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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第三章 更に先へ、騒動は予見不可
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第九話 いざ実戦使用


「みんな準備は良いかい?」


「はい大丈夫です」


「まあ、フィールドボス倒しにいくだけだからな、難易度はこの前の樹と同じなんだろ?」


「まあね。今回のボスはモールスネーク……まあ意味は分かるよね?」


「す、すみません、モールってどういう意味ですか……?」


 あ、小学生組。そりゃ知らない単語もあるか……俺も簡単な英語はカリキュラムにあったけど、モールとかって習ったかな……?


「ああ、ごめん。モールって言うのは直訳すると、モグラだよ。このモンスターの場合はモグラみたいにってことだね」


「あ、そうですか。じゃあ、盾を持つより身軽にした方が良いですね、ありがとうございます」


「いやいやこのぐらいなら。後何か聞きたいことある?」


「一応聞くけど注意点は?」


「まあ下に注意としか言いようが無いよね」


「やっぱりそういう感じか」


 モール、まあモグラとついているぐらいだから、そりゃ潜るのは当たり前か。今回のボスは機動力が重要になる感じだ。まあ俺は当然問題無し、コトネさんやモモもバフでどうにかなるだろうし、ショウは耐久のおかげでここのボスの攻撃なら大丈夫だろう。問題はクルトとアゲハだが……ショウがヘイトを上手く操作してくれれば問題無し。この前と同じ様に端にいてくれればなんとかなるだろうしな。そういえば最後の町まで生産職は戦闘に参加したり、ノルマをこなさないと次の町へ行けないのだろうか。ボスの場所へと向かっている道中、ショウにその辺の仕様について聞いてみると、ゼクシール、ズィーベルトン以降はそれなりの金額を払えばその辺の条件を免除出来るとか。ここまで来たならもう生産職に関しては関門を設けなくても良いだろうという考えなのでは無いのだろうか。初期の方だと、先の町の素材で強い装備を作りそれに頼られない様に流通に制限がかかっていたらしいが、いまはもうそういう事は無い。しようと思えばいくらでも強い装備が手に入れられる様になっている。そういえば、このゲームは装備にレベル制限とかかかってないよなあ……いや別にそれはどうでもいいか、パワーレベリングはあんまり気にしない質だし。そうこうしているうちに、ボスの場所へと着いた。


「このボスは分かりやすく門番みたいな感じなんだな」


「そうだね、まあクリアすれば他からの場所からでも行けるけど……見れば分かる様にあの先がズィーベルトンだね」


 そうしてとぐろを巻いて静かにしているフィールドボスの向こう側を見ると、うっすらとだが、町の様なものとおそらく雪が降っているのだろう光景が見えた。ズィーベルトンでは毎日では無いが、結構な頻度で雪が降っているらしい。実際に降っているしね。それにしても森の端で多少植生が変わっているとはいえここは雨林フィールドだ。少し離れた場所で雪が降っているというのは中々面白い。こういう光景はゲームの中でこそだろうからなあ。さて、ボス戦だ。えっと、名前はモールスネークだっけか。下からの攻撃とかが来るだろうから、早速空中に逃げられる【空走場(アハルテケ)】が役に立つだろうか。


「んじゃ、僕はパーティに入ってないから頑張ってね」


「バフはかけるけど、こっちも他の魔法は程々にするからね」


「へいへい」


「分かりました!」


 クルトとアゲハはおそらく戦闘範囲だと思われる端へ、ショウはその反対側へと移動していった。まあ下手にショウが一緒になってヘイトを集めても不味いからな。なんかあったら駆けつければ良いし。俺達は先頭が俺後ろにコトネさんとモモのスタンダードなスタイル……まあ、みんな動き回るからどうせバラバラになるのだけどね。フィールドボスもこちらに気付いた。と思ったらいきなり地面に潜りやがった、動きが速い!俺達に視線がいってたから多分3人の誰かだろうが……さてどうするか。


「ちょっと距離をとるか。俺だったらそのまま引きつけるから」


「はい」


「ああ」


 そう言って、各自少し、互いに補助に入れるぐらいの距離をとった。さて、誰に来るか……数秒後足元の地面が揺れ始めた。やっぱり俺か。先頭にいたからかなあ……さてじゃあ早速試してみるか。


「【空走場(アハルテケ)】……っとぉ!」


 大分地面から伝わってくる振動が大きくなってきたので、【空走場(アハルテケ)】を使い、空中へと上がる。実戦でも不都合なく使う事ができ、5mぐらい上がった所で止まる。MPを感覚的には15とかそのぐらいをこめたので出てくるまでは持つだろうと思ったが、地面から飛び出してきたボス蛇は空中にいる俺を見て多少驚いた様だが、その勢いのまま軽々と俺がいる所まで飛び上がって来た。まあ一瞬動きが止まった事もあり、体を回転させて余裕を持って避けられた。回転する時に一太刀入れたが、変な体勢での事なので大したダメージにはならなかった。良し、距離を取ろう。


「大丈夫そうだね、練習した甲斐があったじゃないか」


「そうだな、ありがとう」


「コウさん凄かったです」


 俺多少なりとも切られたボス蛇はまた地面へと潜った。いやこれどのタイミングで攻撃すれば良いのやら。まあもう少し様子を見れば何とかなるか。少し経つとまた足元が揺れ始める。


「またマスターか。潜るのは邪魔するからその隙にね」


「おう」


「お気をつけて」


 そうしてまた空中に上がり、待ち構える。目標である俺が空中にいるのは先程ので分かっている様で、今度は躊躇いもなく勢いよく俺に向けて口を開けて飛び込んでくる。


「【貫牙剣(アウラ)】」


「シャァ!!」


 躊躇いがないためさっきよりは速かったが、それでも俺が空中にいて、ボス蛇が地中から出てくるなら軌道は簡単に予測できる。今度はボス蛇の攻撃をギリギリで躱し、【貫牙剣(アウラ)】を使用。足場の上での戦闘はまだ慣れていないので、多少ぐらいついてボス蛇の牙1本とそこまで深くない傷をいくつかつけたぐらいだった。しかし、思ったよりは【空走場(アハルテケ)】を使った機動ができている気がするので、練習に使った1週間は無駄では無かったので嬉しいわ。

 ボス蛇はまた地面に潜ろうとしたが、生憎とモモの魔法によって邪魔をされた。地中もテリトリーとなっているボス蛇だが、流石にモモの魔法相手だと中々動きづらくなる様だ。そこまでは要求しないとは思うがこのボス蛇の対策は概ねあんな感じだろう。さて、モモが邪魔してくれている間に攻撃しないと……あれ、ボスはショウは積極的に参加しないし、モモは邪魔をしているだけだから……まともな攻撃役俺だけじゃね?ま、まあそれはしょうがない。頭を攻撃できれば速いが、地面に潜ろうとして暴れているので安全を取るなら体の方か。


「シャァ!?シャァァァ!!!」


「おっとぉ!?」


 【貫牙剣(アウラ)】を使った刀はよく切れるので、やたらめったら斬りつけていくと、それに気付いたボス蛇が俺を遠ざけようと暴れ始めた。


「いやー、この状態は無理か」


「そうだねぇ、あ、ちょっと休憩」


「一応回復かけますね」


「お疲れ……ああ、ありがとう」


 暴れた始めた時にちょっとカスダメが重なったので少しHPが減っていたので、コトネさんが回復してくれた。ボス蛇の方は、少しの間暴れた後冷静になったのか落ち着き、俺の方を睨んでからまた地面に潜っていった。


「まあ俺だろうな」


「じゃ、頑張って」


 さーて、今回も真っ直ぐ来るかな。これまでと同じ様に空中に上がるが、流石に学習して、ちょっと変えてくるか……ある意味猿頭ならぬ蛇頭だと楽で良いが、エクストラスキルにモモという万能魔法系NPCがいるのでいまいち他のプレイヤーから見た難易度が分からない。多少高く上がったからさっきよりはみる余裕があるだろうから大人しく待ち構えよう。


「シャァァァァァ!!!」


「蛇頭ーっ!」


 余程自分の攻撃に自信があるのか、学習してないだけなのか潜ったボス蛇は今まで1番速度はでているが真っ直ぐ突っ込んできた。まあ避けてすれ違い様に……ちょっと余計なこと思いついた。


「【刺突】!」


「ギッ!!シャァ…………」


 足場の上では上手く振りかぶれなかったが、新しく取得したスキルを使い、刀をボス蛇の頭に向かって投げた。【刺突】の速度補正効果は投げてもちゃんと付与されるらしく、【貫牙剣】の効果も相まって勢いよくボス蛇の頭を貫いた。頭を貫かれれば即死は免れず、フィールドボスである……えっと、モールスネークは倒れていった。


「おー、良かった当たった」


「大分カッコつけたね……失敗したら面白かったのに」


「いや失敗したら蛇のエサだろ。まあ当たったから満点花丸だ。」


 無事フィールドボスを倒しズィーベルトンへ。依頼の日にちまでは時間があるからフィールドの奥にある雪山を探索してみるのも良いかな。

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