?」


 倍率が高くない感じか、さてどうしよう。幸いなのか、急所周りの対処は素早いが、能動的な攻撃のスピードはそこまで速く無い。モモによると、やはり生贄によって一時的に強化されているだけらしいので、本来はもう少し弱くそのせいだとか。一時的とは言っても、数日持つらしいから時間経過での弱体化は期待できないか。


「そらっ!」


「ギャッ……グラァ!」


 ショウに気を取られて背中がガラ空きだったので切りつけてみたが、ヘイトを稼いだだけだった。攻撃の合間に色々とダメージを与えてみてはいるが、すぐに治っていくので意味が無い。部位によって再生速度が遅いとかはないみたいだからヒントもクソもねぇな。ああ、モチベが低くなってゆく。


「はあ、あれどうやって倒すんだ……?」


「うーん、こんだけやって速度が衰えないならコアがあるタイプかねぇ?悪魔はそこら辺判別しにくいから厄介だよ本当に……だとしてもどこにあるか」


 それなら【貫牙剣(アウラ)】で地道に突き刺して確かめて……いや1回ぐらいならまだしもそうやすやすとコア探しには付き合ってくれなさそうだなあ。いや本当に大ダメージっていうか範囲攻撃が欲しいわ。侍系統にそういうスキルはなさそうだから他の系統か。刀を扱う場合大体は断ち切るのがメインだしな。

 さて、そろそろマモンが騎士団長を連れてきてくれると助かるのだが……道に迷うとひどいことになるからなあ。もし迷うと大分時間がかかることになるので耐久戦……もろに攻撃を喰らうとまずいのでそれまで集中力が続けば良いけどな。


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